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パートタイム労働法とは?|改正のポイントと企業が講じるべき対策

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長年、日本においては正規・非正規労働者間の待遇格差が問題となってきました。
 「正社員は賃金が高いのにパートタイマーは低い」
 「契約社員は社員食堂が利用できない」などなど
非正規労働者の中には、同様の不満を感じている方も多いのではないでしょうか?

そのような問題を解決するため、「働き方改革関連法」の一環として行われたのがパートタイム労働法の改正です。
今回の改正によって、正規労働者とパートタイム労働者など非正規労働者との間には不合理な待遇格差を設けることが禁じられることになったのです。
今回は、パートタイム労働法の改正ポイントと企業が講じるべき対策について解説します。

目次

パートタイム労働法とは

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」は、いわゆる「パートタイム労働法」と呼ばれ、短時間労働者(正規労働者と比較して労働時間の短い者)の福祉の増進を図ることを目的として1993年に制定された法律です。

この法律は、時代の変遷に伴い数回の改正を経て、短時間労働者に加え有期雇用労働者も対象とした「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・有期雇用労働法)に名称を変更し2020年4月から改正法が施行されています。
なお、2021年4月からは中小企業のパートタイム労働者などにも拡大されて適用されています。
このため、大企業だけでなく中小企業までも法改正に対応した対策を講じる必要があります。

パートタイム・有期雇用労働法の目的

日本における全労働者に対する非正規雇用労働者の割合は年々増加し、近年では40%弱の労働者が非正規雇用で働いているというデータもあります。
正社員と非正規雇用労働者との間の賃金など待遇格差は、大きな問題として意識されてきました。

パートタイム・有期雇用労働法は、正社員と非正規雇用労働者の「公正な待遇の実現」を目指して制定された法律です。
簡単に言うと、非正規社員として働いているからと言って正社員と給与など待遇面で不合理な差別を受けることがないようにすることを目的としている法律、と考えてよいでしょう。

パートタイム労働法改正の経緯

これまで日本では長い間、正社員である正規労働者と、非正規労働者であるパートタイマーやアルバイト社員などは給与や福利厚生など待遇面において大きな格差が存在してきました。正社員にはボーナスが支給されるのに対して、非正規労働者にはまったく出ない、非正規労働者は社員食堂など福利厚生施設の利用ができないなど、これらの差別的待遇は大きな社会問題ともなっています。

パートタイム・有期雇用労働法は、これらの非合理的待遇格差などを解消すべく2020年に改正されました。
日本では、いわゆる「働き方改革関連法」が成立し、その一環として同法も改正されるに至ったのです。

パートタイム・有期労働者の対象者とは

パートタイム労働法は、以下に示す2形態の労働者を対象としています。

①パートタイム労働者

正社員と比較して同一の事業所内において1週間の所定労働時間が短い労働者のことです。職場によっては「パート」ではなく、「準社員」「アルバイト」といった呼び方の場合もあります。(パートとアルバイトに法令上の違いはありません)。

②有期雇用労働者

予め雇用期間が限定されている労働者のことです。「契約社員」や「嘱託社員」といった呼び方の場合もあります。

改正されたパートタイム・有期雇用労働者労働法は、これら「パートタイム労働者」と「有期雇用労働者」を対象としています。


なお、正社員とパートタイム労働者等との間の不合理な差別的待遇の禁止対象となる企業は、2021年4月1日から中小企業にも拡大適用されています。
ここでいう「中小企業」とは、以下に示す条件のうち、どれか1つでも該当する企業のことを指します。

①小売業の場合

資本金の額または出資の総額:5000万円以下
常時使用する労働者数:50人以下

②サービス業

資本金の額または出資の総額:5000万円以下
常時使用する労働者数:100人以下

③卸売業

資本金の額または出資の総額:1億円以下
常時使用する労働者数:100人以下

④その他(製造業・運輸業・建設業・その他)

資本金の額または出資の総額:3億円以下
常時使用する労働者数:300人以下

条件はこのように業種ごとに定められており、「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する労働者数」のどちらかに該当すれば同法上「中小企業」として扱われることになります。

法改正のポイント

2020年に行われたパートタイム労働法改正のポイントは、主として以下の3つに大別することができます。

(1)不合理な待遇格差の禁止
(2)待遇格差についての説明義務の強化
(3)労使間トラブル解決のための制度の整備

それぞれ詳しく解説します。

(1)不合理な待遇格差の禁止

正社員とパートタイムや有期雇用労働者との間に不合理な待遇格差を設けることが禁止されることになりました。
これは基本給に関するだけではなく、福利厚生などあらゆる面におよびます。
このため、具体的には主として以下のような面において待遇格差を設けることができなくなりました。

①賃金等における待遇格差

・賃金(基本給)
・ベースアップ率
・ボーナス
・その他

②福利厚生面における待遇格差

・各種手当(通勤手当、役職手当、子供手当、住宅手当など)
・社員食堂やレジャー施設などの利用
・各種保険への加入
・教育訓練
・その他

改正法では「同一労働同一賃金」の原則が適用され、同一企業内の正社員と非正規雇用労働者という雇用形態の違いによって待遇格差を設けることは禁止されます。
待遇差に関しての判断基準としては、均衡待遇(同法8条)と均等待遇(同法9条)の規定が設けられ、その基準に照らして不合理かどうかを判断することになります。
待遇格差が不合理かどうかは、個別の待遇ごとにその性質・目的、具体的には、業務内容や責任の軽重・人事異動の有無などを総合的に考慮して判断されます(合理的範囲内であれば待遇格差を設けることが許されることになります。)

(2)待遇格差についての説明義務の強化

パートタイム・有期雇用労働法では、原則として正規・非正規という雇用形態による理由のみで不合理な待遇格差を設けることが禁止されています。
しかし、合理的な理由がある場合には待遇格差を設けることは可能です。

今回の法改正によって、社内において正規・非正規労働者間に待遇格差がある場合、事業主は格差が存在する理由を労働者に対して説明する義務が強化されました。

つまり事業主は、パートタイム労働者等の雇入れ時に一定事項について説明義務が課せられます(同法14条1項)。
また、パートタイム労働者等から待遇格差が存在する理由などについて説明を求められた時にも、説明義務が課せられます(同条2項)。
なお事業主は、説明を求めた労働者に対して減給や解雇など不利益を被らせるような行為をすることが禁じられています(同条3項)。

待遇差の理由としては、比較対象となる正社員(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者の職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情(成果、能力、経験など)のうち、個々の待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものに基づいて、待遇差を設けている理由を説明します。

(3)労使間トラブル解決のための制度の整備

労使間においてトラブルが発生した場合には当事者一方からでも申し出があれば、都道府県労働局において紛争解決に関する手続きを無料・非公開で利用することができるようになりました

紛争解決に第三者機関を介在させることによって、より公平・公正な問題解決が可能です。
これはADR(裁判外紛争解決手続)であるため裁判ほど厳格な手続きでなく、その分迅速に紛争の解決を期待することができるでしょう。
そのほかにも、行政は事業主に対して適切なアドバイスや指導などを行うことができます。

企業が講じるべき対策

今回の法改正によって、企業側としてはどのような対策を講じる必要があるのでしょうか。
事業主としては、以下のようなポイントを抑えることで法改正に対応することが可能です。

(1)正社員とパートタイム労働者等との待遇に格差があるかどうか確認する
(2)その格差が不合理でないかどうか確認する
(3)不合理である場合には是正する

それぞれを具体的に確認していくことにしましょう。

(1)正社員とパートタイム労働者等との待遇に格差があるかどうか確認する

会社においてパートタイム労働者等を雇用している場合には、正社員との間に待遇の格差があるかどうか確認しましょう。
具体的には「就業規則」などを徹底的に確認し、待遇格差に該当すると思われるものをリストアップします。
不合理な待遇格差の是正は、現在では中小企業においても義務化されています。早急な対応が必要です。

(2)その格差が不合理でないかどうか確認する

正規・非正規労働者間の待遇差が存在する場合には、それが不合理でないかどうか確認することが大切です。
リストアップした各項目を、質的・目的などに照らして不合理な待遇格差に該当するかを慎重に判断してください。
その結果、不合理でないと思われる場合には、説得力ある説明ができるように準備しておきましょう。

(3)不合理である場合には是正する

待遇格差が不合理である場合には、早急に是正するように努めましょう。
事業主は、各労働者が従事している業務の内容や責任の程度、配置の変更の範囲等を比較考慮し、もし不合理な待遇格差が存在するのであれば、これを是正する義務があります。

不合理な待遇格差は労働者の士気にもかかわる重大な問題であり、結果として労働生産性の低下につながる可能性もあります。
是正すべき待遇格差が存在する場合には、一刻も早く是正に着手することが大切です。

まとめ

パートタイム労働法が改正され、2021年4月からは中小企業も適用対象となりました。これによって正社員とパートタイム労働者等との間に不合理な待遇格差を設けることは禁止されることになったのです。

企業経営者の方は、同法の改正に応じて適切な対応が求められるようになっています。
待遇に格差がある場合において、それが合理的なものであると説明できない場合には、早急にその是正を検討することが重要です。

【参考】パートタイム・有期雇用労働法とは?(厚生労働省)

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この記事を書いた人

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