コロナ禍で話題になったテレワーク。離れた場所で仕事するのは新鮮な気分だという方も多いようです。しかしこのテレワークを妨げる業務が「押印」です。押印が必要な書類は社内外に多くあるため、押印のためだけに出社するというケースは珍しくありません。
そこで、押印の代わりに注目されている技術が電子サインと電子署名です。電子契約という言葉とともに使われることが多いものですが、いったい電子サイン・電子署名とは何でしょうか。今回はその2つの違いについてご説明します。
電子サインと電子署名ってそもそも何?
従来の契約と言えば、紙の契約書に印鑑で押印することで、お互いの合意を証拠として残していました。この契約をオンライン上で完結できるようにしたものが電子契約です。電子データ化(PDF化)した契約書に電子署名を行うことで、書面による契約と同様の証拠力を認められています。
電子署名とは書面でいう印鑑の代替となるもので、署名方式として電子サイン・電子署名といった2種類の署名タイプがあります。
電子サインと電子署名は同じ意味で使われることもありますが、厳密には意味が異なるため注意が必要です。
▶参考:電子印鑑GMOサイン【電子契約とは?】
紙の契約書と電子契約の違い
紙の契約書と電子契約の違いについて、以下表でまとめました。印鑑や印影のほか、本人性の担保で必要とされる印鑑証明書について、電子契約でそれぞれ対応するものがあります。
|
紙の契約書 |
電子契約 |
形式 |
紙の書面 |
電子データ(PDF) |
証拠力 |
押印 |
印鑑と印影 |
電子署名または電子サイン |
本人性の担保 |
印鑑証明書 |
電子証明書 |
完全性の担保(改ざん防止) |
契印・割印 |
タイムスタンプ |
事務処理 |
送付 |
郵送 or 持参 |
インターネット通信 |
保管 |
書棚 |
サーバー |
印紙 |
必要 |
不要 |
法的効力を証明する仕組み
電子データ(PDF)に紙文書と同様の法的効力を持たせるためには、電子署名が付されたその電子文書が本人による正式なもの(本人性)であり、かつ改ざんされていない(完全性)ことを証明する仕組みが必要です。
その中で、完全性の要件を満たすために必要とされているものが、「電子署名」と「タイムスタンプ」です。

電子署名とタイプスタンプの両方があることで、誰がどの電子文書でいつ署名したかが明確になるため、法的効力の高い電子契約として認められます。
電子サインと電子印鑑の一般的な違い
2パターンある電子サインと電子署名ですが、一般的な違いとしては電子契約としての定義や役割が異なります。

電子サイン(立会人型電子署名)は業務委託契約書や発注書など幅広い書面で利用される、広義の概念として見なされる電子契約です。一方で、厳格な本人性を担保する電子証明書を発行するパターンが電子署名(当事者型電子署名)に該当します。
※詳細は以下でご説明していますが、「電子印鑑GMOサイン」では一般的な概念での電子サインが「契約印タイプ(立会人型)」で、電子署名が「実印タイプ(当事者型)」という名称で対応しています。
電子サインと電子署名・それぞれについて名称だけで区別するより、それぞれの電子契約で何ができるか、役割や特徴・機能面で比較するとより理解できるようになるでしょう。
また、電子契約の詳細やメリットについては、電子契約とは?|書面契約との違いや種類についてでも解説していますので、あわせてご参考くださいませ。
▶関連記事:電子契約書の導入メリットとは?
「電子印鑑GMOサイン」にある2種類の電子署名(電子サイン)は?
電子サインと電子署名の一般的な違いについてご紹介しましたが、「電子印鑑GMOサイン」でも2種類の署名タイプを異なる名称で区別しておりますので、ご説明いたします。


「電子印鑑GMOサイン」では「立会人型(契約印タイプ)」と「当事者型(実印タイプ)」の2種類があり、本人確認の証明(本人性の担保)の違いによって区別されています。
▶参考:GMOサインの電子署名・セキュリティについて
電子サインと電子署名の一般的な違いと同じような区別になりますので、「電子印鑑GMOサインの契約印タイプ署名=一般的な電子サイン」と「電子印鑑GMOサインの実印タイプ署名=一般的な電子署名」にそれぞれ該当します。そのほか、2種類の電子署名について以下表の通り差異があります。

「電子印鑑GMOサイン」の立会人型電子署名(契約印タイプ)
立会人型電子署名はメールやSMSを用いた認証を行い、契約システムが提供する仕組みやログによって本人確認を行います。一般的に、契約サービスの登録やメールアドレスのみで利用できるため、導入しやすい署名タイプと言えます。
契約を行う当事者とは違う者(電子契約の事業者)が電子署名を付与するため、立会人署名型のほか事業者署名型とも呼ばれます。

「電子印鑑GMOサイン」の当事者型電子署名(実印タイプ)
当事者型電子署名では、電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書を用いることで本人性を担保します。電子署名法に準拠し証拠力が非常に高い署名タイプで、「電子印鑑GMOサイン」では実印タイプとも呼ばれます。
電子契約においても企業に求められる印章管理に対応でき、ガバナンス規定に親和性があります。

「電子印鑑GMOサイン」のハイブリッド署名
「電子印鑑GMOサイン」では自社の署名は実印タイプを利用して、契約先の署名は契約印タイプを組み合わせたハイブリッド署名が可能です。これにより、社内では法令やガバナンスの観点から「実印版」を利用し、契約先は利便性の観点から「認印版(契約印版)」を使い分けた運用が実現できます。
ハイブリッド署名の詳細や利用イメージについて、関連ページでも取り上げていますのであわせてお読みくださいませ。

署名表示の違いについて
電子契約に使用する電子書類には、一般的にPDFファイルが用いられます。
PDFに施された電子署名は、PDFファイルを操作することで署名者を表示確認できますが、電子サインと電子契約でそれぞれ異なります。
「電子印鑑GMOサイン」の場合
一般的な電子サインに対応する契約印タイプ(立会人型)では、「署名の詳細」欄に署名者の名前とメールアドレスが表示されます。また、「バージョン1」欄では、「e-Contract Service Agree」と表示され、システムを用いた電子サインであることがわかります。(下図の左)
一方で、一般的な電子署名に対応する実印タイプ(当事者型)の場合、「バージョン1」欄にて署名者の名前が表示されます。電子証明書を取得された方の名前が表示されるため、ひと目で本人が電子署名していることが分かります。(下図の右)

まとめ 電子サインと電子署名の違いを要確認!
混同されがちな電子サインと電子署名。
電子サインはメールやシステムログを用いて本人性の確認を行います。この電子サインより法的効力が強い電子署名は、第三者機関の電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書を使用します。電子契約を安心して利用するためにも、署名タイプの違いを理解しておくことが大切です。
また、「電子印鑑GMOサイン」ではそれぞれの署名タイプを使い分けできる良さがあるほか、一括送信機能やユーザーごとの閲覧権限など利便性・安全性も高く、詳しくは「電子印鑑GMOサイン」の特徴・選ばれる理由にてご参考くださいませ。
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