仕事や取引の際に、自社が持つ大切な情報、いわゆる秘密情報を相手方に開示する機会は多々あります。秘密情報を開示する場合は、さまざまなリスクを防止するためにも、秘密保持契約を締結することが推奨されています。
ここで一つの疑問が浮かびます。一体、秘密保持契約の契約期間はどのくらいの期間を目安に設定すれば良いのかという点です。3年でしょうか?5年でしょうか?はたまた永久とすれば良いのでしょうか?
そこで本記事では、秘密保持契約の標準的な期間について、有効期限や自動更新、存続条項(残存条項)に触れながら解説します。業務上、機密情報を取り扱う機会の多い方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
秘密保持契約とは?
秘密保持契約とは、自社が抱える顧客リストや財務状況・開発中の製品といった極めて重要な情報、いわゆる秘密情報を取引の相手方に開示する場合に締結する契約です。周囲への不要な開示を禁止することをその内容としています。
NDA(Non-Disclosure Agreement)とも呼ばれるこの契約は、ビジネスシーンで交わされる機会が多く、秘密情報を開示して仕事にあたる場合に、その情報が外部へ漏洩することを防ぐために締結されます。
仕事の内容によっては、どちらか一方、もしくは両方が秘密情報を開示する場合があり、その際、秘密情報の取り扱いには気をつけなければなりません。双方が安心して取引を進めるためにも、締結が推奨されます。
秘密保持契約が重要な理由
秘密保持契約を締結することで、契約に基づき秘密情報の流出を防げます。秘密情報には、その会社の経営を左右する重大な情報が含まれているケースがほとんどであるため、万が一流出してしまうと、会社の信用が失墜したり多大な損害を与えたりしかねません。
また、取引を進めていくうえで新たに特許申請できるような製品や技術を開発できたとしても、秘密保持契約を締結していなければ外部へ流出してしまい、特許申請の資格が取り下げられてしまう恐れもあります。これではせっかくのビジネスチャンスを逃してしまいます。自社が被るあらゆるリスクを回避するためにも、秘密保持契約の締結は非常に重要なのです。
秘密保持契約の有効期限
秘密保持契約自体には、明確な有効期限は定まっていません。そのため、契約相手と協議のうえ、秘密情報をどれだけの期間、適切に保持するのかを決める必要があります。
秘密保持契約に有効期限を定める理由
秘密保持契約に有効期限を定めておかなければ、双方の認識齟齬による情報漏洩が発生してしまう恐れがあります。たとえば、自社側が思っていた期間よりも早く、相手側は契約期間が切れたと勘違いする可能性も大いにあり得ます。取引が終了した時点で、秘密保持契約も解消されたと考えてしまうケースがあるからです。
取引が終了してからも一定期間秘密情報を管理しておいてもらいたいならば、明確な有効期限を契約時に定めておかなければなりません。いつの間にか秘密情報が漏洩しており、多大な損害を被ってしまうケースも実在します。
契約解除後も有効な存続条項
秘密保持契約における存続条項(残存条項)とは、秘密保持契約自体の効力は取引完了とあわせて終了しても、秘密保持契約時に定めた秘密情報管理義務などの一部の効力をそのまま存続させる決まりです。この存続条項を作っておくことで、引き続き、相手方に秘密情報を管理してもらえるようになります。適切な有効期限と条項を設定して、不用意な情報漏洩のリスクを回避しましょう。
秘密保持契約の期間は何年に設定すべき?
秘密保持契約期間を何年とするかは、提供する秘密情報の性質によって目安が変わってきます。たとえば、技術情報の場合は2~5年が目安です。しかし、たとえこの目安よりも長かったり短かったりしても、両者の合意があれば基本的に問題はありません。
なかには契約期間を1年と定めておき、毎年自動更新するといったケースも存在します。秘密情報を含め、いかなる情報も時間の経過とともに価値が下がり、陳腐化する傾向にあります。そのため、1年ごとに情報の価値を見直して、今後も継続して秘密情報を保護してもらうべきかを判断する方法です。
永久とするのは望ましくない
秘密保持契約の有効期間の上限についてはとくに法で定められていないため、有効期間を永久的に設定することも可能です。自社の秘密情報を開示する以上、相手方には永久に保持しておいてもらいたいと考える方がいるのも当然です。
しかしながら、期間を永久に設定するのは望ましくありません。理由は前述した情報の陳腐化はもちろんのこと、情報を受領する側に日々の管理コストや漏洩時のリスクがずっとついて回るからです。たとえ、情報提供側が期間を永久にしてほしいと依頼したとしても、コストやリスクを考えれば、了承されるケースは非常に少ないでしょう。情勢や情報の価値次第で今後どうするかを柔軟に判断できるよう、1年ごとなどの期間を定めた自動更新がおすすめです。
なお、次の記事では秘密保持契約書の作成方法や注意点について詳しく解説しています。秘密保持契約書のひな型も紹介していますので、ぜひご覧ください。
秘密保持契約は電子契約も可能
秘密保持契約は紙での締結も可能ですが、現在では電子契約でも行われています。秘密保持契約に限った話ではありませんが、紙の契約書を作成する場合はお互いの捺印や郵送などで手間がかかるケースが多々あります。契約書を電子化できれば、時短による業務効率化はもちろん、電子データで管理できるため、紙のような紛失リスクもなく、書類の検索も容易になるでしょう。
タイムスタンプの付与や閲覧権限機能など、高いセキュリティ性を備えたサービスも多く、安心して電子契約を利用できます。電子契約を簡単に締結可能なサービスは数多く提供されているため、自社の運営状況や契約締結の頻度に応じて最適なサービスを選択しましょう。
まとめ:期間を定めて秘密情報をしっかり保護しよう
秘密保持契約は、自社にとって大切な秘密情報を適切に保護するためには欠かせない契約です。安心して取引先と仕事を進めていくためにも、守るべき情報は保護対象として管理しなければなりません。
契約を締結する際は、情報の種類や価値に応じて有効期間を適切に設定しましょう。今後の価値の変動が読めない情報である場合は、1年単位の自動更新としておくことで、相手方にも大きな負担はかかりません。適切な期間を考えて設定し、秘密情報をしっかりと保護しましょう。
また、秘密保持契約の締結には電子契約サービスの利用がおすすめです。ランニングコストはかかりますが、時短による業務効率化やペーパーレス化によるコスト削減、セキュリティ性の向上など、コスト以上のメリットがあります。最適なサービスを選定して導入しましょう。
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