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電子署名法とは?押さえておくべき条文と政府見解について

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電子契約を導入するうえで、もっとも重要な法律が電子署名法です。この法律にはどのようなことが定められているのでしょうか。本記事では、いま注目を集めている「電子契約の法的効力」に焦点を当て、電子署名法と2020年に発表された政府見解について、解説します。

目次

電子署名法とは

電子署名法は、2001年に施行された法律で、正式な名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」です。この法律は、「電子署名の円滑な利用を確保することにより、電子商取引を利用した社会経済活動の一層の推進を図ること」を目的として制定されました。

電子契約の普及が進む現在、同法は施行後に数回の改正が行われています。これは電子署名や認証業務をとりまくさまざまな要素、電子契約における実態、その他の法律との整合性を図るためで、不足している事項や条件などを随時追加変更しているのです。

電子署名法の背景と目的

電子署名法が施行されるきっかけとして、インターネットや携帯電話の急速な発展とともに、ネットワークが企業間通信だけでなく、国民生活一般にまで浸透しているという社会の変化があります。ネットワークの利用場面は、電子申請や電子商取引、教育など紙の利用が主流だった分野でのインターネットの活用、ゲーム、テレワークなどと幅広く、今や社会経済活動の根幹を担っています。

ただし、インターネットなどでのやり取りでは、実際に相手と対面することがないため、相手が本当に本人であるか、また、通信の途中で情報が改変されていないかといった、セキュリティ面の確認作業が必要です。

こうした確認に有効な手段として、暗号技術を用いた電子署名や認証業務が存在しているものの、電子署名や認証業務が法的にどう扱われるか明確になっておらず、不安を訴える声が上がっていました。例えば、電子署名や認証によって本人であることを確認できたとしても、もし何らかのトラブルの末、裁判に発展した場合、電子署名や認証の有効性が法的にどのように評価され、解決に至るのか予見できないからです。このように社会において電子商取引への信頼性に疑問符がついている状態では、電子署名や電子認証の普及が妨げられてしまいます。

そこで、電子署名法は、電子署名や電子契約に関するルールを定め、電子商取引の信頼性を高めるとともにその普及を促し、社会経済活動の一層の推進を目指しているのです。

電子署名法で押さえておくべきポイント

電子署名法について押さえておくべきポイントは、電子契約も要件を満たせば書面の契約と同様の法的効力があるという点です

まず、契約のほとんどは口頭のみでも成立します。このため、契約の成立それ自体は書面で残すことを必要としません。しかし、口約束で行われた契約は、後になって「言った」「言わない」というトラブルになりやすく、細かい条件などを忘れてしまうという事態を招きかねません。このため、契約の内容を書面にして、当事者同士が確かにこの内容で契約したという証を残すのです。これが、契約書を作成する意義です。

この契約書(書面)の法的効力について、民事訴訟法第228条 第4項は次のように定めています。

(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

引用元:民事訴訟法 | e-Gov法令検索

この規定は、契約書等の中に本人の押印があれば、その文書は「本人が作成したものであると推定される」こと(推定効)、また、「裁判所は、本人が押印した文書は、特に疑わしい事情がない限り、真正に成立したものとして、証拠に使ってよい」ことを意味します。

本人の押印がある契約書に証拠力(形式的証拠力)がある、法的効力があると言われるのは、文書の真正が裁判上争いとなった場合でも、本人による押印があれば、証明の負担が軽減されることになるからです。

それでは、紙の契約書が存在しない電子契約では、法的効力を持つ契約書を交わせないのでしょうか?その答えは、電子署名法第2条と第3条にあります。

電子契約の法的効力を認める電子署名法第2条と第3条

電子契約の法的効力について、電子署名法にはポイントとなる2つの条項があります。それが第2条第3条です。まず同法第2条には、以下のように電子契約における電子署名が認められるための要件が定められています。

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
(後略)

引用元:電子署名法|e-Gov法令検索

つまり、電子契約における電子署名は、本人が行い、契約の電子ファイルやデータが改変されていないか確認できることが、まず求められているのです。

続いて、電子署名法第3条では「真正な成立の推定」が以下のように定められています。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

引用元:電子署名法|e-Gov法令検索

以上から、電子署名法第2条と第3条の要件を満たす電子署名が行われている場合、真正に成立したものと推定する、すなわち、有効な契約が行われたと認められる法的根拠のある電子契約だとされているのです。

電子署名法第2条および第3条についての政府見解

電子ファイル形態の契約の法的効力は、電子署名法第2条と第3条によって認められています。しかしながら、署名や押印を行うといった、シンプルな方法で法的効力を持つ紙の契約書に比べると、わかりにくいことも確かです。

特に「書類への押印を行う」ことが、テレワーク推進や電子契約推進の妨げとなる行為について、政府は2020年6月、「押印についてのQ&A」を発表しました。重要部分をまとめると次のようになります。

  • 契約は当事者同士の意思の合致によって成立するため、書類の作成や押印は、特段の定めがない限り、契約の効力に影響はない。

  • 本人の押印がなくても、文書の成立経緯を裏付ける資料や他の方法によって、本人が作成した文書であると証明することは可能である。

  • テレワークを推進する観点からは文書の成立の真正を証明する手段として、押印以外の手段で代替することも有意義である。

また、文書の成立の真正(法的効力を有すること)を証明する具体的な方法について、以下のように見解を述べています。

  • 相手と継続的な取引関係にある場合、取引先とのメールのメールアドレス、本文や日時、送受信の記録を保存しておく。
  • 新規に取引を行う場合、運転免許証などによる本人確認や本人確認情報の入手過程などを記録、保存しておく。
  • 利用時のログインID、日時や認証結果などを記録できるサービス、電子契約システム(電子署名や電子認証サービス)を活用する。

この見解をまとめると、契約の成立過程や締結者の意思表示などを記録・保存しておき、利用できるのであれば、押印がなくても契約の法的効力は認められることになります。また同時に、電子契約システムを利用して交わした契約書についても、政府として法的効力があると認めたわけです。

まとめ:電子契約は電子署名法と政府見解により確かな法的効力を得た

電子署名法は、インターネット時代における電子商取引の信頼性を高め社会経済活動の一層の推進を目指すために、電子署名や認証業務の要件を定めた法律です。また、政府見解によって、要件を満たした電子契約システムの利用も推奨されたことにより、電子契約システムの導入や活用も進むものとみられます。

参考:押印に関するQ&A(令和2年6月19日 内閣府、法務省、経済産業省)

電子契約において法的安全性の次に確認すべき点はセキュリティです。電子契約ではインターネットを介して契約を締結するため、セキュリティ対策が万全でないと、なりすましや情報漏えいが発生するリスクが高まります。仮にそれらのトラブルが発生すれば不利益を被る、企業の信用が毀損されるといった、さまざまな弊害が生じる可能性があります。電子契約のセキュリティ面での安全性についてはこちらの記事をご参照ください。

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今回は電子署名法の基本的な内容について解説しましたが、より詳細に知りたい、専門家の見解を知りたいという方は、弊社の顧問弁護士である宮内宏弁護士監修の記事をお読みいただければ幸いです。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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