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デジタル改革関連法とはどのような法律?書面化義務の緩和で電子契約が普及する?

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デジタル化は国を挙げて推し進められています。その一環として、2021年5月に成立したデジタル改革関連法案があります。

デジタル改革関連法というと行政手続きがデジタル化されると思っている人もいるでしょうが、公的機関だけにとどまりません。今回の法案成立はいろいろな業界に関係してくるので、どのような法律なのか理解しておいて損はありません。そして法律の施行で、特に電子契約が普及していくと考えられます。

目次

デジタル改革関連法を簡単に解説

デジタル改革関連法は、デジタル社会の推進を目的として、2021年5月12日に参議院で可決された法律のことです。デジタル改革関連法の中の一つに「デジタル社会形成整備法」があります。こちらの法律では押印や書面に関わる法改正が盛り込まれているのが特徴です。デジタル改革関連法の成立により、電子契約への段階的な移行を目指すことが明確になりました。

デジタル改革関連法の背景とは?

なぜ今回デジタル改革関連法が成立したのか、その背景としてDX推進が挙げられます。官民関係なくデータの活用が進んでいるのですが、現行法ではこのDX推進の足を引っ張る部分がありました。新型コロナに関する給付金の遅れ、マイナンバーシステムを使った申請トラブルなどいずれもデジタル化が進んでいないことに起因する問題でした。

一方でサイバー攻撃によって個人情報や機密情報が漏洩するトラブルも少なくありません。今までよりも効率的にデジタルを活用しつつ、データの悪用を抑止する仕組みづくりが必要になりました。ですから当時の菅総理大臣はデジタル改革関連法の成立を急いだといわれています。

デジタル改革関連法について

デジタル改革関連法は6つの関連法案で構成された法案を指します。

  • デジタル社会形成基本法デジタル庁設置法
  • デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律
  • 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律
  • 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律
  • 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律
  • 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律

以上、6つの法案です。

デジタル改革関連法の6つの法律について解説

デジタル改革関連法は6つの法律によって構成されています。それぞれどのような法律なのか、正確に理解しておくことは大事です。

デジタル社会形成基本法

デジタル社会形成基本法 ※IT基本法は廃止
「デジタル社会」の形成による我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現等を目的とする
✓ デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針、国、地方公共団体及び事業者の責務、デジタル庁の設置並びに重点計画の策定について規定

〔IT基本法との相違点〕
・ 高度情報通信ネットワーク社会 → データ利活用により発展するデジタル社会
・ ネットワークの充実+国民の利便性向上を図るデータ利活用(基本理念・基本方針)
・ デジタル庁の設置(IT本部は廃止)


⇒デジタル社会を形成するための基本原則(10原則)の要素も取り込んだうえで、デジタル社会の形成の基本的枠組みを明らかにし、これに基づき施策を推進
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

デジタル社会を形成する意義や持続的で健全な日本経済の発展、国民生活を幸福実現するにあたってのデジタル社会の果たす役割などを説明するための法律です。10原則の基本理念を掲げています。一方でこれまで施行されてきたIT基本法については廃止になりました。

デジタル庁設置法

デジタル庁設置法
強力な総合調整機能(勧告権等)を有する組織。基本方針策定などの企画立案、国等の情報システムの統括・監理、重要なシステムは自ら整備
✓ 国の情報システム、地方共通のデジタル基盤、マイナンバー、データ利活用等の業務を強力に推進
内閣直属の組織(⾧は内閣総理大臣)。デジタル大臣のほか、特別職のデジタル監等を置く

デジタル社会の形成に関する司令塔として、行政の縦割りを打破し、行政サービスを抜本的に向上
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

法律名の通りで、デジタル庁を新設するための法律です。デジタル社会を実施するための庁で、デジタル改革を推進するための司令塔の役割を果たします。組織の形態についてもこの法律の中で定められています。デジタル庁のトップは内閣総理大臣で、国並びに自治体の情報システムの導入や管理の権限を持つことと定められています。

デジタル社会の形成を図るための関連法律の整備に関する法律

デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律
✓ 個人情報関係3法を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の制度についても全国的な共通ルールを設定、所管を個情委に一元化(個人情報保護法改正等)

押印・書面手続の見直し(押印・書面交付等を求める手続を定める48法律を改正)
医師免許等の国家資格に関する事務へのマイナンバーの利用の範囲の拡大(マイナンバー法等改正)

郵便局での電子証明書の発行・更新等の可能化(郵便局事務取扱法改正)

✓ 本人同意に基づく署名検証者への基本4情報の提供、電子証明書のスマートフォンへの搭載(公的個人認証法改正)

✓ 転入地への転出届に関する情報の事前通知(住民基本台帳法改正)

マイナンバーカードの発行・運営体制の抜本的強化(マイナンバー法、J-LIS法改正)
⇒官民や地域の枠を超えたデータ利活用の推進、マイナンバーの情報連携促進、マイナンバーカードの利便性の向上・普及促進及びオンライン手続の推進、押印等を求める手続の見直し等による国民の手続負担の軽減等
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

「デジタル社会形成整備法」といわれる法律です。個人情報保護法の改正やマイナンバーカードに関する法律を一元化しています。マイナンバーカードは自治体ごとにルールに違いが見られましたので、画一化されているのが特徴です。よく「脱ハンコ化」とメディアで取り上げられることもあったでしょう。その行政手続きバージョンと考えればいいです。

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録に関する法律

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律
希望者において、マイナポータルからの登録及び金融機関窓口からの口座登録ができるようにする
緊急時の給付金や児童手当などの公金給付に、登録した口座の利用を可能とする

⇒国民にとって申請手続の簡素化・給付の迅速化
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

「公金受取口座登録法」と呼ばれることの多い法律です。公的給付金の受け取り手続きを簡略化する法律で、受給までの時間の短縮が可能になります。マイナンバーと銀行口座をオンライン申請手続き化することで、短時間で受給できる仕組みづくりを進めるための法律です。

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理に関する法律

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律
本人の同意を前提とし、一度に複数の預貯金口座への付番が行える仕組みや、マイナポータルからも登録できる仕組みを創設
相続時や災害時において、預貯金口座の所在を国民が確認できる仕組みを創設

⇒国民にとって相続時や災害時の手続負担の軽減等の実現
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

こちらは「預貯金口座管理法」と呼ばれることも多い法律です。預貯金者の意思に基づき、金融機関がその預貯金口座の管理を行う際に適用される法律です。マイナンバーカードを使って金融機関に管理申請を行うとその情報はダイレクトに預貯金保険機構に送られます。そしてそのほかの預貯金口座は申請なしでもマイナンバーによる管理が可能になりました。従来は金融機関ごとに手続きを繰り返し行わないといけなかったので、大幅に手間が省けます。

地方公共団体情報システムの標準化に関する法律

地方公共団体情報システムの標準化に関する法律
✓ 地方公共団体の基幹系情報システムについて、国が基準を策定し、当該基準に適合したシステムの利用を求める法的枠組みを構築

⇒地方公共団体の行政運営の効率化・住民の利便性向上
【引用】https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

これまで住民基本台帳や児童手当、生活保護などの行政サービスのルールは、自治体によってまちまちでした。そのルールを一元化するのが目的の法律です。情報システムを統一化していきます。

デジタル庁について解説

デジタル改革関連法の成立によって、デジタル庁が新たに設置されることになりました。デジタル社会を実現するためのかじ取り役を担当する庁ですが、どのような組織体制で何を目指すのでしょうか?

デジタル庁の組織について

デジタル庁の組織のトップは内閣総理大臣です。そのうえで大臣や副大臣、大臣政務官、デジタル監、デジタル審議官などを置く、内閣直属の組織になります。人材の約1/5を民間から登用するのも特徴の一つです。またCTOやCDOといった役職を設置することと、法律で定められています。この辺は民間企業に近い組織形態になっているといえます。

デジタル庁の果たす役割

デジタル庁の基本的な考え方は、デジタル社会の実現に向けた組織であるというものです。強力な総合調整機能を持っているのが特徴で、関連する行政機関に対して勧告権の行使も可能です。

ただし根本的なデジタル社会実現の考え方として、デジタル社会推進の主役は民間であるという点も明確です。デジタル庁は、デジタル社会を実現するための環境づくりを行う組織という位置づけになります。官民が役割分担して、デジタル社会実現の一翼を担う格好です。また国と地方自治体の橋渡し役も期待されています。

デジタル庁の具体的な業務

デジタル庁の業務ですが、主に7つの分野に分けられます 。

  • 情報システムに関する基本的な方針を策定する
  • 全国規模のクラウド移行に向けた企画や総合調整
  • マイナンバー制度の企画立案
  • 民間や準公共部門のデジタル化のサポート
  • データ利活用の企画立案
  • サイバーセキュリティ専門チームの設置
  • 国家公務員総合職試験へのデジタル区分の創設の要請などデジタル人材の確保

以上の7つです。

デジタル改革関連法やデジタル庁の影響

デジタル改革関連法やデジタル庁が作られたことで、一見すると私たちの日常生活とあまり関係ないように思えるかもしれません。しかし私たちの日常生活も大きく変わる可能性があります。特に注目しなければならないのは、マイナンバーカードの利用範囲が拡大する点です。

また運転免許証の更新手続きがオンライン化する、国家資格証のデジタル化も進むとみられています。行政手続きというと、非常に面倒なものというイメージを持っている人も多いでしょう。デジタル改革関連法やデジタル庁の登場によって、今まで以上に手続きが簡略化される可能性が高いです。

デジタル改革関連法と電子契約の関係性について

デジタル改革関連法の成立によって、電子契約が認められるようになったのも私たちの生活に密接に関係してくるポイントの一つです。

デジタル改革関連法の一つに「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」がありました。この中で押印と書面の交付等を求める手続きの見直しがなされました。どのような部分が変更されたか、理解しておきましょう。

主な変更内容

デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律によって、押印義務が廃止される、書面化義務の緩和が行われます。例えば戸籍の届け出関連書類にこれまであった押印義務がなくなりました。

また宅地建物取引業法では、重要事項説明書の押印義務がありましたが、これも廃止されました。さらに媒介契約書の書面化義務の緩和もなされています。マンション管理に関しても同様の制度緩和が行われています。

通関業法にある税務署に提出する通関書類への押印義務社会保険労務士法に基づく行政機関に提出する申請書の押印義務といずれも廃止になりました。このように押印義務が廃止され、書面化する必要がなくなり、手間を省くことが可能になりました。

電子取引要件にのっとった保管は必要

今回の法律成立によって、電子契約書などが認められました。しかし電子契約した場合、これは電子取引の一環とみなされます。ですから電子取引要件にのっとった保管が必要になるので注意してください。最低7年間はデータ保存が求められるので、保管方法には細心の注意を払ってください。

電子契約サービスを導入するには?

デジタル改革関連法で押印義務や書面化義務の廃止や緩和が行われました。このため、これまで認められなかった電子契約の導入も可能になりました。実際電子契約を導入する企業は増加傾向にあります。電子契約の導入を検討しているのであれば、基本的な流れについて理解しておきましょう。

管理体制の可視化

電子契約を導入する前に、現時点における契約書の管理体制を見直しましょう。どのような契約書を取り扱っているのか、契約書作成や業務フロー、管理方法など多角的に把握することです。管理体制を可視化しておくと、スムーズかつ一括で電子化が行えます。

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電子契約の適用範囲

これまでの契約書をすべて電子契約にするのも一つの方法です。しかし場合によっては、取引先の一部からは電子契約に同意してもらえない可能性があります。その場合、一部を電子契約にして残りは従来通り書面による手続きになるでしょう。どこまでを電子化するか、その範囲を明確にしておきましょう。

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電子契約サービスを決定する

電子契約サービスはすでにいろいろなところが提供しています。それぞれに異なる特徴を有しているので、自分たちのやり方に最もマッチするサービスはどれか、慎重に検討してください。

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マニュアルを作成する

電子契約を進めるにあたって、社内ルールを決めましょう。そしてマニュアルを作成して、周知徹底しましょう。電子契約を直接担当する部署だけでなく、すべての従業員が理解しておく体制づくりを進めましょう。説明会を設けて周知徹底することも大事です。また取引先に対して電子契約の導入を伝え、理解を得るように努めてください。

まとめ

デジタル改革関連法の施行によって、書面作成義務が緩和される可能性が高いとみられています。一方で電子契約書を作成する頻度も増えてくるでしょう。

システムの導入や社員教育に力を入れてみるのはいかがでしょうか?電子契約の導入によって、契約における事務作業が軽減され、管理も簡略化できる、コスト圧縮効果も見込めます。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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