電子印鑑を作成する方法はいくつかありますが、すべてが法的に有効というわけではありません。画像編集ソフトで作る電子印鑑やフリーの作成ツールで作ったものは、単なる画像データに過ぎないため、法的証拠力として認められない可能性があります。
法的効力を持たない電子印鑑を使用すると、後々トラブルが生じるリスクがあるため注意が必要です。法的効力を持った電子印鑑を作成・使用しましょう。
この記事では、電子印鑑を作りたい方に向けて、以下の内容を解説します。
- 電子印鑑の基礎知識
- 電子印鑑の法的根拠を法律・政府見解をもとに解説
- 電子印鑑の作り方(無料・有料の4つの方法)
- 電子印鑑をPDFファイル(電子契約書)に入れる方法
『電子印鑑GMOサイン』では、テキストを入力するだけで、電子印鑑をかんたんに作成できます。また、テキスト型の電子印鑑だけでなく、印鑑の画像データを登録して利用することや、手書きサインを入れることも可能です。
電子署名とタイムスタンプを付与できるため、本人性や非改ざん性の担保が可能です。
誰でもかんたんに電子印鑑を作成し、PDFファイルの契約書に利用できるので、急いで電子印鑑を使用したい方は、ぜひGMOサインをお試しください。
GMOサインの特徴
- Webブラウザから電子印鑑を作成可能
- 直感的な操作でかんたんにPDFの契約書に押印できる
- 印鑑画像のアップロードも可能。従来の印鑑のデザインをそのまま活用できる
- オンラインでいつでもどこでも押印・確認が可能
- 契約書の送信・管理機能も搭載し、業務効率を大幅アップ
GMOサインには無料のフリープランもあり、電子印鑑の作成とPDFへの押印が月に5通まで可能です。電子契約サービスで国内シェアNo.1(※)を獲得しており、安心して利用できます。
※電子署名法に基づく電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の累計送信件数(タイムスタンプのみの契約を除く。主な立会人型電子署名サービスが対象)GMOリサーチ&AI株式会社調べ(2024年12月)
大事な契約だからこそ、確実に法的証拠力を担保した上で電子印鑑を使いたいですよね。GMOサインなら、電子署名やタイムスタンプの利用と併せてかんたんに電子印鑑を作成・挿入できるので、ぜひご利用ください。
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目次
電子印鑑とは?
電子印鑑とは、PDFファイルなどの電子文書での契約や取引に使用される電子的な印鑑のことを指します。電子印鑑はペーパーレス化によるコストカットや業務効率化などのメリットがあり、企業間の契約書のやり取りや行政手続きで利用が進んでいます。
ただし、電子署名やタイムスタンプと併せて使うかどうかで、法的証拠力は大きく異なります。
以下では、2つの電子印鑑の違いや法的効力を確保するための要件などについて解説します。
2つの電子印鑑の違い
電子印鑑には、以下2つの種類が存在しています。
- 印影を画像化しただけの、法的証拠力が弱いもの
- 電子署名やタイムスタンプと併せて使うことで、強い法的証拠力を確保したもの
上記についてそれぞれの特徴を解説していきます。
印影を画像化した法的証拠力が弱いもの
印影を画像化した電子印鑑は、印影をカメラで撮影したりスキャンしたりすることでかんたんに準備できます。無料で使えるアプリやツールもあることから、気軽に使用できる点が大きなメリットです。
しかし、印影をただ画像化したものは、誰でもコピーができてしまいます。改ざんやなりすましのリスクが高く法的証拠力が弱いため、使用する際には注意が必要です。
電子署名やタイムスタンプと併せて使うことで、強い法的証拠力を確保したもの
電子印鑑には、電子署名やタイムスタンプと併せて使うことで強い法的証拠力を確保したものも存在します。
電子署名は、紙の文書で使用される印鑑やサインのようなもので、その文書が原本であることや改ざんがされていないことを証明できます。
タイムスタンプは文書が作成された日時を明確にして、存在証明を行える技術です。電子署名と組み合わせることで文書の信頼性や安全性を高められます。
電子印鑑を作成する際は、電子署名・タイムスタンプを付与できるサービスを選択しましょう。
ただの印影画像を利用することのリスク
電子印鑑を使用する場合は、ただの印影画像だけでは改ざんなどのリスクが大きいと言えます。印影を画像化したものと電子署名やタイムスタンプと併用するものとでは法的証拠力が大きく異なります。
民事訴訟法によると、文書は署名や押印があれば真正性が認められます。一方、電子契約では、電子署名の付与によって真正性が推定されます。
(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
引用:民事訴訟法|e-Gov
印影画像だけの場合は、画像編集ソフトなどを使用すれば誰でもかんたんに作成が可能です。しかし、改ざんやなりすましも容易にできてしまうため、本人性を担保することが難しくなります。
社内の書類に使用する認印であれば問題ないですが、重要度の高い契約書などで使用するとトラブルにつながってしまう可能性があるので、なるべく避けるべきでしょう。
電子印鑑に法的証拠力を持たせるための要件
電子印鑑に法的証拠力を持たせるためには、電子署名法に準拠した文書を作成することが重要です。電子署名法によると、電磁的記録の真正性を保つためには、電子署名を付与しなければいけないと定められています。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
引用:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
電子署名を行うことで、署名や押印がされた紙の文書と同様の法的効力を担保できます。電子印鑑を作成する際は、電子署名が付与されたものを使用しましょう。
電子署名はAdobe Acrobatなどの無料ツールでも付与が可能です。ただし、デジタルIDの取得などで準備に手間がかかるため、電子契約サービスを利用したほうがかんたんに行えます。
クラウド型の電子契約サービスであるGMOサインであれば、文書ファイルをアップロード後、かんたんな操作ですぐに電子署名を付与できます。国内の法律に準拠した電子契約書を用意できるので、早急に電子印鑑を使用したい方や安全性の高い契約書を作成したい方は利用してみてください。
電子印鑑の作成方法|無料・有料での作り方を4つ解説
電子印鑑を作る方法は以下の4つです。
- 無料の電子印鑑作成ソフトを使う
- 有料の電子印鑑作成ソフトを使用する
- ExcelやWordなどのオフィスソフトを使って自分で作成する
- 実際の印鑑をスキャンして作成する
それぞれの方法について解説するので、これから電子印鑑を作りたい方は参考にしてみてください。
無料の電子印鑑作成ソフトを使う
無料で利用できる電子印鑑ソフトには、以下のようなものがあります。
スクロールできます
サービス名 | 特徴 |
電子印鑑GMOサイン (フリープランあり) | ・電子署名や認定タイムスタンプで法的証拠力を担保した上で、電子印鑑を利用できる ・テキスト入力だけでなく、印影画像のアップロードにも対応している ・無料プランでも月5件まで文書の送信ができる |
印鑑透過 | ・電子印鑑の背景を透過させることに特化したツールで、文字を入力することで電子印鑑の作成もできる ・サイズ調整や色補正によりキレイな印鑑を手軽に作れる ・パソコンやスマートフォンから利用できる |
クリックスタンパー | ・インストール不要でかんたんに利用できる ・日付印や丸印、角印を作成できる ・PNGやJPEGなど複数の保存形式に対応している |
マイスタンプメーカー | ・テキストを入力して認印や角印、日付印などを作成できる ・タイムスタンプを付与できる ・作成後は透過PNGやPDFファイルなどでダウンロードできる |
おまかせ電子印鑑2FREE | ・シンプルな操作で誰でも使いやすい ・認印や三文判、データネーム印、ビジネス印(角印)など機能が充実している ・かすれや傾きなどにも対応しており、本物の陰影に近づけやすい |
無料の電子印鑑ソフトでは、作成したい印影の文字を入力することでかんたんに電子印鑑を用意できます。ただし、電子署名やタイムスタンプに対応していないサービスが多いことから、なりすましのリスクが高くなります。
セキュリティ面が不安な方には、GMOサインがおすすめです。
GMOサインでは印影画像を用意しなくても、テキストを入力するだけで電子印鑑(印鑑風画像)をすぐに作成し、PDFファイルに挿入できます。
有料サービスですが、月に5通までの契約書への電子署名が可能なフリープランも用意してあるので、利用頻度が多くない方は十分無料で利用できます。時間をかけずに電子印鑑を契約書に入れたい方は無料プランでお試しください。
有料の電子印鑑作成ソフトを使用する
有料の電子印鑑作成ソフトは、法的効力のある電子署名を付与した印鑑を作成できるのが特徴です。重要な契約が多い場合や企業で利用する場合は、法的効力のある電子署名付きの電子印鑑作成ソフトの利用がおすすめです。
作成方法は、主に以下の3つから選べます。登録した電子印鑑は毎回ワンクリックで呼び出して使用できます。
- 社名、名前をテキストで入力(自動で印影風画像が作成される)
- 作成、スキャンした印影画像を登録
- スマホやタブレットから手書きサインを登録
有料の電子印鑑作成ソフトには、以下のようなものがあります。
スクロールできます
サービス名 | 特徴 |
電子印鑑GMOサイン | ・電子署名やタイムスタンプを付与でき、法律に準拠した電子印鑑を作成できる ・電話やメール、チャットでのサポートだけでなく導入支援にも対応 ・⽉額基本料⾦が8,800円(税込9,680円)でコストパフォーマンスが高い |
クラウドサイン | ・電子署名法に準拠したクラウド型の電子契約サービス ・Microsoft Teamsやkintoneなど、連携できるサービスが豊富 ・月額10,000円(税込11,000円)から利用可能 ※印影のアップロードはできません。 |
Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド) | ・印鑑でおなじみのシヤチハタが手掛ける有料ソフト ・電子署名機能やタイムスタンプ機能を搭載している ・利用者数に応じた利用料金で導入しやすい |
サービスによって価格やサポート体制、連携機能などが異なります。それぞれの特徴をもとに、自社にあったサービスを選択しましょう。
ExcelやWordなどのオフィスソフトを使って自分で作成する
ワードやエクセルでも電子印鑑を自作できます。具体的な手順は以下のとおりです。
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円形の画像を調整する
挿入タグをクリックして図形機能を呼び出し、印鑑を作るための円形の画像を選びます。円形の画像を好みの大きさに調整し、円の枠を赤色に変更します。太さは好みで調整してください。
次に、円の描画を選択して、塗りつぶしなしに変更しましょう。塗りつぶしたままだと全体が赤色になってしまい、印鑑に見えなくなってしまうので注意してください。塗りつぶしなしを選択すると、印鑑のように、赤い線の輪ができます。
STEP
文字を入力する
円形画像が完成したら、その中に文字を入力します。苗字を入力する場合も、氏名すべてを入力する場合も、円形画像の中に収まるように、文字の大きさを変更しましょう。文字は横書きではなく、縦書きを選択します。印鑑の文字が入力できたら、印鑑全体の大きさを整えましょう。
STEP
印鑑画像を保存する
調整が済んだら、印鑑画像を保存します。保存する場合には、形式に注意してください。形式をPNGにして保存すれば印鑑画像の背景を透過できるので、文章に貼り付けた時に、実際の印鑑のように入れられます。
詳しい解説は以下の動画もご覧ください。
ただし、Excelで作成した印影画像だけでは法的証拠力が弱いため、電子契約サービスに印影登録をして電子署名を付与することをおすすめします。
GMOサインでは、作成した印影画像を登録することで、電子署名やタイムスタンプを付与した電子印鑑に変換できます。セキュリティの高さやシンプルな操作面により、350万社以上(※)の企業に導入されているため、作成した印影画像を登録してみてください。
※ 導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする。自社調べ(2023年11月)
実際の印鑑をスキャンして作成する
WordやExcelでも電子印鑑は作成できますが、実際の印鑑のような完成度にはならないことが多いので、あまり使いたくないという人もいるでしょう。
いつも使っている印鑑を電子印鑑として使えるようにするには、使っている印鑑を白紙に押印して、その印影をスキャンすることで可能になります。方法は以下の通りです。
STEP
印影を準備する
コピー用紙などの白紙を用意して、そこに実際の印鑑を押印し、鮮明な印影を準備します。印影を準備する場合、かすれてしまったり、二重に押してしまったりしないようにすることが大切です。はっきりとした印影が押せるまで何回か試し押しをしてみましょう。
STEP
画像をスキャンする
印影が準備できたら、スキャナーを利用して画像に変換するか、スマホのスキャンアプリを利用して撮影します。スマートフォンなどを使用する場合は、光の加減や影に注意し、画像がぼやけないように撮影しましょう。何枚か撮影をして、鮮明な印影の画像を保存します。
STEP
画像を加工・透過する
画像が撮影できたら、画像編集ソフトを利用して、光の加減や色合いを調整します。調整ができたら、画像をWordもしくはExcelに取り込み、印影を残す形で、画像の他の部分は消去してください。
この段階では画像の背景は透過されていないため、電子書類に貼り付けると不自然な印影になってしまいます。これを防ぐために、印影以外の部分をトリミングして削除しましょう。
トリミングが完了したら、印影の余白の部分を透過させます。背景を削除するツールを使用することで透過が完了します。その後はWordやExcelで電子印鑑を作成する方法と同じで、画像を図として保存するだけです
スキャンして作成した電子印鑑も、Excelで作成した電子印鑑と同様に法的証拠力は強くありません。そのため、GMOサインのような電子契約サービスを利用して電子署名を付与することをおすすめします。
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電子印鑑をPDFファイル(電子契約書)に入れる方法
電子印鑑はそのまま利用しても強い法的証拠力は担保できません。そのため、電子印鑑をPDFファイルに入れたい場合、電子署名を付与できるサービスを利用するのがおすすめです。
電子署名を付与することで電子文書の真正性が認められ、なりすましや改ざんのリスクも低くなります。GMOサインを使った、PDFファイルに電子印鑑を付与する手順は以下のとおりです。
GMOサインでは、フリープランでも月に5件まで文書の送信が可能なので、ぜひ以下のステップを参考にしながら試してみてください。
STEP
「ファイルを選択」をクリックして署名を行いたいPDFを選択する
STEP
アップロードできたら「署名依頼情報の入力へ」をクリックする
STEP
「署名者」のアイコンをクリックして署名者(自身)の情報を入力する
この際に「所属/指名」で名前の選択ができない場合は、左側メニューの「ユーザー管理」から「詳細」→「編集」と進み、ロールを「管理者+署名者」に変更してください。
STEP
情報を保存したら「署名位置の設定へ」をクリック
STEP
署名したい箇所に、署名ボックス(ペンマーク)をドラッグ&ドロップする
STEP
書面内の署名ボックス(ペンマーク)をクリックする
STEP
署名方法を選択し「この画像で署名する」をクリックする
GMOサインでは、無料プランでも「テキストで作成」「画像で作成」「手書きでサイン」の3タイプに対応しています。ご自身のサインを画像でお持ちの方は、登録しておくことも可能です。
STEP
書面に署名が追加されたことを確認して「完了する」をクリックする
STEP
「文書管理」からダウンロードアイコンをクリックして「文書ダウンロード」を行う
文書ダウンロードをクリックすると、電子署名されたPDFファイルがダウンロードされます。あとはそのファイルを先方にメールなどで送信すれば完了です。
電子印鑑の法的根拠は?法律と政府見解をもとに解説
電子印鑑に法的効力を持たせるには電子署名が必要とお伝えしてきましたが、実際、法律ではどのように定められているのでしょうか。電子印鑑の法的な根拠について、以下の内容を解説します。
- 電子印鑑の法的根拠
- 押印の必要性に関する政府の見解
- 電子印鑑が認められる契約書と認められないケース
電子印鑑の法的根拠
電子印鑑は、法律で規定されているものではありません。なお、電子文書の真正性は、電子署名を付与することで推定されると電子署名法3条によって定められています。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
引用:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
また、電子署名法では電子署名の定義について以下のように記載されています。
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
引用:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
電子署名は、本人によって作成され、改変が行われていないことを証明できなければいけません。ただの印影画像を挿入しただけでは、条件(本人性や非改ざん性の担保)を満たしていないため、電子印鑑を電子署名と見なすことはできません。
無料ツールやWordなどで作成した印影画像は改ざんが容易で、本人によるものであると断定できないため、とくに注意が必要です。法定効力を担保しながら電子印鑑を利用したい場合は、電子署名を付与できる電子契約サービスを利用する必要があります。
押印の必要性に関する政府の見解
実は、契約書には押印が必ずしも求められるわけではありません。政府が公表した「押印についてのQ&A」では、押印について以下のように記載されています。
問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
・ 私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
・ 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
引用:押印についてのQ&A|内閣府 法務省 経済産業省
特定の定めがある場合を除いては、押印がなくても契約の効力自体に影響はないと記載があります。基本的には、契約は当事者間での意思の合致によって成立するため、文書や印鑑は必須ではないのです。
ただし、これまでの商習慣に沿って今でも印鑑は捺される傾向があります。印鑑が入っていることで契約書の有効性を一目で確認しやすいため、今後も印鑑や電子印鑑を入れる習慣は続くでしょう。
自治体関係など一部の電子文書では印影が必須とされるケースもあります。求められる際に対応できるよう、自社の電子印鑑を準備しておくことをおすすめします。
電子印鑑が認められる契約書と認められないケース
電子印鑑を利用する際は電子署名やタイムスタンプと併用することで、法的証拠力の高い電子契約書となるとお伝えしました。しかし、なかには電子契約に対応していない契約書もあり、電子印鑑を押したところで有効とは認められません。
以下の契約書は、法律で公正証書化する義務が定められているため、作成する際は注意してください。
電子契約に対応していない契約書
- 任意後見契約書
- 事業用定期借地契約
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約 など
公正証書を作成するには、公正役場に連絡をして具体的な内容を伝える必要があります。担当公証人と内容を詰めるために協議も行うため、時間とコストもかかるので早めの作成をおすすめします。
上記以外の契約書であれば電子印鑑を使用して、契約書を作成することが可能です。利用できる契約書のおもな例としては、以下のようなものが挙げられます。
電子契約が可能な契約書の例
- 売買契約書
- 顧問契約書
- 雇用契約書
- 委任契約書
- 保証契約書
- 代理店契約書
- 準委任契約書
- 賃貸借契約書
- 定期借地契約書
- 業務委託契約書
- 業務請負契約書
- 工事請負契約書
電子契約で利用できる契約書の種類は、法改正により増加しています。現在、利用が認められていない契約書についても、今後の法改正による変更に注目しておきましょう。
電子印鑑のメリット
電子契約や電子印鑑の導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な3つのメリットを解説します。
- 紙の契約に比べてコストの削減につながる
- スピーディーな取引が可能になる
- セキュリティとコンプライアンスが強化できる
紙の契約に比べてコストの削減につながる
実物の印鑑を作成する際には、数百円から数千円の制作費用がかかっていましたが、電子印鑑であれば費用をかけずに制作できます。
また、紙の契約の場合は印鑑制作費用のほかにも、契約書の印刷代やインク代などの細かいコストが重なってしまい、全体で大きな負担となっているケースがよくあります。電子契約であれば、オンラインで作成した文書を送信して確認・返送してもらうため、従来よりもコストの削減につなげられます。
電子契約は印紙税が不要になるのもメリットです。PDFファイルなどの電子データは印紙税法における課税文書に当てはまらないため、収入印紙を貼り付ける必要がないのです。契約件数が多い方や多額の印紙税を支払っている方にとっては、大幅なコスト削減につながるでしょう。
スピーディーな取引が可能になる
電子印鑑は、パソコンやスマホで場所を問わずにいつでも入れられます。紙の書類に押印するためにわざわざ出社する必要がなくなるため、業務の効率が大幅に向上できるでしょう。
また、契約締結までの時間が短縮できるのもメリットです。紙の契約書を相手に送付する場合、確認してから返送してもらうまで1週間以上かかることも少なくありません。状況によっては契約書が届いていたことに気づかず、返送までさらに時間がかかるケースもあるでしょう。
一方、電子契約であれば、担当者のメールアドレスに向けて契約書を開くためのURLを直接送付できます。相手方もスマホ・PCですぐに電子署名や電子印鑑を挿入できるため、即日中の契約締結が可能です。
サービスによっては相手が契約書を開封しているかチェックする機能もあるので、催促の連絡を頻繁に入れる必要もありません。連絡の行き違いやミスを大幅に減らせるため、取引がスムーズになります。
セキュリティとコンプライアンスが強化できる
電子印鑑は、電子署名やタイムスタンプなどの識別情報を組み込むことで、文書の改ざん防止や真正性の証明が可能です。これにより、実物の印鑑や署名よりもセキュリティが強化されます。
また、アクセス権限の設定や操作履歴の記録など、デジタルならではのセキュリティ対策を講じられるのも特徴です。内部統制の強化や情報漏洩のリスクを低減することも可能です。
電子契約書はパソコンやクラウド上のストレージに保管されるため、紙の文書に比べて紛失や破損のリスクが低減される点も大きなメリットです。重要なビジネス文書を安全に締結・保管したい方にとっては、電子印鑑や電子契約の方が向いているでしょう。
電子印鑑のデメリットと注意点
電子印鑑には、以下のようなデメリットも注意点も存在します。
- 相手方が電子契約に同意しない場合は利用できない
- 電子印鑑に対応していない契約書では利用できない
- 有料のサービスはランニングコストがかかる場合がある
電子印鑑の導入を考えている方は、メリットだけでなく上記のデメリットや注意点についても確認しておきましょう。
相手方が電子契約に同意しない場合は利用できない
電子印鑑を導入したとしても、契約の相手方が電子契約に同意しなければ利用できません。電子契約は法的に有効な手段ですが、すべての企業や個人がその仕組みを理解し、受け入れているわけではありません。
電子契約に不慣れな企業や高齢の経営者がいる場合、紙の契約書を希望するケースもあるでしょう。そのため、電子印鑑を導入しても、従来の押印を併用する必要があり、完全なペーパーレス化は難しくなります。
ただし、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)/株式会社アイ・ティ・アール(ITR)が行なった調査によれば、2025年1月の段階で78.3%の企業が電子契約を利用していることがわかっています(※)。すでに多くの企業で導入が進んでいるので、早い段階で対応しておくことをおすすめします。
※出典:JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2025」
また、海外取引では、国によって電子契約の法的な扱いが異なります。たとえば、日本では電子契約が一般的になりつつありますが、一部の国では正式な契約と認められない場合もあります。そのため、国際取引を行う企業は、契約の種類に応じて電子契約と紙の契約書を使い分ける必要があります。
電子印鑑を導入する前に、取引相手の状況や契約の種類を十分に確認することが重要です。
電子印鑑に対応していない契約書では利用できない
電子印鑑は便利なツールですが、すべての契約書で利用できるわけではありません。不動産取引や公的機関が発行する書類の一部では、未だに電子印鑑が認められていません。
電子契約に対応していない契約書
- 任意後見契約書
- 事業用定期借地契約
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約 など
そのため、電子印鑑を導入しても、こうした契約書には対応できず、従来の印鑑を併用する必要があります。電子印鑑の利便性を最大限に活かすには、関係するすべての取引先や契約書が電子化されていることか事前に確認しておくことが大切です。
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有料のサービスはランニングコストがかかる場合がある
電子印鑑を導入する際には、無料のツールを利用する方法もありますが、セキュリティや法的効力を確保するためには、有料の電子契約サービスを利用するのが一般的です。
有料サービスでは、電子署名の認証やタイムスタンプの付与、データの保存機能などが提供されますが、それらには月額料金や送信料がかかる場合があります。それぞれの相場は以下の通りです。
スクロールできます
項目 | 料金 |
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利用料 | 1〜10万円/月 |
送信料 | 100〜300円/通 (月額料金に送信料が含まれるサービスもあり) |
契約数が多い方であれば、負担も大きくなります。導入する場合は、紙の契約書と比べてどの程度コストが下がるのかを計算し、最適なサービスを選択しましょう。
契約数が少ない方の場合は、無料プランでも十分に対応できる可能性があります。GMOサインでは、無料のプランでも月に5件まで文書の送信が可能です。
GMOサインは電子署名やタイムスタンプにも対応しており、国内の導入企業数は350万社以上(※)に上ります。導入を検討している方は、ぜひ無料プランからお試しください。
※ 導入企業数は「電子印鑑GMOサイン(OEM商材含む)」を利用した事業者数(企業または個人)。1事業者内のユーザーが複数利用している場合は1カウントとする。自社調べ(2023年11月)
電子印鑑に関するよくある質問
電子印鑑はどうやって押印するの?
電子印鑑は、無料のソフトや有料の電子契約サービスを利用することで、文書に挿入できます。
『GMOサイン』をはじめとした電子契約サービスでは、以下のような方法が選択できます。
- 社名、名前をテキストで入力(自動で印影風画像が作成される)
- 作成、スキャンした印影画像を登録
- スマホやタブレットから手書きサインを登録
持っている印鑑を電子印鑑にするにはどうすればいい?
所持している印鑑を電子印鑑にするには、まず使用したい印影を紙に押印し、画像を撮影するかスキャンします。その後、画像編集ソフトで透過やトリミングなどの加工を行えば完成です。
ただし、単なる画像では複製が容易で法的証拠力が弱いため、一般的には電子署名と併用します。電子契約サービス上で印影画像を登録することで、電子署名やタイムスタンプと一緒に電子印鑑を利用できます。
GMOサインでは無料のお試しフリープランでも印影画像の登録が可能で、月に5通までの契約書に挿入できます。手持ちの印鑑を電子印鑑として使用したい方はぜひご利用ください。
電子印鑑は法的に有効?
電子署名法によると、電子文書は要件を満たした電子署名が付与されている場合に真正だと推定されます。画像データをそのまま挿入しても法的な効力はないため注意してください。
電子署名を付与したい方は、GMOサインがおすすめです。テキストを入力することでかんたんに印影を作成したり、保存した画像から登録したりすることもできます。法律に準拠した、証拠力のある契約書を作成可能です。
すぐに電子印鑑を作成したい方はGMOサインがおすすめ
電子印鑑はただの画像として使用しても法的証拠力を持ちません。電子署名とあわせて利用することで法律に準拠した電子印鑑を利用できます。電子署名を付与することで、改ざんのリスクも回避できるので、電子印鑑を作成する際は電子署名を入れられるサービスを利用しましょう。
GMOサインなら名前のテキストを入力するだけで、電子署名とタイムスタンプの入った法的証拠力を持つ電子印鑑が作成できます。
そのままPDFファイルをアップロードして電子印鑑を入れられるため、電子印鑑の画像を作成する必要もありません。電子印鑑を至急PDFファイルに入れたい方におすすめです。
また、GMOサインは無料のフリープランでも月に5通までの電子契約が可能です。シンプルな操作面や豊富な機能により、350万社以上が導入し、国内シェアはNo.1(※)を獲得しています。
電子印鑑の作成を検討している方は、この機会にGMOサインの導入を検討してみてください。
※電子署名法に基づく電子署名およびタイムスタンプが付与された契約の累計送信件数(タイムスタンプのみの契約を除く。主な立会人型電子署名サービスが対象)GMOリサーチ&AI株式会社調べ(2024年12月)