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利用規約を作る際に押さえておくべき12のポイントを一挙紹介

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有料・無料を問わずインターネット上で何かサービスを利用しようとすれば、必ずと言っていいほどついて回るのが「利用規約」です。

利用規約には、サービスを提供する企業にとって、ユーザーの権利・義務などを明確にしておくことで、ユーザーとのトラブルの発生を未然に防止したり、いざトラブルが発生した場合などには責任の所在を明確にできたりするというメリットがあります。

一方で、利用規約作成時には気をつけるべきポイントが複数存在します。なぜなら利用規約はサービスの提供側が作成するものであるため、自社にとって有利な内容ばかりを盛り込んでしまう恐れがあるからです。

今回は、この利用規約について解説します。

目次

利用規約とは

利用規約とは、サービスやアプリを提供する事業者が、サービスやアプリの利用を希望する人(不特定多数を想定)に対して、利用上の遵守事項その他必要事項をまとめたものです。法律関係などを明確化することによってユーザーとのトラブルの防止などを目的として定められています。

ユーザーが利用規約に同意・承諾すると、利用規約の内容で事業者とユーザーが約束をしたことになります。約束とは、つまり利用に関する契約が締結されることを意味します。

たとえば、自動販売機で缶コーヒーが120円で販売されていたとします。「申込の誘因」とよばれますが、要は購入条件の提示です。購入したい人が自動販売機に120円を入れることで「購入条件に対する承諾」つまり売買契約が成立し、缶コーヒーを手に入れることができます。

利用規約もサービスを展開する事業者による利用の条件提示であり、消費者は利用規約への同意をすることで、結果として事業者と「契約」を結んでいるのです。

利用規約と約款の違い

利用規約と同様の役割を持つものとして「約款(やっかん)」が存在します。約款は、一方の当事者が不特定多数の人と同じ契約をするために契約条項をあらかじめ作成して、定型化し、一つの書類やウェブサイトにまとめて提示するものです。相手方が約款に同意すれば契約が成立するという機能を持ちますので、利用規約と約款は、法律的にみた場合ほぼ同一とみて差し支えないでしょう。

なお、約款や利用規約が、民法の定める一定の要件を満たしている場合には民法上の「定型約款」(民法第548条の2 第1項)となるため、事業者にとっては各種のメリットを受けることが期待できます。

そのほか「約款」の詳細は次の記事をご覧ください。

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利用規約を作るメリット

法律上、利用規約を作成しなければならないという義務は存在しません。利用規約を作らずにサービスの提供を行っても違法ではないのです。しかし、利用規約を作成すればサービス提供会社とユーザーとの間の法律関係や利用するためのルールを明確化できるようになります。

その結果、サービス提供会社とユーザー間において発生する可能性のある各種トラブルを未然に防ぐことが期待できるようになるのです。

利用規約の作り方

それではここで、利用規約を作る際に押さえておくべき12のポイントについて確認することにしましょう。世の中に存在するサービスは多種多様なものであるため、利用規約はサービスごとにケースバイケースで定める必要があります。

そのため、こちらで取り上げる各項目は、あくまでも各種サービスに共通する基本的な事項となります。あくまでも利用規約の「ひな型」であることを認識し、必要に応じて追加・削除・修正などを行い、自らのサービスに適合した利用規約とするようにしてください。

利用規約を作成する際には、一般的に以下のような各項目を盛り込みます。

それぞれについて、確認していくことにしましょう。

利用規約に対する同意

利用規約を作成する際にもっとも大切なのは、サービスの利用を希望する者は利用規約に同意する必要があると明記することです。ユーザーから同意を得ることは、サービス提供者として不可欠な手続きとなります。

サービスを利用するためには、利用規約のすべてを読んだうえで、すべての条項について同意することが必要であることを明記しましょう。

用語の定義・説明

利用規約は、ユーザーごとに別の解釈がなされるようなあいまいなものであってはいけません。誰が読んでも内容が明確であり、別の解釈がなされないようなものである必要があります。利用規約はその性質上、法律的な用語や専門用語などを使用する頻度が高くなります。一般的になじみのない用語や別の解釈ができるようなあいまいな用語に関しては、利用規約の中でその定義・説明をしておくことが必要です。そうしておくことによって、利用規約中の用語について解釈の違いによるトラブルが発生するようなリスクを抑えることができるでしょう。

サービスの詳細

提供するサービスの内容や具体的な範囲を明記します。

これを明記しておかないと、ユーザーとしてどこまでのサービスを求めることができるのかが不明確となり、将来的にトラブルを引き起こすリスクを残すことになります。

規約変更手続きの詳細

将来的な各種事情の変化により、利用規約を変更する必要が出てくる可能性は否定できません。利用規約を変更する際に、どのような手続きで規約の変更を行うのかについて具体的に記載しておく必要があります。基本的には、ユーザーから改めて利用規約への同意を求める手続きが必要となることが多いでしょう。

しかし、利用規約が民法上の定型約款に該当する場合には、一定要件を満たすことで規約の変更についてユーザーの同意を不要とすることができます。

利用料金および支払い方法

無料の場合は不要ですが、有料サービスの場合には利用料金の額や支払い方法などについて明確に定めておく必要があります。サービスの利用が一度で終了するのではなく、継続することを前提としている場合(サブスクリプション型サービス)では、銀行口座からの引き落としやクレジットカードが利用できるかどうかなどについても明記するようにしましょう。

サービス内容に関する各種権利の帰属

サービス内において著作権など各種知的財産権に該当するものを扱う場合には、その権利の帰属を明確にしておく必要があります。ユーザーが投稿したデータなどを扱うサービスでは、その権利の帰属を投稿者本人に留保するのか、またはサービス提供会社に譲渡することになるのかを定めておきましょう。

禁止事項

サービスの利用に関して、どのような行為が禁止されるのかについて詳細に記載する必要があります。各種法律に反する行為を禁止するのはもちろんのことですが、それ以外にもユーザー間のトラブルなどに発展する可能性のある行為なども禁止しておくとよいでしょう。

特に、ユーザーが個人的意見を投稿することのできるサービスなどでは、他人に対する誹謗中傷そのほか迷惑行為を禁止する旨を明確に定めておきましょう。

罰則

ユーザーにおいて利用規約に定める禁止事項に該当する行為がある場合、どのような罰則を科すのかについて定めておきます。一般的には、サービスの利用停止強制退会などの措置が考えられます。

サービスの停止・終了に関する事項

サービス提供者の事情により、将来においてサービスが停止または終了となる可能性がある旨も明記します。実際にサービスの停止または終了をする際には、数か月前など一定以上前もって通知するようにすると無用のトラブルを避けることができるでしょう。

損害賠償に関する事項

サービスの利用に関してユーザー側に損害が発生した場合、サービス提供者の賠償の限度について定めておくことは非常に大切なことです。事業者側としてはなるべく責任を軽くしたいところではありますが、「損害賠償の責任を負わない」などとあまりに偏った内容にしてしまうと消費者契約法によってその条項が無効となる可能性もあるので注意が必要です。

適切な範囲において損害賠償責任を負う旨を定めるとよいでしょう。たとえば「故意または重過失がある場合には損害賠償の責任を負う」という方向性で定めることも選択肢のひとつです。

サービスの解約に関する事項

ユーザーがサービスの解約を希望する場合、どのような条件で解約することになるのか定めておきます。特にサービスが有料の場合においては、どの時点まで料金が発生するのか明確にしておくことが大切です。金銭に関する事項は、もっともトラブルに発展する可能性が高いため、しっかりと規定しておきましょう。

管轄すべき裁判所について

サービスの利用に関して法的トラブルが発生した場合、その解決のために利用する裁判所をどこにするのかを明記しておきましょう。通常のケースでは、サービス提供会社の本店所在地を管轄する裁判所とすることが一般的です。

作成の際に注意すべき2つのポイント

利用規約を作成する際には、主に以下のような2つのポイントに注意してください。

それぞれの詳細についてみていくことにしましょう。

ユーザーへの対応

利用規約においては自社の利益の保護を図ることは大切なことですが、ユーザーの権利を制限するなど、あまりに一方的な内容ではユーザーの反感を買い、トラブルを作る元になりかねません。また、そのように偏った内容の利用規約は、消費者契約法などの条項によって法律的な有効性に関してもリスクを負うことになります。

利用規約を定める際には、ユーザーへのきめ細かな配慮をしながらも、禁止事項については想定される行為を広く想定しておき、相応の罰則を定めておくことが大切です。

コンプライアンスの励行

言うまでもないことではありますが、サービスの提供に関しては法令を遵守し、各種法律の定める禁止事項に抵触しないように配慮する必要があります。また、近年では民法や個人情報保護法など、私たちにとって影響の大きい法改正が相次いでいるため、各種法令の改正内容に応じた対応が必要となる場合も考えられます。法律の動向には常に関心を持つようにしておき、必要に応じて規約の変更を行うように心がけましょう。

利用規約の有効性を高めるために

最後に、利用規約の法的有効性を高めるために必要なことを確認しておきましょう。

利用規約の内容は、サービス提供会社・ユーザー双方にとって合理的な内容となるものにするように心がける必要があります。サービス提供会社にとって一方的に有利な内容である場合、利用規約の法的有効性が疑われる可能性が高くなってしまいます。

そのような事態を回避するためには、利用規約の内容を吟味し、民法の定める「定型約款」に該当するように作成するとよいでしょう。

利用規約が定型約款に該当する場合には、一定の条件の下に「みなし合意」の成立が認められたり、規約内容を変更する際にもユーザーから個別の同意が不要となるなどメリットを受けることが期待できるようになります。これから利用規約を作成する場合には、ぜひ民法上の定型約款の条件を満たすようにすることをおすすめします。

なお、民法が定める定型約款の要件等、詳細に関しては以下の記事を参照してください。

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まとめ

各種サービスを提供する企業にとって、利用規約を定めておくことは非常に大切なことです。利用規約を適切に定めておくことで、将来発生するかもしれない各種のトラブルを未然に防いだり、自らの権利を保全したりすることができるからです。今回ご紹介したポイントを押さえ、各サービスに適合した利用規約を作成していただければ幸いです。

近年では各種法令の改正が相次いでいます。法改正には常に注意し、必要に応じて利用規約をアップデートしていくことも大切です。

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この記事を書いた人

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