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電子契約の締結日はどう決める?バックデートが起こっても問題ない?

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電子契約では、確かに契約したという意思を表す場合、電子署名が自動でタイムスタンプ、すなわち日付を付与します。このため契約締結日とのズレが発生してしまいます。

紙の契約書では日付を後から書き加えることができましたが、電子契約では不可能。これは不正なバックデートとみなされるのでしょうか。

目次

契約締結日とは?

契約締結日とは、契約当事者間で実際に契約を締結した日のことです。

もし契約書において、「契約の効力」が発生する日付、すなわち「契約開始日」が定められていない場合、この日付が契約開始日となります。

紙の契約書の署名欄などにある「記入日」や「署名日」などと混同する人も少なくありませんが、これとは異なります。

電子契約の締結日における問題

電子契約でも契約締結日を、契約書内に明記できます。一方、こうした自由に記載できる日付のほかにも日付があります。それは契約書に電子署名を行った際、自動で付与される日付です。

タイムスタンプと呼ばれるこの日付は、電子署名を行った時点の日時となるため、契約書内の契約締結日などとは、ズレが生じてしまうのです。

例えば、契約締結日が1月31日だったとしても、当事者同士が契約内容を確認し、実際に電子署名を行ったのが2月1日だった場合、タイムスタンプも2月1日になります。

不正にあたらないバックデート

契約締結日よりも後に電子署名を行うことは、過去に契約したと見せかけて行うこと、すなわちバックデートに該当しないのでしょうか。そもそも紙の契約書においても、こうした「日付のズレ」は発生しています。これは紙の契約書の作成や印刷・製本といった過程を経た後に、当事者同士が署名捺印を行うため、どうしてもタイムラグが生じてしまうからです。

これを踏まえて、電子契約の場合を考えてみましょう。電子契約用に契約書を作成する際には、契約締結日も明記します。この契約書に対し、当事者たちが電子署名を行うのは、契約書が完成した後です。もちろん契約書に明記した契約締結日に、当事者同士がそろって電子署名を行えば、契約締結日とタイムスタンプを合わせることは可能です。しかし契約のたびにそれを行うのは現実的とはいえないでしょう。

そのため、契約締結日と、電子署名までにかかる一般的なタイムラグによってずれるタイムスタンプは、不正にはあたりません。

不正とされるバックデート

一方で不正に該当する日付のズレ、すなわちバックデートもあります。ここでは問題となる例を紹介します。

まず契約書作成から電子署名までに、長い期間が空いている場合です。例えば、2月に双方が合意し、契約締結日を2月としていたとしても、電子署名されたのが11月など、長期間空いた場合です。このような場合、11月になって後から都合の良い契約書を作成したとも取られかねません。さらに、もしこの期間が決算を挟んでいる場合には、後から証拠を作成したのだと、不正を疑われることもあるでしょう。

売上計上のタイミングに関わる内容も問題となりがちです。例えば、実際に売上が計上されるのが来月であった場合に、今期中の売上にしたいからと、契約書の日付を操作するバックデートです。

こういったバックデートは、私文書偽造として罰せられる可能性もあります。もちろん「電子契約だから不正や問題となる」というわけではありません。紙の契約書においても同様に、こうしたバックデートは不正や問題とされる行為です。

電子契約における契約締結日の決め方

契約締結日と、電子署名を行ったタイミングであるタイムスタンプにズレが生じることは、問題がないことがわかりました。では契約書内に記載する契約締結日は、どのように決めればよいのでしょうか。

ここでは契約締結日の決め方の例を、5つ紹介します。

契約書に記載した契約開始日

契約開始日は、契約書に定めた内容が、いつから有効になるのかを表すものです。この日付と契約開始日を合わせるのも良いでしょう。

例えば、契約期間が「4月1日から1年間」なのであれば、契約締結日も4月1日とします。一方で、契約書に「契約締結日を契約開始日とする」と記載する場合もあります。

この場合は、実際に契約を開始したい日付を契約締結日として記載しましょう。

最初に署名・押印・電子署名した日

契約当事者のうち、最初に契約書へ電子署名(紙の契約書であれば署名や押印)した日を契約締結日とする方法です。最初に電子署名を行うのが、契約書を作成した側であれば、日付を明記できます。

一方、そうでない場合は、最初に電子署名を行うまでにタイムラグが発生する可能性があります。また、後から電子署名を行う側から見ると違和感があるのも事実です。

自身が同意していない契約にもかかわらず、相手の都合で契約締結日が決まっているからです。

最後に署名・押印・電子署名した日

契約当事者のうち、最後に契約書へ電子署名を行った日を、契約締結日とする方法です。紙の契約書ではメジャーな決め方といえるでしょう。

紙の契約書の場合、契約締結日を空欄にしておき、最後に署名や押印がなされたときに日付を記載することが可能です。しかし電子契約では、後から契約書を変更できないため、その旨を契約書に明記する必要があります。

実質的な合意形成があった日

契約内容の合意形成がなされた日を、契約締結日にする方法です。例えば、合意形成がなされた会議などの日付を、契約書に明記します。

全当事者の社内承認報告が完了した日

社内承認が済んだタイミングを、契約締結日にする方法です。会議に参加している担当者が、すべて決裁権をもっているとは限らないためです。

会議などで合意形成がなされた後、社内稟議が済んだタイミングを契約締結日とします。

契約書の効力を遡及適用する方法

契約書の内容について、過去にさかのぼって適用したい(遡及適用/遡及効)場合があります。例えば、口約束で契約を行って業務を開始した後で、契約書を作成するといった場面です。契約は、契約書がなくても成立するため、問題ありません。しかし、後から作成する契約書に定める契約開始日を、契約書を交わす当日にしてしまうと、過去にさかのぼって適用できません。

このため、契約書には「契約締結の日にちにかかわらず、○○年○月○日にさかのぼって効力を生じることとします。」などと明記しましょう。

このとき注意したいのが、遡及適用とバックデートの違いです。

例えば、4月1日から口頭による契約で業務を開始し、4月1日に契約書を取り交わしたとします。このとき遡及適用とせず、契約開始日や締結日を「3月1日」として契約書を交わすことをバックデートと呼び、不正や問題となります。これは「嘘」の契約書を作成したことにほかならないからです。だからといって、なんでもかんでも遡及適用とするのも間違いです。

遡及適用を繰り返すことで、後から都合の良い契約書を作成していると取られかねず、信用を下げることにつながってしまいます。このような事態にならないよう、契約書は速やかに交わすことが大切です。

電子契約の締結日における注意点

電子契約には、紙の契約書とは異なる注意点があります。ここでは電子契約特有の注意点を解説します。

有効期限に留意する

紙の契約書では意識されませんでしたが、長期間に及ぶ契約を行う場合には注意が必要です。それは電子契約では契約書そのものの有効期限が存在するためです。

電子契約で使われる電子契約書(電子ファイル)には、最長10年間という有効期限があります。もしこれを過ぎると、契約内容にかかわらず、契約書の法的効力を失います。このため、10年を超える契約を締結する場合には「長期署名」という方法で、10年ごとに有効期限を延長する必要があります。

撤回条項を設ける

紙の契約書では、契約解除において契約書の原本を送り返すことができました。しかし電子契約では、契約書はデータのため複製が容易であり、確実な返却ができません。

このため、契約当事者間において、契約の撤回・解除方法を契約書の条項として定めておくとよいでしょう。

電子契約におけるタイムスタンプの役割

タイムスタンプは、電子文書(契約書など)が改ざんされていないことを証明するために付与される、日時をもとにした技術的な仕組みです。

タイムスタンプが記録された時刻にその電子文書が存在していること(=存在証明)、そしてタイムスタンプが記録された後にその文書が改ざんされていないこと(=非改ざん証明)が証明できます。これらの証明は、タイムスタンプだけでなく、電子証明書という技術と併せて実現しているものです。

確かに契約したと意思表示を行う際にも、タイムスタンプが使われます。電子署名によって「誰が」を証明し、タイムスタンプによって「いつ」を証明しているのです。

紙の契約書では「署名日」や「捺印日」に、過去の日付を書くこともできましたが、電子契約では厳格に「誰が」「いつ」という情報を管理しているのです。

電子契約の締結日のズレは紙の契約書と同じ考え方でOK

電子契約における契約締結日は、電子署名の日付とずれてしまうことが少なくありません。それは文書を作成した後で、電子署名を行うからです。これは紙の契約書を作成したタイミングと、記名押印を行ったタイミングがずれることと同じですから、不正なバックデートにはあたりません。

ただ、契約当事者が3社以上といった場合には、紙の契約書よりも迅速とはいえ、タイムラグは大きくなりがちです。こうした場合、電子契約システム「電子印鑑GMOサイン」を導入すると便利です。

2社での電子契約はもちろん、3社以上の契約でも、特別な設定なくスムーズに電子契約が締結できます。もちろん、10年以上にわたる契約書への長期署名機能や、契約延長に関するリマインド機能など、便利な機能が豊富にそろっています。

電子サイン・電子契約・電子署名のことなら「電子印鑑GMOサイン」
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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
電子署名/電子サイン/電子印鑑(デジタルハンコ)/脱印鑑(脱ハンコ)/電子文書/電子証明書/電子帳簿保存法など、電子契約にまつわる様々なお役立ち情報をお届けします。

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