契約書の管理は総務部門で行うべき?部署単位で管理するメリットとデメリットをご紹介
企業では、さまざまな契約書を取り扱います。業種によっては契約書の数が膨大で、管理するのに大変な手間やコストがかかっているかもしれません。また、適切に管理できていないため、今すぐにでも対策を講じたいと検討している企業もあるでしょう。
しかし、膨大な数の契約書を適切に管理するのはそう簡単なことではありません。誰がどのように管理すべきか明確なルールを定めていなければ、漏れやミスなどが生じてしまうことは十分に考えられます。
本記事では、契約書管理の適切な方法から部署単位で管理するメリットとデメリット、社内ガバナンス強化に役立つ一元管理の方法まで徹底解説していきます。総務部門や法務部門など、社内で契約業務に携わる方必見の内容です。
なぜ契約書の適切な管理は企業にとって重要なのか
契約書には取引内容や禁止事項、金額、期間などについて明記されます。そして契約の当事者は、契約書に記載されている内容について法的義務を負います。そのため、両当事者にとって契約書管理は非常に重要です。
もし、契約書を紛失してしまった場合には、自社で契約内容を確認できなくなり、契約書に記載されている内容を証明することもできなくなります。
契約書の管理が不適切な場合に起こるリスク
契約書の管理が不適切な場合には、どのようなリスクが起こり得るのでしょうか。
法令違反になるリスク
契約書の保管は、会社法と法人税法という2つの法律に規定が置かれていますが、規定する期間が違います。より長い保管規定を持つ会社法では、10年間保管しなければならない定めがあるため、契約書は10年の保管をしておくことが必要です。保管期限よりも前に誤って破棄してしまっていた場合、法令違反となります。
(会計帳簿の作成及び保存)
第四百三十二条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
出典:e-Gov法令検索 | 会社法
税務調査時のリスク
全国の税務署では、管轄する地域の企業に対して税務調査を実施しています。調査の対象になる企業は、独自の基準で決められているため、自社がかならずしも税務調査の対象になるとは限りません。しかし、対象になった場合には帳簿書類などについて詳しい調査が入ります。調べられる書類の中には契約書も含まれているため、注意が必要です。
契約書の管理が適切に行われていないと、調査時に迅速な対応が取れません。税務署側の主張に対して、反論する手段がなく不利な扱いをされてしまう可能性もあります。また、都合の悪い書類のため意図的に隠したものと疑われてしまうこともあるでしょう。
訴訟時のリスク
取引先とトラブルになって訴訟に発展することもあります。訴訟において、互いに証拠を提示した上で主張をしたり説明をしたりする際に、契約書は証拠として使われます。契約書を適切に管理できておらず、紛失などがあった場合には、訴訟時に証拠として提出できなくなってしまう可能性もあるでしょう。そうなると自社の主張や説明が事実に基づくものだと証明できません。また、相手の主張に対して反論する際にも証拠がないと非常に不利です。
セキュリティリスク
契約書に記載されている契約内容や金額などは、企業秘密に該当します。個人の顧客と交わした契約なら、個人情報も記載されています。そのため、外部に漏れないように厳重に管理しなければなりません。
信頼性のリスク
契約書を交わしたら、契約相手となる取引先からも当然、契約書を適切に管理しているものと期待されています。しかし、契約書が適切に管理されていないことが、取引先に知られれば、信頼は失墜してしまうでしょう。契約書に限らずそのほかの業務においても、不適切な点があるのでは?と疑われてしまいます。結果として、顧客離れの原因になってしまうこともあるかもしれません。
業務効率上のリスク
業務を行うにあたって、契約書に記載されている内容の確認が必要になることもあります。契約書が適切に管理されていれば、必要なときには該当する契約書をすぐに取り出して閲覧することが可能です。しかし、適切に管理されていないと、該当する契約書を取り出すまでに時間がかかってしまい、業務に影響をきたすこともあるでしょう。
契約書の管理を担当すべき部署
それでは次に、契約書の管理はどの部署で行うべきなのか考えていきましょう。
法務部門
法務部門は法律に関わる仕事を担当する部署です。たとえば自社の業務に関係する法律の内容や改正などについて調査し、社内に周知します。訴訟を起こされたときの対応などをするのも法務部門です。弁護士に依頼する場合には、弁護士との連絡調整や打ち合わせなどを行います。
また、取引先と契約を締結する際に契約内容を精査するなど、契約に関して事前にリーガルチェックを行うのも法務部門の業務です。そのため、法務部門を設けている企業であれば、契約書の管理は法務部門で行うのが適切でしょう。ただし、中小企業などの場合には、法務部門を設置していないところも少なくありません。
総務部門
法務部門を設置していない企業で、どこか一つの部署で契約書の管理を行う場合には、総務部門が候補に挙がります。総務部門は、自社に関わる事務を全般的に取り扱う部署です。
総務部門は法務部門ほど法律の専門知識を持ち合わせてはいません。しかし、一つの部署で社内すべての契約書を一元管理することで、社内ガバナンスの強化など多くのメリットを享受できます。
契約書を紙で管理していた時代は、ファイリングの手間や保管スペースなどの問題から部署ごとに契約書を管理するのが一般的でした。しかし、現在は契約書管理を支援するクラウドサービスが多く登場しており、担当部署が社内すべての契約書を管理するのも以前に比べると容易になっています。
各部署
取引に直接関わった部署で契約書を管理している企業もあります。契約書の内容を参照するなど、必要なときにはすぐに取り出せるのがメリットです。
しかし、部署ごとに管理すると、管理の方法もバラバラになってしまいます。内部監査も行いにくく、紛失などのリスクも高くなるでしょう。
契約書管理の具体的方法
契約書の管理方法についてはどのようにすべきなのでしょうか。以下に、主な管理方法を紹介します。
エクセルで管理する
契約書を管理するもっとも身近な方法として、Microsoft Excel(以下:エクセル)で契約書管理台帳を作成する方法が挙げられます。管理多くの人が使い慣れていること、またすでに利用している場合追加コストがかからないことから、導入のハードルが低くおすすめです。
ただし、あらたたに契約を締結して契約書を作成した場合には、その都度手入力して情報を追加しなければなりません。契約締結から入力するまでの間にタイムラグが発生し、リアルタイムで状況を把握することは基本的にできません。また、手入力だとミスや漏れなどのヒューマンエラーが起こる可能性があります。入力作業や確認などに時間がかかるのもデメリットです。
次の記事では、エクセルと利用して契約書管理を行う方法をわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
専用の契約書管理システムで管理する
契約管理システムを導入して契約書の管理を効率化することも可能です。導入にコストはかかりますが、IPアドレス制限や閲覧権限の設定などが行えるため、エクセルでの管理よりもセキュアな環境で契約書を管理できます。また、契約管理システムの多くは、法律の専門知識がなくても扱えるようにできており、総務部門で契約書の管理を行っている企業にも向いているでしょう。
外部の専門業者に委託して管理する
自社内で契約書の管理をするのが難しい場合には、外部の専門業者へ委託することも可能です。専門業者に委託すれば適切に管理してもらえますし、自社内で契約書の管理に人的リソースを割く必要がないため、その分だけほかの業務に人員を配置できるようになります。
しかし、デメリットとして、専門業者に委託するために高いコストが必要になることが挙げられます。また、外部の業者に対して企業秘密や顧客の個人情報などが記載されている契約書の管理を任せることになるため、信頼できる専門業者を探す必要があり、慎重に決めることが重要です。
契約書管理にはGMOサイン「契約レビューパック」がおすすめ
契約書管理システムを選ぶ際には、電子契約機能の有無にぜひ注目してください。契約書管理システムを導入したにもかかわらず、契約締結を紙で行っていては紙の契約書をデータ化する手間が発生します。電子契約を併せて導入することで、契約締結から契約書管理までシームレスに行うことが可能です。
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さらに総務/法務担当者さま向けのオプションパック「契約レビューパック」にお申し込みいただければ、契約書の作成・レビューから契約締結、そして管理まで一気通貫で行うことができるため、複数のツールを使い分ける必要がありません。契約に関するすべてのやり取りが自動的に保存され、契約の進捗状況も一目でわかるようになっており、確認が簡単です。
また、担当部署や契約内容に合わせて、承認フローを柔軟に設定できたり、自社の運用に合わせて、契約に関するステータス項目を独自にカスタマイズできたりするなど、契約オペレーション全体を最適化する機能が満載で、業務効率の大幅な向上が期待できます。
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- Slack連携
- 契約書作成の進捗状況可視化
- 書類の修正やレビュー履歴の自動保存
- 自社の運用に合わせ契約に関するステータス項目のカスタマイズ
- 担当部署や契約内容に合わせ柔軟に設定できる承認フロー設定機能
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※1 「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。自社調べ(2023年11月)
※2 電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。自社調べ(2023年12月)
まとめ:契約書の管理は部署単位ではなく一元管理がおすすめ
契約書の管理は、法務部門で行うのが望ましいですが、法務部門がなければ総務部門で行うのが一般的です。従来は部署単位で行うことも多かった管理業務ですが、電子契約の浸透やさまざまなクラウドサービスの登場により、これからは特定の部署で一元管理するのがおすすめです。
なお、契約書の管理を効率良く行うためには、エクセルによる契約書管理台帳の作成や契約書管理システムなどを導入すると良いでしょう。ただし、エクセルでの管理はヒューマンエラーが起こる可能性やセキュリティ面に不安があり、さらに契約業務全体の効率化は難しいといった欠点があるためこれから契約書管理の仕組みを構築したいと考えているのであれば、電子契約サービスなど契約書の作成から締結、管理まで一気通貫で行えるサービスがおすすめです。
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