電子契約を学ぶ

2020年7月15日

2022年10月27日

電子契約のメリット・デメリット│導入時に発生し得る課題への対処法

書面での契約書から解放される電子契約は、業務効率性やコストなどの面でメリットを持っています。同時に、導入に当たってはデメリットを見過ごすことなく、上手にプロセスを進めることが求められます。

そこで今回は、電子契約の基本を説明するとともに、知っておきたいメリット・デメリットと、成功のポイントを解説。また、導入時の課題にも目を向けて、どのような流れで導入作業を進めるべきかをお伝えします。


そもそも電子契約とは

電子契約とは、紙の契約書に印鑑を押印していた従来に代わり、電子データに電子署名をして取り交わされる契約のことです。契約内容が電子データの形で作成されますが、書面による契約と同様の証拠力を認められています。

電子契約について理解するためには、書面契約と比較して検証することが重要です。両者の違いは、以下の通りです。

紙の契約書 電子契約
形式 紙の書面 電子データ(PDF)
証拠力 押印 印鑑と印影 電子署名または電子サイン
本人性の担保 印鑑証明書 電子証明書
完全性の担保
(改ざん防止)
契印・割印 タイムスタンプ
事務処理 送付 郵送 or 持参 インターネット通信
保管 書棚 サーバー
印紙 必要 不要

電子契約の特徴は、形式(電子データ)のみならず証拠力および事務処理のやり方に表れています。

電子署名または電子サインが印鑑の代わりに押印の役割を果たし、電子証明書によって本人性を担保します。そして、改ざん防止のためにタイムスタンプを利用します。

タイムスタンプとは、特定の時刻に電子データが存在していたことと、それ以降に改ざんされていないことを証明する技術です。電子的な文書は容易に編集できる(改ざんできる)という弱点がありますので、電子署名やタイムスタンプによって真正を証明します。

電子契約の法的効力

契約は合意内容を証拠として残すことが必要です。電子契約はこれまで書面でやり取りしていた契約を電子データに代えるものですから、その電子データに証拠力があり、契約として証明できなくては意味がありません。

電子契約の種類

契約書が証拠として認められるためには、本人による押印または署名の必要があると民事訴訟法第228条第1項、第4項に明記されています(記名押印)。

電子契約にも同様の法律「電子文書署名法」が整備されていて、電子署名法3条にて電子署名がなされた電子文書については、実際に押印した紙の文書と同様の効力が認められています。

電子契約は、現在多くの企業で導入が進んでおり、JIPDEC(⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会)の調査によると、2020年1月時点で43.3%の企業が導入しています。

2つの署名タイプ

電子署名は、「電子署名タイプ」と「電子サインタイプ」の2つに分けられます。

電子署名タイプは、第三者機関である電子認証局の審査を受けて発行された電子証明書を用いることで本人性を担保します。一方の電子サインタイプは、メール認証やログなどの方法で本人性を担保します。

電子署名法に準拠しているため、電子署名タイプの方が高い証拠力を持ちます。一方の電子サインタイプは、スピーディーに導入できる特徴があります。


電子サイン タイプ
メール認証など、システムログで本人性を担保

電子署名 タイプ
電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書で本人性を担保

電子データであるだけに、送付・保管といった事務処理も電子契約は書面契約と大きく異なります。

郵送とは違いオンライン上でやり取りを行い、サーバにデータを保管します。紙ではありませんから、印紙税も必要ありません。紙を利用しないことが、次に説明するメリットに繋がります。

電子契約のメリット

契約業務の効率化

紙の契約書は作成後に印刷して製本し、押印して郵送する手続きが必要です。また相手方も押印して郵送する手続きが必要になります。

印刷してから郵送で手元に戻ってくるまでに、大半は1週間以上かかります。万が一相手が郵送に気付かなかったり、返送手続きに時間がかかった場合、契約の締結が完了するまでに数週間かかるかもしれません。

電子契約であれば、印刷・製本・押印・郵送といった一連の手続きを省略することができます。相手方の手続きや進捗の管理もできますから、「相手が気付かず返送が遅れる」という可能性はゼロに等しくなります。

こうした業務を省力化することで、契約締結までの交渉やサービスの提供などといった重要な部分に力を注げるようになります。

コスト削減

コスト面で最大のメリットと言えるのが印紙税で、紙の契約書(課税文書)に貼る「印紙」が電子契約には必要ありません。これは契約を紙の書類で作成する場合のみ「課税文書の作成」と定義され、電子契約はこれに該当しないためです。このため多くの契約を交わしている場合、印紙税の大幅な削減につながります。

また書面契約は、印紙税のほか印刷・製本・郵送などのコストがかかります。契約書を保管するために倉庫や書棚などのスペースも用意しなければなりません。契約書をしまったり探したりするのにかかる時間も、人件費という金銭的なコストに跳ね返ります。

対して電子契約は前述の通り、印紙税の課税対象ではありませんし、製本や郵送などの費用も不要です。契約書を保管し続けるコストも必要ありません。

電子契約は契約に関わるあらゆる業務のコスト削減を実現します。

コンプライアンス強化

契約を取り交わすまでのプロセスが可視化されるため、契約漏れや更新・解約漏れなどのリスクがなくなります。加えて電子データの閲覧権限を厳密に管理できるため、外部の人や社内にいる契約とは無関係な人に契約内容を見られることもなくなります。

なお電子契約の場合、改ざんリスクを防ぐ従来の契印や割印に代わり、ファイルが作成された日時などを証明する「タイムスタンプ」を用いて電子署名を行うことで、完全性を担保します。万が一データの改ざんや紛失などが起きても、バックアップを取れば復旧も容易です。

これらの機能により、紙の契約書よりもコンプライアンスを強化することにつながります。

電子契約のデメリット

電子契約の認められない契約書の存在

多くのケースで電子契約書でも法的効力を認められていますが、定期建物賃貸借契約、定期借地契約など、法律に基づき紙面での交付を義務づけられている一部の契約書があります。

少しずつ電子契約の認められる領域は広がってきていますので、今後の法律改正や環境の変化に注意が必要です。

サイバー攻撃のリスク

保管庫のように施錠するのではなく、サーバにデータを保管するため、アクセス権限の管理をしてセキュリティ対策を徹底する必要があります。

万が一電子契約書を管理しているサーバがサイバー攻撃を受け、データが改ざんや盗難の被害を受けるリスクを防ぐためです。導入するシステムのセキュリティ対策は十分に確認する必要があります。

また、改ざん等の深刻なトラブルを防ぐため、関係者全員が電子署名や電子証明書を正しく使って運用することが必要不可欠です。

社内調整の大変さ

導入や運用に当たって、当事者が最も困難を感じるのがこの点かも知れません。電子契約を導入するということは、社内の業務フローを更新することをも意味します。また、これまで紙の契約に慣れていた関係者が、電子契約に対する心理的な抵抗感を覚えることもあります。

社内の壁を突破しても、顧客やパートナー企業など社外の関係者に対しても調整を進めなければならないこともあります。電子契約がいくら便利でも、社内調整の大変さにめげてしまう人もいるでしょう。

導入後の運用体制を整える必要も出てきます。電子データの管理や保存法をきちんと整理しておかないと、必要な契約をすぐに見つけられないことが考えられます。誰がどのような形で管理するべきなのか、システム関連の部署やバックオフィスの部署、経営層など複数の関係者が議論を重ねる必要があります。

紙での契約と電子契約の流れの違い

電子契約での契約は、紙の契約書でのやり取りと比較すると大変効率のよいものです。

紙の契約書における契約締結の流れ

まず、紙の契約書で契約を取り交わす場合、以下のように最初に作成した文書を印刷し、製本します。そのあと印紙を貼付し押印、書類を封筒に入れ郵送します。受け取った取引先は、それに押印して郵送で返送するといった流れでした。

  1. 契約内容の合意
  2. 契約書作成
  3. 製本
  4. 印紙貼付
  5. 押印
  6. 封入、郵送(2部)
  7. 取引先到着、内容確認
  8. 取引先押印(2部)
  9. 取引先封入、郵送(1部)
  10. 契約到着(1部)
  11. 両社保管(1部ずつ)

電子契約における契約締結の流れ

一方、電子契約の場合、作成した文書に電子署名を付与し、メールなどで取引先に送信します。取引先は契約が送られてきたら、契約内容を確認するとともに、電子署名を確認します。内容、署名に問題がなければ、電子署名を付与します。両社の電子署名が付与されたら、締結が完了します。電子契約は、両社それぞれで保管します。

  1. 契約内容の合意
  2. 契約の作成、電子署名付与
  3. 送付
  4. 取引先到着、内容確認、電子署名付与
  5. 取引先返送(自動登録)
  6. 両社保管

【紙の契約と電子契約のフロー比較】

電子契約の署名方法

電子契約に電子署名を付与するには、高度なITスキルや電子署名に必要なインフラ整備など、大きな投資が必要と思われがちです。しかし、電子印鑑GMOサインをはじめとする電子契約システムを利用することで容易に、しかも低コストで行えます。

こうした電子契約システムは、あらかじめ設定した電子署名を付与できるだけでなく、取引先への送付や返送された電子契約の管理まで、クラウド上で行えます。

中でも電子印鑑GMOサインは、契約締結、管理の業務効率化はもちろん、契約手続きの可視化による締結漏れ、更新漏れの防止の他、署名できる権限の管理なども徹底しているため、コンプライアンス強化にもつながる電子契約システムです。

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電子契約システムの導入時に発生し得る課題と対策

以上のデメリットを踏まえ、電子契約を実際に導入するとなったら、どのような課題が発生するのか、それに対してどのような対策を取るべきなのか考えましょう。

社内調整・ルール策定

電子契約システムを導入する際、特に問題となるのが周知の徹底と運用ルールの策定です。

会社規模や文化にも左右されますが、社内外の関係者の合意をとりつける作業はとても重要です。電子契約システムについて周知されていないと、電子署名が付与できないなど、トラブルが起こることも考えられます。

社内調整に当たっては、「それぞれの関係者にとってどんなメリットがあるのか」をしっかり理解してもらう機会を設けるべきでしょう。また、導入前に社外に周知することも重要です。

取引先によっては、電子契約の利用が難しい場合や、電子契約に対応してくれないといったことも考えられます。

導入後の社内外でのトラブルを避けるためには、電子契約や電子契約システムについて、社内での研修や取引先への説明を行い、正しい知識を身に着けてもらうことが大切です。また問い合わせ対応を行う部署を明確にしておくことや運用ルールの策定、分かりやすいマニュアルを用意しておくことなども重要なポイントです。

一度電子契約システムの便利さを実感すれば、定着の可能性も見えてきます。

導入で役立つ資料を無料配布

電子帳簿保存法に基づく運用

電子契約を運用するためには、電子帳簿保存法という法律に則った保存場所や保存期間などを満たす形でデータを保管する必要があります。電子契約を導入する前に、サービス提供者や開発会社に対して法的要件をどの程度満たしているのか確認する必要があるでしょう。

電子契約システムの導入フロー

システムを導入する前に、社内調整や契約書・業務フローの見直しが必要です。

法務関係者への説明

法務部のように、社内で法務を担当する部門や契約書の管理を担当する部門に説明を行います。メリット・デメリットの説明はもちろんですが、特に法務部門や管理部門が気にする法律に基づく証拠力については十分に説明し理解いただけるようにします。

契約書・業務フローの見直し

契約書や業務フローの中で、紙を前提とした文言やプロセスがないか確認し、場合によっては変更を余儀なくされることもあります。どうしても業務フローを変更できない場合は、電子契約の導入範囲を狭める判断も必要になります。

社内外の関係者へ周知

電子契約を主に利用する社内の関係者はもちろん、取引先やパートナー会社など社外の関係者にも周知を徹底します。電子契約書とは何か、どのように使用するのか、法的リスクはないのかなどを説明しましょう。

電子契約システムの申込と登録

実際の導入作業を開始します。「電子印鑑GMOサイン」の始め方につきましては、こちらのページに詳しい説明がございますのでご参照ください。

スムーズな導入には、事前のアナウンスや運用イメージの共有が必須

紙の契約から電子契約に変えると、業務の効率化はもちろん、印紙代や郵送費、印刷代などのコスト削減が行えるなど、たくさんのメリットがあります。また、電子契約システムを導入すれば、契約の見える化や権限管理の徹底など、コンプライアンス強化にもつながります。

これら電子契約に必要となる電子署名や契約の管理には、電子印鑑GMOサインをはじめとする電子契約システムの導入が不可欠です。導入の検討を提供会社のサポートに相談し、早くから最適な移行方法の提案を受ければ、導入トラブルを防ぎ、円滑な電子契約の運用を可能にします。

多くのメリットがある電子契約ですが、一方で導入・運用の際には、社内外の関係者の心理的な抵抗感を生む可能性があることも事実です。導入経験の豊富なベンダーにも問い合わせて、自社に最適な方法や進め方を慎重に検討するようにしましょう。

なお、電子印鑑GMOサインの詳細について、無料でダウンロードできるサービス紹介資料にてご覧いただけますので、ぜひご活用ください。

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筆者

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