企業の業績が好調だった場合には、決算期に賞与を出すところもあります。この賞与は「決算賞与」と呼ばれており、通常の賞与とは別に支給されます。
本記事では決算賞与の概要や通常の賞与との違い、支給するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
目次
決算賞与とは
決算賞与とは、決算期における業績に基づいて臨時支給される賞与を指します。通常の賞与とは別に支給される賞与であり、基本的にすべての従業員に支給されます。
勤務成績が優れている従業員のみに決算賞与を渡すことも可能ですが、この場合には就業規則で決算賞与を出す基準などを明記しておく必要があります。
決算賞与と通常の賞与の違い
決算賞与と通常の賞与には、以下のような相違点があります。
| 決算賞与 | 通常賞与(ボーナス) |
---|
支給義務 | なし 業績が好調な場合に支給する | なし 人事評価制度の一環として支給する |
支給時期 | 決算後 | 夏・冬が一般的 |
支給対象 | 全ての従業員(パートやアルバイトを含む) |
支給額 | 決算時点の業績に基づいて決定する | 人事考課に基づいて決定する |
【引用】https://hcm-jinjer.com/blog/keihiseisan/settlement-bonus/
その中でも主な違いとして、以下の2点が挙げられます。
・支給時期
・支給額
それぞれ詳しく解説します。
支給時期
決算賞与の支給時期は、事業年度終了日の翌日から1ヶ月以内と定められています。年に1回のみ支給されますが、業績が良かった年度だけ支給する企業が多いのでもらえないケースも考えられます。
一方通常の賞与の場合、一般的には7月初旬の夏と12月初旬の冬の年2回支給する企業が多いです。ただし国家公務員では、賞与の支給時期は6月30日と12月10日と定められています。
支給額
通常の賞与では給料の2ヶ月分前後という企業が多いですが、決算賞与は余剰利益をベースに従業員分で頭割りして支給するため、支給額は通常の賞与の方が多い傾向にあります。
ただし業績が好調で余剰利益がかなり出ている場合には、決算賞与でも多くの金額が支給される可能性はあります。
決算賞与のメリット
決算賞与を支給するメリットは、以下の通りです。
・従業員のモチベーションアップが期待できる
・節税効果がある
それぞれ詳しく解説します。
従業員のモチベーションアップが期待できる
決算賞与は業績アップによって企業が獲得した利益を従業員に還元する制度なので、従業員のモチベーションアップが期待できるメリットがあります。成果を出しただけ報酬が上がるという分かりやすい図式なので、企業全体でやる気を出せるようになるでしょう。
節税効果がある
決算賞与は条件を満たせば、損金として計上できます。そのため、決算賞与は企業にとっても節税効果というメリットがあります。
事業年度内に支払わなかった場合でも損金計上できますが、支払えなかった決算賞与を損金算入するためには以下の条件を満たさなければなりません。
使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
(1) その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
(注1) 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
(注2) 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。
(2) (1)の通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
(3) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
【引用】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5350.htm
なお決算賞与で社会保険料を計上する場合には、決算後に支払った決算賞与に付随する社会保険料分は損金として計上できません。そのため社会保険料を当期損金に算入するならば、決算賞与を当期末までに支給する点に注意しましょう。
決算賞与のデメリット
決算賞与のデメリットは、以下の通りです。
・キャッシュフローが悪化する恐れがある
・資金ショートを起こす恐れがある
それぞれ詳しく解説します。
キャッシュフローが悪化する恐れがある
決算賞与を出せば企業の手元に残るお金はおのずと減ってしまうので、キャッシュフローが悪化してしまう恐れがあります。そのため、決算賞与を支給する場合には財務諸表をもとに支給額を慎重に決めなければなりません。
資金ショートを起こす恐れがある
もし決算賞与を支給した後に、予定していた売掛債権の回収がうまくいかなかったなど想定外の事態が生じた場合には、資金ショートを起こしてしまう恐れもあります。ビジネスでは思いもしなかった事態が起こる可能性は常にありますので、決算賞与はかなり余裕があるときに支給するのがいいでしょう。
決算賞与を損金計上するための条件
決算賞与のメリットとして損金計上が可能である点をお伝えしましたが、損金計上するには以下の条件が定められています。
使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度
(1) その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
(注1) 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、ここでいう「通知」には該当しません。
(注2) 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマーまたは臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。
【引用】https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5350.htm
つまり決算賞与を損金計上するには、該当する事業年度の終了日までに対象の従業員全員に支給する旨を通知しなければなりません。また通知する日付は決算日までに余裕を持たせておけば、損金計上が認められやすくなります。
決算賞与を支給する場合には、金額と損金計上の条件に気をつけましょう
決算賞与は従業員のモチベーションアップが期待できるので、業績向上につながる分かりやすい経営改善策と言えるでしょう。しかし、適切な金額にしなければ不測の事態が生じたときに対応できなくなってしまう恐れがあります。そのため、決算賞与を支給する場合には将来的なキャッシュフローに支障をきたさない範囲の金額にすることが重要です。
また決算賞与は損金として計上できるメリットもありますが、事業年度の終了日までに支給するすべての従業員にその旨を通知しておく点にも気をつけましょう。決算賞与を支給する場合には、リスクマネジメントを意識しつつ節税のためのルールを忘れないことを心がけてください。
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