電子契約を学ぶ

2021年6月17日

電子契約に関する法律を総まとめ│定義や有効性の根拠は?

最近はテレワークの増加もあって、電子契約をする機会が増えてきました。電子契約書では、文書を郵送してもらい、記名押印して返送するという手間がなくなり、内容をパソコン等で確認して署名するだけなので、非常にスピーディーに、そして簡単に手続ができるようになりました。

一方で、電子契約の内容について、法律上の有効性への懸念から導入していない、あるいは、裁判になった場合の処理がわからず不安があるといった声も聞かれます。

そこで、今回は電子契約に関する法律の概要や自治体での取り組みなどについて紹介するとともに、電子契約の有効性や民事裁判での電子書面の取り扱いなどについて解説します。

電子契約の定義や方法に関する主な法律

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。この法律の趣旨は、情報化社会に対応し、納税者の国税関係帳簿書類の保存にかかる負担を軽減するためであり、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等について、所得税法、法人税法その他の国税に関する法律の特例を定めるものです。

▶参考:国税庁 電子帳簿保存法関係

これまで所得税法により、契約書、注文書、領収書等の書類は、原則として7年間保存しなければなりませんでした。また、法人税法では、これらの書類だけでなく、帳簿書類も7年間保存しなければならないと定められています。紙で保存しておくためにはスペースを確保しなければならず大変です。そこで、電子帳簿保存法は、これらの書類について電磁的記録による方法によって保存することが認めています。

 

ただ、これらの書類を電磁的記録として保存する場合には、税務署への事前申請が必要です。細かく規定された要件をクリアしなければ電磁的記録を導入できないため、導入するにはかなりハードルが高いかもしれません。しかしながら、この法律は改正のたびに要件が緩和されているので、今後はより利用しやすいものになると期待できます。

 

電子署名法

電子署名法は、正式には「電子署名及び認証業務に関する法律」といい、電子署名の円滑な利用の確保、情報の電磁的方式による流通、情報処理の促進を図ることなどを目的としています。

▶参考:法務省 電子署名法の概要について

この法律では、第3条で電磁的記録の真正な成立の推定が規定され、第4条から第16条で特定認証業務の認定について、第17条から第32条では指定調査機関について定められており、第33条から第47条が雑則と罰則になっています。

 

利用者にとって特に重要なのは、第3条で、電子書面について電子署名があるものは真正な成立が推定されると定められている点です。この規定があることで、安心して電子契約を導入できるのです。

 

IT書面一括法

IT書面一括法は、正式には「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といいます。金融庁、総務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が所管する法令について、書面の交付に代えて、電子メールなどの電子的な手段を認めるための法律です。単独で機能する法律ではなく、各法令を一括して修正するものです。

▶関連サイト:首相官邸(IT書面一括法)

e-文書法

e-文書法は、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」を合わせた通称です。

▶参考:e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定

電子帳簿保存法が国税関係の書類に限定しているのに対し、e-文書法は、税務関係書類だけでなく、議事録など文書全般の電磁的記録が対象です。

 

電子契約の有効性に関わる主な法律

民法

民法第522条第1項は、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」と規定しています。これは、契約の成立時期について特に定めがない場合には、当事者の意思が合致したときに契約が成立することを定めたものです。

 

そして、同条第2項では、「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」と規定しています。これは、契約の成立に書面の作成は必須ではなく、方式も自由に決めてよいとするものです。「契約は、書面に記名押印や署名をして初めて成立する」と勘違いされがちですが、契約の成立は、口頭の意思表示だけで足りるのです。

 

ただ、「特別の定めがある場合を除き」とあるように、法令によって書面が求められている場合には、書面作成が契約の成立条件になります。たとえば、保証契約、定期借地権契約などは書面によらなければ契約の効力が認められません。ただし、保証契約については、民法第446条第2項で「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」としているものの、続く第3項に「電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」とあることから、書面だけでなく電子契約でも契約は有効です。

 

一方で、贈与契約は口頭での契約も認められますが、書面でない場合には当事者は解除することができます。保証契約では、既述のとおり書面での契約が必須であるので、電子契約では解除が認められる可能性があります。

 

その他、訪問販売などのクーリングオフについては、事業者に契約内容を明らかにする書面の交付義務が課されており、書面を交付しなければクーリングオフ期間が進行しません。消費者もクーリングオフするには書面で行う必要があります。

 

民事訴訟法

特別の法令の定めがある場合を除き、契約は書面がなくても有効に成立すると説明しましたが、契約が有効に成立していることと、裁判において証拠として認められるかは別の問題です。民事訴訟法においては、契約について紛争が生じた場合、証拠によって契約の有効性を確定していく必要があります。

 

民事訴訟法第228条第1項では、「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」と定めています。これは、文書の成立が真正であることを証明しなければ、その証拠能力は認められないと規定した条文です。しかし、実際のところ、成立が真正であることを証明することは容易ではありません。

 

そこで、民事訴訟法第228条第4項では、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という推定規定を置いています。つまり、私文書において署名又は押印があれば、反証がない限り、その文書は真正に成立しているものとして扱われるのです。

 

それでは、電子書面の場合はどうなるのでしょうか。民事訴訟法第231条は、書証に関する規定について「図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。」としています。電子書面についても、この規定により文書に準ずるものとして扱われます。

 

したがって、単なる電子メールであっても、その内容の信憑性が高い場合には、証拠として認められます。民事訴訟法では、「自由心証主義」といって、裁判所は裁判官の自由な判断によって事実認定・証拠評価を行うべきとされています(第247条)。そのため、単なる電子メールであっても、弁論の全趣旨の斟酌として、事実認定の判断の基礎になり得るのです。

 

また、電子署名法第3条は、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています。

 

これは、民事訴訟法第228条第4項と同じ推定規定であり、電子書面であっても、本人が署名しているものは、反証がない限り、真正に成立しているものとして扱われるということなります。単なる電子メールに比べ、電子署名がある電子文書は、真正に成立した文書として証拠価値が高いものと扱われます。

電子契約の費用に関わる主な法律

契約書を紙で作成した場合の欠点のひとつは、契約内容と契約金額に応じて印紙税が発生することです。この費用は契約当事者が負担することになります。印紙税法では、条文上「電子契約は除く」と規定されているわけではありませんが、政府の見解として電子契約の場合には印紙税は課されないとされており、電子契約では印紙税は発生しません。

▶参考:電子契約により印紙税が不要になる理由【政府見解】

 

したがって、高額の契約の場合、電子契約にすることで印紙税を節約できます。また、法令上の費用ではありませんが、電子契約であれば、紙代、印刷費、郵送費、交通費などもかかりません。

 

紙の文書のふたつめの欠点は、保管に場所をとるということです。大企業などでは、文書保管のための書庫やスペースを設けている場合もあります。さらに、大量の紙の文書の中から必要とする文書を探し出すのは一苦労ですが、電子契約であれば、パソコンで簡単に検索できます。また、外部からもサーバーにアクセスできるため、テレワークでも業務に支障が出ません。

 

ただし、通常業務で発生するパソコンの電気代、インターネット通信費に加えて、電子契約のためのシステム利用料が別途必要になります。このシステム利用料と、印紙税や郵送費などのコストを比較して、導入するかどうかを決めるというのも一つの判断方法です。

電子契約関連の法律・法令改正に即対応する「電子印鑑GMOサイン」

地方自治体の契約の締結について定めた、地方自治法第234条第5項では、「普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、(略)総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、確定しないものとする。」と規定されています。

 

これを受けて、地方自治法施行規則第12条の4の2第2項では、特別な電子証明書が必要とされていました。しかし、2021年1月の改正で同項が削除されたことによって、一般的な電子証明書が利用可能になり、地方自治体との契約も電子契約が簡単にできるようになりました。

 

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社は、東京都と福井県との間で「電子印鑑GMOサイン」を活用した実証実験を開始することで合意しています。この実証実験で有効性が確認されれば、地方自治体との取引でも電子契約が可能になり、印鑑のために出社しなければならないという「押印出社」の必要がなくなります。

 

この実証実験には、既に26の自治体が参加しており、2021年4月には、自治体として初めて新潟県三条市で電子契約サービスが正式に開始されました。「電子印鑑GMOサイン」の導入により、郵送費や印刷費の削減ができ、迅速な行政サービスの提供が期待できます。

▶参考:電子印鑑GMOサイン|官公庁・自治体への導入実績について

 

このように行政機関でも着実に契約書類の電子化は進んでいます。行政がデジタル化に対応するようになれば、民間企業もデジタル化を求められます。もし、電子化が遅れているという企業があれば、早めの電子化対応をおすすめします。「電子印鑑GMOサイン」は、文書をアップロードして、署名者情報を入力すると、署名依頼のメールが送付され、メールを受け取った人はそのURLから文書を確認し、署名をするだけという非常に簡単なシステムです。

 

電子署名ではセキュリティも重要になりますが、「電子印鑑GMOサイン」は、世界で2,500万枚以上の発行実績があるGlobalSignの発行システムと直接連携しているため、安心して取引していただけます。また、電子証明書は、アドビの承認済み信頼リスト(AATL:Adobe Approved Trust List)に適合したものです。セキュリティのための暗号化も万全を期しています。

まとめ

今回は、「電子契約に関する法律を総まとめ」と題して、電子契約に関する主な法律、電子契約の有効性に関わる主な法律、電子契約の費用に関わる主な法律について解説してきました。

 

電子契約であっても契約の有効性は認められ、裁判においても証拠として電子契約書を利用できます。また、ペーパーレス化に向けて法令も次々改正されており、使いやすいものになってきています。東京都と福井県では、「電子印鑑GMOサイン」の実証実験が行われるなど、地方自治体での取り組みも進んできています。

 

行政手続の電子化は遅れているところもありますが、デジタル庁の創設など、電子化の流れは進むことはあっても後退することはありません。事業者間の契約においても積極的に電子化を進めていくことが求められます。これを機会に「電子印鑑GMOサイン」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

電子印鑑GMOサインの特長・選ばれる理由について

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