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株主総会は、大勢の株主が来場する大きなイベントです。会社の方向性を左右する重要な場であるため、スムーズに進める必要があります。
そこで本記事では、株主総会を実施するにあたって、事前準備の内容や当日の流れを分かりやすく解説します。
株主総会を成功させるには、事前の綿密な準備が欠かせません。具体的には、開催場所や株主への連絡、進行に関わる計画などが必要です。それぞれの項目について詳しく解説します。
特に法的な事項に関しては、しっかり準備しないと株主総会自体が無効となってしまいかねないため、きちんとチェックしておきましょう。
株主総会を成功させるためにすべきこと
まずは株主総会の予定調整を行い、計画を早めに立案します。日時は業界の習慣や自社の慣例、株主の都合なども考えて都合が良い日を慎重に選びましょう。
会場予約は1年前には行っていないとニーズに合った場所が借りられなくなる可能性があります。リアルで行う株主総会では、多数の来場者を収容できる大きな会場を借りる場合が多いので、要注意です。
また受付しやすいロビーがあるか、音響等の機器が備わっているかなど設備もチェックしておくことが重要です。もし機器が不足している場合は、自社からの持ち出しや専門業者からの借り入れなどで対応しましょう。
株主への招集通知に関しては、会社法で明確な規定があります。非公開企業では開催される日の1週間前まで、一方公開会社は2週間前までに招集通知を送る必要があります。もし招集通知を怠ってしまうと、株主総会が無効となる恐れがあるため必ず行いましょう。
招集通知には、日時や会場、議決権行使を事前に書面で行えるかなどの内容を記載します。議決権を事前行使できる場合は、株主総会参考書類を招集通知に添付する必要があるため、忘れずに行いましょう。
当日の議事進行をどのように進めるかを決めておく必要があります。最初に報告すべき内容や議決を取る項目などをリストアップします。その上でどの順番で行うか、それぞれの報告は誰が担当するかを決めます。
スムーズに進めるために、それぞれの項目には時間を定めておきましょう。ただし、当日株主から質問が多く出てきたり、緊急動議が出されたりする場合もありますので、柔軟に対応できるようにしておきましょう。
また株主から出される質問について、想定問答集を準備しておくことも大事です。担当者ごとに異なった見解を出してしまう可能性もあるため、一貫性のある回答で答えられるようにしておきましょう。
本番前にはリハーサルが必須であり、進行を予定通り進められるか確認します。例えば、会場では人員をどこに何人配置するか、株主が来られた時にどのような対応をするかなどをチェックします。またステージでの機材確認や音響テストなどを行い、トラブルが発生しないように準備しておきます。
オンラインでの株主総会も行う場合には、WEB会議システムのテストも行いましょう。
株主総会当日の流れを確認しておき、本番で慌てることがないようにしておきましょう。当日はやるべきことがたくさんありますので、それぞれの分野で責任者を決めておき、チェックリストに応じて漏れなく進めていくと良いです。
会場設営ではテーブルやイスの配置をしたり、マイク等の機材チェックをしたりします。また外に案内看板を設置したり、受付用のデスクを設けたりします。
初めて会場を訪れる人も多いので、トイレの場所を案内できるよう受付係に確認しておきましょう。取締役やスタッフの控室、ステージに出るまでの通路なども分かるようにしておくとスムーズです。
議長や司会者、報告などを行う役員が集まって、議事進行について最終打ち合わせを行います。どの順番で出るか、どのマイクを使うかなどを実際にステージでリハーサルしましょう。この時マイクの音出しなどできる限り本番に近いリハーサルを行って、不備がないよう洗い出しておくことが重要です
想定問答集は役員に配布して、指名された時にはすぐに答えられるようにしておきましょう。
開場の時間になったら、株主やメディア関係者などを会場内に誘導します。受付では、株主に対していくつか確認を行います。
最初に株主本人もしくは正式に依頼された代理人であるかどうかをチェックします。一般的には招集通知書を持っているか、委任状を持っているかといった手段で確認します。受付は終わったら、進行予定表や会場の案内図などを手渡しましょう。
株主総会の開始時間が迫ってきたら、出席している株主の人数を集計します。株主総会の定足 数(株主全体のうち、株主総会に出席する株主の割合)によって議決できる内容が変動するため、正確に調べる必要があります。
予定開始時刻が来たら、株主総会を始めます。万が一開始時刻が来ても定足数に達していない場合には、司会者が定足数が足りるまで待つ旨を説明します。
議事がすべて終了したら、株主は続々と会場から退出していきます。ある程度いなくなったら、撤収作業を開始しましょう。
会場側でどこまで原状復帰を求められているかに応じて、後片付けや掃除を行います。株主総会では同じ会場を使う可能性が高いため、できるだけきれいな状態にしておき、良い印象を与えましょう。会場の返却時刻までにすべての作業を行い、全員退出できるように気をつけてください。
株主総会がうまく行くかどうかは、議事進行にかかっています。そこで、議事進行の流れを詳しく解説します。
まず議長の就任を発表し、定款に従って適正に選出されたことも示します。議長は主に代表取締役もしくは代表取締役によって指名された役員が選ばれます。議長が開会宣言を行えば、株主総会が開かれます。
開会宣言後に、議長が受付で集計した議決権を持つ株主数と議決権数および出席株主数を報告します。まだ入場者がいる場合には集計した時刻も合わせて報告し、集計が継続していることも伝えます。報告自体は義務ではありませんが、株主総会が法的に有効であることを示すために報告するのが一般的です。
議長が監査役を指名して、監査報告が行われます。会社法によると、会計監査人設置会社や監査役設置会社では、株主総会において事業報告と計算書類を提出しなければならないことが定められています。監査役がこの任を負うため、監査報告書の内容を報告します。
特に問題がなければ、監査項目について挙げていくだけで構いません。しかし、何らかの問題が発生している場合には関係者や損害などの詳細を報告します。
取締役が事業報告書や財務諸表などを用いて、それぞれの事業部門においてどんな活動を行い、収支状況はどうなっているのかを報告します。それらの内容をベースにして、来期の事業計画や予定を報告する場合もあります。
事業報告では株主からの質問が多く出やすいため、報告後に質疑応答の時間を設けるケースもあります。そのため、誰がどのような点について回答するかを決めておき、裏付けとなる資料を準備しておくことが重要です。
報告がすべて終わったら、決議議案の採決を行います。招集通知で事前に議案が記載されているため、それらの議案について詳しく説明していきます。一般的には議案をすべて提出してから、順次採決していく一般審議方式が採られます。
しかし、株式分割や事業部門の再編など重要な議案の場合には、個別に提出、審議してから採決を行う個別審議方式を採る場合もあります。
決議では、一般的に普通決議が採用されます。決議には様々な種類があり、成立させるにはそれぞれの決議によって定足数(出席している株主の割合)と表決数(議決権の割合)を満たす必要があります。普通決議では、出席している株主が保有する議決権が全体の過半数であり、かつ出席している株主が持つ議決権の過半数が賛成票でなければなりません。
すべての報告と決議が終了したら、議長が総括を行って閉会宣言を出します。会社によっては出席者へのギフトを配布したり、イベントを行ったりするところもあります。
株主総会では、議事録の作成が会社法で定められています。また株主から閲覧請求されることもあるので、会社の信用を高めるためにもきちんと作成しましょう。
株主総会議事録の作成は、取締役が行います。主な記載事項は以下の通りです。
・開催日時と場所
・出席した取締役や議長の名前
・報告事項や質疑応答の内容
・議事録を作成した取締役の名前
形式は自由ですが、株主からの信頼を得るために毎回統一したフォーマットで作成しましょう。
株主総会議事録は、開催日から10年間本店で保管しなければなりません。支店がある企業の場合には、支店にもその写しを5年間保管する義務が定められています。そのため、保管場所の確保や支店用の写しを作成することも忘れないようにしましょう。
株主総会では法的に定められた項目などを遵守する必要がありますが、開催時にはその他にも気をつけるべきポイントがあります。実際に株主総会を行う際の注意点について解説します。
株式会社にとって株主は非常に重要な存在であり、株主総会では株主と直接対面します。そのため、株主ファーストで進めることを常に意識しなければなりません。特に事業報告や質疑応答などは丁寧に行うよう心がけましょう。
しっかりと事前準備を行い、予定通りに進めようとすることは大事です。しかし、実際には想定外のトラブルや株主からの思いがけない質問などから、思ったように進行しないケースは多く存在します。
突発的な事態に対する対応力が求められるため、「想定外の事態は起こるものだ」と心に留めておき、落ち着いて柔軟に対処しましょう。
会社の経営を左右する株主総会は、スムーズに進めることが重要です。そのためには、事前準備と本番における柔軟な対応が欠かせません。事前準備に沿ったリハーサルを入念に行い、どんなトラブルにも対応できるよう心がけましょう。
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