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働き方改革や、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言の影響で、新たな働き方として「テレワーク」や「モバイルワーク」、「リモートワーク」などという言葉が広まりました。これからの時代は、多くの企業でオフィスや社外、自宅など、一人ひとりが多様な働き方を実現できる選択肢を提供することが求められていきます。
今回は「モバイルワーク」に目を向け、その意味とメリット、導入時の注意点についてご説明します。
テレワークとともに用いられるようになったモバイルワークの基本的な意味を理解しましょう。2020年7月には政府が「ワーケーション」という新しい働き方を提案していますが、モバイルワークは「ワーケーション」にも深くかかわる話です。
モバイルワークは「働く場所や移動を自由にする働き方」をあらわす言葉です。
モバイルワークとは、テレワークの一形態と位置づけることができます。テレワークがオフィスの外で働く働き方を示すとすれば、モバイルワークはノートパソコンやスマートフォン、モバイル端末を駆使してオフィスの外で働くことを示しています。業務に使用するツール(ICT機器)に目を向けている言葉と言えるでしょう。
具体的には、移動中の電車内でメールやノートパソコンを使用して資料チェックやメールの送信を行ったり、旅行先でモバイル端末を活用しながら資料を作成したり、といったやり方が考えられます。オフィスや特定の場所に依存することなく、そして時間に依存することもなく、いつでもどこでも業務を進められるようなワークスタイルです。
前述の通り、テレワークはオフィスの外(カフェやサテライトオフィス、自宅などを含む)で働く働き方であり、モバイルワークはテレワークの一種と考えられます。また、在宅勤務はその名の通り自宅で勤務をすることであり、場所という観点からテレワークの一形態であると言えます。
ITツールの利用、ルール決め、成果の明確化など、働き方を柔軟かつ効率的に運用するための取り組みが会社全体で求められています。詳細については後述します。
モバイルワークを始めとしたテレワークは、この何年かで拡大しています。総務省によると、2018年のテレワーク導入率は19.1%となっており、少しずつ増加傾向が続いています。中でも2000人以上の従業員数を有する企業の46.6%が導入しているなど、規模が大きい企業ほどテレワークが普及しているという結果が出ています。
参照:テレワークの導入やその効果に関する調査結果
背景として、わが国におけるワークライフバランスの実現、人口減少時代における労働力人口の確保などの課題に対応するため、2019年4月より働き方改革法案が順次施行されていることがあげられるでしょう。さらに2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症拡大によって、オフィスで長時間働くという働き方がそもそも困難となってしまったという状況に見舞われました。
オフィスの外でも、モバイル端末を活用して効率的に働き、アウトプットを出すことが求められるのです。
自社でモバイルワークを取り入れる場合、会社に合ったものを取り入れることが重要ですモバイルワークを導入するとどんなメリットがあるのか、改めて確認してみましょう。
外出時間を使って業務を進められるので、業務効率は良くなります。例えば、問い合わせや資料作成などの業務を、外出先からオフィスへ戻ることなく行えます。
また、Web会議などを活用して商談・会議を行えば、移動時間も営業活動に充てることができます。これにより、顧客との商談時間や訪問件数が増加するなどの効果が期待できます。
外出時間や移動時間を削減できるということは、その間の移動費・出張費などの削減にもつながります。また、モバイルワークによって出社人数が減り、オフィス・固定座席が余ってくると、移転によるオフィス統合や、賃料の削減、設備代を大きく抑えることも可能となります。
モバイルワークは、時間や場所にとらわれず働くことを可能にします。そのため、従来のオフィスでフルタイムの働き方であれば「子供がまだ小さいので毎日オフィスで朝から晩までは働きづらい」「介護があるので家を空ける時間が限られる」といった理由で雇えなかった優秀な人材も、モバイルワークをうまく活用することで会社の戦力として招くことに道も開けます。
様々な働き方ができる職場であると評判になれば、それ自体が自社のブランディングとなり、より良質な人材を引きつけるきっかけにもなるでしょう。
モバイルワークには多くのメリットがありますが、導入して運用を続けるにあたっては、いくつか課題が存在します。そうした課題と対策についてご説明します。
モバイルワークでは、オフィスワークよりも高度なセキュリティ対策が求められます。オフィスであれば、社外の人間にモニターをのぞかれる心配はありません。また、オフィスのネット回線であればアクセス制限もかけやすく、「オフィス外では社内のデータにアクセスできない」などの設定を施すことでセキュリティ対策もしやすくなっています。
一方、モバイルワークの場合、アクセス制限となると別の方法が必要になります。街中の無料で使える無線LANに接続された状態で業務ができるような状態になってしまうと、メールを盗聴されたりデータを盗まれたりするリスクが高まります。
また、機密資料を扱っていることを前提に、ネットワーク経由でオフィスにアクセスする必要がある場合は、インターネット接続に伴うリスク対策として、個人PCと接続できるVPN(Virtual Private Network:仮想専用線)を用いるなど安全対策を行うことが望まれます。
誰が何時から何時まで何の仕事をしているのか管理しづらくなります。上司の目の前で仕事をしているわけでないので、上司による業務の管理や勤怠管理はオフィスでの方法とは変える必要があります。
勤怠管理ツールの見直しや、あるいはそもそも勤務時間ではなく、出した成果で管理や評価を行うようにするなど、勤怠管理の方法に工夫が必要です。
オフィスで毎日顔を合わせられないようになるので、社員が何をやっているのか、どんなことで悩んでいるのかなど、把握しづらくなります。コミュニケーションの希薄化によって、仕事を進めづらくなることも予想されます。
これに対応するために、チャットツールやWeb会議システムなどを導入する企業も増えています。メールよりもカジュアルにコミュニケーションを取れるのがチャットツールの特徴で、仕事の相談や報告などはもちろん、ちょっとした雑談に活用することも可能です。
Web会議システムは、PCのモニター越しに顔を合わせたり資料を共有したりすることを可能にするテクノロジーで、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って注目を集めています。中には話し手の言葉を同時に字幕にする機能を搭載しているサービスもあり、言語の異なる海外の関係者と会話するときにも役立ちます。
▶関連記事:リモートワークで推進されるデジタルトランスフォーメーションとは?
新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない中、感染の拡大を防ぐための「新しい日常」への適応が叫ばれています。同じ時間にオフィスに全員が出社して同じフロアで仕事をするのではなく、時間や場所を選ばずに業務を進められる、そんなモバイルワークが欠かせなくなっています。
現在オフィスワークを前提している企業は、モバイルワークを積極的に導入して「新しい日常」に即した新たな働き方を早急に整備すべきでしょう。
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