2020年9月4日
2022年7月13日
デジタルファースト法案とは? 企業への影響と今から準備すべきこと
2019年(令和元年)12月に施行された通称デジタルファースト法案(デジタル手続法)は手続きや申請をデジタル化することによって生活を便利にしてくれる法律です。
しかしその名称だけを見ても、具体的にどのような変化があるのか、わかりにくいでしょう。ここでは、デジタルファースト法案(デジタル手続法)によって現状進められている施策を紹介するとともに、企業にどのような影響を及ぼすのか、必要な準備とあわせて解説します。
目次
デジタルファースト法案(デジタル手続法)とは?
デジタルファースト法(デジタル手続法)とは、行政手続きを原則、電子申請に統一する法律です。
正式名称は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」と、長いため「デジタルファースト法」や、「デジタルファースト法案」、または「デジタル手続法」などと呼ばれています(なお、ここでは、「デジタルファースト法案」と呼び、解説しています)。
この法律は取り扱う内容が広く、全体を把握することは難しいのですが、基本的には情報通信技術を活用した行政手続きの利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化を図る、といった方針を実現するためのものです。また、この法律は一度に推し進めるのではなく、少しずつ施行されます。
①デジタルファースト:
行政手続きの処理をデジタル優先にし、オンラインで完結させる
②ワンスオンリー:
情報の入力は一度で済ませ、同じ情報の提供を求めない
③コネクテッド・ワンストップ:
複数の行政機関をまたがる手続きを一度の申請で完了させる
このデジタルトランスフォーメーション(デジタル化、オンライン化で生活を豊かにすること)によって便利になる具体例を一部紹介します。まずこれまで海外転出者は条件によっては、マイナンバーカードを返却する必要がありました。
しかし、今後は返却の必要がなく、手続きにマイナンバーカードが利用できるようになり、本人確認や各種手続きが可能となります。また、これまで登記事項証明書などの添付書類が必要だった各種申請手続きは情報連携により添付書類が不要となるほか、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになると言われています。
なお、マイナンバーカードの普及についても言及されていて、2020年(令和2年)5月25日に通知カードが廃止されたのもこの法律の一環です。さらに、国民からのニーズが高い各種手続きや、⺠間サービスを含めた手続きの簡略化推進についても言及されています。
デジタルファースト法案の施行による企業への影響
デジタルファースト法案は個人だけでなく、企業にとってもさまざまな影響があります。具体的にどのような変化があるのでしょうか。
デジタルファースト法案のメリット
個人だけでなく、企業にも多くのメリットが期待されます。例えば、助成金や補助金などの申請は多くの書類を作成した上で、履歴事項証明書といった公的な書類を取得して添付し、郵送するといった大変時間のかかるものでした。しかし、前述のようにデジタルファースト法案が順次施行されることにより、オンラインで一度情報を入力するだけで、添付書類の必要がなく、容易に申請できるようになります。
さらに、申請された書類を役所などが確認を行う際にも、情報連携によって確認が短時間で行えるようになり、申請から給付までの時間は大変短くなると考えられます。すでに一部の制度では取り組みが始まっていて、「IT系導入補助金」などは電子申請が可能となっています。
また、これまで原紙の保管が義務付けられていた紙の書類についても電子化が可能になり、書類を探さずに検索ができ、業務効率の向上が見込める上、書類の保存場所の問題も解決できます。
デジタルファースト法案のデメリット
これら各種手続きを便利に利用するには、ICTを含むITツールを使いこなす必要があります。そのため、パソコンなどのITツールを使いこなせていない企業は、インフラコストだけでなく技術的なコストが必要です。
さらに今後、各種申告作業の電子化が前提となっていくと、従来のように紙の書類では税金の控除額が下がるようなケースも。デジタル化にむけて迅速な対応が迫られていることも忘れてはなりません。
デジタルファーストの実現に向けて企業が準備すべきこと
デジタルファースト化によって多くの新しい運用が始まると考えられます。今、企業はどのような準備を行っておけばよいのでしょうか。
まず資本金1億円を超える大企業では、2020年度(令和2年度)より法人税、消費税などの納税申告は、電子申告が義務化され、書面提出では無申告扱いとなります。同様に、大企業は年末調整手続きの電子化が義務付けられるなど、ビジネス環境は大きく変化しています。
こうした背景から、中小企業でも準備が必要であると考えられます。もしパソコンやネットワークといったITインフラの整備が進んでいないのであれば、導入を急ぎましょう。早い段階で、電子化できる書類は電子化し、今後に備えておけば、電子申告が義務化された場合も慌てることもありません。
一方、ゼロから「デジタルファースト化」をすすめ、インフラやシステムの構築から行うのは難しいため、クラウド型のサービスを利用し、情報基盤の整備を進めることも検討しましょう。これは、経費精算システムの導入や、電子化を促進できる電子契約システムの導入などが挙げられます。
まとめ:デジタルファースト化は目前、企業は事前準備が重要
デジタルファースト法案が推進したい制度の変更は、個人や企業にとって申請などの手続きを減らせる便利なものとわかりました。しかし、今後デジタルファースト化が進むにつれ、企業としてどう対応すべきか迫られていることも事実です。どこから準備すればよいのか想像できない場合は、まずは、クラウド型の経費精算システムや、電子印鑑GMOサインをはじめとする電子契約システムの導入を進めるのが、電子化を成功させるポイントです。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部