
開業届の郵送に切手はいくら必要?
開業届を郵送する場合は必要書類が増える?
開業届を郵送する際の注意点は?
開業届は、郵送での提出が可能です。税務署窓口での手続きと必要書類と準備が異なるため、上記のような疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
2025年1月から、国税庁のDX推進により収受日付印の押印が廃止され、開業届の控えを受領できなくなりました。郵送に必要な書類が変わったため、最新の手続きを確認したい人も多いでしょう。
この記事では、開業届を郵送で提出するための必要書類や準備方法、注意点を解説します。郵送と同様に税務署へ行かずに済むオンライン手続きも紹介します。
開業届は、個人事業主として開業するために必要な書類であり、滞りなく進めたい人は、ぜひ参考にしてください。
開業届とは?
開業届とは、個人事業主が事業を開始した際に税務署へ提出する必要がある書類です。おもに所得税の申告や青色申告の承認を受ける際に必要になります。
提出は事業開始から1カ月以内を推奨されていますが、遅れても罰則はありません。
開業届を郵送で提出するメリット
開業届を郵送で提出するメリットは3つあります。以下の表にまとめました。
メリット | 具体的な内容 |
---|---|
税務署に行く手間を省ける | 移動時間や交通費を節約できる |
時間や場所を選ばずに手続きできる | 平日の日中に時間が取れなくても手続きできる |
配達記録が残る | 書留郵便の利用で提出記録が確認できる |
開業届を郵送で提出するデメリット
開業届を郵送で提出するデメリットは、以下の3つです。
デメリット | 具体的な内容 |
---|---|
処理に時間がかかるリスク | 書類不備で手続き開始が遅くなる |
郵送中の紛失リスク | 普通郵便で手続きした場合に紛失するリスクがある |
誤郵送のリスク | 宛先間違いや住所不備により発生 |
郵送で提出する際は、書類不備や郵送手続きの不備によるリスクに注意が必要です。書類不備が発生すると返送されて再送する手間が発生するため、処理完了までに多くの時間を費やしかねません。
郵送で開業届を提出する方法
開業届を郵送で提出する際には、必要な書類を正確にそろえ、適切な手順で準備して郵送することが重要です。不備があると窓口に行く手間を省いたにもかかわらず、余計な時間がかかってしまいかねません。
確実に手続きを進めるため、開業届を郵送で提出する方法を確認しておきましょう。
郵送提出に必要な書類
郵送で開業届を提出する際に同封すべき書類は、以下の通りです。
必要書類 | 内容 |
---|---|
開業届 | 正本1部 |
マイナンバーカードの両面コピー | マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーが確認できる書類 |
本人確認書類のコピー | マイナンバーカードがない場合のみ運転免許証、パスポート(※)など |
2024年までは開業届控えの返送用として、開業届の正本と控えのコピー、返信用封筒を送付していました。しかし、2025年1月以降は開業届の控えへの収受日付印の対応がないため、送付しても返送されません。
提出先が同じで一緒に提出できる書類
開業届以外にも、事業の種類や税務関連の手続きに応じて必要な書類があります。提出先は同じであり、一緒に提出すれば一度の手続きで済むため、該当する場合は同封しましょう。おもな書類を下表にまとめました。
書類 | 提出期限 | 概要 |
---|---|---|
青色申告承認申請書 | 事業開始から2カ月以内 | 青色申告を行うために必要 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 事業開始から2カ月以内 | 同居家族を青色専従者として給与を支払う場合に経費とするために必要 |
給与支払事務所等の開設届出 | 開設日から1カ月以内 | 給与等の支払事務を行う事務所等を開設した場合に必要 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 特に期限なし(適用を受けたい時期まで) | 給与を支払うべき従業員が常時10人未満の場合に必要な月次の源泉所得税の納税を年2回に、それぞれ6カ月分をまとめて行うための申請書 |
事業内容や確定申告の種類によって提出の必要性が異なるため、詳細は税務署や税理士に相談するとよいでしょう。
(参考:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき |国税庁)
郵送するために準備する手順
開業届を郵送で提出する手順は以下の通りです。
- 開業届を記入する
- 必要書類をそろえる
- 封筒を準備する
- 税務署を確認する
- 郵送する
まずは、国税庁のホームページから開業届をダウンロードするか、税務署窓口で入手します。記入漏れによる不備の返却を防ぐため、ていねいな記入と確認を行いましょう。
必須事項の記入同様に必要書類の準備も欠かせません。前述した本人確認書類や同封できる書類を確認してください。書類の内容にあった適切なサイズの封筒を準備しましょう。
送付先は納税地を管轄する税務署になるため、税務署の住所を国税庁のホームページで確認し、正確な記入が大切です。
封筒を正しく準備する
開業届を郵送する際には、適切な封筒と郵便料金を選択し、正しい宛名を記載することが重要です。ここでは、封筒のサイズや郵便料金、宛名の書き方について詳しく解説します。
封筒のサイズと郵便料金の確認
封筒は、一般的な開業届のサイズであるA4の用紙を折らずに入る「角2封筒」または、折り曲げて入れる「角3封筒」を使用します。
下表のとおり、封筒のサイズによって郵便料金が異なるため、切手がいくら必要か正確に把握しましょう。
種別 | 重量 | 料金 |
---|---|---|
定形郵便 | 50g以内 | 110円 |
定形外郵便 | 50g以内 | 140円 |
100g以内 | 180円 | |
レターパックライト(追跡のみ) | ー | 430円 |
レターパックプラス(交付記録+追跡) | ー | 600円 |
定形郵便または定形外郵便を簡易書留で送付する際には、上記料金に加えて350円の追加料金が必要です。レターパックでは、交付記録が残るレターパックプラスを利用すると安心でしょう。
信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」と法律で定義されています。
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宛名の正しい書き方
封筒の宛名は、納税地を管轄する税務署の住所を国税庁のホームページで確認します。誤郵送にならないように正確に記入することが必要です。
封筒の表面には「開業届在中」と赤字で明記しましょう。配達員が税務署のどの部署に届けたらよいか明確になり、スムーズに届けられます。
2025年から開業届の控えがもらえなくなった?
2024年までは開業届を2部送付し、税務署は収受日付印を押した1部を同封された返信用封筒で送付していました。そのため、返送された書類を開業届の控えとして保管できていました。
2025年1月から国税庁のDX推進により申告書などの控えへの収受日付印の押印が廃止されたため、開業届の控えを保管できません。代替手段としては、郵便追跡記録やコピーした開業届の保管が考えられるでしょう。
(参考:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて | 国税庁)
e-Taxを利用したオンライン提出
開業届を提出する方法には、郵送以外にも窓口に行かずに提出する方法があります。国税庁が提供する電子申請システムであるe-Taxを利用して提出する方法です。
非対面で手続きが完結するという点では同じですが、郵送よりも確実に手続きできます。ここではe-Taxを利用したオンライン提出について解説します。
e-Taxを利用するメリット
郵送手続きとの違いは、下表のとおりです。
e-Tax | 郵送 | |
---|---|---|
提出方法 | インターネット申請 | 書類を郵送 |
受付時間 | 24時間365日 | 税務署の受付時間内 |
書類への入力 | 自動チェック機能あり | 手動でチェック |
控え | 受信通知 | なし |
e-Taxを利用した提出であれば、郵送提出よりも時間を気にせず手続きできます。24時間365日受付できるため、税務署の営業時間を気にする必要がありません。土日祝日を加味したスケジュール調整が不要になります。
また、フォームに入力することで自動チェック機能が働き、入力ミスでの提出を防いでくれます。印刷や移動の手間、郵便代金もかからないため、時間とコストを省くことが可能です。
受信通知が発行されるため、開業届の控えとして利用できます。2025年1月からの収受日付印の押印が廃止になっており、公式な控えとしては受信通知のみになります。
e-Taxを利用するための準備
e-Taxを利用するために必要なものは、以下の通りです。
- マイナンバーカード
- カードリーダーライター
- マイナポータルアプリ
e-Taxの利用には、マイナンバーカードが必須です。カードリーダーライターはマイナンバーカードの読み取りに利用します。または、マイナンバーカードの読み取りに対応したマイナポータルアプリの入ったスマートフォンが必要です。
次に申請手続きでは、マイナンバーカードに格納された電子証明書で本人確認を行います。最後にe-Taxソフトをインストールして準備が完了です。
e-Taxを利用した提出
e-Taxで開業届を提出する流れは以下の通りです。
e-Taxソフトを起動し、開業届を選択して必要事項を入力します。自動チェック機能により入力ミスを修正しながら作成することが可能です。
次にパソコンに接続したカードリーダーライターにマイナンバーカードをセットします。読み取ったあと、電子署名を行って送信すれば完了です。
オンラインサービスを活用した効率化
e-Taxだけでなく、開業届の提出をオンラインで完結できるサービスも数多く提供されています。代表的なサービスとして2つ挙げます。
freee開業 | マネーフォワードクラウド開業届 | |
---|---|---|
価格 | 無料 | 無料 |
おもな特徴 | 7つの質問で簡単入力 | フォームに沿って入力最短5分で入力 |
それぞれのサービスに特徴があるため、ご利用の際には、ご自身の状況にあったサービスを利用するとよいでしょう。
郵送提出のポイントを確認し、e-Taxの利用も検討しましょう
開業届は郵送での提出が可能です。開業届を郵送で提出するメリットは、以下の3つです。
- 税務署に行く手間を省ける
- 時間や場所を選ばずに手続きできる
- 配達記録が残る
一方で、デメリットが3つ生じます。
- 処理に時間がかかるリスク
- 郵送中の紛失リスク
- 誤郵送のリスク
開業届を郵送で提出する際は、手続きをミスすると、税務署から返送されて再送するなど、余計な手間と時間がかかりかねません。郵送で提出する際に必要な書類と郵送手続きのポイントを確認し、正確に手続きを進めましょう。
また、2025年1月より国税庁のDX推進の一環として、申告書などの控えへの収受日付印の押印が廃止されました。
このため、開業届のコピーに収受日付印を押印してもらえず、控えとして保管できません。
正式な開業届の控えとして、e-Taxのオンライン提出による受信通知が取り扱い可能です。開業届の控えとして保管したい人はe-Taxの利用を検討しましょう。
e-Taxによるオンライン提出は郵送提出にはない利便性や安全性があります。ご自身の状況に応じて開業届の提出方法を判断しましょう。
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