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契約不適合責任とは?民法改正、他の用語との違いをわかりやすく解説

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「契約不適合責任」とは、商品やサービスが契約内容に合致しない場合に責任を負うことを定めた制度です。民法改正によって、それまでの瑕疵担保責任が契約不適合責任に置き換えられました。
しかし、瑕疵担保責任と契約不適合責任にはどのような違いがあるのでしょう。また他にも類似する用語がありまするので、それぞれの違いについて解説します。

目次

契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、売買契約において、商品に品質不良、品物違い、数量不足、その他の不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任を指します。この点は、契約不適合責任と瑕疵担保責任で共通しています。
契約不適合責任は、2020年4月に民法改正によって導入された新しい法律です。この際に瑕疵担保責任から名称が変わり、内容も変更されました。

 

契約不適合責任は以下の4つに細分化されます。

  1. 修理や代替品提供による責任
  2. 買主に発生した損害に対する賠償責任
  3. 売主が修理や代替品提供に応じない場合、買主から代金の減額を求められる場合がある責任
  4. 売主が修理や代替品提供に応じない場合は、契約解除できる責任

 

また契約不適合責任の対象は、以下の3つに分類されます。

  1. 種類に関する契約不適合
  2. 品質に関する契約不適合
  3. 数量に関する契約不適合

売主が引き渡した商品に問題があった場合、契約不適合責任に基づいて売主は責任を負います。
このような場合、売主は修理や代替品提供、損害賠償、代金減額、契約解除のいずれかを行うことが求められます。

かつての瑕疵担保責任との違い

瑕疵担保責任は、売主が引き渡した商品に隠れた瑕疵があった場合に責任を負う内容でした。一方、契約不適合責任は、問題が隠れているかどうかは関係なく、商品に品質不良、品物違いなどがあった場合に売主が買主に対して負う責任を言います。
また瑕疵担保責任と契約不適合責任には、大きな違いが存在します。それは「隠れた」という要件があるかどうかです。
瑕疵担保責任では、買主が明らかに気づくことができなかった場合に、売主が責任を負います。
一方契約不適合責任では、商品に問題がある場合には、それが隠れていたかどうかは問われず、買主が気づかなかった場合でも売主が責任を負います。
 
次に、瑕疵担保責任には買主側から補修や代替品の引き渡しを求める追完請求権の規定がありませんでした。しかし、契約不適合責任では追完請求権の規定があります。つまり、契約履行が契約に適合しなかった場合には、買主は追加で履行を求められるのです。
また追完請求だけでなく、代金減額請求も可能です。瑕疵担保責任でも、数量が不足している場合は代金減額請求が可能でしたが、契約不適合責任では数量だけでなく品質など契約内容と相違があった場合でも代金減額請求ができます。
 
そして損害賠償責任や契約解除については、瑕疵担保責任では明確に規定されていません。そのため、他の債務不履行の場合と比較したり、判例などによってケースバイケースで判断されたりします。
一方契約不適合責任では、他の債務不履行の場合と同様に損害賠償責任や契約解除が適用されます。つまり、他の債務不履行の判例を参考にできるのです。
 
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いを表にまとめると、以下のようになります。

   

  瑕疵担保責任 契約不適合責任
適用条件 隠れた瑕疵が必要 瑕疵が隠れているかどうかは問わない
追完請求 不可 可能
代金減額請求 可能(数量不足の場合に限る) 可能(数量や品質等に契約内容と相違があった場合に適用)
損害賠償責任、契約解除 不明確 他の債務不履行の場合と同様

契約不適合責任により買主に認められる権利

契約不適合責任によって、買主に認められる権利を簡潔に説明します。契約不適合責任によって買主に認められる権利は以下の4つです。

  • 履行の追完請求
  • 代金の減額請求
  • 損害賠償の請求
  • 契約の解除

履行の追完請求とは、契約に合わせて商品やサービスを完了するように請求できる権利です。なお、修理や交換を求める場合もあります。

代金の減額請求は、契約に合わせた内容を満たしていない分の代金を減額することを請求する権利です。通常は履行の追完請求を先に行いますが、もし売主が履行の追完請求に応じなかった場合には代金減額請求を行います。

損害賠償の請求は、売主が契約を履行しなかったことから買主が損害を受けた場合に行います。たとえば、契約履行が遅れて買主の業務が停止したケースや商品に瑕疵があって買主の業務中に問題が発生したケースなどが考えられます。

契約の解除は、有効だった契約を遡って解消することを意味します。既に支払っている代金がある場合には、代金の返還を請求できます。

なお契約の解除は、原則として売主が履行の追完請求に応じなかった場合に限り行えます。買主側が自己都合で契約を解除することは、原則としてできません。

契約不適合責任の権利行使の制限期間

「契約不適合責任」には、権利行使の制限期間が設けられています。なお当該制限期間は、契約不適合の内容によって異なりますので、それぞれ詳しく解説します。

品質・種類の契約不適合の場合

品質や種類の契約不適合が発生した場合、買主は不適合を知ったときから1年以内に売主に対して不適合であることを通知する必要があります。この通知が1年以内に行われれば、消滅時効が来る前に請求を行えます。消滅時効の期間は、「権利を行使することができることを知ったときから5年」もしくは「権利を行使することができるときから10年間」が経過したときです。

数量・権利の契約不適合の場合

数量・権利の契約不適合の場合、買主は売主に通知する必要はありません。通常の消滅時効が適用されます。

買主が企業の場合

買主が企業の場合には、すみやかに通知を行い、契約不適合を売主に報告する必要があります。権利行使の制限期間は一般消費者にのみ適用されるため。すぐに報告しなかった場合には契約不適合責任を追及できなくなるので気をつけましょう。

契約不適合責任の免責

免責とは、事前に契約書に契約不適合責任の免除条項を含めておくことです。そのため場合によっては、契約不適合責任を免責できるケースがあります。

買主が一般消費者の場合

買主が一般消費者である場合、原則として契約不適合責任の免除条項を契約書に含めることはできません。たとえ契約不適合責任の免除条項が契約書に含まれていた場合でも、その部分は無効になります。

ただし、売主が別の形で補償を提供し、買主が納得している場合は、契約不適合責任の免除条項とは異なる形式での補償が問題なく認められます。

買主が事業者の場合

買主が事業者である場合、契約書に売主の契約不適合責任を免責する特約を含めても、原則として有効とされます。ただし、売主が勝手に契約書に含めた場合や買主が契約不適合責任の免除条項の存在に気づかなかった場合には、免責は無効になるケースがあります。

売主が宅建業者の場合

売主が宅建業者である場合、契約不適合責任を免責する内容は無効とされます。買主が一般消費者でなく事業者の場合でも、売主が宅建業者である場合は、契約不適合責任を免責する内容は無効です。

ただし、買主が宅建業者である場合は、契約不適合責任の免除が認められます。

契約不適合責任に関する条文

契約不適合責任に関する条文は、民法第562条から第564条及び商法第526条の2項と3項に含まれています。それぞれの条文についてご紹介します。

民法

民法第562条から第564条では、売買契約における契約不適合責任について定められています。また、民法第559条では請負契約における契約不適合責任が定められています。

(買主の追完請求権)
第562条
1.引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(買主の代金減額請求権)
第563条
1.前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2.前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3.第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条
前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。

(有償契約への準用)
第559条
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

商法

また民法の改正に伴い、商法も改正されました。

(買主による目的物の検査及び通知)
第562条
1.商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2.前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品 質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない 場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
3.前項の規定は、 売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

契約不適合責任が発生する主な事例

契約不適合責任が発生する場合の具体例を紹介します。わかりやすく説明するため、以下のような場合を考えてみましょう。

  • 通販サイトで洋服を購入したが、商品の素材がサイトに記載されていた素材と異なっていた。
  • 内装業者にガラスの取り付けを依頼したが、契約に基づく取り付け枚数よりも少なく取り付けられた。
  • 塗装業者に外壁の塗装を依頼したが、完成した外壁の色が契約内容と異なっていた。

契約不適合責任が発生するような事例はさほど頻繁に起こるわけではありませんが、身近な場面で発生する可能性は大いにあります。そのため、一般消費者でも契約不適合責任を理解しておけば万が一の際にも役立つでしょう

ただし、実際に契約不適合責任を争点に争うケースは少ないと考えられます。なぜなら、契約不適合かどうかは多くの場合において判断が容易であるため、スムーズに解決されるケースがほとんどだからです。しかし、売主が適切に対応しない場合には契約不適合責任で争うことになるでしょう。

買主に有利な契約不適合責任!しかし、注意すべき点もあります

契約不適合責任では、商品などが契約内容と異なる場合に契約不適合の是正や契約の解除、損害賠償の支払いなどが請求できます。また、経済や社会の変化に合わせて新しく誕生した瑕疵担保責任の後継法制度です。
以前の瑕疵担保責任では、売主の責任を追及するには瑕疵が隠れている必要がありました。また買主が明らかな瑕疵に気づかなかったといった場合には、買主に責任があると判断されていたのです。
一方新法である契約不適合責任では、瑕疵が隠れている必要はありません。問題になるのはほとんどのケースにおいて商品やサービスに瑕疵があるかどうかの一点であるため、基本的に買主が有利である内容となっています。
しかし契約書を交わす場合、内容によっては買主が不利になってしまうケースも考えられます。また契約書を紛失するなどのトラブルが起これば、窮地に立たされてしまいかねません。
 
そのような場面で便利なのが、契約書を電子で保存できる電子契約ツールです。契約書の紛失を防げる以外にもさまざまなメリットが存在するサービスであり、現在では広く活用されています。そこで契約で役立つ電子契約サービスの魅力について解説します。

電子契約ツールを導入するメリット

電子契約ツールの導入によるメリットは、以下のとおりです。

  • 業務効率が向上する
  • 契約締結までのスピードが向上する
  • 保管・管理が効率化される
  • リモートワークに適している
  • 印紙税の削減

まず電子契約ツールを導入すれば、業務コストを大幅に省くことができ、業務効率が向上します。紙媒体で契約を行う場合、契約書に収入印紙を貼ったり、郵送や直接手渡ししたりしなければいけないといった金銭コストや手間などの無駄が多く発生します。
一方電子契約ツールを使えば、これらの手順が不要となり、オンライン上でスムーズに契約を締結できます。そのため、契約締結までのスピードも向上します。
 
また電子契約ツールを利用すれば、契約書を電子媒体で保管・管理できるため、物理的なスペースを取らずに保管でき、また目当ての契約書を探す際も手間や時間がほとんどかかりません。一方、紙媒体での管理はスペースを取るだけでなく、必要な書類を見つけるのに手間がかかることがあります。
 
近年はリモートワークが増えていますが、電子契約ツールはリモートワークにも適しています。紙媒体では、契約書を郵送や手渡ししなくてはいけませんが、電子契約ツールならばオンライン上で契約書を確認できるので、スピーディーに契約を締結できます。
契約の締結回数が多い場合には、印紙代も費用がかさみます。場合によっては、数十万円以上かかるケースもあるほどです。そのため費用の節約からしても、電子契約ツールの導入が望ましいと言えるでしょう。
 
電子契約ツールを選ぶ際に迷っている場合は、電子印鑑GMOサインを検討してみることをおすすめします。複数の電子契約ツールがありますが、電子印鑑GMOサインはシェア率が高く、多くの方に利用されています。また利便性が高いため、導入するメリットは大きいと言えます。
そして普及率が高いということは、多くの方が既に使用していることを意味しています。そのため、導入している方同士でのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。電子契約の進行も円滑に行えるため、時間や手間を節約できます。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
電子署名/電子サイン/電子印鑑(デジタルハンコ)/脱印鑑(脱ハンコ)/電子文書/電子証明書/電子帳簿保存法など、電子契約にまつわる様々なお役立ち情報をお届けします。

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