雇用契約書の作成や締結プロセスにおいて悩みはありませんか?今や従業員の採用や契約更新など、多くの業務が電子化されており、その一環として「電子契約」への関心が高まっています。しかし、実際に電子契約を導入する際には、その有効性や法律の制約について疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、電子契約のメリットとデメリット、そして実際に電子契約を導入する際に注意すべきポイントについて徹底解説します。また、雇用契約における電子契約の有効性や、電子契約サービス選定のポイントについても詳しく紹介します。さらに、電子契約を活用することで、従来の紙の契約書に比べてどのように業務効率化が図れるのか、そのコツもお伝えします。
雇用契約の締結プロセスをスムーズに進めたい担当者の方々にとって、電子契約は非常に魅力的な選択肢です。しかし、その導入には適切な知識と準備が必要となります。本記事を通じて、電子契約を活用した効率的な人事業務の実現を達成いただけると幸いです。
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目次
雇用契約は電子契約可能?
最近では、紙の契約書ではなく、電子契約によって契約を締結することも珍しくありません。
では、雇用契約を締結する際に取り交わす雇用契約書も電子化できるのでしょうか。
結論からいえば、雇用契約の電子化は可能です。
2019年の法改正によって労働条件通知書の電子化が可能になりました。
従って、雇用契約の締結のみならず、労働条件の通知もWeb上でできるようになったのです。
電子化は多くのメリットがありますが、注意すべき点もいくつかあります。
この記事では、雇用契約を電子化することのメリットや注意点、システムを選ぶ際の基準などついて詳しく解説します。
雇用契約の基礎知識
雇用契約とはいったいどのような契約なのでしょうか。
この機会に雇用契約について基礎的な知識を確認しておきましょう。
そもそも雇用契約とは?
そもそも雇用契約とは、労働者が労働を行い、雇用主がその労働の報酬を支払うことをお互いに約束するものです。
雇用契約と労働契約の違い
雇用契約と労働契約はよく似た言葉です。
両者に違いはあるのでしょうか。
雇用契約は民法で規定された雇用主と労働者との契約のことです。
労働契約は、労働基準法や労働契約法などで使用される言葉です。
厳密には労働者の定義の範囲などが異なる部分がありますが、ほとんど同じ意味です。
雇用契約の電子化の現状
電子契約のシェアは拡大傾向にあります。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アール(ITR)が2023年1月に行った「企業IT利活用動向調査2023」 では、電子契約サービスの利用企業は74.0%となっています。2021年度調査時の67.2%、2022年度の69.6%から年々増加傾向にあることが分かります。
出典元:JIPDEC 「企業IT利活用動向調査2023:電子契約の利用状況(2023年調査)」集計結果
雇用契約書の基礎知識
雇用契約書とはどのような契約書なのでしょうか。
本項では、雇用契約書の基礎知識について解説を行います。
雇用契約書とは?
雇用契約書とは民法623条に規定されており、雇用主と労働者とが雇用契約を結んだことの証明となる書類のことです。
労働条件についてのトラブルを防ぐために、雇用契約書を締結するのが一般的ですが、法律で契約書の交付が義務づけられているものではありません。
雇用契約書には、勤務時間、給与、休日など細かい労働条件が書かれており、雇用主と労働者がお互いに確認し、双方が署名捺印のうえ、保管することが通常です。
なお、雇用契約は雇用形態を問わず必要であり、アルバイト労働者の場合でも締結しなければなりません。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
労働条件通知書とは、雇用主から労働者に労働条件を明示するために交付する書類です。
記載内容は雇用契約書とほとんど変わらず、雇用主と労働者の間における労働条件を明らかにするものです。
労働条件通知書は、労働基準法で交付が義務づけられていますが、雇用契約書の交付は義務付けられていません。
また、労働条件通知書は、労働者が希望した場合に限り電子化が可能とされています。
従って、労働条件通知書を電子化するためには、労働者から事前に合意を得ておく必要があります。
なお、労働条件通知書は、かつては書面での交付が義務づけられていましたが、2019年4月から書面として印刷できるものであれば電子メールによる通知も可能になりました。
雇用契約を電子化するメリット
雇用契約を電子化するメリットはいくつかあります。
雇用主側と労働者側それぞれの立場から見てみましょう。
雇用主側のメリット
リモートワークで対応できる
雇用契約書を電子化することで、書類の作成や郵送のための出社が不要になります。
昨今のコロナ禍の影響で、リモートワークを導入する企業が増えてきました。
リモートワークで雇用契約を締結できるため、わざわざ出社する必要がありません。
業務の効率化
雇用契約を紙の契約書で締結している会社では、採用人数が多かったり、複数の部署が関係したりする場合の事務処理が煩雑になり、ミスも起きやすくなります。
しかし、雇用契約を電子化すれば、業務の可視化と効率化が可能となり、事務処理の効率化やミスの防止につながります。
契約管理の効率化
電子契約にすれば、データベースによる契約の一元管理が可能です。また、検索も容易となり、契約更新のタイミングも自動通知されるため安心して利用できます。
コスト削減
電子化により、印刷費や印紙代、郵送費、保管のためのコストなどが削減できます。
収納している書庫を減らすことで、オフィススペースを節約することも可能です。
コンプライアンス強化
紙の書類の場合、紛失、盗難、更新漏れなどのリスクがあります。
しかし、電子契約であればそのような心配はありません。アクセス権を設定することで、セキュリティ強化も可能です。
労働者側のメリット
契約業務のために出社する必要がない
従来は、契約条件などについての説明を受けた後、ハンコを押すためだけに出社しなければならないことも珍しくありませんでした。
電子契約であれば、契約業務のためだけに出社する必要もなく、人との接触も減ることから、コロナウィルスなどによる感染症を防止することにもつながります。
切手代などの負担が不要
電子契約なら、切手や封筒を購入する必要がなく、郵便局に行く手間もありません。
メールで送付された関連書類を自宅で印刷する必要もないため、印刷代も不要です。
スマートフォンで対応できる
電子契約はほぼスマートフォンで対応可能なため、いつでもどこでも手続きが可能です。
そのため、労働者は契約手続きに時間や費用をかけることなく、画面の操作に従うだけで簡単に契約を締結することができます。
雇用契約を電子化するデメリット
雇用契約は電子化するとメリットがありますが、いくつかのデメリットも生じます。
雇用主側と労働者側それぞれの立場から見てみましょう。
雇用主側のデメリット
サービス利用のための費用がかかる
雇用契約の電子化には電子契約サービスを利用するための費用が必要です。
電子契約は、有料のサービスを利用する場合であれば、初期費用や月額費用がかかります。
月額費用は定額制のものと従量制のものがあるため、送信件数がどれくらいになるのかを予想して費用を見積もっておく必要があります。
操作方法を知る必要がある
電子契約という新サービスを導入するためには、その操作方法を習得しなければなりません。
マニュアルを作成したり、サポート体制を整えたりする必要があります。
採用する労働者への説明や理解が必要
後々トラブルを招かないように、事前に採用する労働者に電子契約の締結方法や、証拠となる効力、契約の重要なポイントなどを事前に説明しておく必要があります。
労働者側のデメリット
スマートフォンやパソコンなどの端末が必要
電子契約は、スマートフォンやパソコンなどの端末を操作して行います。
場合によっては、これらの端末を所持しない人もいるかもしれません。
その場合は、例外として書面による契約にしてもらうなどの措置が必要です。
入力に手間がかかる場合もある
雇用契約を電子契約で行う場合には、通常、画面操作に従って入力をするだけですが、端末の操作に慣れている人ばかりではありません。
操作に慣れていない人の場合、どうしても手間がかかってしまいます。
誤送信や誤入力の恐れがある
電子契約の場合、スマートホンなどの端末で簡単に送受信可能です。
そのため、誤送信や誤入力をした場合、取り消したり訂正したりするのに、相当な手間と時間を費やすことになりかねません。
雇用契約を電子化する際の注意点
雇用契約を電子化するには、注意しなければならない点がいくつかあります。
どのような点に気をつけなければならないのでしょうか。
電子帳簿保存法に対応する
電子契約は、電子帳簿保存法に対応したものでなければなりません。
電子帳簿保存法は、1998年に施行された、帳簿や決算書、請求書などの国税関係帳簿や書類を、電子化して保存することを認めた法律です。
電子保存が認められるためには、真実性・見読性・検索性といった要件が求められます。
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改ざんを防げるようにしておく
雇用契約は、労働条件に関するものであるため、企業が締結する契約の中でも、紛争が起きやすいのが特徴です。
雇用契約書は、後の紛争を避けるためにも改ざんができない、原本性が保てるものである必要があります。
応募者や社内に周知しておく
雇用契約の電子化を、応募者や社内の労働者に周知して理解を得ておく必要があります。
誤操作などによる電子契約締結の不備が発生すればかえって契約締結に手間がかかってしまいます。
そのため、操作マニュアルや、電子契約の仕組みをわかりやすく説明した資料を作成するなどの対応も必要です。
また、既に契約を締結済みの労働者との雇用契約も電子化すれば、さらに効率化がはかれることから、既存の雇用契約書を電子化するための理解を得なければなりません。
中には、電子契約に抵抗を感じたり、新しい操作を覚えるのに否定的になったりする労働者も出てくることが考えられるため、事前の周知が大切となります。
電子化のメリットや意義を理解してもらうための社内説明会や研修などといった、社内の啓蒙活動の推進が欠かせません。
雇用契約の電子化で雇用主側が用意すべきもの
雇用契約を電子化する際に雇用主側が用意しなければならないものがあります。
本項では、雇用主側が用意する3つのものについて解説を行います。
① 電子証明書
電子証明書は、信頼できる第三者(認証局)が間違いなく本人であることを電子的に証明するもので、書面取引における印鑑証明書にあたるものです。
②電子署名を付与できるシステム
電子署名は、電子文書に添える電子的な署名であり、署名した本人の意思に基づき作成されたということの証明、および文書が改ざんされていない証拠を表すものです。
書面取引における印鑑やサインに該当するものです。
③認定タイムスタンプ
認定タイムスタンプとは、それが付与された時刻には間違いなくデータが存在しており、その時刻より後に改ざんされていないことを公的に証明するものです。
電子署名に加えて、認定タイムスタンプも併用できる環境を用意することで、より強い認証力を得ることができます。
なお、電子証明書、電子署名、タイムスタンプの3つがセットで組み合わされているクラウドシステム(電子契約サービス)があります。
簡単に雇用契約の電子化の用意をするためには、そのクラウドシステム(サービス)を1つ導入すればよいというわけです。
雇用契約を電子化する際のシステムを選ぶ基準
雇用契約を電子化する際には、導入するシステムを選ぶための基準があります。
それぞれの基準について順番に解説していきましょう。
1.相手方が電子契約サービスを作成する必要があるか
雇用契約の場合、契約相手は電子契約サービス作成に関する知識のない一般の人であることがほとんどであり、契約締結のためわざわざサービスを作成することは困難です。
そのため、自社のシステム内で電子署名を付与して相手方へ送信し、電子契約を行うことができる仕組みである必要があります。
2.料金プランは適切か
電子契約サービスには、毎月定額料金のプランと契約締結数に応じて料金がかかる従量課金プランとがあります。
契約締結数が多い企業の場合、低額料金プランの方がおすすめですし、契約締結数がそれほど多くない場合は、従量課金プランの方がおすすめです。
3.どんなセキュリティ機能が搭載されているか
電子契約サービスは自社のみならず他社との契約書も取り扱いますし、保管期間が決まっている書類もあります。
どのようなセキュリティ機能が搭載されているのかをチェックしておくことは大切です。
4.雇用契約締結に適した機能があるか
雇用契約は、多くの人と契約を締結する必要があります。
電子契約サービスに複数の文書を同時に送信できる機能などがあれば、大幅な業務の効率化が可能です。
電子印鑑GMOサインなら、標準機能として契約期間の異なる契約書を一度に複数人に送信できる差込文書一括送信機能があります。
また、電子印鑑GMOサインの電子署名フォームなら、フォームの専用URLをSNSやWebサイトで共有することによって、不特定多数の相手とも効率的に契約を締結が可能です。
5.電子契約の種類を選べるか
電子契約サービスには、本人認証の手段によって実印タイプ(当事者型)と契約印タイプ(立会人型)とに分けられます。
どちらの種類の電子契約サービスが妥当かを検討しておく必要があります。
6.取り扱っている書類が電子契約に対応しているか
電子契約サービスに対応できない書類も存在します。
特に、社内で管理することが多い人事・営業・会社・業務委託関係の書類は、電子契約にしても問題ないか検討しておきましょう。
7.作業の効率化がはかれるか
そのシステムを導入すれば、導入以前と比較してどれくらい業務の効率化がはかれるのかを比較検討して、事業計画などを策定する必要があります。
【対面契約とは?3つの特徴】
①紙の契約書と同様に、その場でサインが可能。メールアドレスが不要に!
②タブレットを使い目の前で契約を締結するため、契約相手先の準備がいらない
③フリーメールアドレスよりも本人性担保が高い状態で締結!
GMOサイン対面契約なら、
相手方のご状況に依存せず様々なシーンで電子契約が可能になります。
雇用契約の電子化には電子印鑑GMOサインがおすすめ
この記事では雇用契約の電子化について解説してきました。雇用契約を電子化するにあたって、電子印鑑GMOサインはおすすめの電子契約サービスです。
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>>当事者型・立会人型、2つの署名タイプについて詳しく解説
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さらに、電子署名フォームと呼ばれる機能を利用して、フォームの専用URLをSNSやWebサイトと共有すれば、不特定多数の相手とも効率的に契約締結ができます。
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