2020年6月1日
2020年8月7日
電子サインと電子署名の違い
コロナ禍で話題になったテレワーク。離れた場所で仕事するのは新鮮な気分だという方も多いようです。しかしこのテレワークを妨げる業務が「押印」です。押印が必要な書類は社内外に多くあるため、押印のためだけに出社するというケースは珍しくありません。
そこで、押印の代わりに注目されている技術が電子サインと電子署名です。電子契約という言葉とともに使われることが多いものですが、いったい電子サイン・電子署名とは何でしょうか。今回はその2つの違いについてご説明します。
電子サインと電子署名ってそもそも何?
従来の契約と言えば、紙の契約書に印鑑で押印することで、お互いの合意を証拠として残していました。この契約をオンライン上で完結できるようにしたものが電子契約です。電子データ化した契約書に電子署名を行うことで、書面による契約と同様の証拠力を認められています。
この電子契約のプロセスの中で行う電子署名の方式として、電子サイン・電子署名といった署名タイプがあります。
今日では、電子サインと電子署名は同じ意味で使われることもありますが、厳密には意味が異なるため注意が必要です。
紙の契約書と電子契約の違い
紙の契約書 | 電子契約 | ||
---|---|---|---|
形式 | 紙の書面 | 電子データ(PDF) | |
証拠力 | 押印 | 印鑑と印影 | 電子署名または電子サイン |
本人性の担保 | 印鑑証明書 | 電子証明書 | |
完全性の担保(改ざん防止) | 契印・割印 | タイムスタンプ | |
事務処理 | 送付 | 郵送 or 持参 | インターネット通信 |
保管 | 書棚 | サーバー | |
印紙 | 必要 | 不要 |
2つの署名タイプ
電子サインと電子署名は、本人確認の証明(本人性の担保)の違いによって区別されています。どのようにして電子書類に署名を行った署名社の本人性を担保するのか、その方法が異なります。
電子サイン
メールやSMSを用いた認証を行い、契約システムが提供する仕組みやログによって本人確認を行います。一般的に、契約サービスの登録やメールアドレスのみで利用できるため、導入しやすい署名タイプと言えます。
電子署名
電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書を用いることで、本人性を担保します。電子署名法に準拠し証拠力が非常に高い署名タイプです。電子契約においても企業に求められる印章管理に対応でき、ガバナンス規定に親和性があります。
ハイブリッド署名
「電子印鑑GMOサイン」では自社の署名は「電子署名」を利用、契約先の署名は「電子サイン」を組み合わせたハイブリッド署名が可能です。これにより、社内では法令やガバナンスの観点から「実印版」を利用し、契約先は利便性の観点から「認印版」を使い分けた運用が実現できます。
署名表示の違い
電子契約に使用する電子書類には、一般的にPDFファイルが用いられます。PDFに施された電子署名は、PDFファイルを操作することで署名者を表示確認できます。
電子印鑑GMOサインの場合
電子サインでは、「署名の詳細」欄に署名者の名前とメールアドレスが表示されます。また、「バージョン1」欄では、「e-Contract Service Agree」と表示され、システムを用いた電子サインであることがわかります。(下図の左)
電子署名の場合は、「バージョン1」欄にて署名者の名前が表示されます。電子証明書を取得された方の名前が表示されるため、ひと目で本人が電子署名していることがわかります。(下図の右)
まとめ
混同されがちな電子サインと電子署名。
電子サインはメールやシステムログを用いて本人性の確認を行います。この電子サインより法的効力が強い電子署名は、第三者機関の電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書を使用します。電子契約を安心して利用するためにも、署名タイプの違いを理解しておくことが大切です。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部