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【令和6年最新】AI契約書レビューは非弁行為に該当する?ガイドラインの解釈と適法かどうかの判断基準を徹底解説

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業務効率化を期待して、契約書の作成や管理などでAIを活用する企業が増えてきました。これから導入を検討している企業も多く、ますます普及していくツールとなるでしょう。しかし、AI契約書レビューは非弁行為(弁護士法に抵触する違法行為)だという話を耳にした方もいるかもしれません。

もし非弁行為に該当する可能性があれば、便利なツールであっても導入に慎重にならざるを得ないでしょう。そのため、どんな使い方なら非弁行為に該当するのか、逆にどんな使い方なら問題ないのか、詳しく把握した上で利用すべきだといえます。本記事では、AI契約書レビューと非弁行為の可能性について解説していきます。

目次

AI契約書レビューとは

AIを活用した契約書レビューは、自然言語処理技術や機械学習を駆使して、契約書の文章を自動で解析します。高度な解析を行うことで、リスクのある条項や抜け漏れのある条項を素早く見つけ出すことができるのです。

具体的にどんなことができるのか

通常は契約書を作成したら、不備や誤りなどがないかどうか入念にチェックしなければなりません。契約を締結すると法的な義務を負うことになり、契約書の記載内容に不備や誤りなどがあると、取引先との訴訟などにもつながりかねないため、大きな損失の可能性があります。そのため、契約書のチェックは、企業にとって非常に重要な業務です。

しかし、人の目でチェックしただけでは漏れが起こり得ます。また、チェックを行うのに時間もかかるでしょう。そのような状況を改善するツールとしてAI契約書レビューを利用すれば、チェック漏れを防止することができ、チェックにかかる時間も短縮されます。

より高度な機能が備わっているものもある

AI契約書レビューの中には、単に不備や誤りを抽出するだけでなく、修正案などを提示できるものもあります。契約書の作成そのものを行える機能が備わっているAI契約書レビューもあり、それぞれのツールによって具体的な機能はさまざまです。

次の記事ではAI契約書レビューサービスをあらゆる観点から徹底比較しています。サービス導入を検討している方はぜひご覧ください。

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非弁行為とは

AI契約書レビュー利用時に気になることの一つが、非弁行為に該当するか否かです。非弁行為とは、弁護士法に抵触する違法行為のことを指します。

代表的なものとしては、弁護士資格を持たない人や弁護士法人でない法人が法律に関連する業務を行う行為が挙げられます。ただし、法律に関する業務にもさまざまなものがあり、すべてが非弁行為に該当するわけではありません。非弁行為に該当するのは、次の条件に該当する場合です。

報酬を得る目的

弁護士資格を持たない人や弁護士法人でない法人が法律に関連する業務を行うことを禁止する規定は、弁護士法72条に定められています。ただし「報酬を得る目的で」という文言が明確に盛り込まれているため、報酬を得る目的がなく無料でアドバイスなどをする場合は、非弁行為には該当しないことになるでしょう。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

出典:弁護士法 | e-Gov法令検索

法律事務を取り扱うこと、周旋をすること

また弁護士法第72条では、弁護士以外の人が、法律事件等を対象に法律事務を取り扱うこと、周旋することを禁止しています。

鑑定・代理・仲裁・和解などの法律事務の取り扱いや周旋

鑑定とは、法律上の専門知識に照らし合わせて見解を述べることなどが該当します。代理というのは、契約の締結や交渉などを当事者の代わりに行うことです。仲裁は、トラブルが発生しているときに、当事者双方の間に入って意見を聞いたり和解案を提案したりすることなどを指します。

いずれも第三者同士のトラブルに介入すると、非弁行為に該当してしまう可能性があります。しかし、自分が当事者になっている事件で相手に対して和解案を提案する場合などは該当しません。

業として行う場合

業としてというのは、仕事や業務などの目的で行うことです。反復継続して行っている場合には、正式な形の仕事や業務でなくても、業として行っているものと扱われる可能性があります。

非弁行為については、次の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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非弁行為を行った場合にはどうなるのか

非弁行為には罰則が規定されています。具体的には2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

(非弁護士との提携等の罪)

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第七十二条の規定に違反した者
四 第七十三条の規定に違反した者

出典:弁護士法 | e-Gov法令検索

非弁行為の具体例

次のような例は非弁行為に該当する可能性があります。

退職代行サービス業者による交渉

退職代行サービスというのは、退職したい人に代わって必要な手続きを行ってくれる業者のことです。勤務先に退職届を提出して退職の意思を伝えるだけであれば、非弁行為には該当しません。しかし、未払いの残業代の請求や退職金の金額の交渉などを行っている場合には非弁行為に該当してしまう可能性があります。

不動産会社による交渉

不動産会社では、オーナーからさまざまな相談を受けることがあるでしょう。相談を受けた上で、交渉を代行してしまうと、非弁行為に該当してしまう可能性があります。たとえば、入居者に対して賃料の交渉や立ち退き交渉などを行う場合です。

IT企業が行う誹謗中傷対策の一部

インターネット上の誹謗中傷に関して、裁判手続きやサイト運営者との交渉を行う場合には、非弁行為に該当する可能性があります。投稿者の特定や削除などは、サイト運営者との交渉が必要なため、弁護士でないとできません。

なお、裁判手続きやサイト運営者との交渉をせずに行う対策に関しては、弁護士でなくても可能です。たとえば、逆SEOと呼ばれる誹謗中傷の書き込みが目につきにくくするなどの対策なら、非弁行為には該当しません。

弁護士以外の法律専門家の範囲を超えた業務

司法書士や行政書士、社労士などの弁護士以外の法律専門家が行う業務は、法律で範囲が決められています。その範囲を超えた内容の業務を行うと、非弁行為に該当する場合もあります。

たとえば、認定を受けた司法書士は140万円以下の民事事件を扱うことが可能です。しかし、140万円を超えた金額の民事事件を扱ってしまうと、非弁行為に該当してしまいます。

グレーゾーン解消制度で回答がなされている

グレーゾーン解消制度というのは、法規制の適用範囲が不明確な場合に、あらかじめ規制の適用の有無を関連する省庁等に確認できる制度です。自社の業務が規制の対象になるのかどうかはっきりしないと、安心して業務を行うことができません。このことが経済や産業の発展を阻害してしまっている面もあるため、事業者が安心して業務を行えるように、グレーゾーン解消制度が活用されています。

AI契約書レビューと非弁行為に関しては、法務省が2022年6月にグレーゾーン解消制度に基づき回答を示しています。その内容は、AI契約書レビューは、非弁行為に該当する可能性があるとするものでした。

しかし、すべてが非弁行為に該当するわけではなく、法務省は以下のガイドラインを示しています。

法務省によるガイドライン

2023年8月には法務省でAI契約書レビューに関するガイドラインが発表されました。ガイドラインでは、次の条件に当てはまると非弁行為に該当するとされています。

法務省「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について

有料

AI契約書レビューが有料で、料金を支払わないと利用できない場合には、非弁行為に該当するとされています。料金が報酬として扱われ、報酬を得る目的に該当してしまうためです。

無料で提供されているAI契約書レビューなら、非弁行為には該当しません。以前まで有料だったAI契約書レビューのサービスで、非弁行為に該当しないようにするために無償化されたものもあります。

参考:プレスリリース「AI契約書審査LawFlowがサービス無償化へ」

事件性がある場合

和解契約など、特定の事件に基づいて締結される契約に関しては、非弁行為に該当する可能性があります。弁護士法第72条のその他一般の法律事件に関するものだとされるためです。

法律的なトラブルがなく継続的に行われている取引に関する契約であれば、その他一般の法律事件とは見なされず、非弁行為にも該当しないでしょう。

法的リスクに対する具体的な修正案を提示する

契約書に記載されている内容を精査して、法的リスクがある箇所などをピックアップするAI契約書レビューは、弁護士法第72条の鑑定またはその他の法律事務にあたるため、非弁行為に該当します。同様に、法的リスクに対する具体的な修正案を提示する機能が備わっているAI契約書レビューも、非弁行為に該当してしまいます。

登録した内容と契約書の内容を比較して、類似点や相違点などを抽出するだけであれば、非弁行為に該当しないでしょう。

AI契約書レビューを利用するメリット

非弁行為に該当する可能性が低いAI契約書レビューなら、利用することで次のようなメリットがあります。

業務効率を改善できる

AI契約書レビューを使用しない場合には、契約書の内容を一つずつ人間の目で見返してチェックすることになります。そうすると、どうしても契約書のチェックで時間が取られて、ほかの業務がなかなか進まないこともあるかもしれません。

AI契約書レビューを活用すれば、契約書のチェックにかかる時間を短縮でき、業務効率改善につながるでしょう。

ミスや見落としを減らせる

人がチェックするとどうしてもヒューマンエラーが起こり得ます。ミスや見落としなどにより、契約書が意図しない内容になってしまうこともあるかもしれません。

AI契約書レビューなら、人間のようなミスや見落としは基本的に起こらず、高い精度でチェックできるのがメリットです。

人件費の削減につながる

契約書のチェックを社員が行っている場合には、その分だけ人件費がかかります。契約書のチェックに時間がかかるために残業することになれば、時間外労働手当も発生するでしょう。

AI契約書レビューを利用することで、業務量が削減でき、人件費の削減にもつながります。

まとめ

AI契約書レビューは非常に便利なサービスで、契約書のチェックにかかる時間を短縮できます。業務効率改善や人件費の削減など、大きなメリットをもたらすツールだといえるでしょう。しかし大きな問題点として、非弁行為に該当する可能性が指摘されていました。非弁行為というのは、弁護士以外の人が法律に関する業務を行うことです。

AI契約書レビューが非弁行為に該当するかどうかを明確にするため、2023年8月に法務省によってガイドラインで基準が示されました。ガイドラインによれば、法的リスクのある箇所を指摘したり、法的リスクに対する修正案を提示したりする機能を持つAI契約書レビューだと非弁行為に該当する可能性が高いとされています。逆にいえば、そのような機能がなければ、適法なものとして利用できます。


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この記事を書いた人

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