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アパートやマンションの賃貸借契約の際に、親や家族に保証人となってもらった経験がある方は多いと思います。契約書類に一筆書いてもらうだけというイメージがあるかもしれませんが、実はこのとき債権者(貸主)と保証人の間で保証契約と呼ばれる契約が結ばれているのです。債権者と保証契約を結んだ保証人は、債務者(借主)が、万が一賃料の支払いなどの債務を履行しなかった際に、債務者の代わりに債務の履行を果たさなければなりません。
普段意識することは少ないかもしれませんが、保証契約は日常生活やビジネスにおいて身近な契約形態の一つです。本記事では、保証契約について、保証人の種類や根保証と呼ばれる契約形式の詳細、さらに成立要件や記載事項などあらゆる角度から深く掘り下げて解説します。記事後半では、2020年民法改正による保証契約の新ルールについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
保証契約とは、債権者と保証人との間で取り交わされる契約です。債務者が債務を履行しない場合にその履行を保証するために締結されます。つまり、保証人は債務者に代わって債務を履行する義務を負っているのです。
保証契約には、保証しなければならない本体の契約があります。保証契約を伴う契約には、以下の例が挙げられます。
※契約内容などによっては保証契約を必要としないケースもあります。
保証人の種類には、以下の二つがあります。
単純保証人と連帯保証人の大きな違いは「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」の有無です。
(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
つまり、催告の抗弁権は「まずは債務者に言ってよ!」と要求できる権利であり、検索の抗弁権は「債務者にこれだけの財産が残っていることが証明されたから、まずは債務者に直接請求して!」と要求できる権利ということになります。
単純保証人には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」がどちらも認められます。一方、連帯保証人には抗弁権は認められません。
(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
つまり、連帯保証人は自身が負った債務に対する責任と同等の責任を、債務者の債務に対しても負わなければならないのです。
このように連帯保証人は単純保証人に比べて課される責任が非常に大きいため、連帯保証を負う契約を結ぶ際は注意する必要があります。
保証契約の種類には、以下の二つが挙げられます。
それぞれの違いを詳しく説明します。
特定債務保証とは、契約で定めた特定の債務のみ保証します。一方、根保証とは、保証対象となる債務が継続的で取引関係から生じる不特定な債務を保証する契約です。そのため、保証の上限額を決めて、生じるすべての債務を保証することになります。
根保証では、貸す側と借りる側は債務の保証が継続的になるため、都度保証人契約をしないで済むメリットがあります。しかし、保証人は保証債務の範囲が大きいため予想以上の債務を負うリスクが考えられる点に気をつけましょう。
保証契約と保証委託契約では、契約する対象者や保証する中身が大きく異なります。保証契約とは、債権者と保証人との間で取り交わされる契約であり、債務者が債務を履行しない場合において、その履行を保証するための契約です。
一方、保証委託契約とは、債務者と保証人(保証会社)との間で取り交わされる契約で、債務者は保証委託料を保証人(保証会社)に支払う代わりに、債務者の債務の保証を保証人(保証会社)は負うこととなります。そのため、保証委託契約を締結することによって、本体の契約に保証人が不要になります。
保証契約の主な成立要件は、以下の通りです。
なお、民法446条第2項において、保証契約は「書面を交付しなければその効力を生じない」とあります。しかし、同条第3項で電磁的記録(電子文書)による保証契約や書面によって契約されたものとみなすと記されているため、保証契約は電子契約での締結でも効力を生じます。
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
電子契約の導入手順を知りたい方必見!
【この資料で分かること】
・電子契約の導入手順のイメージがつく
・どの書類から電子化するか、ワークフローの設定はどうするかなど、現在の契約業務フローを電子化に置き換えるイメージができる
保証契約における主な記載事項は、以下の通りです。
保証契約は、本体の契約書と一体となっている場合があります。また記載事項は、保証人の種類によって変わります。保証人となる場合には、必ず契約書を理解したうえで契約するようにしましょう。
なお、厚生労働省が解説付きで保証契約書のひな型(テンプレート)を紹介します。参考にしてみてください。
引用元:厚生労働省ホームページ保証契約書
[ ](以下「保証人」という。)及び[ ](以下「債権者」という。)は、保証人が労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に基づく厚生労働大臣の指定を受けた[ ](以下「指定資金移動業者」という。)より保証委託(以下「本保証委託」という。)を受けたことにより、以下のとおり、保証契約(以下「本契約」という。)を締結する。
<解 説>
本契約は、指定資金移動業者たる保証委託者から委託を受けた金融機関等の保証機関たる保証人及び当該保証委託者の資金移動サービスに係る口座内に残高を有する債権者間において、保証人が当該残高を保証する旨の契約である。
本契約においては、指定要件の一部に関するガイドラインの基準を満たすための規定や実務上一般的な規定(最低限のもの)を置いている。本契約はあくまで様式例として提供するものであり、実際に契約するに当たっては、指定要件やガイドラインの事項を満たす範囲において、個別に契約内容を調整されたい。
なお、本契約は保証契約であるため、書面又は電磁的記録によって締結しなければならないという要式行為である点(民法第446条第1項・第2項)は留意されたい(本書はスマートフォン等において規約という形で表示する方法が採用されることを念頭に、当該規約部分を様式例として示すこととした。実際の契約締結行為としてどのような方法を採用するかは、個別に判断されたい。)。また、本契約は保証人が法人であることを前提に作成しているが、保証人が個人の場合、民法上の取扱いが大きく異なり、契約内容もそれを踏まえなければならないため、留意されたい。
第1条(定義)
1. 本契約において「本サービス」とは、指定資金移動業者が提供する為替取引に係るサービス[ ]であって、債権者を雇用する者(当該者が複数存在する場合はいずれの者も含む。以下同じ。)の債権者に対する労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものをいう。
2. 本契約において「本口座」とは、本サービスを利用する者が保有する口座[ ]であって、債権者を雇用する者の債権者に対する労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものをいう。
<解 説>
本条は、本契約における一定の用語の定義を定めるものである。括弧内には、資金移動サービスの名称(第2項)、その口座の名称(第3項)を記載されたい。
本契約においては、資金移動業者による資金移動サービスやその口座について、大臣指定を受けた資金移動業者によるもので、かつ労働基準法第24条第1項に基づく賃金支払いの方法として利用されるものに限定している。なお、債権者を雇用する者が複数存在する場合であっても、本口座内に送金された後における債権者と資金移動業者間の債権債務関係(主債務)は一つであることから、第2条第1項に定める主債務の内容との関係で「債権者を雇用する者」にはいずれの者も含むものとしている。
第2条(保証内容)
保証人は、債権者に対し、下表の「主債務の内容」欄に定める債務(当該債務に関する違約金、損害賠償その他当該債務に従たる全てのものを除く。以下「主債務」という。)について、下表の「元本確定事由」欄に定める元本確定事由発生時点の主債務額を保証する(以下、当該保証に基づく保証人の債権者に対する債務を「保証債務」という。)。
主債務の内容 指定資金移動業者が本口座を保有する債権者に対し、それぞれ本契約成立時及び将来負担する債権者名義の本口座の残高全額(債権者を雇用する者より支払われた賃金相当額に係る部分か否かを問わない。以下同じ。)に係る債務
元本確定事由 指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、更生手続開始の申立て、特別清算開始の申立て若しくは外国倒産処理手続の承認の申立て又は資金決済法第59条第2項第1号に規定する権利の実行の申立て(以下総称して「破産手続開始の申立て等」という。)
<解 説>
本条は、保証内容(主債務の内容等)を定める規定である。
指定資金移動業者の本サービスの仕組みによって、本口座が①賃金専用口座でない場合と②賃金専用口座である場合とに分かれることになるため、両者の違いに即してそれぞれ規定を定めることが考えられる。①の場合、賃金相当額に係る部分か否かを問わない旨を定める必要があるが(ガイドライン第2の2(1)イ参照)、②の場合はその必要はない(ガイドライン第2柱書参照)。実際に契約するに当たっては、各指定資金移動業者の資金移動サービスに応じて、①又は②を選択されたい(本契約では①を前提としている。)。
なお、本契約においては、指定要件との関係では保有口座内の全残高を保証する必要があること(ガイドライン第2の2(1)イ参照)、指定資金移動業者は資金決済に関する法律第36条の2第1項の第2種資金移動業者に限られており(労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号柱書参照)、各債権者の口座残高は最高100万円までしか滞留しないこととされている(資金決済に関する法律施行令第12条の2第1項、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号イ参照)ことから、保証債務に係る極度額を定めていない。また、民法上の保証債務の範囲には、主債務のほか、当該債務に関する利息、違約金、損害賠償その他当該債務に従たるすべてのものが含まれるが(民法第447条第1項)、指定要件の「労働者に対して負担する為替取引に関する債務の全額」(労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号ロ)の保証という観点からは、口座残高全額が保証されていれば足りるため、本契約においても保証債務の範囲を主債務に限定することとした(主債務に従たる債務を含めるか否かは個別に調整されたい。なお、資金移動業という性質上、利息の発生は想定されないことから、規定上特に明示していない。)。加えて、第3条で定めるとおり、保証債務の履行は、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があった場合において行われるものであることから、元本確定事由もその時点としている。
第3条(保証債務の履行)
1. 指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があったときは、保証人は、債権者に対し、直ちに、保証債務の履行に必要な手順を通知するとともに、保証債務の履行請求を勧奨することとする。
2. 前項にかかわらず、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があったときは、債権者は、保証人に対し、保証人が別途指定する手続に従い、保証債務の履行を請求することができる。
3. 前項に基づく履行請求があったときは、保証人は、債権者に対し、当該請求から6営業日以内に保証債務を履行する。
4. 保証人が債権者に対して保証債務を履行したときは、保証人は、保証債務を履行した範囲において、債権者に代位して、債権者の有する一切の権利を行使することができる。
<解 説>
本条は、保証債務の履行に関する規定である。
第1項は、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があったときに保証人が債権者に履行請求の勧奨をする旨を定めるものである(第2の2(4)第2段落)。なお、債権者の請求を要さずに保証債務の履行を行う場合には、債権者に履行請求の勧奨をすることは必須ではないため、削除されたい。
第2項は、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等があったときに債権者が保証人に保証債務の履行を請求することができる旨を定めるものである。なお「前項にかかわらず」としているのは、指定要件において履行請求の勧奨後に履行請求しなければならないといった条件はなく(労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号ロ参照)、前項はあくまで債権者に対する情報提供の一環にすぎないものであるためである(ガイドライン第2の2(4)参照)。また「保証人が別途指定する手続に従い」としているのは、各保証人において保証債務履行時に必要な情報(振込先等)があることが想定されるため、そのような情報を債権者に求めた上で保証債務を履行するというプロセスを定めたものである。もっとも、本契約締結時に債権者の振込先を登録させる場合のように、保証人において保証債務履行時に必要な情報を把握できる仕組みがある場合は、「別途指定する手続」を不要とし、更に言えば、債権者の請求がなくとも保証債務を履行することでも差し支えない(なお、債権者の請求を要さずに保証債務の履行を行う旨を定める場合には、第3項における履行時期は「指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等が行われてから6営業日以内」と定めること(ガイドライン第2の2(1)ア第2段落・ウ参照))。
第3項は、保証債務の履行時期を定めるものである。保証債務の履行時期は「指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等が行われた上で、労働者が当該指定資金移動業者(指定資金移動業者であった者も含む。)又は保証機関に弁済を請求してから6営業日以内(労働者からの請求を要さずに弁済が行われる場合には、指定資金移動業者に係る破産手続開始の申立て等が行われてから6営業日以内)であること」とされている(ガイドライン第2の2(1)ア第2段落・ウ参照)。
第4項は、弁済による代位を定めるものである。保証人が債権者に対して弁済したときは、保証人は求償権を取得するとともに、債権者に代位し、代位の効果として、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができるため(民法第501条第1項)、これを定めたものである。
第4条(個人情報の提供)
債権者は、保証債務の履行又は本保証委託の事務に際し、保証人が指定資金移動業者に債権者の氏名その他必要な個人情報を提供することについて、本契約の締結をもってあらかじめ同意するものとする。
<解 説>
本条は、個人情報の提供について定めるものである。
個人データを第三者に提供するに際しては、本人の同意が必要であるところ(個人情報の保護に関する法律第27条第1項本文)、例えば、保証債務の履行(債権者への振込等)や本保証委託の事務(保証委託契約に基づく保証料の算定や保証委託契約上の保証限度額を定めた場合における保証限度額の変更等)に際し、保証人が指定資金移動業者に必要な情報を提供することが想定されるため、本条を定めたものである。本契約において定める方法のほか、保証人のプライバシーポリシーなどに同様の記載を行い、それに同意させる方法等も考えられる。
なお、保証債務の履行又は本保証委託の事務に際し、指定資金移動業者が保証人に個人情報を提供する場合は、指定資金移動業者が本人から同意を得る必要があるため、指定資金移動業者の本サービスの利用規約等においてその旨を定めることが想定される(もっとも、例えば、指定資金移動業者の委任を受けて、保証人が代わって同意を取得し、それを指定資金移動業者が認識できる方法であれば、そのような方法で同意を取得することも考えられるものである。)。
第5条(変更手続)
債権者は、保証人に届け出ている事項に変更があった場合には、保証人が別途指定する手続に従い、変更手続を行うこととする。
<解 説>
本条は、変更手続について定めるものである。保証人が迅速に保証債務の履行を行えるよう、債権者が保証人に届け出ている事項(住所や債権者の振込先等)に変更があった場合には、変更手続を行うことを定めている。
なお、債権者に係る変更事項について、保証委託者(資金移動業者)が認識するに至り、その情報を保証人に共有することで、債権者の便宜を図ることも想定されるため、そのような対応をとる場合には、本規定とは異なる規定を定めることも考えられる。
第6条(反社会的勢力の排除)
1. 債権者及び保証人は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等その他これらに準ずる者(以下、総称して「暴力団員等」という。)に該当しないこと及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
(1) 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
(2) 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
(3) 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
(4) 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること
(5) 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
2. 債権者及び保証人は、自ら又は第三者を利用して次の各号の一にでも該当する行為を行わないことを確約する。
(1) 暴力的な要求行為
(2) 法的な責任を超えた不当な要求行為
(3) 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
(4) 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて保証人の信用を毀損し、又は保証人の業務を妨害する行為
(5) その他前各号に準ずる行為
<解 説>
本条は、反社会的勢力の排除について定めるものである。実務上一般的な内容としてあるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
第7条(有効期間等)
1. 本契約の有効期間は、本契約締結日から債権者名義の本口座が解約された場合又は本サービスが終了した場合であって、指定資金移動業者によって債権者名義の本口座の残高全額が払い戻された日までとする。
2. 前項にかかわらず、保証人及び指定資金移動業者の間の本保証委託に係る保証委託契約が終了した場合には、本契約は終了するものとする。
<解 説>
本条は、本契約の有効期間等を定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
なお、指定資金移動業者に対する指定がなされている状況において、保証契約が終了した場合、指定の取消事由に当たるため(労働基準法施行規則第7条の6第1項第2号)、留意されたい。
第8条(協議)
本契約に定めのない事項又は本契約の規定に関して生じた疑義については、保証人及び債権者間で協議の上決定する。
<解 説>
本条は、契約当事者間の協議について定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
第9条(準拠法及び合意管轄)
本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関して生じる一切の紛争については、[ ]地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
<解 説>
本条は、準拠法及び合意管轄について定めるものである。実務上一般的な内容であるが、実際に契約するに当たっては、個別に調整されたい。
(以下余白)
本体となる(債務)契約に併記された保証契約の場合、例外的に印紙税は不要という見解が国税庁より示されています。ただし、保証契約の内容のみを変更する場合や保証契約のみが記された契約書の場合は印紙の貼付が必要となります。なお、電子契約の場合は一律で印紙税は不要です。
詳細は次のページをご覧ください。
参考:主たる債務の契約書に併記した債務の保証に関する契約書|国税庁
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2020年4月1日に施工された改正民法により、保証契約に関して主に3点のルール変更がありました。それら3点のルール変更について詳しく説明します。
改正民法によって、個人根保証契約のルールが変更され、極度額(保証の上限額)を定めていない契約書は無効となりました。根保証債務の範囲は、後から債務を追加できるため、保証人となった時点では想像もつかなかったような債務を負うことになるリスクがあります。そこで個人保証人の負担軽減を図るために、極度額の定めを明記するよう変更されました。
なお、法人根保証契約では限度額の明記は必須ではありません。また2020年4月1日より前に締結した極度額の記載がない個人根抵当契約を更新する場合には、極度額の定めを追加する必要があります。
改正民法では、事業用融資に関する一部の個人補償について、公証人による意思確認手続きが必要となりました。
たとえば、金融機関が会社の事業に融資を行う場合には、会社の代表者が保証人になるケースが一般的です。この際、代表者の親族や友人が保証人となり第三者保証を行うケースも多く、保証人は経営に直接携わっていないにもかかわらず、多額の事業債務の支払いリスクを負う可能性がありました。
そこで保証人の権利保護のため、事業融資の際に第三者の保証を行う場合には、公証人に保証人本人の意思を直接確認させることが必須となったのです。また、保証意思確認後の公正証書について、保証契約締結の1ヶ月以内に作成されていなければならないとことになりました。
ただし、以下の項目に該当する方は、保証人になる際に公証人による意思確認手きは必要ありません。
債権者と債務者に対して、保証人に必要な債務者の財産状況や履行状況などの情報を提供する義務が設けられたことも、大きな変更点です。保証人は保証契約を締結する前に、保証人になるかの判断材料として、主たる債務者の財務状況を理解する必要があります。そのため主たる債務者は保証人を依頼する際に、自身の財務状況を正しく伝える義務が設けられました。
とくに連帯保証人となった場合、保証人は突然債務履行を債権者に求められる場合があります。そのリスクを減らすために、債権者は保証人から情報提供を求められた場合には、債務者の履行状況について報告することが義務化されました。
また、主たる債務者が支払いの遅延などで、一括での債務履行が必要になった場合、債権者はその義務を知った2ヶ月以内に、保証人に通知しなくてはいけないことも定められました。
保証契約は、債務者が債務を履行できない場合に保証人が履行責任を負う重要な契約です。2020年の民法改正の個人保証に関するルールの見直しによって、個人保証人の保護が強化されました。
しかし、保証人が負う責務を安易に考えてしまうと、知らない間に多額の債務を負ってしまうリスクがあります。そうならないためには、保証人の種類や保証範囲の違いを理解しておくことが非常に重要です。
保証契約は、ビジネスだけでなく個人でも締結される機会が多い契約の一つです。正しい知識を身につけてリスクを最小限に抑えつつ、必要な契約を行うようにしましょう。
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