
高橋
こちらは原則されません。ただ、雇用時の契約内容によって、「常時使用する従業員」に該当するケースもございます
例:法人 小売業 代表取締役1名・従業員8名(うちアルバイト3名)の場合 → 申請可能
※雇用しているアルバイトが正社員のようなフルタイムで働いている、雇用保険・社会保険に加入している、雇用時の契約書の内容 などにより、「常時使用する従業員」にカウントされる可能性があります
公募要項の表にシンプルに当てはまるのでしたら、迷われないかと思いますが、ご自身が経営されている法人等が適しているか不安な場合は、申請される前に商工会議所等に相談してみましょう。
小規模事業者持続化補助金の活用事例
ある支援先の経営者さまから昨年の梅雨明けに、以下のような相談を受けました。

経営者さま
高橋さん、50万円もらえる小規模事業者持続化補助金というのをインターネットでみました。そろそろ夏場が近いので、この事務所のクーラーを最新のものに取り替えたいのですが、できますよね?

高橋
厳密に言うと、その事務所が飲食店も兼ねていて、一般のお客さまも利用されているのであれば、採択される可能性がでてきますが、従業員のみが利用する事務所の場合は、審査が通るのは難しくなります。
この補助金に採択されるためには、事業計画書を読んだあとに、審査員の方に疑問をもたれないような、しっかりとしたストーリーを作る必要があります。例として、以下イラストでまとめました。

余談となりますが、審査員の方の多くは中小企業診断士です。彼らは論理的な思考を得意としているので、ストーリーが崩壊している計画書は採択されない可能性が高いと考えてください。
補助事業計画に関する採択・不採択の例
もうすこし掘り下げて、補助事業計画そのものについての採択・不採択の例を挙げてみます。
採択される例
・Webマーケティング会社にネット販売システムの構築を依頼した→販路開拓となるため可
・展示会へ出展し、ブース内の看板などの掲示物を翻訳会社に依頼した→どちらも販路開拓となるため可
・毎月の経理作業の負担を軽減するため、新たに経理システムを導入した→業務の効率化になるため可 ※販路開拓とあわせておこなうことが必要となります
不採択される例
・パソコンが古くなってきたので、新しいパソコンを購入→汎用性が高いため不可
・Webマーケティング会社にSEOやリスティングの依頼→効果が不明確のため不可
・お店で販売するケーキの原料となる小麦粉の仕入れ→販売目的となるので不可
もちろん、「採択される例」に挙げたものであっても、すべての採択が保証されているというものではないので、ご注意ください。
申し込みの流れ・方法
申込の流れは公募要項のページに以下のように図で解説されているので、詳細はそちらに譲りますが、ここでは特に注意いただきたい3点を取り上げて解説いたします。

引用元:日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金
申込時の注意点1|商工会議者側での書類作成が必要
この補助金は、申請者さま一人ですべての書類がそろうわけではなく、上図の②にあるとおり、商工会議所が作成した書類が必要となります。
そのため、締め切りに余裕をもって、準備を進めてください。
※①で、申請者さまが経営計画書・補助計画書(=様式2・3)を作成し、それを商工会議所の担当者のかたにチェックいただき、内容に問題なければ、②に移ります
申込時の注意点2|交付決定前の購入や発注
事業計画書等を作成している段階などで、事業の実施(機械装置の購入や外部委託先への発注など)をしてしまうと補助金の対象外となります。
そのため、必ず⑤の交付決定後に、購入や発注を進めてください。
申込時の注意点3|CD-R・USBメモリなどの準備
意外と忘れがちとなる「CD-R、USBメモリ」の事前購入です。
③で締切日までに日本商工会議所に作成した書類等を提出します。その際、データ形式でも作成した内容と同じものをUSBメモリなどに入れて、提出する必要があるためです。
提出間近にバタバタと家電量販店に行かれるかたがいらっしゃいますので、こちらは忘れずに準備いただければと思います。
なお、上図を見ておわかりのとおり、小規模事業者持続化補助金(通常の補助金等も同様)は原則、後払いとなりますので、この点もご注意ください。
審査が通りやすくなるためのポイント

経営者さま
といった質問について、補助金申請を検討している経営者さまからよくいただきます。

高橋
一言でお伝えすると「公募要項に書いてあることが全て」となります。
たとえ素晴らしい計画書等を書き上げたとしても、公募要項に即していない内容では、そもそも審査を受けることができません。
そのため、穴があくまで公募要項を熟読することが、審査に通るための近道となります。
なお、小規模事業者持続化補助金においては、審査にあたっての最低ラインとなる以下の4点を必ず守ってください。このうち一つでも欠けていると、その時点で失格となります。
実はこれも公募要項の最後のほうにちゃんと書いてあるのですが、見逃している方がほんとに多いです。
①必要な提出資料がすべて提出されていること
こちらはそのままです。「応募時提出書類」を見て、提出前にも必要書類がそろっているか再度確認をしましょう。
➁「2.補助対象者」「3.補助対象事業」の要件に合致すること
せっかく時間をかけてすばらしい内容の経営計画書等が完成しても、そもそも対象外だったのではもったいないです。
取り組む前に必ず申請者さま自身が対象者か、また、実施しようとしている事業が補助対象事業に適しているか否かの確認をしてください。
特に、今回解説をした「常時使用する従業員」はよく間違えがある箇所なので、注意してください。
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
申請者さまの能力や資金状況など実際の状況から乖離した内容の事業計画を書いてしまうと、遂行できる能力を有していないと判断されます。
例えば、「自社新製品のチラシを80億枚刷って、それを全世界に配布する」などです。
資金がそれほど潤沢にあり、この新製品を開発した申請者さまが全世界に通じる人脈をもっているのであれば、話は別になるかもしれませんが、「小規模事業者持続化補助金」においては、この内容では荒唐無稽なものになり、審査が通らない可能性が高いです。
※蛇足となりますが、こちらの例はこの小規模事業者持続化補助金の公募要項の最初に定義づけされている「地道な販路開拓等に取り組む費用」にも適していないことになります
④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること
ここで、「主体的に活動」と書かれているとおり、どこかの会社のいいなりで動いていたり、すべてを他社任せにしているなどはNGとなります。
また、「経営計画書」を書く際に、自己(自社)分析し、そこからご自身の強みを把握しているはずです。そのため、本事業がその強みを生かした取り組みであることが必要となります。
ただ、「公募要項」をみればいいとは言っても、「経営計画書」や「補助事業計画書」を作成するのは骨が折れるというかたは、士業の専門家への相談もご検討ください。
または、士業への依頼は金額が大きくなるので、そこは避けたいという方は、中小企業診断士が監修した質問に対して回答するだけで書類が作成できるツール「scalar」(小規模事業者持続化補助金(一般型)の利用は無料)をぜひお試しください。
最後に
最後となりますが、ある経営者さまがご自身で小規模事業者持続化補助金に挑戦されましたが、残念ながら不採択となりました。その経営者さまからいただいた質問をご紹介します。

経営者さま
前回採択されませんでしたが、もう一度挑戦したいと思います。再度申請することは可能ですか?

高橋
さらに言ってしまうと、申請期間内であれば、2度3度と複数回の再申請をすることができます。
もちろん不採択されたことには、なにか理由がありますので、しっかりと書類を見直すことが必要となります。
このように不採択されても再挑戦することができますし、国から烙印を押されて、これからの経営に不利なことが起きるわけではありません。
販路開拓や業務効率化を計画している経営者さまは、今回ご紹介した「小規模事業者持続化補助金」の申請をまずはご検討いただき、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでもみなさまの経営の助けになることができれば幸いです。
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