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派遣契約とは?業務委託との違いや契約の流れ、関連する法律は?

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「派遣労働者を受け入れたいけど、やり方が分からない」と悩んでいませんか?

本記事では、派遣契約の仕組み、業務委託や契約社員との違いなどを詳しく解説しています。
また、記事後半では、派遣契約に関するQ&Aや知っておくべき法律についても解説していしますので、最後までご覧ください。

本記事を読むことで、即戦力となる人材を受け入れる準備を整えられますので、人材不足で困っている方は必見です。

目次

派遣契約とは?

派遣契約とは、人材を受け入れたい事業者が、労働者を雇用する派遣会社(派遣元)と契約を締結し、派遣元から労働者を受け入れる契約をいいます。

派遣契約の特徴は、派遣元と派遣先で派遣労働者に関する責任や役割が分担されている点です。
労働者の雇用を守る責任は派遣元にあり、就業場所の衛生や安全などを確保する責任は派遣先にあります。

派遣元と派遣先で守備範囲は異なりますが、万一のトラブルに備えるためにも全体的な派遣契約の仕組みを知っておくことが重要です
派遣契約の仕組みと派遣契約の期間の話を中心に、全体像を捉えていきましょう。

派遣契約の仕組み

労働者派遣について、労働者派遣法では次のように定義されています。

労働者派遣 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。
【出典】e-GOV 法令検索(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 労働者派遣法 第2条第1号)

つまり、派遣元と雇用契約を締結している派遣労働者が、就業場所の指揮命令者である派遣先の指示に従い労働する仕組みです。派遣先が、勤務時間や休憩時間、仕事のやり方などを指示できるのが派遣契約の特徴です。

その他にも、次のような特徴があります。

  • 退職や解雇、定年など雇用条件に関しては、派遣元のルールを順守する
  • 労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要になる
  • 派遣できる業種や派遣期間などは、労働者派遣法で定められている

派遣元と派遣契約を締結するときは、必ず派遣元が厚生労働大臣から許可を得ているか確認しましょう。許可を得ていない派遣元から派遣労働者を受け入れてしまうと、違法となる可能性があります。

派遣期間

派遣期間は、原則として「3年」が上限と定められており、労働者派遣法では次のように明記されています。

【事業所単位の制限】
派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。…(略)…
前項の派遣可能期間(以下「派遣可能期間」という。)は、三年とする。

【個人の制限】
派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

【出典】e-GOV 法令検索(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 労働者派遣法 第40条の2、第35条の3)

 
 

派遣先の同一の事業所が、同じ派遣元から3年を超えて派遣労働者を受け入れることはできないという事業所単位の制限と、同一の派遣労働者が、同じ組織単位で3年を超えて働くことができないという個人単位の制限の2つの観点で派遣期間が制限されています。

派遣先の事業所とは、継続的に経済活動が行われている場所のことをいいます。具体的には、本社や支社、支店のことです。組織単位については、次の両方を満たすもので、名称にとらわれることなく実態により判断すべきとされています。

  1. 課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織
  2. その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有するもの

【出典】派遣先が講ずべき措置に関する指針

例えば、営業課の営業事務グループに派遣労働者を受け入れる場合、営業課の他のグループと業務の関連性や類似性があり、営業課の課長が業務配分や労務管理などを行っているとすると、組織単位は「営業課」になります。

派遣期間は原則として「3年」までとされていますが、条件を満たすことで契約期間を最大で「3年」延長可能です。その条件とは、派遣先の労働組合(組合員の過半数が従業員)若しくは、従業員の過半数の代表者から適正な意見聴取を行うことです。
また、派遣労働者が派遣元と雇用期間に定めのない無期雇用契約を締結している場合も、この上限は適用されません。

派遣契約と他の用語の違い

派遣契約と似た契約として「業務委託契約」があります。2つには明確な違いがあるため、ポイントを押さえておきましょう。
合わせて「派遣社員」と「契約社員」の違いにも触れていますので、是非、参考にしてみてください。

派遣契約と業務委託の違い

業務委託契約について、法律上の定義はありませんが、ある事業者から他の事業者に対して、役務・サービスを提供する場合に用いられることが多いです。
このとき、受託事業者の従業員が委託事業者の事業所に出向いて役務・サービスを提供することがあります。
システムの開発を請け負ったり、システムの保守や運用を行うSES(System Engineering Service)やコンサルタント業務等は、委託事業者の事業所に常駐して業務を行う形態が主流になっています。

この場合、派遣契約とよく似た形態になりますが、必ず区別して考えなければなりません。
派遣契約と業務委託契約の最も大きな違いは、指揮命令権の所在です。
派遣契約の場合、派遣労働者に対する指揮命令権は派遣先が持っています。これに対して、業務委託契約では、受託事業者の従業員への指揮命令権は、委託事業者ではなく、受託者事業者にあります。委託事業者に出向いて役務・サービスを提供していたとしても、あくまで受託者事業者の従業員だからです。したがって、業務委託契約の場合は、基本的に作業のやり方や進め方、作業時間など作業に関して、委託事業者は直接具体的な指示はできません。これをしてしまうと、「偽装請負」となってしまい、違法となる恐れがあるのでよく理解しておきましょう。

また、業務委託契約の場合は特段、許可は不要ですが、派遣契約は厚生労働大臣の許可が必要である点も重要です。

派遣社員と契約社員の違い

派遣社員と契約社員には、「雇用形態」と「契約延長後の就業場所」に違いがあります。派遣社員は派遣会社と雇用を結ぶ「間接契約」であり、労働する企業と報酬を支払う企業が異なります。一方で契約社員は、就業先と雇用を結ぶ「直接契約」のため、就業場所と報酬を支払う企業が同じです。

派遣社員の契約期間は原則「3年」で、基本的に3年を超えて同じ事業所や組織単位で働くことは許されていません。契約社員も1回の契約期間は原則「3年」ですが、契約更新を行うと3年以上も同じ事業所や組織単位で勤務可能です。

派遣契約の流れ

派遣契約を締結から書類の保管まで、大きく4つのSTEPに分けられます。それぞれのSTEPを理解して全体像を深めましょう。

STEP1:基本契約の締結


派遣労働者を受け入れる最初の段階として、「基本契約」を締結します。契約書への記載事項に決まりはなく、派遣元と派遣先の両者の合意で記載事項を決定できます。一般的によく定められる内容は次の通りです。

基本契約書の主な記載事項

  • 派遣料
  • 労働派遣者の交代規則
  • 労働派遣物の契約期間
  • 労働環境の確保
  • 守秘義務
  • 残業の制限
  • 損害賠償…など

労働者派遣法において、基本契約の締結をすることは義務付けられていませんが、基本契約書を作成し派遣元と擦り合わせを行い、責任の所在を明確にしておきましょう。

例えば、派遣労働者が派遣先に損失を与えたとしても、派遣先の指揮命令下で労働しているため、派遣元への損害賠償請求が認められない恐れがあります。そこで、基本契約書には「派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合、派遣元に対して損害賠償を請求することができる」と定めておくことが考えられます。

STEP2:事業所抵触日の通知

事務所抵触日の通知は、派遣期間の上限の3年を超えないための防止措置です。派遣先が派遣元へ知らせる通知であり、労働者派遣法26条4項に定められています。

抵触日とは、派遣期間の上限を超える日を指します。例えば、2023年4月1日から派遣労働者を受け入れるケースの抵触日は、2026年4月1日です。

STEP3:個別契約の締結

個別契約の締結は労働者派遣法に定められており、盛り込むべき記載事項も決まっています。派遣労働者を保護することを目的としているため、基本契約書とは別に作成します。記載事項の一部は次の通りです。

個別契約書の記載事項(労働者派遣法より一部抜粋)

  • 派遣労働者の業務内容
  • 派遣労働者の就業場所や組織
  • 指揮命令者に関する事項
  • 契約期間や派遣労働者の就業開始日
  • 派遣労働者の勤務や休憩時間
  • 安全や衛生に関する事項…など

個別契約の締結は労働者派遣法の第26条に定められており、契約書の保管も義務付けされています。記載事項は上述の他に、派遣労働者の人数や派遣元の責任者、派遣労働者の苦情の処理などです。記載事項に漏れがあると違法になるため、必ず内容を確認しておきましょう。

STEP4:派遣先管理台帳の作成・保管

派遣先は個別の派遣労働者に対して、派遣先管理台帳を作成し保管しなければなりません(労働者派遣法第42条)。

保管期間は3年で記載事項は10個以上も定められており、作成後は派遣先から派遣元へ通知する必要があります。記載事項の代表例は次の通りです。

派遣先管理台帳の記載事項(一部抜粋)

  • 派遣労働者が有期雇用か無期雇用かについて
  • 派遣元事業主の氏名か名称
  • 派遣労働者が就業した日
  • 派遣労働者が始業・終業・休憩した時刻
  • 行った業務内容など

派遣契約に関連する主な法律

派遣先も知っておくべき法律は労働者派遣法の他に、「労働契約法」があります。それぞれ法律の目的が異なるため、どちらの内容も押さえておきましょう。

労働者派遣法

労働者派遣法は、派遣労働者の職場環境や仕事量の確保、労働賃金など、派遣労働者が不当な扱いを受けないために定められた法律です。派遣元と派遣先の両方に向けて、順守すべき事項が記載されています。

契約期限を超えた派遣労働者の労働や、特定の派遣労働者を受け入れる行為などは禁止されています。禁止事項に違反した場合は、業務改善命令や行政指導の対象になり得るため、必ず確認しておくべき法律です。

労働契約法

労働契約法は、派遣元と派遣労働者の労働関係を健全にするための法律です。派遣元と派遣労働者に視点を向けた法律ですが、健全な労働関係を構築できているか見極める際に役立ちます。

もしも、無期雇用と有期雇用の派遣労働者で労働条件が違う、派遣元が雇い止めしていると疑問に感じる場合は、派遣元に注意しましょう。どちらも違法の対象となります。労働契約法に触れる派遣元を選ばないために、派遣先も労働契約法を知っておくべきです。

派遣契約に関するよくある疑問

4つのよくある質問についてお答えしています。是非、参考にしてみてください。

① 派遣期間を延長できる?

派遣期間は原則3年ですが、派遣先の条件を満たせば延長も可能です。条件は先述の通りで、派遣先の労働組合(組合員の過半数が従業員)若しくは、従業員の過半数の代表者から適正な意見聴取を行うことです。

条件を満たすと分かった後は、派遣元と派遣労働者を含めた3者で擦り合わせを行います。合意を得られれば派遣期間を延長できます。

② 派遣社員に年齢制限はある?

派遣労働者として労働するのに年齢制限はありません。定年退職した方でも、派遣社員として従事できます。親会社を定年退職後、子会社に派遣社員として再雇用され親会社へ派遣という例もあります。

③ 派遣契約を途中解約できる?

派遣労働者の安定した雇用を図るため、派遣契約を解約することは原則禁止とされています。ただし、労働者派遣法と派遣先指針に定められた以下5つの事項を講じることで、途中解約は可能です。

  • 派遣先は、相当の猶予期間をもち派遣元へ途中解約の申し入れを行う
  • 派遣先は、就業をあっせんするなど新たな就業機会の確保を図る
  • 新たな就業機会の確保を図れない時は、派遣元に適切な損害賠償を行う
  • 派遣元と十分に協議し適切な善後処理方策を行う
  • 派遣元に請求された時は、途中解約の理由を開示する

④ 派遣労働者の保険加入の確認は派遣元に任せてよい?

派遣先も確認しなければなりません。派遣先は、次の対応をすることが求められているためです。

  1. 派遣元は派遣労働者の健康保険・厚生年金・雇用保険の取得状況を確認し、その状況を派遣先へ通知する
  2. 派遣労働者の未加入の理由が不適当な場合、加入後に派遣するよう求める

まとめ:各種法令を遵守して正しく派遣契約を使いましょう

派遣契約の概要を始め、業務委託の違いや派遣期間などについて解説してきました。改めて、本記事でのポイントを振り返りましょう。

  • 派遣契約では、派遣先に指揮命令権がある
  • 派遣契約の期間は、原則「3年」と定められている
  • 厚生労働大臣から労働者派遣事業の許可を得た派遣元を利用する
  • 基本契約と個別契約の2種類を締結する
  • 労働者派遣法、労働契約法の内容を知っておく

求めるスキルを持つ人材を確保しやすい派遣契約ですが、法律上様々な規制や義務が定められているので、必ず遵守するようにして、正しく派遣契約を利用しましょう。責任の所在が派遣元と派遣先のどちらかはっきりしない場合は、弁護士などの専門家に相談し明確にすることをおすすめします。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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