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35条書面とは?ポイントや必要性、メリットを詳しく|宅建業法「重要事項説明(35条書面)」に必要な記載内容も合わせて解説

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不動産取引において宅地建物取引業法35条は、取引当事者が契約内容を理解し、契約するかどうかを判断するために不可欠な条項です。重要情報の提供や説明は消費者保護と適切な取引の要石となり、その重要性は計り知れません。

最新の法改正により、35条書面(重要事項説明書)の電磁的方法による交付が認められ、より効率的な業務が可能となりました。一方で、正確に改正内容を理解しておかなければ、宅地建物取引業法違反の危険性が高まります。宅地建物取引業法の違反は法的な制裁のみでなく、信頼性の低下や経済的損失をもたらす可能性があります。

本記事では、宅地建物取引業法35条の重要性や混同されやすい37条書面との違いなどを解説し、適切で円滑な不動産取引を進めるための知識を提供します。

目次

宅地建物取引業法35条の基本

宅地建物取引業法35条は、不動産取引における透明性と信頼性を確保するための基盤といえます。
不動産取引において、宅地建物取引業者が契約前に取引当事者に重要な情報を提供するための書面を交付し、説明する義務を規定しています。宅地建物取引業法の果たす役割や、混同されやすい37条との違いとともに35条の内容を解説します。

宅地建物取引業法とは

宅地建物取引業法は、不動産取引において信頼性と透明性を確保し、公正な取引環境を整えるための法律です。不動産市場における安定的な発展と消費者保護を目的とし、宅地建物取引業者が責務を果たし、適切な業務を行うことを規定しています。

過去には、不透明な情報提供や虚偽の説明により、消費者が被害を受ける事例がありました。
宅地建物取引業法は、不動産取引におけるトラブルや詐欺行為の防止、契約の公平性を確保するために寄与しています。

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宅地建物取引業法の改正

宅地建物取引業法は、変化する社会状況にあわせて改正が行われます。

改正は、市場の変化や新たな問題に対応するため、実際の取引やトラブル事例をもとに消費者が不当な取引に巻き込まれることの防止を目的として行われます。景品表示法の違反や虚偽の説明、重要事項説明や契約書面における問題などがあり、消費者保護の観点から改善され続けています。

宅地建物取引業法の改正は、消費者保護と公正な取引環境を確保し、不動産市場の健全な発展を支えています。

宅地建物取引業法35条と37条の違い

宅地建物取引業法35条と37条は混同されがちです。しかし、35条は契約前の重要事項説明37条は契約内容や条件などの契約書面について規定しており、不動産取引において異なる役割を果たします。

35条は、不動産取引に関わる重要な情報を契約前に説明し、取引当事者が正確な情報を持って取引ができるように設けられています。宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買、交換、賃貸において不動産の権利関係や権利制限、属性などの重要事項を書面に明確に記載し、説明する義務を負います。不動産取引は専門知識が必要な場合があり、消費者保護の観点から契約前に取引当事者が取引内容を理解していることが重要です。

37条の目的は、契約書面の作成や交付について規定し、適切な取引を保証することです。契約書面の交付先や説明方法などが定められ、具体的な契約条件を記載し、契約成立後のトラブルを防ぎます。

35条書面(重要事項説明書)のポイント

不動産取引における信頼性と透明性を担保するため、35条で規定されている重要事項説明と重要事項説明書の交付は重要です。
重要事項説明は、取引当事者が取引内容を正確に理解するために不可欠です。35条では、取引における重要な情報を書面に記載して提供することを義務付けています。

重要事項説明とは

重要事項説明は、不動産取引において取引当事者に対して重要な情報を適切に説明することです。

取引当事者が取引に関わる情報を把握することは、適切な判断を行うために必要です。不動産取引には複雑な法的・経済的要素が含まれ、専門知識を持たない取引当事者に適切な情報提供を義務付けることにより、消費者を保護します。

重要事項説明は、不動産の買主や借主に対して、売主や貸主となる宅地建物取引業者から、契約を締結する前に行います。宅地建物取引業者が説明を怠った場合、業務停止処分が科されることがあります。ただし、買主や借主自身が宅地建物取引業者である場合、重要事項説明は不要とされ35条書面の交付のみでよいと規定されています。

【参考】重要事項説明義務違反に対する監督処分 – 公益社団法人 全日本不動産協会

※宅地建物取引業者と不動産業者の違いとは

不動産業≠宅地建物取引業です。
不動産業は、不動産の売買、賃貸、管理などの一般的な不動産関連の業務を指します。

宅地建物取引業は、不動産の売買や賃貸借契約などの特定の取引に特化した業務です。主に、不動産の売買契約や賃貸契約の仲介や代理、契約書類の作成、重要事項説明などが該当します。
不動産業者は、広範囲で多様な不動産サービスを提供する一方、宅地建物取引業者は特定の不動産取引に焦点を当てた仲介業務を担います。

35条書面の概要と必要性

35条の主な目的は、契約前に取引に関する重要な情報を提供し、取引当事者が納得した状態で契約を締結することです。宅地建物取引業者が取引当事者に対して重要な情報を文書で交付することにより、情報格差をなくし消費者保護を図ります。

過去の事例では、口頭での説明が不十分だったために物件の実際の状態や契約内容を把握できなかったケースがあります。また、不適切な情報により被害を受けたケースがあり、重要情報を文書で提供することとされました。

35条書面には、不動産の権利関係、法令による制限、私道負担、公共サービスに関する情報などが含まれます。また、取引条件に関する事項も詳細に記載され、売買代金や賃料以外に授受される金額、契約解除条件、損害賠償の予定なども含まれます。

このように、35条書面は不動産取引において透明性と信頼性を確保し、トラブルを未然に防ぐために不可欠な文書です。

35条書面の記載内容・説明事項

35条書面に記載すべき内容や、説明事項の具体的な例を見てみましょう。
35条書面は不動産取引において極めて重要な文書であり、取引に関する次の項目について、契約前に説明しなければなりません。

・物件に関する権利関係

登記された権利の内容や私道に関する負担など、物件にかかる法的な情報が含まれます。

・物件の権利制限内容

物件にかかる権利制限について記載します。たとえば、定期借地権や高齢者居住法の適用がある場合などが該当します。

・物件の属性

飲用水や電気、ガスの供給状況、排水施設の状況、建物の形状や構造、瑕疵担保責任など、物件の特性に関する情報を明示します。

・取引条件

売買代金や賃料以外に授受される金額、契約解除条件、損害賠償額、契約期間、契約の更新に関する事項など、取引条件に関する詳細情報が含まれます。

・取引に際して宅地建物取引業者が講じる措置

都市計画法や建築基準法に基づく制限の概要や手付金や支払金の保全措置の概要など、宅地建物取引業が取るべき措置に関する情報を明確にします。

・区分所有建物の場合の追加事項

区分所有物に関する規約、共有部分の利用制限、耐震診断結果、専用使用権の規約、修繕積立金に関する規約、台所や浴室の整備状況、管理の委託先など、区分所有建物に関する詳細情報が該当します。

これらは取引に関する誤解やトラブルを予防するために極めて重要な情報です。

【参考】国土交通省 重要事項説明・書面交付制度の概要

35条書面の実務と改正に関する情報

不動産取引の実務において、宅地建物取引業法35条に関する改正が注目されています。
電磁的方法による交付が認められたことにより、取引手順の透明性と効率性が高まり、取引がより円滑に進むと考えられます。
実務と改正に関するポイントを解説します。

35条書面の交付と説明方法

35条書面は、適切なタイミングで取引当事者に交付し、説明を行わなければなりません。

宅地建物取引業者は、宅地建物取引士に説明を行わせる義務を負いますが、取引士は専任でなくても構いません。

また、買主や借主が宅地建物取引業者の場合、説明は省略可能ですが書面の交付は必須です。

説明は契約成立前に行われ、効果的に説明ができるのであれば、場所は問われません。

説明と書面の交付は、売買の場合は買主に、賃借の場合は借主に、交換の場合は両当事者対して行われます。書面には宅地建物取引士が記名し、宅地建物取引士証を提示したうえで説明を行います。

2022年5月施行の宅地建物取引業法の改正により、不動産取引における重要事項説明がオンラインでも可能となりました。インターネットの普及と社会の変化を受けて新たに導入されましたが、オンラインでの重要事項説明にはいくつか条件があります。

まず、双方が映像と音声を通じて効果的なコミュニケーションができる環境を確保します。
事前に重要事項説明書と関連書類を相手方に送付し、映像と音声の状況を確認し、説明が適切に行える状況を整えます。説明前に取引士証を提示し、相手方が明確に確認できるようにします。

【参考】国土交通省 重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル


【参考】

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35条書面の電磁的方法による交付とメリット

2022年5月施行の改正宅地建物取引業法により、宅地建物取引業者は売買や交換、貸借などの取引において、重要事項説明書を紙ではなく電磁的方法により相手方に提供できるようになりました。

具体的には、USBメモリや電子メール、Webページからダウンロードする方法などが電磁的方法に該当しますが、交付の際は次の要件を満たさなければなりません。

(1)電磁的方法による交付の前に、相手方からの承諾を得ること

提供方法やファイルの記録形式など、電磁的方法による提供に関して詳細を示し、相手方からの同意を得る必要があります。相手方からの承諾を得る方法は、電子メール、Webページ上の回答フォームなどが使用可能です。

(2)特定の基準を満たしていること

情報が書面として正しく出力できることや、電子署名などの使用により、情報が改変されていないことを確認できるなどの要件が含まれます。

電子化の進展により、情報の受け渡しは効率的かつスムーズになり、利便性が向上するでしょう。また、紙の使用量の削減によって環境への負荷も軽減されるため、持続可能な取引環境の構築にも貢献します。

【参考】重要事項説明の電磁的方法による提供、およびIT重説 – 公益社団法人 全日本不動産協会

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35条書面と37条書面の比較

宅地建物取引業法35条と37条の違いは前述のとおりですが、各書面の記載事項詳細と交付時期などを確認しましょう。

※〇は必須事項、△は定めがある場合は記載、×は記載しなくてもよい、を示します。

記載事項内容35条書面37条書面
代金・交換差金・借賃の額・支払時期・支払方法
移転登記の申請時期
物件の引渡時期
天災その他の不可抗力による損害の負担
瑕疵担保責任の内容
租税その他公課の負担
契約の解除
損害賠償額の予定、違約金
代金・交換差金以外に必要な金額とその目的
代金・交換差金に関する貸借のあっせん(住宅ローン)が不成立のときの措置
瑕疵担保責任の履行に関する保証保険契約その他の措置

35条書面は契約前の重要事項の説明であり、37条書面は具体的な契約条件に関する情報を明示します。そのため、37条書面では必須項目の他に、定めがあれば記載しなければならない項目が多いことがわかります。

35条書面37条書面
交付時期契約成立前契約締結時
書面化必須必須
相手方買主・借主売主・買主・貸主・借主
作成・交付不動産業者が作成・交付不動産業者が作成・交付
説明宅地建物取引士による説明が必要
※相手方が宅地建物取引業者のときは、説明の省略可
宅地建物取引士資格を持たない従業者でも可能
記名宅建取引士宅建取引士
宅建取引士証 提示義務必須請求があれば提示

どちらの書面も不動産取引において非常に重要ですが、交付時期、記載内容、説明者など詳細が異なります。

35条書面の電磁的交付は取引の透明性と利便性を向上させる

35条書面の交付と説明は、取引当事者にとって契約を締結するかどうかの判断基準となり、取引の透明性を確保するために不可欠です。2022年5月から施行されている改正宅地建物取引業法により、35条書面の電磁的方法による交付が導入され、今後の不動産取引は電子化がより一層進むと考えられます。

電磁的方法による交付や電子契約は、取引手順の効率化につながり利便性の向上が期待できます。一方で、適切に取り入れなければ、宅地建物取引業法違反を引き起こし、信頼の低下や法的処分を受ける危険性があります。変化に適応するため、組織内のプロセスやシステムを見直す必要もあるでしょう。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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