働き方

2021年1月27日

2021年1月28日

労働条件通知書の電子化と今後の課題

2020年4月から労働条件通知書の電子化が可能となりました。人事労務関係の書類や手続きの電子化と今後の課題について説明します。

労働条件の明示方法と注意点

労働条件の明示方法

労働基準法15条による労働条件明示は「書面の交付」が必要でしたが、労働基準法施行規則の改正により、2019年4月1日からは労働者が希望した場合には、FAXや電子メール等でも明示することが可能となりました(同施行規則5条4項ただし書き)。

注意点としては、まず会社側が送信するFAXや電子メールについて、誤送信についての責任は会社側が負いますので、誤送信がないようにすることは当然のこととして、労働者側で受信拒否の設定になっていたり、着信できていなかったりする場合も会社側の責任です。そのため、到達の確認と記録化が可能な方法で行いましょう。

「電子印鑑GMOサイン」では、受信者側での受信・開封・署名といった状況が確認できるシステムになっていますので、この点についても安心してご利用いただけます。
「電子印鑑GMOサイン」

労働者側の通知内容の記録化

会社からの通知だけでなく、労働者側の通知内容も記録化と保存が必要です。労働条件明示を「書面の交付」以外の方法で行う場合は「労働者が希望した場合」であることが必要ですが、後日のトラブル防止の観点からは、労働者側の希望や同意については、対象書類の書式や画面の中に「私は、労働条件通知書の電子交付を希望し、その交付方法は貴社所定の方法によることに同意します」といった記載欄を追加し、これに労働者自身がチェックした日時を保存するなど記録に残る形式で確認すべきですし,書面交付の選択肢がある点も画面や書面で明記しておくべきでしょう。

実務では,労働条件通知書に労働者側の同意欄(署名欄)を設け、労働条件通知書兼同意書(労働契約書)の形式をとるケースもあり,その場合にも「私は添付の『労働条件通知書兼同意書』の内容を理解し,その内容に同意します」といった記載欄を設けておきは,労働者側の同意・承諾を記録化できるシステムにしておくことが必須になります。

<文言の一例>

□ 私は、労働条件通知書の電子交付を希望し、その交付方法は貴社所定の方法によることに同意します。
XXXX年XX月XX日(労働者の氏名)

□ 私は添付の「労働条件通知書兼同意書」に内容を理解し、その内容に同意します。
XXXX年XX月XX日 (労働者の氏名)

社内規則の確認

労働条件通知書を電子化する場合、社内の規程類の見直しは必要でしょうか。

労働条件通知書の電子化について

上記「1」で述べた労働条件通知書の明示方法を変更する(電子メール等で行う)場合,就業規則に特別の根拠規定を設けることは不要です。もっとも,既にある社内規定で「労働条件通知書の交付により労働条件を明示する」のように書面交付を前提とした規定がある場合は,「労働条件通知書の交付等により・・・」のように,FAXや電子メールの方法も許容する規定に変更しておく必要があります。

電子メールやオンライン会議の根拠規定

懲戒処分や解雇等の人事措置について,社内規則で「通知書面(文書)により」とか「書面の交付により・・・を命じる」のように、書面の作成・発行が規定されていることがあります。また、社内手続きでも「賞罰委員会を開催し・・・」とか「対象社員と面談の上・・・」のような規定が設けられていることがあります。

人事措置の有効性が裁判等で争われる場合、当該措置の内容だけでなく、当該措置に至る社内手続きが問題とされることがあり、上記の例でいうと、書面交付や会議・面談が実施されていたかが争点となることがあります。

通常の人事手続きでは、電子メール等で送付した後に書面を交付したり、会議の日程や開催方法を前後させることで対応可能ですが、迅速対応が必要であったり、紛争リスクを想定する場合は、社内規則の中で,電子メールによる通知やオンライン会議等による方法も可能としたり、緊急時には例外的に手続きを省略できる根拠規定を設けておくことが有益です。

社内で電子手続が使える場面限界

「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」を締結する際に、事業場に労働者の 過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

この過半数代表者の選出方法について、法令上、電子メールによる方法は禁止されていません。実際に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の状況下では、社内メール等を使ってリモート形式での従業員代表の選出(立候補および賛否の意思の表明)を行った企業もあるのではないでしょうか。

もっとも、従業員代表の選出を電子メール等のリモート方式で実施する場合、会社の管理・保有するメールアドレスや社内システムの利用が必要になります。労働基準法施行規則では、過半数代表の要件として「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」を挙げており(同規則6条の2第1項2号)、会社側の意向に基づいた選任として問題とされないように、選出に当たっての案内文書や投票システムにおいては、民主的な手続きを確保した体制で実施する必要があります。

電子メールやWeb会議では,労働者側の意思確認が困難な場合があるうえ,当該意思決定に必要な情報提供についても秘密保持の観点からの限界もあるでしょう。労使紛争が想定されるような場合には,実際に会ってまたは対面式のWeb会議ツール等を使ったface to faceによる面談も併せて実施することを検討して下さい。

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ハンコ脱出作戦 編集部

筆者

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