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株主総会の意義や目的とは?開催するための手順や決議方法、議事録の作成方法などを詳しく解説!

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株式会社は、毎事業年度の終了後一定の時期に株主総会を開くことが法律上義務付けられています(会社法第296条1項)。

株主総会の開催や決議方法などに関しては会社法によって厳格に要件が定められており、この要件を満たさない場合には総会の決議が無効となるなど重大な結果を招く恐れがあるので注意が必要です。

今回は、株主総会の意義や目的、開催するための手順や決議方法、議事録の作成方法など、ビジネスマンとしてぜひ覚えておいていただきたい事項を解説します。

目次

株主総会とは|株式会社の最高意思決定機関

株式会社における「株主」とは、会社の所有者であり、会社の運営に関してその意思は最大限に尊重されるべきものです。

株主総会とは、文字通り会社の「株主」によって構成される会合のことであり、株式会社における最高の意思決定機関です。株主総会では、会社に関して決定すべき各種事項を株主の多数決によって決定することになります。

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株主総会の種類

一口に「株主総会」と言いますが、法律上、株主総会には以下のように3種類が存在します。

①定時株主総会
②臨時株主総会
③種類株主総会

それぞれについて、簡単に確認していくことにしましょう。

①定時株主総会

上述のように、株式会社は毎事業年度終了後一定の時期に株主総会を開催する必要があります。この総会のことを、特に「定時株主総会」と呼びます。

定時株主総会では、事業年度の決算書類の承認や取締役の選任などに関する事項について決議が行われることが一般的です。

②臨時株主総会

会社の運営に関して株主総会の決議が必要な事項が発生した場合に、文字通り「臨時」に開催される株主総会です。

③種類株主総会

株式会社は普通株式だけでなく、配当に関して優先的な扱いを受ける代わりに議決権がない株式など「種類株式」を発行することが認められています。

その会社が種類株式を発行している場合において、これら「種類株式」を保有している株主の議決が必要な時に開催されるのが「種類株主総会」です。

株主総会における決議の種類

株主総会では、原則として総会に出席している株主が保有する議決権に基づく多数決によって議題が可決または否決されます。会社法では決議すべき事項の重要性によって、以下のように決議に3つの種類を定めています。

①「普通決議」
②「特別決議」
③「特殊決議」

それぞれの違いについてみていくことにしましょう。

①「普通決議」

株主総会における議題は通常、この「普通決議」によって決定されます。

普通決議の要件は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数の賛同を得ることとされています(会社法309条1項)。ただし、書面によって議決権を行使する株主がいる場合や電子投票などを行う株主がいる場合には、その議決権も含まれます。

なお普通決議の要件に関しては、定款に定めることによって定足数の撤廃をすることも可能です。

②「特別決議」

会社や株主の利益にとって特に重要な事項を決定する際に必要となる決議方法です。たとえば、減資(資本金の減少)、株式併合、定款変更、解散などを決定する場合がこれにあたります。決定事項の重要性ゆえ、普通決議よりも厳格な要件が定められています。

特別決議の要件は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上によって決議されます(同条2項)。なお、定款に定めることによって特別決議の要件を変更することも可能です。

③「特殊決議」

3つ存在する株主総会での決議中、最も要件の厳格な決議方法です。

この「特殊決議」の要件には、さらに2つの種類があり…

・議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その議決権の3分の2以上(同条3項)
・総株主の過半数が出席し、総株主の議決権の4分の3以上(同条4項)

といった厳しい要件が定められています。

特殊決議が必要となるのは、公開会社を非公開会社とする定款変更を行う場合など、会社法で定められたごく一部の事項に限られます。

株主総会の開催方法における3つのパターン

会社法は、株主総会を招集する場合には、株主総会の場所を定めなければならないと定めています(会社法298条1項)。株主総会の場所は、株主が質問し説明を聴く機会を確保するため、物理的に入場することができる場所でなければならないと解されています

しかし、コロナ禍の影響もあり、2021年、産業競争力強化法において、会社法の特例として、「場所の定めのない株主総会」に関する制度を創設され、従来の開催方法のほかにオンラインを取り入れた形での開催が認められるようになりました

現在も従来通り、リアル会場に取締役や株主が一堂に会して開催されることが原則ですが、ネットの普及により現在では、株主総会の開催方法には以下の3つのパターンが認められるようになっています。

①リアル株主総会
②ハイブリッド型バーチャル株主総会
③バーチャルオンリー型株主総会

それぞれについて確認していくことにしましょう。

①リアル株主総会

従来通りの対面における株主総会です。

日時と開催の会場を定め、そこに取締役や株主など関係者が集まり、一定の事項に関して決議を行うことになります。その日時に会場に出向くことができない株主に対しては、書面決議を行うことができるようにすることも可能です。

②ハイブリッド型バーチャル株主総会

従来通り現実の株主総会を開催しながら、その内容を、インターネットを通じて同時配信する方法によって行われる株主総会です。ハイブリッド型バーチャル株主総会には、オンラインで参加している株主に議決権の行使などを認めるかどうかによって以下の2つのパターンが存在します。

参加型:会社法上の質問や動議の提出、議決権の行使などが認められないタイプ
出席型:質問や動議の提出が可能であり、議決権の行使も認められるタイプ

③バーチャルオンリー型株主総会

「場所の定めのない株主総会」です。実際の会場を一切利用することなく、オンライン上のみで行われる株主総会です。株主はインターネットを通じて株主総会に出席し、質問や動議の提出、そして議決権の行使等を行うことになります。

【参考】産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会制度説明資料(経済産業省)

定時株主総会の開催時期について

会社法第296条1項は、定時株主総会の開催時期に関して「毎事業年度の終了後一定の時期」に招集することを義務付けていますが、事業年度終了後いつまでに株主総会を開催しなければならないという時期について明確な定めはありません。

しかし、実際には会社の営業年度の最終日から3か月以内に開催されることが一般的です。これは、基準日(会社法第124条)の制度が影響しているのではないかと言われています(他にも要因はいくつか、そして複合的なものと考えられますが、仔細は別の記事で解説の予定です)。

上場企業の株式は、日々、大量に取引が行われています。そのため、会社が株主をリアルタイムで把握することは困難です。しかし、そのような状況であっても誰を定時株主総会で議決権行使できる人とするのか、利益を配当する際も誰に支払うのかを決定しなければなりません。

そこで、会社法は、株主総会の議決権や配当を受ける権利について、会社が基準日(定款にその定めを書くか、基準日の2週間前までに公告する必要があります)を定め、その基準日に株主だった人を株主とすることを認めました。その代わり、会社は行使できる権利の内容を決め、基準日から3か月以内に株主がその権利を行使できるように定めました

事業年度をいつからいつまでとするかについても、各会社は定款に記載することにより自由に定めることができるのですが、日本の株式会社は伝統的に4月1日から翌年3月31日までを事業年度とすることが一般的です。事業年度の締め日である3月31日に株式を保有していた人を定時株主総会で議決権行使ができる基準日株主として定めるケースが多く、その帰結として基準日から3か月以内である6月中に定時株主総会を開催することが慣例となっています。

株主総会開催のための手続き

ここからは、実際に株主総会を開催するときに必要となる具体的なプロセスをご説明します。細かく言えば、株式会社の種類によって株主総会の開催手順には若干の違いがあるのですが、こちらでは最もシンプルである「取締役会非設置会社」をベースとして解説いたします。

株主総会を開催するためには、以下のようなプロセスを経る必要があります。

①開催の日時・召集地の決定
②招集通知の発送
③株主総会の開催
④議事録の作成・保管
⑤登記

それぞれのプロセスについて、具体的にみていくことにしましょう。

①開催の日時・召集地の決定

取締役会非設置会社では、株主総会の開催日時や召集地については取締役が決定します。定時株主総会開催の日時に関しては、上記のように会社の営業年度終了日から3か月以内とすることが一般的です。なお、召集地に関して以前は一定の制限がありましたが、会社法ではそのような制限がなくなっています。

しかし、以前の開催地と著しく離れたような場所で開催する場合には、その理由の説明が必要となるので注意が必要です(会社法施行規則第63条)。

②招集通知の発送

取締役は、原則として株主総会開催日の2週間前までに総会の招集通知を発送する必要があります。ただし、非公開会社では開催日の1週間前までの発送で足りるとされています。招集通知には、主として以下のような事項を明記する必要があります。

・開催の日時
・開催場所
・議題
・議案
・書面投票や電子投票を実施する場合には、その旨
・その他必要事項

招集通知には、必要に応じて参考資料を添付します。

③株主総会の開催

開催の当日、株式会社は主として以下のようなプロセスで進行していきます。

・総会成立の確認
・議長の選任
・開会の宣言
・議事進行についての説明
・出席株主数および有効議決権数の確認
・監査に関する報告
・議題の審議
・採決
・閉会の宣言

上場企業など一定以上大きな会社でない限り、総会の進行は形式的な手続きで終了することも多いようです。

④議事録の作成・保管

株主総会を開催した場合には、法律上「議事録」の作成が必要とされています。議事録は従来通り書面によるものだけでなく、電磁的方法(電子ファイルなど)によって作成することができます。議事録には、主として以下のような事項を記載することが義務付けられています(会社法施行規則第72条3項)。

・株主総会が開催された日時及び場所
・株主総会の議事の経過の要領及びその結果
・株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
・株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
・株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

こうして作成した議事録は、会社の本店所在地に10年間備えおく必要があります。さらに支店がある場合には、議事録のコピーを各支店に5年間保管することになります。なお、株主や会社債権者などから閲覧の要求があった場合、会社は議事録を閲覧させる必要があります。

⑤登記

会社に関する一定の事項は、法律によって商業登記しなければならないものとされています。例えば、商号や資本の額・会社の目的・取締役などは商業登記簿に登記しなければならない事項です。このため、登記事項に該当する事項が総会で決議された場合には、総会の日から2週間以内にその旨の登記をする必要があります

たとえば、取締役には任期の定めがありますので、選任や解任などがあった場合には必要に応じて定期的に変更登記などを行わなければいけません。登記すべき事項があるにもかかわらず一定の期間内に登記を行わなかった場合、登記の懈怠として最悪100万円の過料に処される可能性もあるので注意が必要です。

総会決議の瑕疵について

上述のように、会社法は、株主総会の招集や決議方法などに関して細かい規定を置いています。招集通知の発送時期が遅かったりするなど、これらの要件を満たさずに株主総会が開催された場合、そこで行われた決議に瑕疵が認められる可能性があります。

瑕疵のある決議には、あとから無効を求めて訴えを提起されるなどのリスクがあるので注意が必要です。株主総会に関する各種の手続きは、法律の規定に厳格にのっとって実行していく必要があるのです。

まとめ

株主総会は、株式会社にとって最高の意思決定機関であり、会社に関する重要事項を決議する機関です。株式会社は、1年に1度は定時株主総会を開催する必要があります。

株主総会の開催に関しては法律によって要件が定められており、それを満たさない場合には当該決議が法律上無効となるなど重大な結果を招く恐れがあります。

また、総会決議の結果、商業登記を行う必要があるにもかかわらず一定の期間内にその旨の登記をしない場合、過料を請求される可能性があるので総会終了後も気を抜くことはできません。

株主総会の運営に携わる場合には、法律上の要件を確認し、ミスを犯さないように慎重に行うことが大切です。

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この記事を書いた人

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