電子印鑑GMOサインが、取締役会議事録の電子作成、登記申請に利用可能な電子署名サービスとして法務省に指定されました。
取締役会議事録については、これまでも「法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置」をとることにより、電子データでの作成(会社法第369条第4項)が認められていました。
この「措置」について、会社法施行規則は「電子署名」(規則第225条第1項第6号、第2項)と定めており、電子署名法上の電子署名(署名者本人の署名鍵を利用した電子署名であり実印タイプ(当事者型))でなければならないとの運用がなされていました。
しかし、下記に紹介する法務省民事局の見解により『サービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うもの』、つまり契約印タイプ(立会人型)に該当するものでも、取締役会議事録の電子作成が認められることになりました。
その背景として、以下の必要性と許容性があったものと考えられます。
なお、法務省民事局に確認したところによると、この新解釈は法令改正や通達を伴うものではなく、この見解に基づく運用は2020年5月29日付の法務省民事局の見解公表後、直ちに可能となるとのことでした。
参考:電子署名について詳しく【電子印鑑GMOサインの選べる署名タイプ】
会社法上、取締役会に出席した取締役及び監査役は、当該取締役会の議事録に署名又は記名押印をしなければならないこととされています(会社法第369条第3項)。
また、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合には、署名又は記名押印に代わる措置として、電子署名をすることとされています(同条第4項、会社法施行規則第225条第1項第6号、第2項)。
当該措置は、取締役会に出席した取締役又は監査役が、取締役会の議事録の内容を確認し、その内容が正確であり、異議がないと判断したことを示すものであれば足りると考えられます。
したがって、いわゆるリモート署名(注)やサービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービスであっても、取締役会に出席した取締役又は監査役がそのように判断したことを示すものとして、当該取締役会の議事録について、その意思に基づいて当該措置がとられていれば、署名又は記名押印に代わる措置としての電子署名として有効なものであると考えられます。
(注)サービス提供事業者のサーバに利用者の署名鍵を設置・保管し、利用者がサーバにリモートでログインした上で自らの署名鍵で当該事業者のサーバ上で電子署名を行うもの
この新見解を受けて、取締役会議事録の電子化のための法的要件をまとめると下記のとおりとなります。
出席取締役・監査役の電子署名 →[電子印鑑GMOサイン]の ・契約印タイプ(立会人型) ・実印タイプ(当事者型)の電子署名で可能 |
会社法第369条第4項 会社法施行規則第225条第1項第6号、第2項 |
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電子的に作成された議事録の10年間の保存 | 会社法第371条第1項 |
なお、電子的に作成した取締役会議事録の閲覧請求については、紙に印刷したものを見せるか、モニターで表示したものを見せるといった運用で対応が可能です(会社法第371条第2項第2号、会社法施行規則第226条第19号)。
2020年5月29日付の法務省見解では、商業登記の実務でも利用できるかどうかには触れられていませんでしたが、2020年6月15日付で、電子印鑑GMOサインで作成された取締役会議事録を商業登記のオンライン申請で利用することが認められることになりました。
GMOサインで電子作成した取締役会議事録を商業登記のオンライン申請で利用する際には、下記方法をご利用ください。
・法務省ホームページで申請用総合ソフトをダウンロードし、申請用総合ソフトで申請
※PDF署名プラグインを使用して電子署名を行うと、登記所による検証がスムーズに行えません。
※登記申請手続を書面で行う場合には、その取締役会議事録については書面で作成する必要がありますのでご注意ください。
今回の法務省の新見解を機に、取締役会議事録の電子作成を進めてみてはいかがでしょうか。
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