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約款とは?契約書との違いと、民法改正で定義された定型約款の内容

 

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保険に加入すると、「ご契約のしおり」などが交付されます。この中に、細かな字でびっしりと条文のようなものが記載されています。これは「約款」(やっかん)です。非常に長いので、ほとんどの人はこの内容を読むことはないと思います。

しかし、問題が生じた場合には、この約款の内容に基づいて処理されます。そのため、約款を確認していないがために、思わぬ不利益を被る可能性もあるでしょう。この記事では、約款とはどういうものなのか、民法改正によって約款はどのように変わったのかなどを解説します。

目次

約款(やっかん)とは?

約款とは、多数取引のためにあらかじめ作られた定型の契約条項です。契約を締結する場合、原則として、当事者は契約内容を自由に決定します。しかし、何千人、何万人と取引をする場合、個々に契約内容を決めていては、契約書を作成するのも管理するのも大変です。

そこで、不特定多数と大量に契約をする場合、あらかじめ定型の契約条項を決めておくことが認められています。契約時には主な内容だけを説明して、詳細については約款の内容について合意があったとみなすことにしています。

個別の契約を作り、管理するのが大変なため約款を作るわけですが、「約款」と「契約書」ではどのような違いがあるのでしょうか。「約款」も「契約書」も相手を拘束するという意味では全く同じです。「契約書」は、個別交渉で内容を自由に決められますが、当事者の合意なく内容を変更することは許されません。それに対し、「約款」は、内容について個別交渉はできず、決められたルールに縛られます。また、社会情勢の変化に伴って、当事者の合意を得ることなく、約款を作成した企業が事後的に約款の内容を変更することも可能です。

約款が多く用いられる業界には、主に保険、ガス、電気、運送、銀行などがあります。これらの業界は、多くの人が加入あるいは利用するもので、その契約内容を一人ひとり異なるものにすることはできないため約款が利用されています。具体的には、「生命保険約款」、「損害保険約款」、「一般ガス供給約款」、「電気供給約款」、「運送約款」、「普通預金規定」などがあります。

民法改正による約款の変更点

2020年4月1日に、改正民法が施行されました。民法改正の大きなポイントの一つに、約款に関する規定が整備されたことがあります。民法改正で追加された約款についての条文をわかりやすく説明します。

定型約款のみなし合意

旧民法では、約款について特に規定はありませんでした。民法の改正により、「定型約款」について新たな規定が設けられました。民法第548条の21項では、定型約款について、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう」と定義しています。

つまり、定型約款は、定型取引に用いられること、契約の内容とすることを目的として特定の者(一方当事者)により準備されていること、という2つの要件を満たす必要があるわけです。

ここで言う、定型取引とは、特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引のことを指します。つまり、相手方の個性に着目しない取引ということです。また、内容が画一的であることが双方にとって合理的なものでなければなりません。個々に交渉して決めるような内容ではなく、誰でも同じような内容の契約をするのが合理的であることが求められています。

そして、定型取引をした者は、以下に当てはまる場合、定型約款の個別条項についても合意したものとみなされます(第548条の2第1項)

1.定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき
2.定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき

定型約款には法的拘束力が認められますが、約款を作成する者が自分に有利な内容にしてしまう可能性があります。そのため、次項第548条の2第2項では、以下の場合、合意をしなかったものとみなされると規定しています。

 定型約款の条項が相手方の権利を制限、又は相手方の義務を加重し、
            かつ
 その定型取引の態様・実情・取引上の社会通念に照らして、条項が相手方の利益を一方的に害するもの

この規定の要件を満たす場合には、合意がなかったこととみなされるため、以上のような不当条項は、契約の内容にならないということです。

定型約款の表示義務

定型取引をする場合、契約締結前に必ずしも約款を提示することは求められていません。しかし、契約を締結する前に約款の内容を確認したいと思う人もいるのではないでしょうか。そこで、民法548条の31項では、「定型約款準備者は、(中略)相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない」と規定しています。

もし、相手方から請求があったにも関わらず約款の開示を拒んだ場合には、合意したことにはならず、約款は契約の内容になりません(同条第2項)。

定型約款の変更

定型取引は継続的に行われていくもので、年数が経過すると変更を要する事態も当然生じます。そのような場合に、契約者全てに変更することの同意を得ることは困難です。そこで、584条の4では、以下の場合、定型約款の変更について合意があったものとみなすと規定しています。

相手方の一般の利益に適合するとき

契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき

ただ、知らないうちに定款を変更されてしまっては契約者が不利益を被ることから、変更するときは、効力発生時期を定め、定型約款を変更する旨を周知しなければならないと規定しています(同条第2項)。もし、周知しない場合には、変更の効力は生じません(同条第3項)。

約款に関するペーパーレス化の状況

約款に触れる機会としては保険が最も多いと思いますが、保険約款は、冊子になるほど大量の文書が記載されています。かつては、保険証券や約款は書面で送付されるものでした。しかし、最近では保険の申し込みがWEB上で行えるようになってきたこともあり、保険証券や約款もペーパーレス化が進み、PDFなどで交付されることが多くなってきています。

約款であれば、PDFにするだけで済みますが、契約書は、原則として記名押印が必要です。そのため、契約を電子書面で行う場合には、電子的な署名が必要となります。

「電子印鑑GMOサイン」は、必要に応じて契約印タイプと実印タイプ(身元確認機能付き)の2種類の電子印鑑を使い分けができます。そのため、これまでのワークフローを変えずに電子契約を締結できます。

利用方法は、文書をアップロードして、電子メールを送付。内容を確認して署名するだけと非常に簡単です。導入さえしてしまえば誰でも迷わず使えるでしょう。電子印鑑GMOサインは、署名のセキュリティも万全なので安心して導入できます。

まとめ

今回は、民法改正によって新たに創設された、定型約款として認められる要件、定型約款の表示義務、定型約款の変更などについて解説してきました。約款は、日々の定型取引をする上で欠かせないものです。

一方で、権利を制限したり、義務を加重したりといったような不当な内容のものについては契約の内容とはなりません。また、事前に約款を見せるよう求めることができ、それに応じない場合には契約の内容にならないよう制限されています。

電子印鑑GMOサイン」は、非常に簡単に電子契約を締結できるサービスです。約款だけでなく、契約書についてもペーパーレス化を進めたいという場合には、とても有力なツールになります。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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