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発生主義と現金主義、実現主義の違い│収益・費用はいつ計上する?

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会計処理をするにあたり、すべての会社が準拠しなければならないルールとして「企業会計原則」という規則があります。この企業会計原則において、日本では会社の損益を計算する前提として発生主義の原則、実現主義の原則を取っています。そこでこの記事では、企業会計原則で求められている発生主義について解説するとともに、現金主義、実現主義との違いについても説明します。収益や費用をいつ計上するか見ていきましょう。

目次

発生主義とは?

企業会計原則は、「一般原則」「損益計算書原則」「貸借対照表原則」の3部構成となっています。このうちの損益計算書原則において「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。(後略)」と記されています。

つまり、企業会計原則は、現預金の出金や入金の事実ではなく、経済的に費用の発生や収益の獲得の事実が生じた期間に計上することを求めており、この考え方を発生主義の原則と言います。

発生主義で会計処理を行うと、必ずしも収入=収益、支出=費用が成り立つとは限りません。発生主義によれば、損益計算書だけでなく、貸借対照表においても「財産の状況」が正しく表示されるため、よりその会社の置かれた状況が把握できます。

発生主義と現金主義、実現主義の違い

発生主義に対して、現金主義という考え方があります。現金主義とは、収益・費用を現預金等の入金・出金のタイミングで計上する会計処理の方法です。現金主義で会計処理をすると、収入=収益、支出=費用となります。

また、企業会計原則の損益計算書原則において「(前略)未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない」と記されています。つまり、入金の事実があったとしても、物を販売していない、サービスを提供していない時点では、売上を計上することは認めないとする考え方です。この考え方を実現主義と言います。

発生主義による会計では、収益については企業会計原則において実現主義により認識をするものとされてきました。しかし、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」により収益認識に関する会計基準が整備され、今後はこの会計基準が収益認識の正式な規則となっていくでしょう。適用開始は、2021年4月以後開始する事業年度からです。

発生主義と現金主義、実現主義のそれぞれのメリット・デメリット

それでは、それぞれのメリット・デメリットについてみていきましょう。

・発生主義・実現主義のメリット:正しく損益計算ができる
発生主義・実現主義においては、費用の発生、収益の実現の事実に基づいて会計処理をするため、意図的に利益を操作することができなくなります。事業年度を通してはもちろん、月々の損益も正しく計算することが可能です。こうすることで、月次損益を正確に把握でき、適切な事業計画の策定や資金繰り対策を取ることができます。

・発生主義・実現主義のデメリット:会計処理が煩雑になりやすい
発生主義・実現主義は適切な期間損益計算ができますが、複式簿記により会計処理をするため会計知識を必要とします。会計知識をマスターした上で、さらに費用、収益を漏れなく計上するために複雑な処理が要求されることも、デメリットと言えるでしょう。

・現金主義のメリット:処理が簡単で分かりやすい
現金主義は、入金した時に売上を計上し、支払いをした時に費用を計上すればよく、極端に言うと、通帳で損益を計算することが可能です。つまり、発生主義や現金主義で求められるような煩雑な費用・収益の計上基準によらず、簡単に会計処理をすることができます。

・現金主義のデメリット:正しい損益計算ができない
現金主義により作成した決算書は、現預金の入出金の状況を示しているに過ぎません。つまり現金主義では、物を販売したタイミング、サービスを提供したタイミングで売上は計上されず、当期中に売上がいくらで利益がいくら出ているのか、あるいは損しているのかが分かりません。このため、利益予想ができず、誤った経営判断につながる恐れがあります。

まとめ:発生主義会計による適正な期間損益計算が重要

実務上、商取引は売掛金や買掛金に代表される信用取引が中心となっています。また、家賃や利息など時間の経過とともに発生する費用も多く、適切に損益の計算をするためには、費用については発生主義、収益については実現主義による会計処理によらなければなりません。

発生主義や実現主義が求められるのは、会社に限らず、個人にもあてはまります。一定の個人事業主を対象に現金主義が認められてはいますが、実際は減価償却費の計上が求められるなど、発生主義に近い現金主義と言えます。

すべての会社や個人が、発生主義、実現主義により会計処理を行えば、その先にある税金計算においても、公平に課税することができます。結果として我が国の経済の発展にもつながることになるでしょう。

<プロフィール>

河野 雅人(かわの まさと)
公認会計士・税理士

東京都新宿区に事務所を構え活動中。大手監査法人に勤務した後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後8年間の実績は、法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。年間約10件、セミナーや研修会などの講師としても活躍している。趣味はスポーツ観戦。

 

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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