転職して経営企画の仕事に従事しようと考えている人や、そもそも経営企画とはどのような仕事なのか詳しくわからないという人は多いのではないでしょうか。

経営企画というのは、簡単にいうと、企業の経営を支え、必要なサポートを提供する仕事のことを指します。企業の経営だけでなく、将来を見据えた計画の立案にも関わるので、働きがいの大きい仕事です。一方で、未経験の方からすると、自分に務まるのか不安に感じる人もいるでしょう。

ここでは、経営企画の仕事内容をはじめ、経営企画に向いてる人、転職をして経営企画の仕事に就くことなど、経営企画という仕事について解説します。経営企画の仕事に関心のある方はぜひ参考にしてください。

経営企画について知ろう

経営企画というのは、企業の経営計画の立案に関わる非常に重要な仕事です。経営計画を立案することにくわえて、企業の管理を行ったり、新たな事業の立案をしたりするなど、仕事は多方面に及びます。

補足的な仕事として、現在の経営状況を分析したうえで、たとえば設備投資や企業活動におけるコストカットを実施したり、生産性を上げるための新たな対策を考えたりといった仕事を担うこともあります。いわば企業の将来を担う重要な仕事なのです。

具体的な仕事の例として、企業の経営状況を把握することに加えて、マーケティング戦略の立案に関連して市場調査を実施することが挙げられます。自社の商品が占めるシェアを調査したり、他社製品やサービスとの比較を行って、自社の優位性を判断したりするのも経営企画の仕事です。

単なる売り上げの予想を立てるというよりは、収益構造を分析して、将来的にどれほどの成長が見込めるのかを考えます。

経営企画の仕事内容・仕事の位置づけ

目標を設定する場合、単なる希望的観測ではなく、実際に見込める目標値を定め、目標に到達するために何をすべきか、何ができるのかも考えます。そのためには実際に商品やサービスのテスト販売を実施して、テストの実績から、改善策を考えたり、より収益が見込めるマーケティング戦略を立案したりといったことを考えます。

改善策は1回で完了するわけではなく、複数回にわたりテストを実施して、より明確な目標の立案を行います。このようなことから、経営企画とは、単なる目標値の設定ではなく、十分達成可能な目標を掲げ、それに向かって企業としてどのような努力ができるのかを考え、企業全体を引っ張っていく仕事であるということがわかります。

経営者が目標を立てる場合、もちろん経営企画に携わる人が行うようにしっかりと根拠のある目標を立てることができれば企業の成長は見込めますが、単なる夢を目標として設定し、それを社員に達成させようと圧力をかけるといったケースも見られます。

いわゆるブラック企業にありがちな話ですが、このような経営では企業はいずれ立ち行かなくなります。経営企画はそのような目標の設定ではないので、企業全体にやる気をもたらし、チーム一丸となって目標を達成するための原動力にもなります。

このような点から、経営企画のポジションでは、目標設定能力にくわえて、マネジメント力やコミュニケーションスキルにも優れた人材が採用されるケースが多いです。優秀な人材ほど経営企画に向いているといえるでしょう。

事業企画とは異なる

経営企画という言葉を聞いて、事業企画と同じなのではと思った人もいるかもしれません。確かに言葉は似ていますが、仕事内容は異なります。

事業企画というのは、企業が携わる複数の事業の中から一つの事業をピックアップして、その事業の目標を定め、目標に到達するための計画を立案する仕事を指します。

企業によって複数の事業に関わっている場合が少なくないため、複数の事業企画を立てることもあります。事業企画がまとまると、事業を担当する部署が目標に向かって仕事を行います。

それに対して経営企画は、単なる一事業ではなく、企業全体の経営そのものを考えます。事業が複数ある場合、それら全てを包含する目標を設定し、それを達成するために綿密な計画を立案します。

事業企画はたとえば1つの商品を売ることに集中するかもしれませんが、経営企画は競合他社とのシェア、優位性の確立、市場調査など、事業だけでなく経営に重点が置かれるため、結果として計画の立案に含まれる範囲が広くなります。

言い換えるなら、事業企画は企業が携わる事業に対して、経営企画は企業全ての目標を設定し、それを達成するために必要なサポートを行う仕事であるといえるでしょう。

経営企画にはどんな仕事が含まれる？

経営企画の仕事は、企業の経営に関する目標設定が主な仕事になりますが、短期的な目標というよりは、中長期的な目標の立案を行います。たとえば、5カ年計画を設定して、経営目標の達成に必要なプロジェクトを立案します。プロジェクトを立案する場合、資金の流れが重要になります。

どの分野にどれほどの資金を費やす必要があるのかといったことを計算します。そのためには、企業の経営体力を把握するため、企業全体の資金総額、プロジェクト達成のために必要な予算、それにかかる経費や税金などを全て計算します。これらのお金は実際に目標を達成するために必要な金額ですから、実際にかかる経費に近い目標値を設定することになります。

経営企画では、株主との関係についての方向性も考えます。株主総会における企業の立ち位置を決めることに加えて、近年増加するいわゆるモノ言う株主への対応など、さまざまなリスクについても検討を行い、企業活動が妨げられないようにするための方策を考えます。

万一の事態に備えてリスク管理をしたり、コンプライアンスに関連した企業の在り方を決めたりと、仕事の範囲は非常に広いです。

どんな1日を過ごす？

経営企画に携わる人の1日は非常に忙しいです。デスクワークなど個人で行う業務のほかに、経営に関する会議への出席が求められることも多くあります。

出社後にまずは会議の準備を行い、事前に準備しておいた資料を確認して、漏れや改善点がないかをチェックします。その後経営会議に出席し、まとめた資料の配布や、プレゼンテーションの実施があります。会議中は議事録の作成にも携わります。

会議への出席がないときは、新たな会議のための資料の作成や、目標などの立案を行います。そのために関連する部署との連絡や打ち合わせなどを行い、現時点の進捗・状況報告や問題点・改善点の話し合いを済ませた後は、目標達成に向けてできることをまとめていきます。

関係部署との打ち合わせが終わると、市場調査やマーケティングに関する仕事を行うこともあります。たとえば市場調査会社に依頼しておいた結果の確認や、問題点の洗い出し、資料のデータ化などが挙げられます。

全ての資料がまとまると、1日の終わりに進捗状況を共有し、次回までに何を達成しておく必要があるのかを話し合い、翌日に備えます。

プロジェクトの進捗状況によっては、問題点の洗い出しに時間がかかることから、残業が発生するケースも少なくありません。

転職して経営企画にチャレンジ！経営企画に向いてる人とは？

転職して経営企画の仕事にチャレンジしてみたいという方はいらっしゃると思います。では、どのような人が向いているのでしょうか。経営企画の仕事の適性についてみていきましょう。

コミュニケーションスキルがある

経営企画で必要なのがコミュニケーションスキルです。経営企画の仕事は経営陣や企業の各部署との話し合いが多くの時間を占めます。自社だけでなく他社の動向を把握するため、市場調査会社の担当者とのコミュニケーションも求められます。

さまざまなタイプの人とのコミュニケーションが求められることから、相手のペースに合わせるだけでなく、タフに渡り合える交渉力を備え持った人が向いているでしょう。

もし交渉力があり、人との会話が好きで相手を納得させる自信があるなら、経営企画の仕事に適性があると考えられます。

ロジカルな考え方ができる

経営企画では論理的に考える能力が求められます。経営状況を分析し、将来を見据えた経営計画を立てる場合、必要になるのが論理的な思考回路です。

経営者や経営陣に対し、プレゼンを通じて経営計画を明らかにする場合、論理的な思考力があれば、相手を納得させ、巧みに話し合いを進めることができます。会議が紛糾した場合でも、論理的な思考力があれば、論点を常に把握し、話の論点を逸れさせることなく、話し合いが続けられます。

経営計画を考える際、たとえば予算を計上したり、企業の資産状況を把握したりと、正確な計算力が必要になりますが、この場合も論理的に考えることができれば、予算の計上でも必要な経費の取捨選択ができます。

計算力があり、論理的な思考の持ち主であれば、経営企画への転職を成功できる可能性が高くなります。

コツコツ働くのが好き

経営企画は地味な仕事に見えるかもしれません。その理由として、表だった仕事というよりは、陰で企業を支える仕事が多いためです。ほかの人から見えないところでも、自分に自信を持って働ける性格であれば、経営企画は向いている仕事といえるでしょう。

人からなかなか評価されなくても、信念を貫けるしっかりと自分を持った人がこの仕事に求められる人物なのです。

経営企画に関するよくある質問

まとめ

経営企画は表だった仕事ではありませんが、企業のために働けるやりがいの多い仕事です。コミュニケーション力や論理的な思考が求められる仕事ですが、自分の立案したことに基づいて企業が成長するのを見るときに、この仕事を選んでよかったと、心から感じられるようになるでしょう。

経営企画に携わることで、企業経営に参加できるだけでなく、将来企業の役員として活躍できるステップになることもあります。

企業を育てることは、仕事のやりがいにつながります。もちろん設定した目標の通りにいかないこともありますが、失敗を恐れず、自分を信じて前向きに仕事に向き合える人が経営企画に向いているといえるでしょう。

転職などで経営企画の仕事に携わってみたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。