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景品表示法とは|景品表示法における「景品類」とは?違反行為があった場合についても解説

 

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私たちのまわりでは、商品やサービスの販促や拡売を目的としたプレゼント企画やキャンペーンが多く展開されています。商品・サービスに景品やノベルティが付いてくるのは魅力的だと思う方も多いでしょう。

今回は、日本における景品に関する規制についてのまとめをお送りします。

目次

景品類に関する規制の背景

景品表示法(正式名称:「不当景品類及び不当表示防止法」といい、「景表法」と略す場合があります。)は、日本における景品類に関する規制を定めた法律です。

本来、商品・サービスの提供者は商品・サービスの内容での競争に力を入れるべきですが、消費者が惑わされるような度を過ぎる景品を用意するようになったり、景品による競争だけがエスカレートしたりすると、商品・サービスの価格や品質の向上に影響を及ぼしかねません。

景品表示法は、不当な景品類や表示から消費者を守り、消費者が良い商品・サービスを自主的に、合理的に安心して選べる環境を維持することを目的とした法律です。

景品表示法第1条(目的)
この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

景品表示法における「景品類」とは?

景品表示法における「景品類」とは、顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供する物品や金銭などの経済上の利益と定義されています。

経済上の利益とは、具体的には物品、土地・建物、金銭・商品券その他有価証券、饗応(きょうおう:映画、演劇やスポーツ、旅行その他の催事の招待又は優待のこと)、便益、労務その他のサービスを指します。なお、値引きやアフターサービスは景品類に該当せず景品規制の対象ではありません。

たとえば1枚で1杯のコーヒーと交換できるコーヒーチケット11枚つづりをコーヒー10杯分の値段で購入できるケースは、商品・サービスの購入者に対し同じ対価でそれと同一の商品・サービスを付加して提供するもので経済上の利益にはあたりますが値引きであり、景品規制の対象にはなりません。一方で、購入金額の一部をキャッシュバックするケースであってもキャッシュバックの使途を制限するような場合は値引きではなく、景品類に該当します。

また、ラーメン屋さんでラーメンを食べた後にプレゼントされた次回来店時に利用可能な味玉1個無料券のようなケースは、懸賞によらず、商品・サービスの利用者や来店者にもれなく提供する場合であり、値引きではなく景品類(総付景品)に該当します。

景品表示法第2条第3項(定義)
この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

景品類に関する規制

(1)一般懸賞

商品・サービスの利用者に対してくじ等の偶発性、特定行為の優劣等によって景品類を提供する懸賞を一般懸賞といいます。

レシートやポイントシールを集めて応募するようなケースが一般的ですが、一部の商品にのみ景品類がついていて、外観上それが判断できないような場合、パズルやクイズの回答の正誤により提供する場合、競技、遊戯等の優劣により提供する場合(ゴルフコンペ等)も一般懸賞に該当します。

懸賞による取引価額 景品類の限度額
  ①最高額 ②総額
5,000円未満 取引価額の20倍 懸賞にかかる売上予定総額の2%
5,000円以上 10万円  

取引価額とは、懸賞の応募や抽選に参加するために必要な金額のことです。景品表示法はこの取引価額に応じて景品の限度額を設定しています。

限度額の計算には①景品の上限額と②懸賞に関連する売上予定総額の2点を押さえる必要があります。特に②の売上予定総額に関してはキャンペーン開催前に見込みを立てておくことが重要です。

<一般懸賞の例>

1,000円分のレシートで1回くじが引けるキャンペーンの開催を考えてみましょう。

①景品の上限額は、取引価額(1,000円)の20倍ですから2万円がこのくじの景品の限度額となります。
 1,000×20=20,000

②景品の総額は、売上予定総額の2%以内に収める必要があるため、2万円の景品を1個用意する場合、売上予定総額は100万円を見込めるキャンペーンである必要があります。
 20,000÷0.02=1,000,000

この例は、景品が1個だけの場合です。景品の個数を増やしたい場合は、景品の上限を下げるか、売上予定総額を増やす必要があることがわかります。

(2)共同懸賞

商品・サービスの利用者に対し、一定の地域や業界の事業者が共同して景品類を提供する懸賞を「共同懸賞」といいます。

中元・歳末セール等の時期に商店街やショッピングモール、ショッピングビル全体で実施する懸賞、地域やエリアの同業者の相当多数が共同で実施するような懸賞などが該当します。

ショッピングモールの各店舗で商品・サービスを購入すると抽選補助券が配布され、抽選補助券を集めてくじ引き会場に持ち込んで抽選に参加する場合をイメージするとわかりやすいでしょう。

共同懸賞には取引価額に関する条件はありません。

一般懸賞における景品類の限度額
最高額 総額
30万円 懸賞にかかる売上予定総額の3%

(3)総付景品

懸賞によらず、商品・サービスの利用者や来店者にもれなく提供する景品類やノベルティを総付(そうづけ)景品といいます。

応募者全員サービス、来店者全員に提供する場合、申込や入店先着順に提供する場合などが総付懸賞に該当します。先述のラーメン屋さんの味玉1個無料券もこれに該当します。

総付景品の限度額
取引価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の2/10

なお、以下のような場合は総付懸賞に該当しません。

①商品の販売・使用およびサービスの提供に必要な物品
②見本および宣伝用の物品
(ただし販売している物品に関しては販売している最小単位である必要)
③自店・自他共通で使用できる割引券、開店披露や創業記念などで提供される記念品

(4)一部業種に対する規制

①新聞業、②雑誌業、③不動産業、④医療用医薬品業、医療機器業および衛生検査所業に関しては、別途規制があります。

なお、これら告示によるもののほか、出版物小売業等においては、業界の自主ルールである「公正競争規約」により、一般の景品規制とは異なる自主規制を設けています。

(5)オープン懸賞

オープン懸賞は、商品やサービスの購入や利用、来店などと関係なく応募できる懸賞です。景品表示法は、商品・サービスの利用者や、来店者を対象として金品等を提供する場合は景品規制の適用対象としています。

他方、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイト等で広く告知し、郵便はがき、ウェブサイト、電子メール等で応募ができるようなキャンペーンには、景品表示法の適用対象ではなく、提供できる金品等に具体的な上限額の定めはありません。

家1棟、車1台といった高額商品をプレゼントすることも可能といえば可能です。

違反行為があった場合

景品規制は、具体的な判断基準が定められており、「そんな規制は知らなかった」で済む話ではありません。調査の結果、違反行為が認められると必要に応じた措置命令が出されます。

さらに、景品が実際は用意されていなかった場合やキャンペーンで告知した景品数より実際の景品数が少ないような場合は、優良誤認表示または有利誤認表示にも該当し、措置命令だけなく、課徴金制度による課徴金納付命令が出されることがあります。

まとめ

景品表示法の景品類に関する規制の概略をお伝えしました。

景品類として提供できる物品には金額の上限があります。また、キャンペーンや企画における売上予定総額の算定が必要です。

具体的に細かなルールや判断基準が定められていますが、消費者庁がQ&Aとしてまとめています。具体例も多く掲載されていますので、ぜひご一読ください。正しい知識を身につけ、不安があれば法務担当者や専門家へ相談しましょう。

本記事が景品規制の理解に役立てば幸いです。

【参考】
景品に関するQ&A(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/premium/

 

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この記事を書いた人

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