2020年9月23日
契約書の製本の正しい綴じ方|電子契約の場合は製本作業が不要
契約書には、「製本」されているのものと、されていないものがあります。実際にはどのようなケースで製本が必要になるのでしょうか。また、もし製本せずにすむとしたらどのような方法があるのでしょうか。
契約書を製本する必要がある場合についての説明と、製本の手順も紹介します。さらに、製本する必要がない上に、大きなコスト削減が期待できる契約書の作り方も合わせてご案内します。
目次
契約書の製本に関する基礎知識
ページが複数におよぶ契約書はステープラー(ホチキス)で留めるだけでなく、背表紙が用意されています。一般的にこうした加工を「製本」と呼びますが、これはどのような場合に必要なのでしょうか。ここでは契約書を製本する理由について、製本した場合と、しなかった場合それぞれを比較して解説します。
契約書の製本とは?
契約書が複数ページにわたる場合、ステープラーなどで留めるだけでなく、製本する必要があります。この場合の製本とは、書類の複数のページの片側をのり付け、またはステープラーなどでしっかりと留めて本のような状態にし、留めた側に製本テープなどを使用して固定する方法を指します。なお必ずしも製本テープを使う必要はなく、製本テープと違う用紙を、短冊状に切って使用しても問題ありません。こうしたとじ方は「袋とじ(袋綴じ)」や「紙とじ(紙綴じ)」とも呼ばれます。
契約書を製本する理由
・契約書の改ざんを防ぐため
契約書は、一部のページを抜いたり、加えたり、差し替えるといった改ざんがなく、全てのページが「ひとつの契約書である」ことを押印によって証明しています。このため、製本していない契約書の場合、すべての見開きに契印しておかないと、改ざんなどのトラブルにつながる恐れがあるのです。製本してあれば契約書の一部を差し替えようと試みた際、背表紙部分などが破損してしまうため、押印は袋とじ部分だけですむのです。
・押印回数を減らすため
契約書を製本する理由には、押印回数を減らすという目的があります。複数ページにおよぶ契約書を製本せずにステープラーなどで片側を留めた場合、連続性のある契約書であることを証明するため、ページの見開きに印鑑を半分ずつまたがるように押す「契印」を行う必要があります。契印は契約する当事者双方の印鑑が必要で、例えば当事者が3社(3者)の場合、すべての見開きごとに3つの契印が必要です。契約書のページが多ければ多いほど契印が増えることは言うまでもありません。なお、契約書のページ数が少なく両面印刷に収まるようであれば契印しなくても問題ありません。
・製本した場合
契約書を製本した場合は、見開きごとに契印する必要はなく、ページをまとめた箇所に貼った製本テープなどの上に押印するだけです。押印は、契約書の表紙側だけに押印すればよい場合と、表紙・裏表紙側の両方に押印する場合がありますが、いずれにせよ製本しない場合と比べて印鑑を使う回数は少なくてすみます。
契約書の製本方法
製本する際、市販の製本テープを使えば簡単にできるのでは?と思われがちですが、きちんと手順を踏まないと改ざん防止になりません。ここでは製本方法について、改ざん防止の観点から注意すべきポイントとともに紹介します。
紙で袋部分を作成して使用する方法
・STEP1:製本に使用する紙を用意する
袋部分に使用する紙は、契約書よりも大きなものを用意します。紙を図のように3等分をイメージした形に切り出しますが、このとき中央部分は契約書よりも数センチ程度大きくなるようにしましょう。ちなみにA4サイズで作成した契約書の場合、高さは297mmです。
・STEP2:契約書をステープラーで留め、紙を貼り付ける
契約書の左側に上下2カ所をステープラーで端から1cm程度を目安に留めます。次に、用意した紙の「A」部分の裏側にのみのりを塗りますが、はみ出さないよう軽く折り目をつけるときれいに塗ることができます。これを契約書の表側からみて左側に合わせ、貼り付けます。
・STEP3:紙を折り込み、上下にはみ出た部分を裏側に折り曲げる
「A」部分の表側にのりを塗り、「A」と「B」がきれいに重なるよう「A」部分の右側から左に折り曲げ貼り付けます。もしSTEP2で塗ったのりがはみ出ていると、黒ずんでしまうなど汚れてしまいますので注意しましょう。
・STEP4:残りの部分を裏面に貼り付けて完成
契約書を裏側にし、まず上下部分にのりを塗り、これを折り曲げて貼り付けます。最後に右側にはみ出した部分にのりを塗って折って貼り付ければ完成です。仕上げに硬いものなどできれいに紙のシワを伸ばしておきましょう。この方法だと、上下をしっかりと貼り付けることができ、改ざん防止に有効です。
製本テープを使用する方法
・STEP1:製本テープを準備する
製本テープは、両面テープのように表・裏とも接着でき便利です。パッケージなどに製本の手順が書かれているものが多いですが、製品によっては「横から貼るだけ」と書かれています。今回は改ざんを防ぐ効果を上げるための工夫を説明します。
・STEP2:製本テープを切る
製本テープを切るときは、契約書と同じ長さに切らず、少し長めに切ります。これは、最後の折り込みに余白が上下で必要になるためです。最低でも契約書の厚みの2倍以上は必要です。数枚であれば、上下1cmずつを目安にするとよいでしょう。
・STEP3:片側に製本テープを貼る
製本テープの一方の裏紙を5cm程度剥がし、上下を余らせながら裏紙の方眼にテープの位置を合わせて真っすぐに貼り付けます。契約書の厚みを考慮して、中央に貼ることがきれいに仕上げるコツです。貼り終わったら、もう5cmずつ裏紙を剥がして貼り付けます。これを繰り返せば、きれいに真っすぐ貼ることができます。
・STEP4:残りの半分を貼って上下に切り込みを入れる
製本テープのもう一方の裏紙を剥がし、袋部分を包むように裏側に折って貼り付けます。こちらは一度に裏紙を剥がしても真っすぐ貼れるはずです。上下に余らせた部分は、厚みを考慮して、2カ所ずつ(薄ければ1カ所ずつ)切り込みをいれます。
切り込みを内側に折って貼れば完成
切り込みを入れた部分を、裏、表の順に折り込んで貼り付ければ完成です。なお、製本テープを契約書の長さに合わせてしまうと、上下を折り込んで貼ることができないため、途中にページを追加するなどの改ざんが容易になってしまいます。
契約書の製本作業が不要になる電子契約のメリット
改ざん防止や押印を減らすなどの目的で行われる製本ですが、その作業が面倒だと思う方も少なくないと思います。製本する必要なく、改ざんも防げる契約書を作る方法はないのでしょうか。その答えは、契約書を電子化する「電子契約」です。ここでは電子契約の簡単な導入方法や、メリットについて説明します。
契約業務を効率化できる
電子契約の導入には、「電子印鑑GMOサイン」をはじめとする「電子契約サービス」を利用するのがもっとも簡単でおすすめです。こうしたシステムはクラウド上で契約を完結でき、紙の契約書で行っていた煩雑な作業がなくなるため、契約にかかるスピード、すなわちビジネススピードを向上します。
例えば、電子契約では印刷したり製本したりする必要はありません。また、契約に必須と思われていた押印が必要ないばかりか、契約書の郵送も必要ないのです。電子契約では、契約相手に押印してもらって、契約書を返送してもらうといった、手間や時間がかかっていた従来のプロセスを省略することができます。さらに、契約締結の流れは管理画面からステータスを確認できるため、締結漏れや遅延などを防ぎやすいことも特徴です。電子契約でも契約書としての法的効力があり、改ざんを防止できるため安心して利用できます。
コストを削減できる
電子契約を導入することで、コスト削減につながることも大きなメリットです。前述のように、紙の契約書で必須だった郵送費や時間は、電子契約サービスや電子メールでの送付となるため削減できます。さらに、契約書はクラウド上に保管できるため、紙の場合に必要だった保管にかかる維持費も削減できるでしょう。また、大きな効果が期待できるのは収入印紙です。電子契約は印紙税の課税対象文書にはあたらないため、印紙を貼る必要がありません。
まとめ:押印も製本もいらない電子契約がオススメ
契約書の製本は、改ざん防止のために必要なことですが袋とじや契印の手間がかかりました。しかし、電子契約であれば、製本も押印も必要ないばかりか、印刷や郵送といった面倒な作業がすべてなくなります。そればかりか、郵送費、保管費、印紙税といった多くのコスト削減も可能です。また、電子契約サービスを利用することで比較的容易かつ短時間で導入することができます。製本や押印の手間をなくし、コストも減らしたいなら、紙の契約から電子契約へと切り替えることをおすすめします。
「電子印鑑GMOサイン」とは?
Agreeは、電子サインと電子署名、2つの署名タイプが使えるので、あらゆるビジネスにおける契約業務の課題を解決いたします。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部