働き方

2020年9月4日

2022年7月13日

働き方改革助成金とは 厚労省と地方自治体の制度の違い

高齢化、少子化、労働人口の減少などに加え、ここ数年は、女性の働き方や労働時間問題なども、議論の的になる機会が増えました。特に2020年は、新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症拡大の影響もあり、働き方が大きく変わってきています。そんな今だからこそ、2020年度(令和2年度)の働き方改革助成金について、理解を深めておきましょう。


働き方改革助成金とは?

政府は今、「1億総活躍社会」をスローガンとする「働き方改革」を実現するため、「働き方改革関連法(時間外労働の上限規制など)」を順次施行しています。その中で、従来の助成金を整理・統合し、助成内容の拡充を図っているのが「働き方改革推進支援助成金」です。

このほか、地方自治体でも働き方改革に取り組む企業に対し、独自の助成金を設ける動きも活発になっています。そこでこの記事は、これらを総称して「働き方改革助成金」と呼び、具体的な助成内容を解説していきます。

2020年度 厚生労働省の働き方改革助成金の概要

働き方改革助成金は主に厚生労働省が進めている制度ですが、地方自治体が独自の助成金制度を制定しているケースもあります。まずは、厚生労働省が制定している働き方改革助成金の概要を、種類ごとに確認しておきましょう。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

この助成金は、労働時間の縮減および生産性の向上を目的とした、環境整備に取り組む中小企業を対象としたものです。

支給対象となる事業主の条件

※以下をすべて満たしていること
1. 労働者災害補償保険の適用事業主である
2. 交付申請時点で「成果目標」の設定に向けた条件を満たしている
3. 交付申請・支給申請時点で、対象事業場のすべてにおいて、36協定が締結・届出されている
4. 交付申請時点で、対象事業場のすべてにおいて年5日の年次有給休暇が取得できるよう就業規則を整備している

支給対象となる取り組み

1. 労務管理担当者に対する研修
2. 労働者に対する研修、周知・啓発
3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
5. 人材確保に向けた取り組み
6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7. 労務管理用機器の導入・更新
8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9. テレワーク用通信機器の導入・更新
10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

支給額

1. 成果目標(※)1から4の上限額および賃金加算額の合計額
2. 対象経費の合計額×補助率3/4
以上のいずれか低い方の額
※労働時間の短縮、休日の増加、特別休暇の実施、時間単位の年次有給休暇の導入など

申請期限

2020年11月30日まで

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

勤務終了後、次回勤務までに一定以上の「休息時間」を設ける制度「勤務間インターバル制度」を導入・拡大し、労働者の健康保持や過重労働の防止を図る企業を支援するための助成金です。

支給対象となる事業主の条件

※以下をすべて満たしていること
1. 労働者災害補償保険の適用事業主である
2. 以下のいずれかの事業場を有している事業主
・勤務間インターバルを導入していない事業場
・すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場に所属する労働者の、半数以下である事業場
3. 交付申請・支給申請時点で、対象事業場のすべてにおいて、36協定が締結・届出されている
4. 交付申請時点で、対象事業場のすべてにおいて、年5日の年次有給休暇が取得できるよう、就業規則を整備している

支給対象となる取り組み

1. 労務管理担当者に対する研修
2. 労働者に対する研修、周知・啓発
3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
5. 人材確保に向けた取り組み
6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7. 労務管理用機器の導入・更新
8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9. テレワーク用通信機器の導入・更新
10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修には、業務研修も含む

支給額

対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額
※常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取り組みで6から10を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
※指定された上限額を超える場合は上限額まで支給

申請期限

2020年11月30日(必着)

働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、病気による休暇、子どもの休校・救援のための特別休暇制度の整備のうえ、特別休暇取得促進に向けた環境整備を行うなど、従業員が安心して休める環境づくりに取り組む中小企業を支援する制度です。

支給対象となる事業主の条件

新型コロナウイルス感染症対策として、新たな特別休暇の整備に取り組む中小企業事業主

支給対象となる取り組み

1. 労務管理担当者に対する研修
2. 労働者に対する研修、周知・啓発
3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4. 就業規則等の作成・変更
5. 人材確保に向けた取り組み
6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7. 労務管理用機器の導入・更新
8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9. テレワーク用通信機器の導入・更新
10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

支給額

1. 対象経費の合計額×補助率3/4(※)
2. 1企業当たりの上限額(50万円)
のいずれか低い方の額
※常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取り組みで6から10を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

申請期限

2020年9月30日(必着)

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)

中企業事業主の団体・連合団体が、傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主に対して、労働者の労働条件の改善を目的に、時間外労働等の削減や賃金の引き上げなどを取り組む際、その事業主団体や共同事業主を支援するための制度です。

支給対象となる条件

1.以下のいずれかに該当する事業主団体
・法律で規定する団体(商工会議所や各種組合、連合、財団法人等)
・上記以外の、一定要件を満たす事業団体
2.一定の要件を満たす共同事業主

支給対象となる取り組み

1. 市場調査の事業
2. 新ビジネスモデル開発、実験の事業
3. 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業
4. 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
5. 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
6. 好事例の収集、普及啓発の事業
7. セミナーの開催等の事業
8. 巡回指導、相談窓口設置等の事業
9. 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
10. 人材確保に向けた取り組みの事業

支給額

1. 対象経費の合計額
2. 総事業費から収入額を控除した額(※1)
3. 上限額500万円(※2)
以上いずれか低い方の額
※1 試作品を販売し、収入が発生した場合が控除対象
※2 単体・複数の都道府県単位からなる事業主団体などに価該当する場合の上限額は1,000万円

申請期限

2020年11月30日(必着)

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

新型コロナウイルス感染症の対策として、テレワークを新規で導入する中小企業を支援するための制度です。

支給対象となる事業主の条件

新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規(試験的も含め)で導入する中小企業事業主
※支給対象となる取り組みを事業実施期間中に行い、実際にテレワークを行った直接雇用労働者が1人以上いることが必要

支給対象となる取り組み

1. テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
2. 就業規則・労使協定等の作成・変更
3. 労務管理担当者に対する研修
4. 労働者に対する研修、周知・啓発
5. 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング など
※パソコン等のシンクライアント端末購入費用は対象となるが、それ以外のパソコン、タブレット、スマートフォン購入費用は対象外

支給額

補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円)

助成対象となる事業の実施期間

2020年2月17日~5月31日
※本年度については実施期間終了

申請期限

2020年5月29日(必着)
※本年度については申請締切済み

地方自治体における働き方改革助成金の概要

厚生労働省設定の制度だけでなく、地方自治体でも、働き方改革を推進するための助成金を制定しているケースがあります。

東京都 働き方改革助成金

TOKYO働き方改革宣言企業に承認された中小企業等で、働き方改革宣言奨励金の制度整備事業を実施しているか、承認決定後3カ月以内に、新たに、奨励金の制度整備事業の要件を満たす制度整備を実施している企業が対象です。助成要件には以下などが挙げられます。

働き方の改善の例

・フレックスタイム制度:月1回以上、従前の始業・終業時間と異なる出退勤をしている(計画期間:3~12カ月)
・テレワーク制度:連続2カ月以上、かつ月4回以上の利用者がいる(計画期間:3~12カ月)
・時差出勤制度:インターバル時間が運用され、利用者がいる(計画期間:3~12カ月)など

休み方の改善の例

業務繁閑に応じた休業日の設定:制度が運用され、利用者がいる(計画期間:12カ月)
時間単位での年次有給休暇制度:制度が運用され、利用者がいる(計画期間:3~12カ月)
リフレッシュ等休暇制度:制度が運用され、利用者がいる(計画期間:3~12カ月)など

また、助成金額は、1制度の利用につき10万円で、1企業当たり最大40万円となっています。

神奈川県横浜市 令和2年度 職場環境向上支援助成金

横浜市内の中小企業が、人材の確保・定着を目的とした、柔軟な働き方への環境整備やテレワーク導入、場環境PR支援などに取組む際、費用の一部を助成する制度です。新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを導入する場合には、いくつかの特例も設けられています。

埼玉県 テレワーク導入支援補助金

新型コロナウイルス感染症拡大の第2波に備えて、テレワーク環境を導入・整備する県内中小企業などに補助金を交付する制度です。県内に事業所を有する中小企業で、雇用保険適用事業所であり、女性活躍のための働き方見直し支援事業(テレワークの導入又は対象拡大の取組に限る)及び、テレワーク緊急導入奨励金事業に参加していないことなどの条件があります。補助金額は、上限20万円(補助率の2/3以内)です。

以上ご紹介したのは、地方自治体による独自の働き方改革助成金ですが、それぞれの地方のニーズに合わせた制度を定めている自治体も少なくないようです。

▶関連記事:認知度が高まるデジタルトランスフォーメーション(DX)を解説

条件を確認しながら積極的な制度利用を

助成金にはさまざまな種類があり、それぞれ条件や対象労働者・事業が設定されています。厚生労働省や地方自治体などの相談窓口を利用したり、社労士などの専門家と相談したりしながら自社に合ったプランを探してみてください。受給条件を達成できれば、助成金を受け取ることができます。多様な働き方を準備すれば、生産性の上がる職場環境を整備でき、企業にとっても大きなメリットとなるはずです。

<監修者>

西岡 秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士/2級FP技能士

生命保険会社に25年勤務した後、社会保険労務士事務所を開業。現在は、社会保険労務士として活動するとともに、社労士会からの委託を受け日本年金機構・年金事務所で年金相談員として勤務。労働者を支える労働保険・社会保険についてわかりやすく解説していきたいと考えています。

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