電子契約したデータは、紙に印刷して保存しておくべき?
印刷した際、法的な効力はある?
印刷した紙に印紙税はかかる?
電子帳簿保存法により、電子契約したデータは電子保存が義務です。印刷は任意(控えとして可)ですが、保存の代替にはなりません。
また印刷した場合も副本(控え)として保存すれば、収入印紙の貼り付けも不要です。
本記事では、電子契約を印刷する際の法的効力、印紙税の扱い、保存要件など、実務で知っておくべきポイントを詳しく解説します。
- 電子契約データを書類に印刷する必要はない
- 電子契約したデータは電子のまま保存が原則義務で、印刷やスキャンは保存の代替にならない
- 印刷した紙の契約書(副本とする場合)に、印紙税はかからない。ただし、印刷した紙を原本とする場合は、印紙税が発生する
- 電子で契約したものは電子で保存。紙の契約は、紙で保存した方が法令適合性、証拠力、運用コストの面でよい
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- 電子署名により契約書の改ざんを防止
- 認定タイムスタンプで契約締結日時を証明
- クラウド上で契約書を安全に保管できる
- 契約相手もアカウント不要でかんたんに署名可能
- 契約の進捗状況をリアルタイムで確認可能
※1. 導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。 自社調べ(2023年11月)
電子契約を印刷する必要はあるのか?
電子契約を導入すると、「データだけでなく紙でも残しておいた方がいいのでは」と不安に感じるかもしれません。しかし、電子契約を印刷する必要はありません。
契約の有効性は民法上、形式を問いませんが、税法上の保存について電子帳簿保存法の要件(改ざん防止、見読性、検索性、出力体制など)を満たす必要があります。
印刷した電子契約の法的効力とは
電子契約で締結した契約書を印刷した場合、紙の書類は法律上どのような位置づけになるのでしょうか。この場合、電子契約書のデータが契約の原本であり、印刷物はコピー(副本)に過ぎません。
電子契約では当事者双方が電子署名などにより合意したデータが正式な契約書となります。たとえ、紙に出力しても原本とはみなされません。
印刷物は「控え」や「写し」の扱いとなり、確認用の資料にはなっても、原本としての証明力は限定的です。
もちろん、印刷した契約書にも一定の証拠価値はあります。契約内容を示す書面として裁判などで提示することもできますが、電子契約の原本データおよび電子署名の検証結果を提示できることが望ましいでしょう。
印刷した紙の契約書を原本とする場合の法的有効性
この場合、電子契約ではなく紙の契約書となります。印紙税の問題も発生し、契約書も紙・電子二重で管理する手間が増えてしまいます。
なお、紙の契約書が正本なら、スキャンPDFの写しでは原本の代わりになりません。証拠価値はあるものの原本と同等ではなく、電子署名法3条の推定も通常はおよびません。
この場合、電子データは証拠としての法的効力はやや劣り、契約書が真に成立したことを証明するには原本(紙)の提出が求められることも。要するに、契約は結ばれた形態(紙か電子か)で保管・管理するようにしましょう。
電子契約をしたら電子のまま、紙契約をしたら原本の紙を適切に保存することが原則となります。
特段の事情がなければ、電子契約は電子のまま運用した方が効率的です。
電子契約を印刷した場合の印紙税の扱い
電子契約を導入する際、多くの企業が期待するメリットの一つに「印紙税の節約」があります。紙の契約書は契約内容によって印紙税が必要ですが、電子契約であれば原則・印紙税はかかりません。
では、電子契約で締結した書類を紙に印刷した場合、印紙税の扱いはどうなるのでしょうか。ここでは、電子契約と印刷した場合の印紙税の関係について詳しく解説します。
印紙税がかかる契約書の種類
印刷物に双方の署名・押印などがあり、紙の正本(原本)として作成した場合、印紙税法の課税物件表に掲げる契約類型に限って印紙税が発生します。

すべての契約書が課税対象ではなく、代表的には売買契約書、金銭消費貸借契約書(借用証書)、領収書、請負契約書などが挙げられます。電子契約の場合、契約書を電子化することで印紙税を節約できます。
しかし、電子契約データを印刷し紙の契約書を作成してしまえば、課税対象となる点に注意しましょう。
電子契約したものを印刷し紙を原本とする場合
電子契約で合意した内容を紙にも残そうと、契約締結後に電子契約書を印刷・製本し、改めて書面で契約を結び直すケースも考えられます。このように双方の署名・押印があり印刷した書面を契約の原本(正本)として扱う場合、印紙税法上・課税文書とみなされます。
たとえ、最初は電子契約であっても、最終的に紙の契約書に署名・押印して取り交わしたのであれば、紙の契約書を作成したことになります。
結果、紙の契約書に該当する以上、収入印紙の貼付が必要となります。たとえば、印刷した契約書に双方が押印し直し、「契約書(正本)各1通作成し、各当事者1通保有する」などと取り交わした場合、各正本に規定額の印紙を貼らなくてはなりません。
電子契約のメリットである、印紙税コスト削減は受けられない点に注意してください。
電子契約を印刷し紙を保存用の副本とする場合
一方、電子契約書を印刷しても、契約当事者間で交付せず控えの副本として保管するだけであれば印紙税はかかりません。ポイントは、紙が契約当事者双方にとって「契約書としての役割を果たす正本」かどうかです。
「単なるコピーや副本であれば課税文書には該当しない」というのが印紙税法上の取り扱いになります。国税庁の印紙税に関するQ&Aでも「契約書を正副2通作成した場合、正本にのみ印紙を貼れば足り、控えとして作成した副本・謄本等には原則として印紙税は不要」と明記されています。
したがって、電子契約後に自社用に紙で印刷してファイリングしておくケースでは、あくまで電子契約書の写し(控え)と位置付けられます。
電子契約の保存方法と印刷の要件と条件
電子契約を適切に運用するには、契約書の保存方法についても理解しておく必要があります。電子契約書は紙と異なりデータで、法律で定められた条件を満たして保存しなければなりません。
ここでは、電子契約に関連する電子帳簿保存法の概要と、紙で保存する場合の要件について解説します。
対象書類
電子帳簿保存法において、電子保存(電子データでの保存)が義務付けられる対象書類を確認しておきましょう。契約書はその代表例ですが、他にも以下のようなビジネス文書が該当します。
- 契約書
- 見積書
- 注文書
- 請求書
- 領収書
- 納品書
- 検収書
- 送り状
これらはいずれも企業活動に伴い発行・受領する国税関係書類で、原則、保存義務があります。従来は紙で受け取った場合は紙で7年間保存する必要がありました。
しかし、データで受け渡した場合(電子取引)、紙に出力せず電子データのまま保存することが2022年改正の電子帳簿保存法で義務付けられました。メールやクラウドサービスで送受信した請求書や契約書は、電子データのまま保管するのが原則となっています。
電子契約を電子保存する場合の要件
電子契約書など電子取引データを電子のまま保存するには、電子帳簿保存法で定められたおもな要件を満たす必要があります。具体的には以下のポイントが挙げられます。
- 真実性の確保
- 可視性の確保
- 検索機能の確保
- 保存期間の遵守
- 事務処理規程の整備
※可能ならば
以上の要件を満たしていれば、契約書を電子データで保存しておいて問題ありません。電子契約サービス(電子印鑑GMOサインなど)を利用すれば、多くの要件をシステム側でクリアできます。
自社開発や一般のストレージで保存する場合、タイムスタンプサービスを使ったり、フォルダ管理ルールを徹底するなどの工夫が必要です。

2023年12月までの印刷保管の条件
電子取引データの電子保存は本来2022年から義務化される予定でした。しかし、多くの企業で対応が間に合わなかったことから、2023年12月までは経過措置(宥恕措置)として紙での保存も容認されていました。
この猶予期間中は、電子契約書を紙に印刷・保存しても直ちに罰則は科されないことになっていました。実務上は「ひとまず印刷保存」という対応も許容されていたのです。
税務調査の際に電子データや、紙出力を提示できれば、要件不備は免除される運用でした。このため2022~2023年にかけて、多くの企業が猶予期間内にシステム対応や、社内ルール整備を進め、完全義務化に備えていました。
2024年以降の印刷保管要件
2024年1月からは電子取引データの電子保存が原則、完全義務化されました。このため、電子契約した書類を「プリントアウトして紙で保存すればOK」という対応は基本的に認められません。
ただし、2024年以降も一部に要件緩和の猶予措置が設けられています。
「電子保存のためのシステムやワークフロー整備が間に合わない」といったやむを得ない事情(相当の理由)がある場合、一定の条件のもとで保存要件が免除されます。この猶予措置を利用するには、少なくとも電子データそのものはしっかり保存しておくことが前提です。
そのうえで
- 税務署から求められたときに「その電子データ」自体を提出できること
- 「電子データを紙に出力したもの」を提出できること
の2点に対応できていれば、真実性の確保・検索機能の確保などの要件について罰則を科されません。
ただし、この緩和措置でも、電子データを保存することは必須となります。猶予措置はあくまで保存要件(タイムスタンプや検索機能等)の遵守を一時的に問わないだけで、電子取引データを紙だけで保存することを許すものではありません。
電子契約をする以上、契約データそのものはきちんと保管し、将来的には法要件を満たした形で管理できるよう体制を整える必要があります。

電子契約の印刷における注意点
以上のように、電子契約書を紙に印刷して保管することには、法的・実務的にいくつか注意すべきポイントがあります。最後に、電子契約の印刷・保存に関する注意点を補足解説します。
電子契約→印刷→電子契約とする場合
電子契約で締結した後に印刷、その紙をスキャンし再び電子で保管することは、現実的ではありません。
電子取引データの保存義務は、最初の電子原本に対して残ります。
したがって、印刷した契約書は控えにとどまり、スキャンしても電子保存の代替になりません。

さらに、2024年以降は税務調査でのダウンロード提出と出力提示に応じられる体制が前提で、印刷のみの保存は認められません。
したがって、電子→紙→電子とする場合、再度契約するのが安全かつ効率的です。
契約書は原本の紙のまま保存
紙で締結した契約書は、紙の原本をそのまま保存します。保存期間は原則7年(欠損金の繰越等がある場合は最長10年)で、製本・割印・収入印紙の消印を含めて毀損なく保管します。
紙原本を電子化して置換する場合、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件(例:200dpi以上、カラー階調、入力期限、改ざん防止と検索機能)を満たせば紙を廃棄可能です。
訴訟等で原本提出を求められることもあるため、重要案件はスキャナ保存後も一定期間併存すると安全です。保管はアクセス権限、貸出・返却記録、目録整備、耐火・防水対策を含めてルール化し、外部倉庫利用時も所在・保存期間・廃棄承認を台帳で追跡できる体制にしておきましょう。
スキャナ保存できないもの
スキャナ保存は、紙で受領・作成した国税関係書類が大賞です。次のものは対象外または適用不可です。
- メールやクラウドで受け取った請求書・契約書などの電子取引データの出力紙
- 社内メモなど国税関係書類でない文書
- 解像度・カラー階調・入力期限・改ざん防止・検索などの要件を満たせない、またはページ一体性を確保できないもの
- 登記や印紙税還付など他法令・実務で原本提示が求められる文書、印影や紙質など「現物性」が争点となり得る書類
紙で契約したものは紙で保管、電子契約したデータは電子上で保管するのがベスト
最後に、契約書の保管について原則的な考え方をまとめます。紙で締結した契約は紙で、電子契約したものは電子データで保管するのが最も合理的です。契約書は企業にとって重要な法的文書ですので、「法令に適合しているか」「証拠能力が十分か」「管理コストは適切か」という観点で選ぶ必要があります。
紙の契約書を原本として製本し社内で保管するのが伝統的ですが、数が増えると保管庫の圧迫や検索の手間など課題が大きくなります。
必要なときにすぐ検索・閲覧できますし、タイムスタンプなどにより証拠力も確保されています。
「それでも紙で残さないと不安」という声もありますが、電子契約サービスを利用すれば契約当事者の合意記録や署名データがすべて残るため、不安な点はありません。
まとめ:電子契約は印刷せずデータでの保管を推奨
電子契約を印刷して保管することについて、法的効力や印紙税、保存要件などさまざまなポイントを見てきました。
電子契約した契約書は紙に印刷せず電子データのまま保存することを強く推奨します。電子契約はそのまま電子原本として有効で、電子帳簿保存法の要件に沿って管理すれば法令遵守も容易です。
印紙税もかからず、保管スペースや管理コストの削減などメリットも多いです。もし社内に紙で保存しないと心配だという風潮がある場合、今回紹介した法制度のポイントを参考に、運用ルールの見直しを検討してみてください。
電子契約を適切に保存すれば、証拠力の担保も紙と遜色なく、むしろ効率性と安全性が向上します。紙への印刷は必要な場合だけに留め、電子データでの一元管理に移行していく方が良いでしょう。
電子印鑑GMOサインのようなサービスなら、契約の締結から保管まで法的要件を満たした形で運用でき、紙の契約書と同等の証拠力を持つ契約データを安全に管理できます。
しかも紙契約に比べて契約締結のスピードが飛躍的に向上し、印紙代や郵送費もゼロになるため、コスト削減にも大きく寄与します。自社の契約業務を見直し、ぜひ電子契約の利点を最大限に活用してみてください。
※1. 導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする 。 自社調べ(2023年11月)
※2. 電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の送信数(タイムスタンプのみの契約を除く。電子署名法の電子署名の要件より)。 自社調べ(2024年8月)












