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契約解除は一方的にできる?できない?ケース別にわかりやすく解説!損害賠償責任についても紹介

 

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契約を締結したけれど、中にはさまざまな理由で解除したいという人はいるのではないでしょうか。

たとえば企業の資金繰りが想定外に悪くなってしまい、契約を続行するのは難しいという判断をすることもあるでしょう。しかし契約解除を申し出ても、相手が同意するかどうかは分かりません。基本的に契約締結は両者の合意のもとに行われているため、相手が同意しないまま一方的に解除することは難しいのです。

もし相手が同意しなかった場合、契約解除できないのでしょうか?また、契約解除により、損害賠償責任を負うことはあるのでしょうか?

目次

一方的な契約解除はできない

契約を締結する際には、両者の自由意思による合意に基づいて行うことが、民法上の基本原則となっています。これは契約自由の原則と呼ばれるもので、同意したくない相手に対し強制的に契約させることはできないというルールです。

契約に関する基本原則の明記

契約に関する基本原則とは・・・

近代私法の基本原則と言われる契約自由の原則は、一般的に、以下の自由を指す。
①契約締結の自由:契約を締結し、又は締結しない自由
②相手方選択の自由:契約の相手方を選択する自由
③内容決定の自由:契約の内容を自由に決定することができること
④方式の自由:契約を書面で締結するか、口頭で締結するか等、契約締結の方式を自由に決定することができること

※ただし、これらの自由も無制限ではなく、法令上、契約の締結を義務付ける規定が設けられている場合や、特定の内容の契約が無効となる場合などがある。
(例)
・水道事業者は、正当の理由がなければ給水契約の申込みを拒んではならない(水道法§15Ⅰ)
・NHKとの受信契約締結義務(放送法§64Ⅰ)
・30年より短い借地権の存続期間の定めは無効(借地借家法§3、9)
・保証契約は、書面でしなければ効力を生じない(民法§446Ⅱ)

問題の所在

これらの基本原則は確立した法理として異論なく認められているが、民法に明文の規定はない

(改正法の内容)
「法令に特別の定めがある場合を除き」、「法令の制限内において」といった文言を加えた上で、契約に関する基
本原則を明文化 【新§521、 522Ⅱ】

引用:契約に関する基本原則の明記|法務省

両者が合意して締結した契約には、法的な効力が発生することを忘れてはいけません。契約書に記載されている項目に対しては、権利を享受できると同時に、義務も発生しているのです。

契約締結で発生する拘束力

契約を締結することによってその内容を実行する義務が発生し、これには法的な拘束力が生まれます。これは、両者が合意した契約内容を問題なく適切に遂行するためのルールで、例外的な理由を除いては、相手の同意なしに契約を破棄することは認められていません。

契約には拘束力があるため一方的な契約解除はできない

もし契約を締結した相手が、両者の合意なしに一方的に契約を解除しようとしたとしても、契約には拘束力があるため、契約は解除されず、相手に対し契約内容を実現するように求めることができます。一方的に契約解除できることを認めてしまうと、安心して契約を結ぶことができなくなってしまうためです。

どうしても契約解除が必要!解除する方法はある?

どうしても契約を解除する必要が生じた場合でも、解除はできないのでしょうか?解除できるとしたら、どのような方法があるのでしょうか?

相手の同意を得ることが理想的

トラブルなく契約解除するためには、相手から同意を取り付けるという方法が理想的です。双方の合意によって締結した契約は、双方の合意があれば解除できるのは当然だからです。

相手の同意がなくても解除できる方法はある

民法には、例外的に、相手の同意がなくても一方的に契約を解除できる場合が規定されています。すべての場合に適用されるわけではないものの、適用されるケースであれば、相手からの同意を取り付けていない契約でも、こちらの意向で解除できます。

まずは相手から同意を取り付けるための努力をした上で、それでも難しい場合には、民法の定めに従い、解除できるかどうかを検討しましょう。

契約解除とは

契約を一方的に解除することは契約の拘束力から認められませんが、民法には、解除について定める規定があります。
なお、契約の解除と間違えやすいこととして、契約の無効、契約の取り消しがありますので、それぞれについてみていきましょう。

契約の無効

契約の無効とは、締結した契約がそもそも成立していない状態のことをいいます。契約が無効となるケースとしては、当事者間の合意が初めからなかった場合や、少なくとも当事者のどちらか一方に意思能力がなかった場合などが挙げられます。

第二節 意思能力

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

引用:民法|e-Gov法令検索

契約が無効の場合、初めから契約が存在していないので、契約を解除するまでもなく法律関係は存在しないこととなります。そのため、義務を履行する必要はなく、契約の際に支払った金銭に関しても返還を要求できます。

契約の取り消し

有効な契約を締結した後に、意思表示により、その契約を初めからなかったものとすることを、契約の取り消しといいます。これは締結した契約内容に法的に問題がある場合に認められるケースで、具体的には詐欺や強迫によって締結した契約が対象となります。

「契約の無効」と「契約の取り消し」で大きく異なる点は、契約の無効は、契約が初めから無効であるのに対して、契約の取り消しは、取り消すまではその契約は有効であるという点です。当事者から取り消しの意思表示があるまでは、契約は有効に成立していることとなります。

詐欺や強迫による意思表示の取り消しについては、民法第96条に規定されています。

(詐欺又は強迫)

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

引用:民法|e-Gov法令検索

契約の解除

上記のようなケースに該当しないが契約を解除したいという場合には、解除権を行使するという方法があります。これは、法律上求められる要件を満たした場合に、相手の同意がなくても一方的に解除できることをいい、たとえば民法第540条に規定されています。

第四款 契約の解除

(解除権の行使)

第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。

 前項の意思表示は、撤回することができない。

引用:民法|e-Gov法令検索

契約の解除については、締結した契約書の中に解除する際の特約が設けられていることが多いです。たとえば不動産の売買契約においては、すでに収めている手付けを放棄することを条件に、契約を解除できるという特約が入っていることが少なくありません。契約書の中に明記されている条件に対して争うことは難しいですが、この条件を満たすことによってスムーズに解除できるケースが大半です。

クーリングオフも契約解除の一種

割賦販売法や特定商取引法などで規定されているクーリングオフの制度も、一度締結した契約を解除できる方法の一種です。クーリングオフの場合には、締結してから解除できるまでの日数には制限がありますが、特別な理由がなくても消費者の側から解除できるという点が大きな特徴です。

民法上、契約解除できるのはこんなとき

一方的な意思表示で契約を解除することは、上記のように当事者間での別段の定めや特別な法律上の規定があれば認められます。では、民法上、どのような場合に解除が認められるのでしょうか?

債務不履行のとき

相手が契約内容を守らずに債務不履行をした場合で、相当の期間を定めて履行の催告をしたにもかかわらず、その期間内に履行がなされなかったときは、相手の同意なく一方的に契約を解除できます。

債務不履行とは、支払い期日を過ぎても債務の履行がない場合をはじめ、支払いができない状態に陥ってしまった場合、また債務の一部の履行はしたが完全な履行ではない場合などが該当します。

一定の場合には無催告解除が可能

民法第542条では、相手に債務の履行の催告をすることなく一方的に契約を解除できるケースが定められています。

(催告によらない解除)

第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

 債務の全部の履行が不能であるとき。

 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。

 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。

 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

引用:民法|e-Gov法令検索

この規定によると、相手側で債務の全部の履行が不能な場合などは、履行の催告をすることなくすぐに解除することができます。

特別法でクーリングオフが認められているとき

訪問販売などのBtoCのサービスに関しては、割賦販売法や特定商取引法などに基づきクーリングオフ制度が適用されます。しかしBtoBのサービス、つまり法人同士の契約に関しては、基本的にクーリングオフの制度は適用外となっています。この点には注意が必要です。

相手が一方的に契約解除した!損害賠償の請求は可能?

契約を解除する際には、それなりの理由が存在するものです。そのため、まずは両者で話し合った上で妥協点や調整点を見つけることが大切です。しかし、合意に至らなかった場合には、相手が一方的に契約を解除してしまう可能性が考えられます。

ただ契約を解除するだけならまだしも、中には解除によって経済的な損害を受けてしまうケースもあるでしょう。この場合、相手に対して損害賠償を請求することは可能なのでしょうか?

契約解除すると契約の効力は消滅

契約を解除すると、契約の効力は消滅します。そのため、契約書の中で相手がいくらを支払うという旨が記載されていたとしても、契約が解除された時点で、そこに記載されている内容は効力を持たなくなってしまいます。

損害が発生していれば損害賠償請求は可能

契約が効力を失っても、たとえば、相手からの一方的な契約解除によって自社に経済的な損失が発生した場合にまで損害賠償請求が認められないとすると、それは不合理です。そのため、このようなケースでは損害賠償請求を相手に対して行うことは可能です。

一方的な契約解除によって発生した損害賠償の請求方法

一方的な契約解除によって経済的な損失が発生した場合、相手に対して損害賠償請求ができます。どのような方法で請求すればよいのでしょうか?

まずは相手へ直接請求

損害賠償請求をする際、まずは相手へ直接請求することが考えられます。このとき、口頭で請求するのではなく、内容証明郵便のような証明力のある書面を使いましょう。書面の作成に関しては、今後調停や裁判になったときのことを想定し、弁護士へ依頼するのがおすすめです。

相手が請求に応じなければ民事調停

相手へ直接請求しても、必ずしも相手が応じるとは限りません。もし相手が応じない場合には、裁判所へ民事調停の申し立てをすることが考えられます。民事調停では、当事者とは別の調停委員という第三者が入ることで、お互いの言い分をヒアリングしながら話し合いを進めることになります。

訴訟を提起することも

相手に直接請求してもそれに応じない可能性は十分あります。また、複数回の民事調停を経ても、合意に到達できるとは限りません。調停が不成立となる場合や、調停委員が歩み寄りは難しいと判断する場合も考えられます。このような場合には、裁判所に対して訴訟の申し立てをすることができます。

調停では最終的な決着をつけることはできない可能性があります。しかし裁判となれば、最終的には執行力のある判決書が出されるので、両者の関係をはっきりさせることができます。

 

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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