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契約とは?意味や身近な具体例など、基本知識をわかりやすく解説!

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仕事をしていると、さまざまな場面で契約書を目にします。

しかし、改めて「契約ってどんなもの?」と聞かれると、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

また、法律を詳しく学んだ人でなければ、深く考えずに契約を結んでしまいがちです。

知識を持たずに安易な考えで、契約を結んでしまっては、後のトラブルにつながりかねません。

そこで今回は、身近な具体例などをあげながら、契約の基本知識をわかりやすく解説していきます。

契約のことを基本から知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

契約とはどんな意味?約束との違いと身近な具体例

まずは契約の意味や約束との違い、身近な具体例を解説します。

契約とはどんな意味?

契約とは、一方当事者の申込みの意思表示(考えを表すこと)に対し,他方当事者の承諾の意思表示によって成立する法律行為です。

かんたんにいうと法的な責任が生じる約束のことを契約と呼んでいます。

説明を聞くと難しそうに感じますが、じつは世の中にはたくさんの契約があり、買い物なども契約(売買契約)に当てはまります。

ちなみに、契約とは違い、一つの意思表示だけで成立する法律行為は単独行為となり、遺言などが該当します。

契約と約束の違い

約束とは、当事者がお互いに将来のことを決めること。

つまり契約と約束はどちらも守らなければならない事柄です。

しかし契約は法的な拘束力があるため、約束よりも強力といえます。

たとえば「会社が終わったら飲みに行こう!」は単なる約束ですから、法的な拘束力はありません。

ですが会社に雇用されて働く(雇用契約)ケースでは、社員は労働に従事することが必要です。また、会社は労働の対償として報酬を支払うことが法的に決められており、お互いに守る必要があります。

身近な契約の具体例

身近な契約の具体例として、次のような行動が挙げられます。

  • スーパーで買い物をする(売買契約)
  • 電車に乗る(旅客運送契約)
  • 部屋を借りる(賃貸借契約)
  • 出張した同僚からお土産をもらう(贈与契約)
  • 就職する(雇用契約)

契約の基本知識

次に、契約の根拠や成立条件などの基本知識をご紹介します。

契約の根拠となる民法

契約の根拠となる法律は民法です。民法とは、いわゆる「六法」に含まれる法律で、すべての人を対象に日常生活の基本的ルールを定めています。

総則・物権・債権・親族・相続の5編で構成されており、契約は「債権」の一つとして記載されています。

2020年4月には債権法の抜本的改正が行われ、契約のルールなどが大きく見直されました。

契約はいつ成立する?(契約の成立要件)

契約は、当事者の一方からの申込みと、相手方の承諾という意思表示の合致があったときに成立します。

この意思表示の合致が契約の成立要件です。

民法第522条(契約の成立と方式)
1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成そのほかの方式を具備することを要しない。

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

そのため、「1000円で売る」という申込みに対して相手方が「500円で買う」といっても、この場合は意思表示が合致していないため、契約は成立しません。

なお、後述する方式の自由がありますので、原則として口頭でも契約は成立します。

どんな契約が有効?(契約の有効要件)

前項の意思表示の合致によって契約が成立しても、その中身が不確定・実現不可能・違法・社会的に許されないものでは、効力を認めるべきではありません。

そのため契約では、次の性質をもったもののみが有効とされます(有効要件)。

  • 確定性
  • 実現可能性
  • 適法性
  • 社会的妥当性

意思表示の合致で成立した契約は、上記の有効要件が満たされることではじめて効力を生み、次項の権利と義務を発生させます。

契約成立後の権利と義務

契約の成立後は、当事者には権利と義務が発生するため、契約内容を守ることが必要となります。

たとえば買物をするとき(売買契約)には、店側に代金を受け取る権利と、品物を渡す義務が発生します。また、客側には品物を受け取る権利と、代金を支払う義務が生じることになります。

なお、品物を受け取った客は法律上の責任が発生するので、一方的な都合で商品を返却する(契約を取り消す)ことは、原則できません。

こうした行為を認めると、安心して契約を結べなくなるためで、これを契約の拘束力といいます。

契約における当事者

契約における当事者とは、契約で義務を負う、権利を取得するなど、法律的に効果のあることを行う人のことです。

個人と法人のどちらも、契約の当事者になることができます。

契約自由の原則と例外

ここでは、契約において重要となる契約自由の原則とその例外をご紹介します。

契約自由の原則とは?

契約は、当事者同士の自由な意思で結ぶことができます。

結ばれた契約について、国家は干渉せず、その内容を尊重しなければなりません。

これを契約自由の原則といい、具体的には次の4つがあります。

  • 契約締結の自由:契約するかどうか
  • 相手方選択の自由:どんな相手と契約するのか
  • 内容決定の自由:どんな内容の契約をするのか
  • 方式の自由:どんな形式(書面か口頭かなど)で契約するのか

契約自由の原則 は、”法律に違反しない限り個人の法律行為は自由である”という理念に基づくルールのため、私的自治の原則とも呼ばれます。

なお、契約自由の原則 は以前の民法では規定されていませんでしたが、2020年4月の改正民法で明文化されました。

民法第521条(契約の締結及び内容の自由)
1.何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2.契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

契約自由の原則の例外

上記の契約自由の原則は、契約の当事者が対等な立場にあることが大前提となっています。対等な立場にないケースでは、力のある当事者に有利な契約が結ばれてしまいます。

そこで、立場の弱い当事者を保護するために、一定の関係については法律で契約自由の原則の例外が設けられました。

たとえば、会社が社員と雇用契約を結ぶ場合は、労働基準法が定めた労働時間最低賃金法で定めた最低賃金に反する契約を結ぶことはできません。

契約の種類と分け方

ここでは、さまざまな契約の種類とその分け方についてご紹介します。

種類①:典型契約(有名契約)

民法では、世間でよく行われる以下の13の契約について定めており、典型契約や有名契約と呼ばれます。

贈与契約当事者の一方が財産を無償で相手方に与える契約
売買契約当事者の一方が財産を与え、相手方がその代金を支払う契約
交換契約当事者がお互いに、金銭以外の財産権を移転し合う契約
消費貸借契約当事者の一方が種類・品質・数量が同じ物で返還をする約束をし、相手方から財産を受け取る契約
使用貸借契約当事者の一方が、相手方から受け取った物について使用後に無償で返還する契約
賃貸借契約当事者の一方が、相手方から賃料を支払って借り受ける契約
雇用契約当事者の一方が労働し、相手方が労働に対しての報酬を与える契約
請負契約当事者の一方がある仕事を完成し、相手方が仕事の結果に対して報酬を支払う契約
委任契約当事者の一方が法律行為をすることを委託し、相手方が承諾する契約
寄託契約当事者の一方が、相手方のある物を保管する契約
組合契約当事者たちが出資をして共同の事業を経営する契約
終身定期金契約当事者の一方が、自分・相手方・第三者の死亡まで金銭などを給付する契約
和解契約当事者同士が譲歩をして、当事者間の争いを終わらせる契約

種類②:非典型契約(無名契約)

契約自由の原則 にあったとおり、どんな契約を結ぶかは当事者の自由です。そのため、前記の典型契約以外にも自由に契約を結ぶことが可能となっています。

典型契約以外の契約を、非典型契約や無名契約と呼びます。

たとえば、出版契約・リース契約・秘密保持契約・労働者派遣契約・広告放送契約などが非典型契約です。

種類③:混合契約

契約のなかには、典型契約のうち、2つ以上の性質を併せ持つものがあり、混合契約と呼ばれます。

たとえば、スーツ店にオーダーメイドのスーツを注文する場合は、「請負契約」と「売買契約」の2つの性質を持つ混合契約です。

分け方①:双務契約と片務契約

契約を債務の負担で考えると、次の2つに分けられます。

①双務契約当事者が互いに対価関係にある債務を負担する契約
(例:売買契約、交換契約、雇用契約、請負契約など)
②片務契約当事者の一方のみが債務を負担する契約
(例:贈与契約、使用貸借契約、消費貸借契約 など)

分け方②:有償契約と無償契約

契約を経済的な支出の有無で考えると、次の2つに分けられます。

①有償契約当事者が互いに経済的な支出を行う契約
(例:雇用契約、売買契約、賃貸借契約、請負契約など)
②無償契約当事者の一方のみが経済的な支出を行う契約
(例:贈与契約、使用貸借契約など)

分け方③:諾成契約と要物契約

契約を成立要件の違いで考えると、次の2つに分けられます。

①諾成契約当事者の合意だけで成立する契約
(例:売買契約、賃貸借契約、請負契約、委任契約、和解契約など)
②要物契約目的物を引き渡すことで成立する契約
(例:消費貸借契約、使用貸借契約、寄託契約など)

契約におけるトラブル

人と人が行う契約では、トラブルがつきものです。

ここでは、契約におけるトラブルについて解説します。

相手方が義務を果たさない場合(契約不履行)

契約の相手方が義務を果たさない場合、つまり契約違反を起こすことを契約不履行(または債務不履行)といいます。

契約不履行には次の3種類があります。

・履行遅滞:履行期限が到来しても債務を履行しない場合

・履行不能:債務を履行できない場合

・そのほかの契約不履行:不完全履行など

債権者は上記の場合、以下のような権利を行使することが可能です。

  • 履行の強制(民法第414条)
  • 損害賠償請求権(民法第415条)
  • 契約解除(民法第540条)

契約不履行については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

契約の無効・取消し・解除

一度成立した契約をやめるときは、次の3つの制度が民法で認められています。

①契約の無効

契約の無効とは、成立した契約が「はじめから契約としての効果がなかった」とする制度です。

たとえば次のような契約が無効となります。

  • 意思能力のない人がした契約
  • 公序良俗に反する契約

②契約の取り消し

契約の取り消しとは、取消権を持つ人がその権利によって契約を無効にする制度です。

取り消すことで、契約はさかのぼって効果がなくなりますが、取り消さなければ契約は有効となります。

たとえば、次のような契約は取り消しが可能です。

・間違って行った契約(錯誤)

・強迫されての契約(強迫)

・だまされての契約(詐欺)

③契約の解除

契約の解除とは、成立した契約に解除原因があるときに、解除権を持つ当事者が解除することで契約を解消できる制度です。

たとえば次のような場合は、契約を解除できます。

・当事者の一方が契約を守らない

・契約の目的物の種類や数量が契約内容と異なる

・クーリング・オフが適用された

未成年者契約の取消し

未成年者が契約するときは、親など法定代理人の同意が必要です。同意がない契約は原則として取り消すことができ、これを未成年者契約の取消しと呼びます。

未成年者契約の取消しは、未成年者本人からでも、法定代理人のどちらでも実行可能です。

取消しによって、未成年者が受け取った品物などは事業者に返品し、支払った代金は返金されます。

ただし、次のような場合に取消しはできません。

  • 結婚している未成年者が行った契約
  • お小づかいの範囲の少額な契約
  • 未成年者自らが成人であるとウソをついた場合
  • 親の同意を得ているとウソをついた場合
  • 未成年者が23歳になった場合(取消権の時効)

クーリング・オフ制度

契約の成立後は、契約内容を守らなければいけません。

しかし、消費者トラブルが起こりやすい次の取引については、一定の期間であれば無条件で契約の解除や、申し込みの撤回ができるクーリング・オフ制度が設けられています。

  • 訪問販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 業務提供誘引販売取引
  • 特定継続的役務提供(エステ、語学教室など7種類)
  • 訪問購入

正しく記載された契約書面を受け取ってから、以下の期間中は無条件での解約や撤回が可能です。

・8日間(上記①②⑤⑥)

・20日間(上記③④)

契約と契約書

記事の最後に、ビジネスの現場では必須となる契約書について解説します。

契約に契約書は必要?

前述した方式の自由があるため、契約は口約束だけでも成立します。成立条件である意思表示の合致があれば、契約書を作成していない場合でも契約は成り立つのです。

ただし、法律で契約書の作成が義務付けられているケースもあり、保証契約は書面で締結しなければ効力が生じません。

契約書を作成する理由

法的には口約束でも問題ない契約において、契約書を作成する理由はこちらです。

①トラブルを防ぐため

証拠が残らない口約束だけでは、「契約していない」・「そんな約束ではない」などトラブルになりがちです。

契約書があればこういったトラブルを未然に防ぐことができます。

②契約の証拠とするため

書面があれば、万が一トラブルになってしまった場合でも、裁判上の証拠にすることができます。

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電子契約の導入には、次のようなメリットがあります。

  • 印紙税がかからない
  • 業務効率が上がる
  • リモートワークが可能
  • コスト削減ができる

ただし次のようなデメリットがあるため、メリット・デメリットを把握したうえで導入を検討してください。

  • 相手の同意が必要
  • 電子契約ができない契約がある
  • インターネット障害のリスクがある
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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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