「ファクタリング」という単語を見聞きして、
などと不安を感じる方がいるかもしれません。
結論を述べると、ファクタリングは、さまざまな金融機関で提供されている合法的な金融サービスです。
売掛債権をすぐに現金化したり、回収できなかった場合に金銭を受け取れます。事業を営んでいる方は、資金調達の手段として検討するのはいかがでしょうか。
本記事では、ファクタリングがどのようなものなのかを詳しく説明します。ファクタリングの種類や仕組み、メリット、注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
ファクタリングとは
ファクタリングとは、将来回収する予定の債権(売掛金など)をファクタリング会社に買い取ってもらうことにより、現金化できるサービスです。
企業間で商品・サービスの取引を実施する場合、売掛金(売掛債権)が発生する「掛け取引」は選択されるケースが多く見受けられます。売掛金が口座に入金されるまでに数十日以上かかることもあり、資金繰りに苦しむケースも少なくありません。
ファクタリングを活用すれば、口座に振り込まれる予定日まで待たずに、迅速に現金を用意することが可能です。資金調達の手段として、ファクタリングを活用することもご検討ください。
なお、一般的にファクタリングは上述した「買取型」のサービスを意味しますが、「保証型」のファクタリングサービスを提供している金融機関も存在します。
保証型ファクタリングは、売掛金が回収できない状況に陥った場合に金融機関から金銭を受け取れるサービスです。
ファクタリングは違法?
事業者から「売掛債権」を買い取るファクタリングは合法的な仕組みであり、さまざまな金融機関がサービスを提供しています。
ただし、貸金業の登録を受けていないヤミ金融業者が違法に「給与ファクタリング」を実施しているケースがあるため、ご注意ください。
給与ファクタリングとは、会社員などの給与所得者から「将来給与を受け取る権利(賃金債権)」を買い取って給与支給日前に金銭を交付する行為で、貸金業の登録がない業者は実施できません。
掲示板やSNSなどで給与ファクタリングに関する書き込みを見かけたことがある方がいるかもしれませんが、違法業者による投稿の可能性があります。
ファクタリングの種類と仕組み
上述したように、一般的なファクタリングは売掛債権を買い取ってもらう「買取型」ですが、回収できなかった場合に金銭を受け取れる「保証型」のファクタリングサービスも存在します。
また、買取型ファクタリングは、関与する主体(企業)の数によって、「二者間ファクタリング」と「三者間ファクタリング」に分類されます。
以下、買取型ファクタリングと保証型ファクタリングの違い、および、二者間ファクタリング・三者間ファクタリングの仕組み・特徴を詳しく説明します。
買取型ファクタリングと保証型ファクタリングの違い
下表に、買取型ファクタリングと保証型ファクタリングの特徴をまとめました。
買取型ファクタリング | 保証型ファクタリング |
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売掛債権の早期現金化を目的として利用する 一定の手数料を支払う必要がある すぐに現金化(資金調達)が可能 | 売掛債権の貸し倒れリスクを低減する目的で利用する 一定の保証料を支払う必要がある 回収不能の状態に陥った場合に金銭を受け取れる(回収できた場合は保証料が無駄になる) |
保証型ファクタリングでは、すぐに資金を調達できません。今すぐ現金を確保しなければいけない事情をお持ちの場合は、買取型ファクタリングを利用しましょう。
なお、両者とも「ファクタリング」の一種ではありますが、一般的には単に「ファクタリング」という単語を用いる場合は、「買取型ファクタリング」を意味します。
二者間ファクタリングの仕組み・特徴
買取型ファクタリングは、関与する主体(企業)の数が二者のケースと三者のケースがあり、それぞれ「二者間ファクタリング」「三者間ファクタリング」と呼ばれます。
二者間ファクタリングは、「売掛債権を現金化したいファクタリング利用者」と「売掛債権を買い取る金融機関(ファクタリング会社)」の二者で契約する方式です。
売掛債権を買い取ってもらった事実を取引先に知られる心配はありません。スピーディーに資金調達できることも魅力です。金融機関(ファクタリング会社)によっては、即日での現金化に対応している場合もあります。
取引先からの売掛債権回収は、ファクタリング利用者が実施し、回収後金融機関(ファクタリング会社)に速やかに支払わなければいけません。
なお、売掛債権を買い取る金融機関(ファクタリング会社)側は自力で債権回収を実施できず、大きなリスクを負います。そのため、手数料が割高な傾向がある点にご留意ください。
三者間ファクタリングの仕組み・特徴
三者間ファクタリングは、「ファクタリング利用者」「取引先」「金融機関(ファクタリング会社)」の三者間で契約する方式です。
取引先の了承が必要なため、2社間ファクタリングよりも契約締結までに時間を要します。また、何らかの事情で早急に現金を用意しなければいけないことを、取引先に知られてしまう点にご留意ください。
ただし、ファクタリング利用者が売掛債権を回収する必要はなく、取引先から金融機関(ファクタリング会社)に直接支払われるため、手間がかかりません。
なお、金融機関(ファクタリング会社)が取引先と直接やり取りが可能で、不良債権化するリスクが低減されるため、手数料は割安になる傾向が見受けられます。
ファクタリングを利用するメリット
以下は、ファクタリングを利用するメリットです。
・迅速に資金調達(売掛債権を現金化)できる
・貸し倒れリスクを低減できる
・赤字の場合や税金・社会保険料を滞納している場合でも利用できる
それぞれに関して詳しく説明します。
迅速に資金調達(売掛債権を現金化)できる
事業を営んでいると、さまざまな支払いが生じるため、ある程度の現金を常に確保しておかなければいけません。手元の現金が不足している状況では、銀行などに融資を申し込むことも選択肢のひとつとして検討しましょう。ただし、銀行などで融資を受ける場合、申し込みから数週間~数カ月程度の時間を要する場合があります。
他方、ファクタリングであれば、最短即日で資金を調達(売掛債権を現金化)できます。
すぐに現金を用意しなければいけない事情がある場合は、ファクタリングを利用しましょう。
貸し倒れリスクを低減できる
ファクタリングでは、売掛債権を金融機関(ファクタリング会社)に譲渡することで、すぐに資金を確保できます。
どれほど多くの売掛債権を持っていても、それは現金ではなく、未回収リスクが存在することにご留意ください。取引先が倒産した場合、売掛金を回収できません。しかし、ファクタリングで現金化すれば、貸し倒れリスクから解放されます。
なお、現金化後に、取引先が倒産して譲渡した売掛金を金融機関(ファクタリング会社)が回収できない状態になっても、原則としてファクタリング利用者に対して支払いが請求されることはありません。
ただし、契約の内容によっては、償還請求権が盛り込まれているケースがあります。
この場合、売掛先企業が倒産などで支払不能の状態になると、ファクタリング利用者に対して支払いが請求される可能性がある点にご留意ください。
赤字の場合や税金・社会保険料を滞納している場合でも利用できる
銀行などの金融機関に融資を申し込む場合、納税証明書など、さまざまな書類の提出を求められ、信用・財務状態をチェックされます。赤字だったり、税金・社会保険料の滞納があったりすると、審査に通過できない可能性が高いことにご留意ください。
ファクタリングは売掛債権の譲渡であり、融資ではありません。
審査される要素は、自社の信用・財務状態ではなく、取引先(売掛先)の信用・財務状態です。そのため、赤字の場合や税金・社会保険料を滞納している場合であっても、ファクタリングなら最短即日で資金を調達することが可能です。
ファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングを利用する場合は、以下の点に注意しましょう。
・金融機関(ファクタリング会社)に手数料を支払わなければいけない
・三者間ファクタリングの場合は取引先の同意を得る必要がある
・契約内容や取引先の業績・信用状態によっては利用できない場合がある
それぞれに関して詳しく説明します。
金融機関(ファクタリング会社)に手数料を支払わなければいけない
ファクタリングを利用する際は、金融機関(ファクタリング会社)に対して手数料を支払わなければいけません。そのため、売掛債権の満額を現金化できるわけではない点にご留意ください。
一般的にファクタリングの手数料は、二者間ファクタリングに関しては10~20%、三者間ファクタリングに関しては1~10%程度です。100万円分の売掛債権をファクタリングで現金化する場合、最低でも1万円、高ければ20万円の手数料がかかる可能性があることを認識しておきましょう。
手数料を低減したい場合は、二者間ファクタリングではなく、三者間ファクタリングを利用することもご検討ください。ただし、三者間ファクタリングの場合、取引先の同意を得る必要があり、二者間ファクタリングよりも現金化するまでに時間を要します。
三者間ファクタリングの場合は取引先の同意を得る必要がある
三者間ファクタリングは、「ファクタリング利用者」「取引先」「金融機関(ファクタリング会社」の三者で契約を締結する方式です。そのため、取引先(売掛先)の同意を得る必要があります。
ファクタリングを利用することを取引先に伝えると、「経営状態に問題があって、資金繰りが悪化しているのだろうか」と疑念を持たれるかもしれません。そのため、取引先に「ファクタリングする事実(現金が不足していて、緊急に調達しなければいけないこと)」を知られたくないとお考えになる経営者もいるでしょう。
取引先に知られたくない場合は、三者間ファクタリングよりは手数料が多くなるものの、取引先に知られずに済む二者間ファクタリングを利用することもご検討ください。
契約内容や取引先の業績・信用状態によっては利用できない場合がある
取引に関する契約書に「債権譲渡禁止」の条項が盛り込まれている場合は、ファクタリングを利用できない可能性があります。
なお、民法改正によって、2020年からは、債権譲渡禁止の条項が盛り込まれている場合でも法律上はファクタリングを利用できる状態になりました。しかし、トラブルに発展する懸念があるため、多くのファクタリング会社が買い取りに対して消極的です。
また、ファクタリングでは、取引先(売掛先)の業績・信用状態がチェックされることにご留意ください。売掛先の業績が悪化していて倒産のリスクが高い場合、ファクタリング会社が買い取りに応じてくれないことがあります。複数の取引先がある場合は、業績が良い企業に対する売掛債権でファクタリングを実施しましょう。
現金が必要な場合はファクタリングを利用することも検討しよう
ファクタリングとは、「売掛債権を金融機関(ファクタリング会社)譲渡(売却)することで振込日が到来する前に現金化できる仕組み」または「取引先(売掛先)の倒産などで売掛債権が回収できなくなった場合に保証を受けられる仕組み」です。
前者は買取型ファクタリング、後者は保証型ファクタリングと呼ばれます。
銀行などに融資を申し込む場合とは異なり、ファクタリングなら、赤字だったり、税金・社会保険料を滞納していたりしても、最短即日で資金を調達することが可能です。
資金繰りが悪化している場合は、ファクタリングを利用して早期に現金化することも選択肢としてご検討ください。