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株主総会を開催したときは、法律によって株主総会議事録の作成が義務づけられています。
株主総会議事録の作成は行政書士事務所などに代行を依頼することができますが、経営者ならば議事録に記載しなければならない内容や、記載のルールなどを知っておく必要があるでしょう。
この記事では、議事録に記す内容や法律によって定められた保管期間など株式総会議事録の基礎知識を解説します。
株主総会議事録とは、文字どおり株主総会を行った際に作成する議事録のことです。
一般的な会議でも議事録は作成しますが、株主総会議事録は「会社法 第318条」によって、作成と10年間の本店備えおきが義務づけられています。
また、支店がある場合は議事録の写しを株主総会の日から5年間備え置かなくてはなりません。
そして、株主総会議事録は以下のような場合に活用されます。
取締役や監査役が辞任したり新たに就任したりした場合などは、株式会社変更登記申請を行わなければなりません。
申請書を法務局に提出する際、取締役や監査役の就任や辞任が認められたときなど、変更登記申請を行う内容について話し合いが持たれたときの株主総会議事録の添付が必要です。
株主や債権者は正当な理由があれば、株主総会議事録を閲覧したりコピー(謄写)を要求したりすることができます。
閲覧請求はいつ何時くるか分からないので、すぐに応えられるようにしておくことが大切です。
株主総会とは、会社に関する意思決定を行うために株主が議案を検討及び決議する機関です。
会社法第295条第1項に、”株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる”と定められているとおり、株主総会の権限は強力です。
株主総会では、大きく分けて以下の3種類の事項が検討されたり決議されたりします。
なお、株主総会は、行使可能議決権の過半数を有する株主が出席することで成立します。
株主総会は定時株主総会と臨時株主総会の2種類があり、種類株式を発行している場合には、種類株主総会の開催が必要なる場合もあります。
現在はオンラインでも出席・参加を認める会社も増えました。
株主総会議事録や株主総会で用いられる資料は、従来は紙面で作成して保管されてきました。
しかし、2019年12月に改正会社法が公布され、「株主総会資料の電子提供制度」も制定されました。
これにより、早ければ2023年に開催される総会から、株主1人1人の許可を取らなくても資料を電子提供することになります。
株主総会資料とは、「株主総会参考資料」「議決権行使書面」「計算書類および事業報告」「連結計算書類」の4種類です。
電子提供制度を利用すれば、以前は株主総会前に1人1人に資料を郵送する手間と費用が省けます。
なお、現在の会社法では株主総会議事録は電子での作成も認められているため、株主総会資料の電子提供を開始するのに併せて、株主総会議事録を電子化する会社が一層増えると予想されます。
株主総会議事録が電子化できれば、保管場所の確保も不要になり管理もより楽になるでしょう。
一般的な株主総会議事録には、会社法施行規則第72条第3項に基づき以下のことを記載することが義務づけられています。
これらを、会議に出席していない第三者が読んでも分かるように記します。
そのため、議事録の作成を行政書士事務所や会計事務所などに依頼する会社も多いです。
株主総会議事録では、出席した取締役等の記名押印をするのが一般的です。
なお、この記名押印は会社法では義務付けられていません。
ただし、会社の定款で株主総会議事録に記名押印することを定めた場合は必要です。
この記名押印は認印でかまわないため、議事録を電子化している場合は電子署名で行えます。
取締役会がない会社は、株主総会で代表取締役を選定する必要があります。
この場合は議事録に押印の義務があり、しかも議長と出席取締役全員が実印で押印を行わなければなりません。
この場合は、電子署名が認められないので注意しましょう。
なお、代表取締役が重任する場合には、議長と出席取締役全員の実印は必要ありません。
代表取締役が会社の実印を押せばすみます。
ここでは、株主総会議事録についてよくある疑問と、その回答を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
会社法では、議事録への押印を特に定めてはいません。
しかし、会社の定款で株主総会議事録への記名・押印を定めている場合は押印が必要です。
なお、定款で定めていなくても議事録の正当性や真正を示すために議長や出席した取締役の記名押印をする会社が大部分です。
議事録を作成する取締役は、「当該株主総会の開催時に取締役の権限がある人」であれば誰でもかまいません。
代表取締役でも平取締役でも可能です。
ただし、当該等株主総会で取締役の交代が行われた場合、たとえ承認されても株主総会中に取締役に認められた人は議事録を作成する権限はありません。
逆に、当該株主総会中に任期が終了して「前取締役」の肩書きになる場合でも、その株主総会が終了するまでは取締役の権限があるため議事録を作成することが可能です。
1人会社とは、株主・取締役・従業員を1人で兼ねる形式の会社のことです。
1人会社の場合、株主総会を開いても参加するのは自分1人ですから、議事録作成も無駄に思えるかもしれません。
実際、1人会社の場合は書面決議・書面報告(みなし決議)を行えば、株主総会を省略できますが、議事録作成は省略不可です。
したがって、議事録作成を持って株主総会に当てましょう。
もちろん、電子で作成することも可能です。
保管期間は株主が複数いる会社と同じく10年間です。
なお、1人会社だからといっていい加減に議事録を作成してはいけません。
前述した株主総会議事録に記さなければならない事柄は、全て記載してください。
現在はインターネット上で議事録のひな形も公開されていますので、それを利用してもいいでしょう。
株主総会議事録を電子化するには、電子署名が必要です。電子署名であれば何でもよいわけではなく、法務省で定めている電子証明書の記録を利用できる媒体で行った電子署名でなければなりません。
詳しくは、法務省のサイトの該当ページを参考にしてください。
電子証明書の記録を利用できる電子署名を行うサービスを提供している会社の中には、議事録を作成するサービスも同時に提供しているところもあります。
これから開催される株主総会議事録を電子化するには、議事録作成サービスを利用するのが最も簡単です。
パソコンで書類を作成するような感覚で、株主総会議事録も作成できます。
このほか、マイナンバーカードを利用する公的個人認証サービスによる電子署名も可能なので、取締役全員がマイナンバーを所持している場合は、マイナンバーを利用した電子署名を行い、議事録を作成してもいいでしょう。
【参考】法務省:ご利用の手引き|商業・法人登記の申請書の添付書面を電磁的記録で作成している場合について
株主総会議事録は、会社法によって電子化が認められています。
代表取締役の選定を株主総会で行った場合など一部の例外を除き、電子証明の記録を利用できる電子署名を行えば、容易に電子化することができるでしょう。
2023年より「株主総会資料の電子提供制度」も本格的に始動する予定です。
今まで紙面で議事録を作成し、保管していた会社も議事録の電子化を検討してみるのがおすすめです。
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