公開日:2022年7月13日
最終更新日:2022年8月25日
覚書を電子契約する際のポイント|紙との違い、メリット、注意点は?
覚書を交わすことが多い企業にとって、覚書の締結に関する業務は、ときに煩雑で、頭の痛くなる問題です。しかし、これらの問題も、覚書を電子契約に変えることで、一気に解決することができます。ここでは覚書の基本をおさらいするとともに、覚書を電子契約に変更した場合のメリット、そして変更時の注意点についてご紹介します。
目次
覚書とは?
覚書は、当事者双方が約束・合意した内容をまとめたメモや書面のことを指す、契約書のひとつです。例えば、「数項目のみで構成されていて、簡素な合意内容をまとめたもの」や「もともと締結していた契約(現契約)の、単価や数量のみを毎年決定する」といったものがあります。また、すでに締結済の内容が変更される場合に、最初から契約書を作り直すのではなく、更新が必要な一部分のみを書類にまとめたものも覚書と呼ばれます。
覚書の取り交わしの流れ、電子契約でどう変わる?
覚書は、名前が異なるだけで契約書と同じ意味を持つ書類です。そのため、締結も契約書と同じ手順を踏むことになります。紙の契約書・覚書で行う場合には、次のようになります。
- 契約内容の合意
- 契約書の作成・印刷
- 契約書の確認
- 契約書に署名・捺印(当事者A)
- 契約書の郵送
- 契約書の確認
- 契約書に署名・捺印(当事者B)
- 契約書の返送(一部)
- 覚書の内容の合意
- 覚書の作成・印刷
- 覚書の内容確認
- 覚書に署名・捺印(当事者A)
- 覚書の郵送
- 覚書の確認
- 覚書に署名・捺印(当事者B)
- 覚書の返送(一部)
これが電子契約に置き換わると、次のようになります。
- 契約内容の合意
- 契約書の作成
- 契約書の確認
- 契約書に電子署名(当事者A)
- 契約書を相手に送信
- 契約書の確認
- 契約書に電子署名(当事者B)
- 覚書の内容の合意
- 覚書の作成
- 覚書の内容確認
- 覚書に電子署名(当事者A)
- 覚書を相手に送信
- 覚書の確認
- 覚書に電子署名(当事者B)
このように、紙の契約書や覚書では、印刷や郵送という時間とコストが必要ですが、電子契約ではそれらが必要ないという特徴があります。
覚書を電子契約に変更するとどう変わる?
まず、印刷コストや郵送コスト、郵送におけるタイムラグがなくなります。また、紙の覚書の場合は出社をして受け取る必要もありますが電子契約の場合は出社も不要です。さらに大きなメリットとしては、印紙代の削減です。
覚書は、契約書と同じものですから、課税文書に該当するかも契約書と同じように判断されます。このため、課税文書であれば所定の金額の印紙を貼らなくてはなりません。
しかし、電子契約に変更すると印紙代は必要なくなるのです。電子契約において扱われる電子ファイルの契約書は、印紙税法上の課税文書にそもそも該当しないのです。
覚書を電子契約に変更するメリット
覚書を電子契約に変えた場合、どんなメリットがあるのか、あらためて確認してみましょう。
タイムラグがない
前述したように、郵送によるタイムラグがありません。これは契約書を最初から作成する手間を惜しんで、急いで契約したいがために使われる覚書にとっては大きなメリットです。条件交渉がギリギリまで行おうと思えば行えますし、金額や数量を急いで変更したいといった場面にも役立ちます。
印紙代の節約
先に解説した印紙代の節約にも直結します。電子契約では、電子ファイルの契約書がそもそも課税文書に該当しないため、印紙税がかからないのです。
覚書は数量や金額の変更といった場面で多く使われるため、覚書を頻繁に交わす企業も少なくないでしょう。こうした企業にとっては、印紙代がなくなるとことで大きなコスト削減が見込めます。
契約書の確認が容易
覚書はもとの契約内容(原契約)の内容を変更する役割で使われます。そのため、覚書を交わす場合や、覚書の内容を確認する場合、必然的に最初の契約書とともに確認する必要があります。なぜなら、覚書に書かれているのは、変更したい内容、すなわち契約書のごく一部分に過ぎないからです。
しかし、紙の契約書と覚書でやりとりしていると、保管場所から目的の契約書を探し出さなくてはなりません。もちろん、契約書が少なく、覚書も少なければ問題ないでしょう。ですが、多くの取引先と覚書を交わしているのであれば、そうはいきません。
しかし、電子契約なら、もとの契約書を探すことも容易です。パソコンでファイルを検索するように、契約書を検索すればよいためです。
覚書の電子契約で失敗しないためのポイント
電子契約に切り替える場合、失敗しないために注意しておきたいポイントがあります。ここでは3つのポイントを紹介します。
相手にも電子契約を導入してもらう必要がある
覚書を電子契約に変更する場合、当然取引相手にも電子契約に対応してもらう必要があります。ただ、電子契約への変更は相手に強制できないため、もし断られてしまった場合には、説得を続けるか、紙でのやりとりを続けるしかありません。そのため、すべての取引相手との契約や覚書を、一度に電子契約に変えることは、難しいともいえます。
電子契約システムの導入
電子契約では、紙の契約書と同様の証拠能力を持たせるため、法律によって要件が定められています。この要件を満たしていないと、契約内容でトラブルが起こったとき、せっかくの電子契約が証拠として使えない恐れがあります。電子契約が無効となる場合も考えられるのです。しかし、電子契約の導入は、自社で開発するには大きなコストと長い期間を必要とするため、現実的ではありません。電子契約の導入は、電子契約システムを導入するのが最も安全で近道といえます。
最新の契約書・覚書の管理
毎年契約金額だけを変更するような取引の場合、覚書は何回も締結されることになります。そのため、覚書は、もともとの契約書はもちろん、その後加えられたすべての覚書と一緒に保管し、一連の書類をひとつの契約書として確認しなくてはなりません。
電子契約では、電子ファイルで契約書・覚書を保管します。このとき、一連の覚書のうち、1つだけファイル名が異なっていて見つからない、変更点がわからない、といったことが起こらないように注意しましょう。また、ある時期に契約書そのものを作り直していたという場合も、ファイル名や検索の設定によっては、後から判断がつきにくいことがあるでしょう。
しかし、これは電子契約に限った問題ではありません。紙の契約書でも同様の問題は起こりえます。しかし、契約書の管理機能が備わっている電子契約システムを選ぶことで、電子契約の管理は紙より容易になるでしょう。
覚書は電子契約に変えるとより迅速に締結できる!
覚書は、もとの契約内容を変更するために交わされる、契約書のひとつです。例えば、毎年変わる金額や数量などを変更するために使われます。覚書を使うことで、金額や数量を変更するためだけに、契約書を最初から作らなくてもよく、迅速に契約締結できるのです。
覚書を電子契約に切り替えれば、郵送にかかる時間もなく、迅速な締結を実現できます。印紙代も必要ないため、大きなコスト削減が可能です。
そして、覚書を電子契約に変更するためには、電子契約システム「電子印鑑GMOサイン」の導入が最も近道でしょう。無料トライアルも可能なので、電子契約や電子ファイルの管理などを試せて安心です。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部