働き方

2020年9月1日

2021年1月26日

秘密保持契約書(NDA)とは︖書き⽅のポイントと作成の流れ【ひな形付き】

よく⽬にする契約書のひとつに「秘密保持契約(機密保持契約書)」があります。しかし、どの秘密保持契約も内容はそんなに変わらないだろうと、フォーマットを流⽤したり、相⼿から渡された契約書をよく確認せずに署名捺印したりといった経験はありませんか︖この契約は会社を守るための重要な契約です。きちんと理解しないと⾃社にとって不利益な契約を締結してしまう可能性もあり注意が必要です。

秘密保持契約(NDA)の基礎知識

秘密保持契約書はその名が⽰すように、秘密の取り扱いについて定めた契約を書⾯にしたものをいいます。ではこの秘密保持契約書には⼀体どのような効⼒があるのでしょうか。 また、絶対に取り交わさなくてはならない契約なのでしょうか。

最初に、秘密保持契約の 基本を説明します。

秘密保持契約の基礎知識<

そもそも秘密保持契約とは︖

相⼿⽅から開⽰を受けて知り得た営業上または技術上、業務上の⼀切の秘密情報の⽬的外使⽤や、第三者に開⽰することを禁⽌する契約のことです。⼝頭でも契約は成⽴しますが、 秘密保持契約を書⾯に写したものを秘密保持契約書といい、NDA(Non-disclosure agreement)CA(Confidentiality Agreement)などとも呼ばれます。他社に業務委託を⾏う場合や M&A を⾏う場合、アイデアや技術情報などを共有する場合、個人情報を受け取るまたは共有する場合など、業務上、重要な情報をやむを得なく開⽰する必要がある際に結びます。

秘密保持契約書が必要な理由

秘密保持契約を締結することで、相⼿⽅に守秘義務(秘密保持義務)が発⽣し、秘密情報の漏洩リスクを軽減できます。これは契約書に取引先や顧客情報の流出や、ライバル企業への企業秘密漏洩が起こった場合に、相⼿⽅へ損害賠償を求めることを明⽰しており、相⼿の⾏動をけん制することができるからです。なお、情報漏洩のリスクから⾝を守るためには、なによりも早く、情報開⽰を⾏う前に締結する必要があることはいうまでもありません。

秘密保持契約書(NDA)のひな型と書き方のポイント

それでは秘密保持契約書にはどのような内容を記載すればいいのでしょうか。誰でも利用できる契約書のひな型をもとに、リスク回避のため秘密保持契約書に必ず明記しなければならないポイントを解説します。

秘密保持契約書のひな型と書き⽅のポイント<

秘密保持契約書のひな型

「ひな型」とは契約書の形式や様式を表す書面の見本で、日付や契約当事者欄(甲、乙などの関係者)が空欄になっていて、作成時の参考にできるテンプレートのことです。秘密保持契約書のひな型は経済産業省が例として公開しており、これを参考に作成すると便利です。

【出典】「秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上に向けて~」p163「第4 業務提携の検討における秘密保持契約書の例」(経済産業省)

秘密保持契約書の書き方のポイント

秘密情報の範囲を決める

秘密保持契約には「秘密情報」に該当しない例外規定を定め、秘密保持の対象となる「秘密情報」の範囲を具体的に記載します。秘密情報の範囲はとても重要な条項で、ここで秘密情報を明確にしておかなければ、知らないうちに秘密情報を漏えいしていた、などということも考えられるためです。例えば、秘密情報が含まれる文書には「秘密」と明記するなど、あらかじめどれが秘密情報かわかるようにしておく工夫や、条項への記載が重要です。また、秘密情報の例外(例外規定)も決めておきましょう。例えば「プレスリリースがあり公知となった情報」や「開示を受けたときに既に保有していた情報」などが例外規定にあたります。

目的外利用(目的外使用)を禁止する

開示者の承諾なしに秘密情報を目的外で利用してはならないことを明記します。このため、秘密保持契約書には取得した情報の「利用目的」を定義する必要があります。例えば「甲又は乙は、秘密情報を第○条に規定するもの以外の目的に使用してはならない。」などです。

複製の取り扱い

秘密情報の「複製」についても明記しておくことが望ましいでしょう。データで取り扱う情報はコピー、ダウンロードが容易に行えてしまいます。例えば「複製は本取引の目的を達するためにのみ許諾し、複製物は原本と同等の管理を行う」などと定めます。

契約の有効期間

秘密保持契約では契約期間と自動更新の有無も定める必要があります。「第〇条と第△条は、本契約終了後もなお□年間は有効とする」(存続条項について)といった条項を追加することで契約終了後の取り決めを行うのが一般的です。

秘密情報の返還、または廃棄

秘密保持契約に基づいて秘密情報の提供を受けた場合、契約終了後や契約解除後における受領済みの秘密情報の取り扱いについても定めます。例えば「情報を含む記録媒体や複製物を返還もしくは廃棄する」などと記載します。会社にとって流出が致命的なダメージとなる技術情報や個人情報など、特に重要な秘密情報である場合、その返還、廃棄方法についても定める場合があります。例えば「再生不能な形で廃棄、消去」などと記載します。

反社会的勢力の排除条項は必要性を検討する

近年、多くの契約書において、反社会勢力との関係がないことを示す条項(反社条項)を設けることが増えています。これは暴力団排除条例で、取引相手が反社会的勢力かどうかを確認する「努力義務」が定められていること、そして反社会的勢力との取引禁止が明記されていることが関係しています。
もちろん、反社会勢力との取引は企業にとって思いがけないトラブルや、著しい信用低下などに直結します。このようなリスクを減らすために条項を設けるのです。

しかし条項の作り方には工夫が必要です。反社条項は基本的に相手が反社会勢力と関係があった場合、契約を解除できるといった内容であるため、実際に相手が反社会勢力との関わりがあった場合「秘密保持契約を解除する=提供した秘密情報を開示されてしまう」ということにもなります。
このため、条項を設ける場合には、「情報の提供を受ける企業、役員などが、反社会勢力に属していないことを誓約する」といった文言にとどめ、仮に相手が反社会勢力との関わりがあったとしても、秘密保持契約そのものは解除させないよう配慮する必要があります。

漏洩時の対処方法や補償

契約違反行為が発生し秘密情報が漏洩した場合、どのような対応を行うか定めます。情報の漏洩は、情報の提供側が大きな損害を被るため、発覚した場合、即時情報開示者に報告することや、再発防止策の提出損害賠償請求所管の裁判所や裁判費用の負担などを明確にします。

秘密保持契約書(NDA)の作成と締結の流れ

実際に契約書を作成する場合、内容を会社間で確認し、場合によっては法律事務の専門家である弁護士に確認することも重要です。

ここでは秘密保持契約書を作成する流れを説明します。

秘密保持契約書の作成と締結の流れ

STEP1:契約書のひな型を確認

当事者間で協議して合意した内容を契約書に明記します。どちらかの会社が契約書のひな型を持っている場合、どちらをベースにするかも決めます。自社のひな型がある場合はそれを使えるように進めることも重要です。なぜなら、自社に不利な内容でないことがあらかじめ分かっているからです。

STEP2:双方の確認と、内容の合意

契約書のたたき台を基に当事者間で内容を確認します。もちろん自社に不利益な条項がないかの確認が非常に重要です。不利な条件や不利益となる懸念がある場合、弁護士にリーガルチェックを依頼しましょう。法的リスクや事業リスクを確認したうえで、内容の合意内容を契約書に明記します。

STEP3:契約書に署名、記名押印する

内容が決定したら、同じ内容の原本を締結する会社(人数)分作成します。それぞれに両社の代表者が署名(または記名押印)を行い当事者が1通ずつ原本を保管します。
ここで作成した複数の秘密保持契約書は、内容が同じものであり、また同じタイミングで締結したことを証明するため、「割印」を押します。秘密保持契約書が1枚で構成されていれば、署名や記名押印、契約日などがあるため、割印が不要となる場合もあります。なお、割印がなくても契約書そのものはそれぞれ独立して法的な効力を持ちますが、特に複数ページにまたがる場合には、トラブルを避けるためにもしっかりと割印を行っておきましょう。

もし秘密保持契約書が複数ページで構成される場合には、ページの一部を抜く、差し替えるといった改ざんを防ぐため、ページの見開き部分に「契印」を押します。しかし、多くのページがある場合は必要な契印が多くなるため、製本テープなどを使って製本するのが良いでしょう。製本している場合は全ての見開きページに契印せず、帯と表紙、または裏表紙に行うだけで済みます。

なお、秘密保持契約書が秘密保持に関する内容のみで構成されていれば原則として印紙税がかからないため、収入印紙を貼る必要はありません。また、情報を取り扱う関係者や従業員にも契約内容を共有し、理解したうえで運用することも重要です。

秘密保持契約書(NDA)についてのQ&A


ここでは実際に秘密保持契約書を作成する場面で疑問となる、よくある質問2つについて解説します。

●使用する印鑑は実印が望ましいでしょうか?
秘密保持契約書に押印する印鑑は、実印、角印どちらを使用してもその効力に違いはありません。このため、どちらを使うかは、社内の取り決めに従って判断しましょう。なお、相手方が先に押印している場合、相手と同じ格の印鑑を使用するのが望ましいと言えます。

●2ページ以上になる場合は両面印刷しても問題ないでしょうか?
契約書には片面印刷でなければならないといったルールは存在しません。そのため、両面印刷しても問題なく、むしろ紙の節約や保管スペースの削減といったメリットも得られます。しかし、相手によっては両面印刷がマナー違反とみなされるケースもあるため、事前に確認を取っておくと良いでしょう。
なお、将来的に秘密保持契約書などを電子化しようと考えているのであれば、両面印刷は避けた方が良いかもしれません。契約書をスキャナで取り込む際に、手間や確認作業が増えるからです。もし保管スペースや紙の削減といった効果を狙うのであれば、「電子印鑑GMOサイン」の利用がおすすめです。

まとめ:秘密保持契約書は会社や事業を守る重要なもの

秘密保持契約書は会社が開示する情報を守る大変重要なものです。提供した秘密情報が外部に漏れてしまうことはもちろんですが、自社が提供を受けた秘密情報を漏らしてしまった場合も、当然大きなトラブルになることが考えられます。そのため、秘密保持契約書には提供する/された情報の何が秘密情報にあたるか、その情報の利用目的をあらかじめ明確に定め、事前に確認しておくことが重要です。
また、情報漏洩のリスクから身を守るためには、なによりも早く契約を交わす必要がありますが、従来のような紙の契約書では、捺印や書類の取り交わしといった作業に時間がかかってしまいます。さらに郵送代や封筒代、印刷代といったコストも無視できません。こうした場合、「電子印鑑GMOサイン」を使うと便利です。

電子印鑑GMOサインでは電子印鑑が利用できるばかりか、メールやクラウド上での書類の取り交わしが可能なため、郵送コストや印刷コストがなくなるだけでなく、スピーディな契約を実現できます。

「電子印鑑GMOサイン」とは?

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