FAXをやめたいが、廃止できない
そんな悩みを抱える企業は少なくありません。
取引先の都合や社内の慣習、コストなど、FAXには多くの課題があります。
本記事では、FAXをやめるメリットやデメリット、代替案を解説します。移行手順や取引先への通知文例も紹介しますので、FAX業務を見直し、業務効率化を進めたい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
FAXをやめたいと思いつつ廃止できない理由
FAX廃止し、デジタルへ移行すれば、業務効率化やコスト削減につながります。しかし、さまざまな障壁により実現できていない企業が多いのではないでしょうか。
以下では、FAXをやめたいと思いつつ廃止できない理由を4つ紹介します。
取引先がFAXを希望しているから
FAXをやめたいと考えても、取引先の事情により踏み切れない企業は少なくありません。とくに受発注業務においては、相手の希望や慣習を考えると、自社だけの判断では進めにくいのが実情です。
たとえば、年配の経営者が取引先に多い場合や、紙によるやり取りを信頼の証と捉える企業との間では、デジタル化のタイミングや進め方に配慮が求められます。結果、多くの企業が現状維持を選んでいます。
業務の見直しが負担になるから
FAXをやめるには、業務フローの見直しが避けられません。
従来の業務はFAXを前提に設計されているため、FAXを廃止し代替手段を導入する際は、手順書の改訂や社内調整が求められます。業務フローの見直しは想像以上に工数がかかり「見直す手間のほうが大きい」と感じ、見直しを先送りする企業も少なくありません。
従業員がデジタルツールに不慣れだから
従業員の多くがデジタルツールに不慣れな場合、FAXの廃止は現場に混乱をもたらす可能性が高いでしょう。
新しいツールへの抵抗や操作への不安が強いと、代替案を提案しても受け入れられず、形だけの取り組みで終わる可能性があります。とくに、年齢層の高い従業員が多い職場では「今のやり方のほうが楽」といった意識が根づいていることも少なくありません。
スムーズに導入するには、すべての業務を一度に変えるのではなく、扱いやすいものから段階的に導入するのがおすすめです。また、操作マニュアルの整備や丁寧なサポートをおこなうと、不安を和らげながら導入を促せるでしょう。
法令・業界ルールで紙の保管が求められる業務があるから
特定の業界や業務によっては、法令や業界ルールで紙媒体の書類保管が義務付けられている場合があります。
たとえば医療や建設、製造などの分野では、契約書や会計帳簿など紙の原本での保管が求められる場合があり、すべてを電子化するのは難しいとされています。
FAXをやめるデメリット
FAX利用をやめることは、業務効率化やコスト削減につながる一方で、いくつかのデメリットも存在します。以下では、FAXをやめるデメリットを3つ解説します。
一部の取引先と連携が取りづらくなる可能性がある
FAXをやめると、一部の取引先との連携が難しくなる可能性が少なくありません。
たとえば中小企業や老舗企業では、FAXが長年の慣習として根付いている場合があります。そのため、取引先に対してデジタルツールへの移行を求めるのは相手に負担をかけ、取引関係に影響を及ぼす可能性も考えられます。
社内のFAX前提文化を変えるための説得・調整が大変
FAX前提の社内文化を変えるのは、多くの企業にとって大きな課題です。
長年FAXを利用してきた従業員にとっては、新しいツールや業務フローへの順応に抵抗を感じることもあります。とくにデジタルツールに不慣れな従業員にとっては、学習コストや手間がかかるため、反発が生じるケースも少なくありません。
説明会やマニュアルの整備、疑問点に丁寧に応じる体制づくりをしましょう。段階的な移行やサポート体制を整えるのが、社内の納得感につながります。
移行時のトラブル・混乱が発生しやすい
FAXからデジタルツールへの移行時には、一時的なトラブルや混乱が発生しやすいです。たとえばツールの操作ミスや設定不備により、送受信が滞ったり、重要な情報が共有されなかったりなどが考えられます。
事前にリスクを把握し、対応マニュアルを準備しておくのが重要です。また、移行時にはトラブルや混乱が発生することを前提に、余裕を持った移行計画を立てましょう。
FAXをやめるメリット
FAXをやめると、業務効率や働き方の改善につながるメリットが得られます。
以下では、FAXをやめるメリットを4つ解説します。
業務効率化が進む
FAXをやめると、日々の業務効率の底上げが可能です。
従来のFAX業務は手書きでの記入や受信後の仕分け、データ入力など、多くの手間と時間を要しました。また、手書きの記入ミスや確認漏れによるトラブルも、業務全体のスピードを下げる要因になっていました。
テレワーク・リモートワークが実現しやすくなる
FAX廃止により、テレワークやリモートワークが実現しやすくなります。
FAXでのやり取りが必要な業務は、従業員がオフィスに出向く必要があるため、柔軟な働き方を阻害する要因の1つとなっていました。FAXを廃止しデジタル化すると、インターネット環境さえあればどこからでも業務をおこなえるようになります。

ペーパーレス化でコスト削減につながる
FAXをやめることで、ペーパーレス化を促進し、コスト削減につながります。FAXの送受信には、用紙代やトナー代などの継続的な費用がかかります。また、受信したFAXの保管場所の確保や管理も必要です。
FAXを廃止しデジタル化すると、費用削減と保管場所の省スペース化を実現し、書類の印刷や郵送にかかる手間や時間などの間接的なコストも削減できます。

セキュリティ・ガバナンスの強化
FAXを廃止することは、情報セキュリティとガバナンスの強化につながります。FAXで送られてくる情報は、紙媒体で保管される場合が多く、紛失や盗み見のリスクが高いと考えられます。また、誤送信のリスクや誰がいつ、どのような情報にアクセスしたかの追跡が難しいという課題もあります。
デジタルツールへ移行すると、データは暗号化され、アクセス制限が設定可能です。ログ管理も容易になり、情報の閲覧や編集履歴を明確に把握できます。
FAXの代替案
FAXの非効率さを解消し、業務をデジタル化するには、適切な代替手段の導入が欠かせません。以下では、FAXの代替手段を4つ解説します。
自社や取引先の状況に合わせて最適なツールを選択し、移行していきましょう。
インターネットFAX
インターネットFAXはFAX機を使わず、インターネット回線を通じてパソコンやスマートフォンから送受信できるサービスです。
インターネットFAXは紙や専用機器を使わずにやり取りができるため、始めやすい代替手段です。送受信履歴の管理が簡単になり、ペーパーレス化や情報共有の効率が向上します。また、受信したFAXデータはデジタルファイルとしてクラウド上で保存できるため、管理の手間が省けます。
業務の一部からでもデジタル化を進めたい企業にとって、実用性の高い選択肢といえるでしょう。
Web-EDI
Web-EDIは、インターネットを通じて企業間で電子的に受発注や請求処理などをおこなえるサービスです。
Web-EDIはリアルタイムで在庫管理や受注状況の把握ができ、手間やミスを減らせます。また、紙の書類が不要になるため、処理スピードも速いです。
Web受発注システム(BtoB専用)
Web受発注システムは、BtoB取引に特化した受発注業務のプラットフォームです。
Web受発注システムを導入すると、顧客や取引先はオンライン上で直接注文ができ、企業側は情報を一元管理できます。また、オンライン上で在庫や納期などを確認できるため、発注先企業に問い合わせをする手間や時間の削減が可能です。
電子帳票サービス
電子帳票サービスは、請求書や注文書などの帳票をデジタルで作成・送付・管理できる仕組みです。
帳票の作成や送付、保管までの工程をシステム上で効率化できるため、紙運用に比べて手間やコストを大幅に削減できます。2024年から義務化された電子帳簿保存法にも対応したサービスなら、帳票の保存要件を満たしつつ、ガバナンス強化にもつながります。
FAXをやめるための具体的な手順
FAXをやめて代替手段を導入するには、具体的な手順を踏まえて、計画的に進めるのが重要です。
以下では、FAXをやめて代替手段を導入する具体的な手順を紹介します。
FAXの使用状況を把握する
FAXをやめるには、最初に社内のFAX使用状況を正確に把握するのが重要です。
部署によって用途や頻度が異なるため、全体像を明らかにすることで無理のない移行計画が立てやすくなります。アンケート調査やヒアリングを通じてどの部署で、どのような目的で、どれくらいの頻度でFAXが使われているかを明らかにしましょう。
現状を正しく把握すると、無理のない移行計画を立てやすくなります。
FAXが必要な理由と課題を明確にする
次に、FAXが必要な理由と課題を明確にしましょう。取引先の意向や紙の保管義務、ツールへの不安など、FAXが必要とされている背景は企業によって異なります。
代替案を検討する際に現場の声を聞きながら、業務上のどこに課題や不安があるのかを明確にし、どう解決するのかを考えておくのが大切です。
代替案を検討・選定する
FAXの代替手段にはインターネットFAXやWeb-EDI、Web受発注システムなど、選択肢はさまざまです。
導入コストや運用のしやすさに違いがあるため、比較しながら自社の業務内容や規模に最適なものを選定します。導入後の活用度を高めるためにも、検討段階での情報収集は丁寧におこないましょう。
一部部署・取引先からテスト導入を開始する
社内全体に導入する前に、一部の部署や協力的な取引先から試験的に運用を始めるのがおすすめです。
いきなり社内全体に導入すると、現場の負担や混乱が発生しかねません。一部の導入であれば、実際の運用上の問題点や改善点が見つけやすく、柔軟な対応が可能になります。
社外通知をし本格的に運用を開始する
テスト導入で得られた知見を踏まえ、FAX廃止と代替手段への移行を本格的に開始します。
取引先へFAX廃止の理由や新しい連絡手段、移行期間などについて、事前に案内しましょう。必要に応じて、相談窓口を設置したり、営業担当者が直接取引先に出向いて新しい注文方法などを指導したりすると安心です。取引先の理解と協力を得ながら、スムーズな移行をしましょう。
FAX廃止のお知らせメール文例
FAXの廃止を取引先に伝える際は、以下の例のように伝えると良いでしょう。
件名:FAX廃止のご案内とインターネットFAXへの移行について
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様
お世話になっております。 〇〇株式会社の〇〇です。
この度、弊社では業務効率化と環境負荷軽減への取り組みの一環として、FAXによる送受信を廃止し、インターネットFAXへ移行することになりました。これにより、より迅速かつ確実な情報連携を目指してまいります。
現在のFAX番号(03-XXXX-XXXX)は、〇月〇日(〇)をもちまして廃止させていただきます。
今後は、下記インターネットFAX番号へお送りいただけますようお願い申し上げます。
新インターネットFAX番号:03-YYYY-YYYY
FAX廃止に伴い、ご不明な点がございましたら、下記相談窓口までご連絡ください。
相談窓口:〇〇部 〇〇(電話番号:03-ZZZZ-ZZZZ)
皆様にはお手数をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
〇〇株式会社 〇〇部 〇〇
FAXから代替手段に移行し、業務効率化をしましょう
本記事では、FAXをやめるメリットやデメリット、代替手段を解説してきました。
FAXの代替手段は主に4つです。
- インターネットFAX
- Web-EDI
- Web受発注システム(BtoB専用)
- 電子帳票サービス
なかでも電子帳票サービスは、2024年から義務化された電子帳簿保存法にも対応したサービスの場合、帳票の保存要件を満たしつつ、ガバナンス強化も可能にします。











