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土地の売買契約を締結する際は、一般的に「土地売買契約書」を作成します。土地は高額な資産ですので、購入・売却時に損失を被らないよう、取引に関する知識を深めておくことが大切です。
ここでは、法人の土地売買契約における契約書の雛形を紹介し、契約書を作成する際の注意点等を解説します。
「土地売買契約書」とは、土地の売買契約時に作成する書類です。
似たような契約書に「不動産売買契約書」がありますが、両者は契約の対象が異なります。土地売買契約書の対象は土地のみ、不動産売買契約書の対象は土地と建物です。
高額な資産の取引であり、かつ交渉によって条件をまとめる土地売買契約では、契約書が重要な役割を担っています。契約書の雛形や記載項目、注意点等を次の章から解説しますので、ぜひ契約時の参考にしてください。
土地売買契約書のテンプレートをご用意しましたので、ぜひ参考にしてください。
土地売買契約書
株式会社○○(以下「売主」という)と△△株式会社 (以下「買主」という)との間に次の通り土地売買契約を締結する。
第1条(売買の目的)
売主は、自己が所有する末尾に記載の土地(以下「本土地」という)を買主に売り渡し、買主はこれを買い受ける。
第2条(売買面積)
本土地の売買代金は公募面積によるものとし、実測と違いが生じても売主・買主ともに異議を述べないものとする。
第3条(売買代金)
売買代金は、金 円(1㎡当たり金 円)とする。
第4条(売買代金の支払い)
買主は、第3条に規定する本土地の売買代金を、 年 月 日までに売主へ現金で支払う。
第5条(手付金)
1.買主は、本契約締結と同時に売主に対し手付金として金 円を支払い、売主はこれを受領した。
2.この手付金は解約手付けとし、売買代金支払い時にその一部に充当する。
第6条(引き渡し)
売主は、買主に本土地を売買代金全額の受領と同時に引き渡す。
第7条(所有権移転登記)
1.本土地の所有権は、第6条の規定による引き渡しと同時に売主から買主へ移転する。
2.売主は、本土地の所有権移転登記手続きに必要な一切の書類を買主に交付し、買主の確認を得た上で、両者協力して所有権移転登記を完了させるものとする。
第8条(危険負担)
天災地変等の不可抗力その他売主および買主のいずれの責にも帰し得ない事由により本土地が滅失・毀損したときの損害は、第6条の規定による本土地の引き渡し前においては売主が負担し、引き渡し後においては買主が負担する。
第9条(公租公課・費用の負担)
1.本土地の公租公課は土地の引き渡し日をもって日割計算とする。
2.本契約書に貼付する収入印紙は、売主、買主が平等に負担するものとする。
3.所有権移転にかかる登記費用は買主の負担とする。
第10条(完全な所有権移転の保証)
売主は第7条に規定する所有権移転登記完了までに、本土地に存する抵当権、質権、借地権、その他買主の完全な所有権の行使を妨げる全ての負担を自己の費用で除去し、完全な所有権を移転するものとする。
第11条(契約不適合責任)
1.買主は、買主に引き渡された本土地が品質に関して契約の内容に適合しないこと (以下「契約不適合」という)がある場合は、売主に対し、本土地の修補にかかる費用を請求することができる。
2.買主は、前項の修補に代え、または前項の修補とともに売主に損害賠償を請求することが
できる。ただし、契約不適合がこの契約および取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
3.買主は、本物件の引き渡しを受けてから 2 年以内に売主に本物件に契約不適合がある旨の通知をしなかったときは、売主に対して本条に定める権利を行使できないものとする。ただし、売主が引き渡しのときにその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない
第12条(契約の解除)
売主または買主において下記各号のいずれかに該当したときは、相手方は何らの催告なくして直ちに本契約を解除することができる。
なお、この解除は損害賠償の請求を妨げない。
1.本契約の条項に違反したとき
2.手形・小切手を不渡りにする等支払停止または支払不能の状態に陥ったとき
3.差し押え・仮差し押え・仮処分・競売等の申し立てを受けたとき
4.破産・会社更生・民事再生または特別清算の手続き開始の申し立てがあったとき
5.その他前各号に類する不信用な事実があったとき
第13条(管轄裁判所)
本契約にかかる紛争に関する訴訟は、本土地の所在地を管轄する地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする。
第14条(協議事項)
本契約に定めのない事項または本契約の条項の解釈について疑義が生じた事項については、売主および買主は、民法その他の関係法令および慣行に従い、誠意をもって協議の上、処理解決する。
本契約締結の証として本書2通を作成し、売主・買主両者記名捺印の上、各1通を保有する。
令和 年 月 日
【売主】
【買主】
【土地の表示】
所在 | |
地番 | |
地目 | |
地積 |
(※)あくまでもご参考程度にお使いください。
先ほど紹介した土地売買契約書に記載の条項について、概要を表にまとめました。こちらも契約書を作成する際の参考にしてください。
条項 | 概要 |
---|---|
売買の目的 | 売買契約の目的を明確にする |
売買面積 | 公募売買・実測売買のどちらを採用するか明記する |
売買代金 | 売買代金の総額と1m2あたりの代金 |
売買代金の支払い | 売買代金の支払い日・支払い方法に関する取り決め |
手付金 | 手付金の支払いに関する条項 |
引渡し | 売買代金の受領と同時に引渡す旨を明記する |
所有権移転登記 | 所有権移転登記に関する取り決め |
危険負担 | 自然災害等、売主・買主いずれの過失にもよらない状況下で土地が滅失した場合の取り決め |
公租公課・費用の負担 | 売買契約にかかる税金・費用の負担 |
完全な所有権移転の保証 | 売主が引渡しまでに所有権以外の権利を排除する旨を明記 |
契約不適合責任 | 売主の契約不適合責任※に関する条項 |
契約の解除 | 契約解除できる場合の条件を明記する |
管轄裁判所 | 裁判時の管轄裁判所についての取り決め |
協議事項 | 契約に定めていないトラブル等が生じた場合の取り決め |
※契約不適合責任:契約不適合とは、契約内容と現況が一致していないことです。契約不適合が生じた場合、買主は売主に対して修補のための費用や売買代金の減額を請求することができます。
(参考)JACMO
(参考)遠藤秀雄税理士事務所
(参考)全宅連
土地売買契約書には、収入印紙を貼付する必要があります。売買契約書に貼付する収入印紙代は、印紙税と同義です。
印紙税は、以下の通り、契約書に記載された金額に応じて税額が決められています。
【印紙税額の一覧】
契約金額 本則 軽減措置 ※ 1万円未満 非課税 1万円以上10万円以下 200円 200円 10万円超え50万円以下 400円 50万円超え100万円以下 1,000円 500円 100万円超え500万円以下 2,000円 1,000円 500万円超え1,000万円以下 1万円 5,000円 1,000万円超え5,000万円以下 2万円 1万円 5,000万円超え1億円以下 6万円 3万円 1億円超え5億円以下 10万円 6万円 ※2024年3月31日までに作成された契約書には、軽減措置がとられます。
引用元:国税庁「契約書や領収書と印紙税」
土地売買契約の流れと必要書類について、売主・買主それぞれの目線で解説します。
土地を売却する際の流れ・必要書類等は以下の通りです。
※不動産会社に仲介を依頼する場合に締結する契約です。
※法人の場合、登記事項証明書、印鑑登録証明書等です。詳細は不動産会社へお尋ねください。
上記の必要書類等の他、収入印紙代や仲介手数料といった諸費用も準備します。
土地を購入する際の流れ・必要書類等は以下の通りです。
※不動産会社に仲介を依頼する場合に締結する契約です。
※法人の場合、登記事項証明書、印鑑登録証明書等を指します。詳細は不動産会社へお尋ねください。
上記の他、売買契約時に支払う手付金や仲介手数料の半額、決済時に支払う精算金や売買代金を準備します。
土地の価格は、1m2あたりの単価に面積をかけて算出する仕組みです。土地売買契約では、「公募売買」と「実測売買」という2つの考え方があり、いずれかの方法で価格を決定します。
【公募売買・実測売買】
公募売買:登記簿上の面積に基づいて売買代金を確定する方法
実測売買:実際の面積に基づいて売買代金を確定する方法
公募売買は、広大な土地の売買契約時に採用されるケースが多くなっています。公募売買で契約する際は、登記簿上の面積と現況の面積が乖離していても差額分の精算を行いません。
登記簿上の面積は、必ずしも現況の面積と一致しているとは限らない点に注意が必要です。正確な面積で売買するためには、実測売買を採用することをおすすめします。
実測売買の場合、契約締結時までに測量を実施する方法と、登記簿上の面積を基に概算価格で契約を締結し、決済時までに測量を実施する方法があります。
土地売買契約書の作成が必要な理由は、「言った・言わない」のトラブルを防ぐためです。本来、契約書を作成しなくても契約は成立します。しかし、土地は高額な資産であるため、契約後にトラブルが生じかねません。
万が一のトラブル発生時に備えて、契約内容を書面に残しておくことが重要です。
また、契約後の手続きやトラブル発生時の対応は、契約書に基づいて行います。自社に不利な内容で契約しないためにも、契約書を作成する際の注意点を確認しておきましょう。
土地売買契約書を作成する際の注意点は、次の章で解説します。
土地売買契約書を作成するにあたって、注意するべき点をまとめました。3つご紹介するので、契約書作成時の参考にしてみてください。
売主は、買主に対して契約不適合責任という責任を負っています。契約不適合責任とは、契約書の内容と土地の現況が一致しない場合に、修補のための費用を売主が負担することです。
契約不適合の場合、買主は売主に対して減額請求や損害賠償請求をできる場合もあります。
自社が売主の場合、法令上の建築制限や土壌汚染、地中の埋設物など、土地の不具合を契約書に明記しておきましょう。
土地の測量には、隣地所有者立ち会いの下で境界を確定し、確定測量図を作成する「境界確定測量」と、隣地所有者の立ち会い不要の「現況測量」があります。
実測売買では境界確定測量を行いますが、必要書類の準備や隣地所有者との日程調整などにより、数カ月かかる場合があります。
また、境界確定において、必ずしも隣地所有者の協力を得られるとは限りません。
自社が売主の場合、隣地所有者の許可を得る前に契約書に「隣地所有者の立ち会いの下、境界を明示する」旨を明記すると、後に債務不履行となるリスクがあります。契約書にこの文言を記載する場合は、隣地所有者の許可を得ているか確認することが大切です。
公募売買は、登記簿上の面積で売買代金を確定します。しかし、登記簿上の面積と現況の面積が乖離していることは珍しくありません。
契約後のトラブルを防ぐために、「登記簿上の面積と実測面積が相違していても、相手方に対して売買代金の増減等の請求を行わない」旨を記載しておきましょう。
土地売買契約は、不動産会社に取引の仲介を依頼するケースが一般的ですが、仲介を挟まずに個人間で締結することも可能です。
ただし、不動産は権利関係が複雑で、取引に専門知識を要します。手続きのミスやトラブルが生じやすいため、取引の専門家である不動産会社を挟んだ方が安全です。
土地の売買契約において、土地売買契約書は重要な役割を担っています。契約時のトラブルを防ぐために、買主側であっても、売主側であっても、取引に関する理解を深めておきましょう。
また、土地売買契約においては、仲介手数料、印紙税、登録免許税といった諸費用がかかります。経費削減を検討しているなら、電子契約サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
電子契約を用いた場合、契約書の印紙税がかかりません。
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