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2021年5月10日

2022年7月13日

基本契約書とは?個別契約との違いと、民法改正を踏まえた作成方法

ビジネスをしていく上で、取引業者との間で取引基本契約書を交わすことがあります。ただ、ざっと見るだけで深く考えもせず、相手の作成した取引基本契約書にサインをしているだけという会社も多くあると思います。

しかし、取引基本契約書も契約である以上、「後で知らなかった」ということは通用しません。重要事項が書かれていることもあるので、しっかりと確認して契約を締結する必要があります。

そこで、今回は、「基本契約書」とはどういうものなのか、また、「個別契約書」との違いや基本契約書と個別契約書のどちらの内容が優先されるのか、民法の改正なども含めて解説します。


基本契約書とは

基本契約書とは、継続的取引を行う取引の相手方と締結する契約書です。同じ相手方と繰り返し取引を行う場合、毎回取引について契約書を作成するのは大変なので、取引をする上で共通する事項についてあらかじめ「基本契約書」という形で締結しておくものです。

そうすることで、それ以降の取引は、共通事項でない個別の内容についてだけ契約すればよくなるため、手続きがより簡単になります。

ソフトウェアで例えると、基本OSである「Windows」が「基本契約書」で、アプリケーションである「Word」が「個別契約書」というイメージです。マウスでの操作や入出力といった基本操作を制御しているのがWindowsで、用途に応じてWordを使ったりExcelを使ったりするのとほぼ同じです。

一般的には「取引基本契約書」という名称が使われることが多いのですが、それ以外の名称が使われることもあります。名称にとらわれずに、継続的取引を行う場合の基本合意については、基本契約書と思って差し支えありません。

なお、契約書と似たもので、「覚書」や「念書」というものがあります。書面の名称は法的な解釈をする上で参考にはなりますが、実際の効力は内容で判断されます。覚書は、契約書の補足的な役割をする書面として利用されることが多いものです。ただ、基本合意を「覚書」で運用する場合もあるので、覚書だからと言って基本契約でないと判断すべきではありません。

一方で念書は、一方の当事者が他の当事者に提出するのが一般的な使われ方なので、念書を基本合意の書面として利用することはほぼないでしょう。ただ、これも絶対ということではないので、内容をしっかりと確認するようにしましょう。

取引時に基本契約書を作成すべき理由

基本契約書を作成すべき理由は、毎回、個別の契約をするのが煩雑で、当事者双方の手間を省く必要があるからです。基本契約書に毎回の共通事項を記載しておくことで、取引内容が安定し、継続的取引をすることが明確になるので、安心して取引できるというメリットがあります。

ただ、今はパソコンがあるので個別契約のひな型を作っておき、毎回同じものを利用すれば手間がかからないという場合もあります。

基本契約書は必ず作らなければならないというものではないため、作るかどうかは、当事者の意思次第です。そうは言っても、取引期間が長くなると、毎回個別契約していては契約書の束ができてしまいますので、基本契約書を作成した方が管理しやすいでしょう。

基本契約と個別契約の違い

これまでも説明してきたとおり、基本契約は継続的取引をする上での共通事項について定めたものです。それに対し、個別契約は、個々の取引の具体的内容について定めたものです。支払方法、支払期限、所有権の移転時期など、毎回同じ内容のものは基本契約で定め、発注する商品の種類や個数といったその都度発生する内容は個別契約で定めます。

個別契約の成立時期や基本契約との関係については、基本契約書で定めるのが一般的です。ただ、契約書の内容によりそれぞれの関係が異なります。たとえば、基本契約と矛盾する内容の個別契約がなされた場合に、どちらの契約が優先するかが問題になります。

その場合に重要なのが基本契約書の中に、個別契約と矛盾する場合にはどちらを優先するか定めて記載しておくことです。たとえば、「個別契約が本契約と矛盾する場合は、個別契約の内容を優先する」という具合です。

このように規定しておけば、個別契約で基本契約と矛盾する内容があったとしても個別契約が優先されます。個別契約を優先することのメリットは、柔軟な対応ができるということでしょう。たとえば、基本契約とは違う内容で一時的に取引したいという場合、スムーズに対応できます。逆に基本契約を優先するとしてしまうと、その都度基本契約を改定しなければならないので煩雑になります。

他方、個別契約を優先することのデメリットもあります。基本契約を定める場合、長期的な契約となるため慎重に検討がなされます。それに対して、個別契約は現場レベルで作成されるため、担当者の意向や判断で契約がなされることがあります。そのため、統一的な取り扱いという意味では基本契約を尊重すべきであり、基本契約を優先させるという会社もあります。

結局は、基本契約を優先させるか個別契約を優先させるかは会社の考え方次第であり、統一的処理を重視するのであれば、基本契約を優先し、柔軟な対応を優先するのであれば、個別契約を優先するようにするということです。

基本契約書の作成方法

基本契約書に限らず、契約書を作成する場合、必ず書かなければならないものは、「表題」、「日付」、「当事者の記名押印(もしくは署名)」です。表題がなければ、何の書類かわからなくなります。日付を書くのは、いつ作られた書類なのかを特定するためであり、当事者の記名押印は当事者の合意を明らかにするために必要です。

契約書は当事者双方がそれぞれ保管するため、2通作成されます。その2通が同じものであることを証明するため、2つの契約書にまたがるような形で「割印」を押印するのが慣習となっています。また、ページが複数になる場合には、差し替え等の改ざんを防止するため、ページの間に「契印」を押印するか、製本テープで閉じて製本テープと契約書の間に「契印」を押印します。

▶参考記事:契約書の割印とは?|契印などの違いについて解説

基本契約書の場合、表題は「取引基本契約書」または「売買基本契約書」となります。それ以外の表題でもかまいませんが、わかりやすい表題にしておくことが望ましいでしょう。商品売買の継続的取引を行う場合の具体的な項目としては、次のような項目を内容とするのが一般的です。

【基本契約書に記載すべき項目まとめ】

  1.   基本契約と個別契約の関係
  2.   個別契約の成立時期
  3.   個別契約で定めるべき事項
  4.   引渡しの方法
  5.   検査・検品
  6.   所有権の移転時期
  7.   危険負担
  8.   代金の支払方法
  9.   秘密保持
  10.   契約の解除
  11.   期限の利益の喪失
  12.   損害賠償
  13.   契約の有効期間
  14.   専属的合意管轄

基本契約を作成する上で注意すべき点は、法令と異なる定めをする場合、あまりにも一方の当事者に不利な内容にならないようにしなければなりません。あまりにも偏った規定の場合、公序良俗違反として無効とされる可能性があるからです。

なお、取引基本契約書は、継続的取引の基本となる契約書として課税文書の扱いになるので、4,000円の印紙を貼付する必要があります。収入印紙について、「収入印紙とは?|印紙税額の一覧」ページでも解説していますのでご参考ください。

民法改正による基本契約書への影響

瑕疵担保責任

前出の「基本契約書に記載すべき項目」には入れていませんが、基本契約書に「瑕疵担保責任」についての条項がある場合があります。瑕疵担保責任とは、売った商品に欠陥などがあった場合に売主が保証するというものです。改正民法では、「契約不適合責任」と表現が改められました。古い表現を使っているからと言って、直ちに無効になるわけではありませんが、改定の機会があれば修正しておいた方がよいでしょう。

また、契約不適合責任があった場合に、損害賠償請求と解除に加え、「追完請求権」(民法第562条)と「代金減額請求権」(民法第563条)が認められるようになりました。追完請求権を行使した場合の追完の方法は、特約によって変更することができるため、基本契約で規定できます。

※追完とは、法的に効力が未確定な行為に対して後から行為を有効にすることを意味します。

追完請求をしたにも関わらず、追完がないときは、代金減額請求をすることができます。代金減額の方法については民法に特に規定がなく、後で減額の内容について紛争になる可能性があることから、取引基本契約書に減額の方法について定めておくことが望まれます。

危険負担

上記の基本契約書に記載すべき項目にもありますが、「危険負担」について改正がありました。危険負担というのは、「当事者双方の責に帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったとき」の処理に関するルールです。

たとえば、商品に雷が落ちて使えなくなった場合、代金支払債務者である買主は、その代金を支払う必要があるのかという問題です。言い換えると、雷が落ちて商品が使えなくなくなることは誰も予想できず、誰の責任でもない中、売主と買主のどちらがその負担を負うのかを決めておきます。

改正前は債権者が負担する場合(債権者主義)と債務者が負担する場合(債務者主義)がありましたが、改正民法では全て債務者が負担することになりました(第536条第1項)。さらに危険負担の移転時期が「引渡しがあった時」と明文化されました(第567条第1項)。

上の例でいえば、商品についての引渡債権者である買主は、雷が落ちて使えなくなった商品の代金を支払う必要はないということです。ただし、買主に商品が引き渡された後に雷によって商品が使えなくなった場合、売主は責任を取らなくてもよいということになります。

基本契約では、売主(引渡債務者)の立場からすると危険を負担するは債権者としたいはずであり、買主(引渡債権者)の立場からすると、危険負担は債務者としたいはずです。危険負担については、自分の立場によって有利不利が変わってくるので、自分に不利になっていないかをしっかりと確認するようにしましょう。

基本契約書について法的観点から見直すことが重要

今回は、基本契約書とは何か、基本契約と個別契約の関係、基本契約の作成方法、民法改正による影響について解説しました。基本契約書は、継続的な取引をする場合に、毎回、個別の契約をするのは煩雑なため、基本的な事項についてあらかじめ定めておくというものです。

必ず作成しなければならないものでありませんが、統一的処理をし、手間を省くためには作成した方がよいものです。120年ぶりに民法が改正され、瑕疵担保責任や危険負担という重要な規定が変更されています。

新たに基本契約を作成するときはもちろん、既に基本契約書を締結している場合には、改正民法に適合しているかを点検する必要があります。これを機会に契約書の内容を確認することをおすすめします。

そして、契約書の見直しの際は、印紙税が不要で締結日や有効期限の管理もしやすい電子契約の導入もおすすめです。この機会に「電子印鑑GMOサイン」の導入をぜひご検討ください。

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