東京都世田谷区で美容室4店舗、ネイルアイサロン3店舗、リラクゼーションサロン1店舗、飲食店4店舗(焼肉)をドミナント展開している株式会社ANLOOP。
「地域活性化の立役者となる」ビジョンをもとに、地域の経営者とともに学習塾、内装会社、中食事業にも取り組み、外部の方とともに定期的に研修を行うなど仲間とともに世田谷区を盛り上げるべく活動している。
リラクゼーション事業部の新メニュー、「暗闇ヘッドスパ」の考案者である全盲の浅井純子氏がYouTubeチャンネル「令和の虎」に出演したことで、現在予約が殺到している。
順調に事業を拡大している株式会社ANLOOP 伊藤取締役に世田谷区での挑戦について伺ってみた。
目次
貴社のビジョンを教えてください
もともと会長の清水は千歳船橋で小さな美容院をやっている一美容師でした。
ある日、お得意様からの要望で新たにネイルサロンを立ち上げたことから、その地域に足りないものを補填する言わば、ジグソーパズルのピースを上手に当てはめていくようなかたちでこれまでやってきました。
その時の想いを現在も続けている弊社は、「地域活性化の立役者になる」ことを経営ビジョンとして掲げています。
お客様の街での困りごとから、働くスタッフたちの困りごとなどを追求し、昔の長屋のような温かい地域創りを使命とし、挑戦し続けています。
今後、業界をどのように変えていきたいと想っていますか
残念ながら30代をトリガーに美容業界から引退する方が多いのが現状です。
そのため、賃金アップ、雇用形態の多様化、時間の選択肢の幅を広げることにより、将来的にはその課題を解決する一つの波を業界に起こせればという想いの下、日々活動しています。
従業員のライフスタイルにむけて取り組まれていることを教えてください
具体例として「営業時間」と「欠勤」の2つが挙げられます。
・営業時間
以前、ネイルサロンは21時まで営業していたのを、全店舗18時までに変更しました。
単純に営業時間を短くしたのではなく、例えばリラクゼーションは副業で夜に勤務希望の方からの応募があったので営業時間を伸ばすなどして、柔軟な営業時間を設けることで、スタッフ一人一人のライフスタイルに合わせて働けるような取り組みをしております。
・欠勤
スタッフや子供の体調不良で当日欠勤があった場合は、他の店舗にお客様をご案内できるように、3店舗共通の予約システムを導入しています。また、料金も同じ金額で設定しているので、お客様には追加料金などのご負担なくご案内ができております。
この「従業員のライフスタイル」に取り組まれての実績成果やエピソードなどの変化を教えてください
具体的な話で恐縮ですが、経堂店の店長の話になりますが、彼女は出産を機に前サロンを退職しうちに入社してくれました。保育園の時間の都合上、時短の社員枠にも該当しなかったのですが、彼女を社員にしたいと考え、仕組みを作りました。
その結果、店長として働いてくれて、現在では新人教育の責任者を精力的に担ってくれています!
貴社の今後の展望を教えてください
働く従業員とその大枠となる会社そのもので話しをさせていただきます。
まず、働く従業員についてですが、こちらは、スタッフ一人一人のライフスタイルに合わせた多様な仕組み作りと、さらに多様な雇用形態を作ることで、時間の都合で諦めていた美容業界で働きたい人の受け皿を完備することです。これによってスタッフ一人一人が輝き、ひいては地域の活性化につながると考えています。
次に、大枠となる会社そのものですが、2023年12月現在、弊社の店舗数は12ですが、10年後には100店舗まで拡大できるように目標を掲げています。そのための手段として、一従業員にも経営の知識をつけてもらうこと、また、未経験者でも働くことができるような教育の仕組みづくりが挙げられます
また、役員に対しては、新規事業を始められるようにこれまで培った経営の知識を土台とし、会長の清水に対してのプレゼンテーションの場を定期的に設けております。
そこで実際に始まったものの一つとして、飲食店向けのコンサル事業があります。国で行っている業務改善助成金などの助成金や清水が持っている飲食業のネットワークまた、そのノウハウを活用し、現在多くの問合せがあり、そこからの支援が始まっています。
仕事を探している方々にメッセージをお願いします
ライフステージが変化する中、希望の仕事を諦めるしかなかった方もいらっしゃるかと思います。弊社はスタッフのライフプランにあわせた仕組みを用意し、一人一人が持っている「強み」を大切にしています。
職種もネイル、アイ、リラクゼーション、美容師にとどまらず飲食事業も展開しているので、それぞれのライフステージに合わせて部門の異動希望を出してもらうことも可能です。
ぜひ一緒に世田谷区を盛り上げていきましょう!
【中小企業診断士 高橋良輔からの一言】
少し古いデータだが、2018年の日本政策公庫の生活衛生関係営業の景気動向等調査結果から、美容業界全体の6割が顧客数の減少であり、それに伴い、業界の経営課題が、客単価の減少、従業員の確保難、店舗施設の狭さなどが挙げられている。
ただ、美容業界は地域密着のサービス業であるため、その地域にあったサービス、人員、雰囲気などを上手に取り組むことにより、事業として大きく成長させることが期待できる。例えば、今後は増えるインバウンド需要に特化した新たなサービス開発などもおもしろいかもしれない。