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今回は契約解除の意味や流れについて解説します。また、契約解除通知書の書き方や、民法改正における変更点など役に立つ知識も解説しますので、契約解除でお困りの方はぜひ参考にしてください。
契約解除は民法で定められた権利で、民法第540条以下で規定されています。
第四款 契約の解除
(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。
すなわち、当事者の一方が相手方に契約解除をしたいという意思を伝えさえすることで、その契約を解除し、最初から存在しなかったことになるということです。一方で、一旦契約解除の意思表示をした場合は撤回することができないので、注意が必要です。
「解除」と似た言葉で「解約」というものがあります。どちらも契約関係を終えたいという意思表示ですが、契約を「解除」する場合、その契約の効力が過去にさかのぼって消滅し、はじめからなかったこととなります(第545条)。一方で解約の場合は、その時点から将来に向かって契約の効力が失われると考えるのが一般的です。
例えば、携帯電話の通信キャリアをX社からY社に変更するためにX社の回線契約を終了させる場合など、これまでの利用料金をさかのぼって精算するわけではなく、今後の回線契約をやめたいという場合に私たちは解約と呼んでいます。
なお、民法は「解除」と「解約」を厳密に使い分けていないようです。第618条では賃貸借の「解約」と書いているにもかかわらず、第620条では「解除」と書かれています。
法定解約権とは、その名の通り「法律で定められている契約を解除できる権利」のことです。債権者は、債務不履行や担保責任が存在する場合は契約を解除することができます。例えば、が期日までに納品をしなかった場合や代金を支払わなかった場合(債務不履行)、納品した物に不具合があった場合(瑕疵担保責任)、が挙げられます。
約定解除権とは、法定解約権とは別に当事者間で定める解除権のことです。契約時に一定の事由がある場合に契約を解除できるという合意をし、その事由が認められる場合は、当事者は契約を解除することができるようになります。
前述のように、契約解除権には法定解除権と約定解除権の2種類があります。法定解除権は、債務が履行されなかった場合や納品物に瑕疵(欠点)があったケースで認められています。
他方、約定解除権は、一定の事由があったときに解除を認めるとあらかじめ定めておいた場合に限り認められます。一定の事由とは、例えば、相手方が債務の履行を拒否した場合、手形や小切手の不渡りを起こした場合、公序良俗に反する行為があった場合です。
契約解除の際、一方的に行うとトラブルに発展することもあります。まずは、契約書の内容や取引状況を確認し、契約解除ができるかどうか、契約解除することで起こり得る問題点などを検討することとなります。
また、いきなり解除を通知するのではなく、債務を履行するよう相手方に催告(第541条)をするのが通常です。それでも債務者が債務を履行しない場合や、契約の履行が完全に不可能な場合等は、契約を解除する旨を相手方に連絡し、契約解除通知書を作成して契約解除の意思表示を行うことができます(第542条)。
契約解除通知書には契約当事者、契約内容、契約締結日、解除理由、催告期間と期間終了後に契約解除する旨(催告が必要な場合)を記します。また、債務不履行であれば、その内容と根拠条文、約定による契約解除であれば、契約書のどの条項に基づく解約なのかを明記します。
最後に、2020年の民法改正によって契約解除に関して変更された点についてお伝えします。
まず、債務者の帰責事由なく債務不履行が生じた場合でも、債権者は契約解除できるようになりました。
帰責事由とはすなわち「責めに帰すべき事由」のことで、故意・過失または信義則(第1条2項)上これと同視すべき事由と解釈されています。これまでは債務者が意図的に債務を履行しない場合、不注意で債務を履行しない場合に限って契約解除が可能だったのですが、2020年の民法の改正では帰責性の要件が削除されました。
また、催告解除(第541条)の条文に、但し書きが付加されました。
改正民法における第541条は、
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」
引用:民法|e-Gov法令検索
と規定しています。
引き渡す目的物の数量がわずかに足りなかったなど、取るに足らない事由による解除は認められない旨が明文化されたのです。
さらに、無催告解除(第542条)ができる要件がより細かく定められました。
旧民法では無催告解除の要件として「定期行為の履行遅延」と「履行不能な場合」のみが定められていました。
改正民法においては、債務の履行が全部不能となった場合は、契約全部の無催告解除が可能です。また債務の一部が不能となった場合に契約の一部もしくは残存部分で契約の目的を達することができないときは、契約全部の無催告解除が可能になりました。
さらに、債務者が債務全部を履行拒否した場合は契約全部を、債務の一部の履行を拒絶している場合には契約の一部を解除することができます。債務者がその債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるときも無催告解除が可能です。
契約解除時にはさらなるトラブルが起きないよう、必要事項を記載しておくことが大切です。また、相手方に「書面を受け取っていない」と主張されることのないよう、書面の場合は配達の記録が残る形で相手方に送付しましょう。場合によっては内容証明郵便を活用することも考えましょう。
特に、今回で紹介した契約解除の際には、もう一度これまでの契約を見返すことが必要になります。契約書面や電子契約を適切に管理しておくことも重要です。電子契約であれば、契約の管理も効率化することができます。「電子印鑑GMOサイン」ならオンライン上でスムーズに契約が締結でき、業務効率化やコスト削減も可能です。検索性も高く、過去に作成した契約書もスピーディーに確認できます。
取引先との良好な関係を維持し、万が一トラブルが発生した際もスムーズに解決ができるよう、電子契約の導入を検討してみませんか。
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GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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