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中古マンションの購入を検討しているなら契約不適合責任について理解しよう!免責事項にも注意!

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中古マンションを購入した後に、水漏れや付帯設備の故障などが見つかることがあります。契約の内容と物件の状態が異なっている場合には、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できる可能性があります。

契約不適合責任に基づいて買主に認められている権利の種類や、その行使の仕方について十分理解し、万が一の時に適切な対応ができるようにしておきましょう。ここでは、契約不適合責任はどんなものなのかと、実際の契約でよく行われる免責について、詳しく解説します。

目次

中古マンションにありがちなトラブル

中古マンションを購入した後に、予想外のトラブルが起きることがあります。

騒音の問題

内見をして気に入った中古マンションを購入したものの、騒音の問題に悩まされる事例も少なくありません。

マンションの部屋の下にあるポンプ室から滝のような大きな音が昼も夜も聞こえてくるため、裁判にまで発展した事例もあります。この事例では、買主は騒音について知らされていなかったことについて売主の責任を追及し、結果として契約解除が認められました。

他にも、パンフレットには防音と遮音性に優れた構造になっていると説明されており、具体的な遮音等級も記載されていたのにもかかわらず、実際には遮音性能がなく騒音に悩まされたという例もあります。

建物の外部からの騒音が思っていたよりもひどかったというケースもあります。

ショッピングモールまで徒歩5分という利便性に惹かれて購入した事例では、土日・平日を通した車や人の多さからくる騒音でストレスを感じるようになりました。

また、マンションの近くに幹線道路があることを知っていたものの、内見の時には騒音はさほど気にならなかったケースで、実際に住んでみると深夜にパトカーや救急車の音がしょっちゅう聞こえて眠れなかったという事例もあります。

思い通りにリフォームができない

中古マンションを購入し、カーペット敷の部屋をフローリングにしようと思っていたのに、管理組合からリフォームを許可されなかったというケースがあります。

築年数の古いマンションの場合は、騒音トラブルを防止するため、フローリングへの張り替えを禁止しているところも少なくありません。フローリングへの張り替えが可能な場合でも、一定の遮音等級を条件としているマンションもあります。購入後にリフォームを諦める結果にならないように、予め管理組合の規約を確認するようにしましょう。

眺望の問題

中古マンションの購入に際し、住宅事業者から前方には高層の建物は建たないと言われていたのに、高層ビルが建って眺望が悪くなってしまったという事例があります。

また、広告に掲載されていた窓からのイメージと、実際の窓から見える景色がかけ離れている事例もあります。例えば、マンションの隣の墓地は住居からは見えないと言われていたのに実際には見えるといったケースです。

改正民法で使用されている契約不適合責任について

契約不適合責任とは、令和2年4月1日の民法改正により、旧民法の瑕疵担保責任に代わって用いられるようになった概念です。

契約不適合となるのは、目的物の数や品質、種類が契約の内容と異なっていた場合で、買主が売主に対して責任を追及できる効果があります。旧民法の瑕疵担保責任と比べると、契約不適合責任は買主の権利をいっそう保護する内容になっています。

契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

契約不適合責任瑕疵担保責任では、売主の責任を追及するための買主の権利に違いがあります。

契約不適合責任では、追完請求と代金減額請求、損害賠償請求、契約解除が認められています。一方、瑕疵担保責任で認められていたのは、損害賠償請求と契約解除だけでした。

損害賠償請求はどちらの場合もできます。瑕疵担保責任では、売主に過失がなくても請求可能でしたが、契約不適合責任では、売主に過失がある場合にのみ請求できるようになりました。

瑕疵担保責任では対象が特定物に限られていましたが、契約不適合責任では特定物だけでなく、不特定物を対象としたケースでも売主の責任を追及できるようになっています。

不特定物とは、物の個性ではなく種類、数量、品質に着目した取引対象のことです。例えば、大量生産された野球ボールは不特定物であり、同じ商品であれば他の野球ボールと交換しても問題は生じません。

一方、特定物は物の個性に着目した取引対象を指します。例えば、有名選手のホームランボールは、他の野球ボールとは明確に異なるため特定物と言えます。

中古マンションの取引で考えると、一般的な住設機器などは、故障しても交換すれば済むため不特定物です。中古マンションそのものなどの不動産は、買主が場所や物件の状態などを特定して購入するので、特定物になります。

中古マンションの売買日が令和2年4月1日以降であれば契約不適合責任が適用され、令和2年3月31日以前であれば瑕疵担保責任が適用されます。

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責任追及の対象となる4つの瑕疵

買主が売主に対して追及できる瑕疵には、物理的、心理的、環境的、法律的な瑕疵があります。

物理的瑕疵

物理的瑕疵は、対象の不動産の物理的な不具合を指します。たとえば、雨漏り、シロアリ被害、外壁のひび割れなどです。

心理的瑕疵

心理的瑕疵は、心理的に嫌悪感を与えるような状況です。たとえば、過去にそのマンションで自殺や殺人などがあったという場合です。

環境的瑕疵

環境的瑕疵は、対象物の周辺環境のことです。たとえば、マンションの周辺に火葬場や墓地、暴力団事務所、風俗店がある場合などです。振動や騒音、異臭なども、環境的瑕疵に含まれます。

法律的瑕疵

法律的瑕疵は、その物件が建築基準法や都市計画法、消防法に違反している場合など、法令により自由に使用できないことです。具体的には、容積率や建蔽率の違反、防災設備が古い、あるいは機能していないなどがあります。

契約不適合責任を追及するのに買主が取れる手段

買主が売主に対し、契約不適合責任を問うためには、定められた期間内に所定の手続きをしなければなりません

契約不適合について売主に通知

買主は、契約不適合に気づいた時から1年以内に、売主に対してその旨を通知する必要があります。1年以内に通知しなかった場合には、契約不適合責任に基づく権利を行使できなくなります。この通知が行われた日時に重要な意味があるため、日時を客観的に証明できる内容証明郵便などで通知書を郵送することがあります。

所定の期間内に権利を行使する

契約不適合について売主に通知をしたら、定められた期間内に権利を行使しなければなりません。それを過ぎると、責任追及できる権利が失われます。これについては、民法第166条の中で以下のように規定されています。

(債権等の消滅時効)

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

権利を行使することができることを知った時とは、買主が契約不適合に気づいた時です。権利を行使することができる時とは、物件の引き渡しの時です。この2つのうち、早い方が権利の消滅時効になります。仮に、引き渡しから10年間、契約不適合について気づかなかったとすると、時効が成立してしまうので、それ以降は責任の追及ができません。

契約不適合責任の免責について

契約不適合責任に関する規定は任意規定であるため、売主と買主の双方の合意が得られれば、契約不適合責任を免責する特約事項を契約書に盛り込むことができます。ただし、売主の立場によっては、免責できる範囲が制限されます。

売主が個人の場合の免責特約

売主が個人であれば、契約不適合責任の全部を免責することも可能です。中古物件で不具合が起こりやすい付帯設備についてのみ免責にするとか、契約不適合の責任期間を引き渡しから3カ月以内にすることもできます。

売主が宅建業者の場合の免責特約

売主が宅建業者で、買主が一般消費者の場合は、宅地建物取引業法による制限があります。宅建法第40条には、次のような規定があります。

(担保責任についての特約の制限)

第四十条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

 前項の規定に反する特約は、無効とする。

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176

宅地建物取引業法では、担保責任について特約を設ける場合は、引き渡しの日から2年以上でなければならないことになっています。つまり、物件引き渡し後の2年間は免責ができません。個人間の売買のように、責任期間を3カ月とはできないわけです。責任期間を2年未満としている特約は無効になります。

売主が事業者で買主が個人の場合の免責特約

売主が事業者で買主が個人の場合は、消費者契約法の適用対象となります。消費者契約法では、以下のように規定されています。

(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)

第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176

事業者は、損害賠償責任の全部を免責することは許されていません。

中古マンションによくある免責特約

中古マンションは、新築マンションよりも瑕疵がある可能性が高いため、免責特約条項が活用されることも多くなります。免責特約では、責任期間や保証範囲、保証の対象などを定め、責任の範囲を調整します。

責任期間の免責特約

民法第566条に定められた契約不適合の責任期間は、買主が不適合に気づいてから1年です。1年以内に通知しなければ、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除できません。

買主が気づいてから1年以内なので、引き渡してから何年も過ぎてから、契約不適合責任を問われることもあります。

こうしたことを避けるために、責任期間を引き渡しから一定の期間に制限する場合もあります。例えば、責任期間を引き渡し後3ヶ月とする特約を設定すると、引き渡し後3ヶ月を過ぎて不適合に気づいたとしても、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除はできません。

保証の範囲を限定している

契約不適合責任では、買主は追完請求と代金減額請求、契約解除、損害賠償請求ができることになっていますが、特約の中には保証範囲を追完請求に限定し、その手段を修補とするとする場合があります。このような特約を含めた契約を結ぶと、それ以外の請求ができなくなります。

保証の対象を限定している

契約不適合責任では、特定物だけでなく、不特定物も保証の対象になります。不特定物の中には住宅設備が含まれますが、中古マンションの場合、住宅設備に不具合や故障が起こりがちです。そのため、特約で設備については保証しないとする場合も多いです。

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中古マンション購入の際の確認事項

中古マンションの売買契約をするにあたっては、物件や設備の状況をまとめた物件状況報告書や付帯設備表といった文書を作成することが一般的です。契約後のトラブルを避けるためにも、これらの文書の内容をしっかりと確認するようにしましょう。また、契約書の特約条項も確認しておきましょう。

物件状況報告書を確認

物件状況報告書は、物件の状態を記載した文書です。この文書には、雨漏りやシロアリ被害、修繕やリフォームの履歴などの情報が含まれます。また、近隣の建築計画や電波障害、売買物件に影響を及ぼす可能性がある周辺施設などの有無についても書かれています。

免責特約がある場合は別として、物件状況報告書に書かれている内容と引き渡された物件の状態が異なる場合は、売主の契約不適合責任を追及できる可能性があります。

付帯設備表を確認

付帯設備表は、物件に設置されている設備とその状態について記載した文書です。記載されているのは、湯沸かし器や給湯器などの給湯関係、台所や浴室などの水回り関係の設備、冷暖房機や換気扇などの空調関係の設備、照明や建具、収納などに関する情報です。付帯設備表によって、設備の有無と故障や不具合の状態が確認できます。

付帯設備の保証範囲や保証期間に決まりはありませんが、保証期間を引き渡し後一定の期間に制限することがあります。例えば、保証期間を1週間とした場合には、物件引き渡しから1週間の間に、設備の状態が付帯設備表に記載されている状態と同じか確認する必要があります。不具合があれば動画などに記録して、速やかに通知しましょう。

特約条項を確認

契約書の中には、契約不適合責任の制限に関する特約条項が含まれていることがあります。例えば、付帯設備に関する一切の責任を免責するものや、責任期間を引き渡しから3ヶ月に制限するなどといったものがあります。免責に関する特約の有無、免責の範囲や対象、責任期間については契約前にしっかりと確認しておきましょう。

中古マンションの購入は慎重に

中古マンションは、新築マンションに比べて価格が安いのが魅力的です。また、価格の下落も緩やかなので、将来物件を売却する時までの資産価値の下落幅が小さい傾向があります。

ただし、中古マンションでは老朽化によるトラブルが起こる可能性があります。そのため、契約に契約不適合責任を免責する特約が組み込まれることも多いので、修理費用などを買主が負担することになるリスクもあります。中古マンションを購入するにあたっては、そのメリットとデメリットを十分に比較検討するようにしましょう。

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この記事を書いた人

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