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契約書レビューとは?進め方・チェック項目・修正時のポイントを弁護士が解説

ビジネスで取引先と契約を交わす場面は、日々の業務の中に数多く存在します。しかし、「契約書にサインする前にきちんと確認しているか」と問われたとき、自信を持って「はい」と答えられる企業はそれほど多くないかもしれません。

契約書は、一度締結してしまうとその内容に法的な拘束力が生じます。「思っていた内容と違う」「こんな条件だとは知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。だからこそ、締結前に内容をしっかり精査する「契約書レビュー」が欠かせません。

本記事では、契約書レビューの基本的な役割から、実務での具体的な進め方、重点的に確認すべき条項、社内フローの整備まで、わかりやすく解説します。

記事執筆:中澤泉(弁護士)

目次

契約書レビューとは

契約書レビューとは、契約を締結する前に、契約書の記載内容を法的・ビジネス的な観点から精査する作業のことです。

具体的には、相手方から提示された契約案を審査する「レビュー」と、自社で一から書き起こす「ドラフト作成」の2種類があります。多くの企業では自社のひな形がすでにあるため、ゼロからドラフトを作成する機会は少なく、実務では「自社ひな形を相手方に提示し、返ってきた修正案を確認する」か「相手方から提示されたドラフトを審査する」かのどちらかが大半を占めます

契約書は、取引当事者の間だけで適用される「ルール」を作る行為です。法的な権利・義務を文書に落とし込む作業であるため、法律の知識を持つ担当者が関わることが重要です。

契約書レビューとリーガルチェックの違い

「契約書レビュー」と同じような意味として「リーガルチェック」という言葉が用いられることもありますが、厳密には両者の目的や役割は異なります。

そもそも契約書レビューとは、リーガルチェックより広い概念です。取引の条件が合意内容と合っているか、必要な条項に漏れがないか、矛盾する記載がないかといった、内容全体の整合性を確認する作業を指します。法務担当者だけでなく、実際の取引を担う現場の担当者も関わりながら進めるのが一般的です。

一方でリーガルチェックは、契約書レビューの中でも特に「法的な観点からの審査」に特化した作業です。法令違反がないか、自社にとって法律上不利なリスクが潜んでいないかといった点を、法務担当者や弁護士が専門的な視点でチェックします。

つまり、リーガルチェックは契約書レビューの一部と考えるとわかりやすいでしょう。

契約書レビューが必要な理由

現場の担当者によるリーガルチェックだけではなく、より専門的な視点からの契約書レビューが必要とされる理由は、大きく5つに分けることができます。

① 当事者の意向に法的な効力を持たせるため

現場担当者が「この条件で進めたい」と思っている内容を、法的に有効な言葉で正確に文書化しなければ契約書はその効力を十分に発揮しません。特に契約書に記載されていない口頭での合意や商談での話し合いは、法的な有効性が認められないこともあるため注意が必要です。

② 自社にとって不利な契約を結ばないため

相手方が作成した契約書には、自社にとって不利な条件が盛り込まれていることがあります。気づかずに署名してしまうと、大きな損失を被るリスクにもつながりかねません。ただし、自社にとって過剰に有利な契約内容は「公序良俗・信義則に反する」として無効になる場合があるため、バランスを保つことが大切です。

③ 適法性を確認するため

当事者間の合意よりも法的に優先される「強行法規」に違反していないかを確認することも契約書レビューの重要な役割です。強行法規に反する内容が含まれていると、契約全体が無効になるリスクもあります。

④ 将来のトラブルを未然に防ぐため

言葉の解釈のズレは、思わぬトラブルの原因になります。各条項の中にあいまいな表現がないかをチェックし、問題が起きたときの対処方法をあらかじめ決めておくことで、紛争リスクを大きく下げられます。

⑤ 契約の実効性を担保するため

たとえ契約書を締結したとしても、それが実際に履行できない内容では意味がありません。合意内容の法的な実効性を担保するためにも、契約を履行できなかった場合のペナルティや取り扱いをしっかりと確認しておくことが求められます。

契約書レビューの基本的な流れ

契約書レビューは、以下のステップで進めるのが一般的です。

STEP

ヒアリング・準備

まずは事業部門の担当者から取引の背景や目的、条件を詳しくヒアリングします。「どのような取引なのか」「想定されるリスクは何か」を把握しないまま契約書だけを読んでも、的外れなレビューになってしまいます。

また、どちらが最初の案(第一案)を作成するかも重要な判断ポイントです。自社のひな形を先に提示できると、交渉の主導権を握りやすくなります。

STEP

多角的な検討

実際に契約書を読み込む段階では、以下の3つの観点でチェックを進めます。

  • リスクの検討:この契約によって自社が負うリスクは何か
  • 条項の詳細な検討:各条項に抜け漏れ、矛盾がないか
  • 形式面の確認:用語の統一、誤字脱字、署名欄の整備など

文章としての整合性だけではなく、取引の実態に照らして「これは実際に機能するか」という視点で読むことが大切です。

STEP

修正案の作成・提示

問題箇所が見つかったら、修正案を作成します。このとき、文書作成ソフトの履歴管理機能やコメント機能を活用し、「どこを変えたのか」「なぜ変更したいのか」を明示できるようにしておくと、その後のやり取りがスムーズです。

STEP

相手方との交渉・繰り返し

修正案を提示しても、相手方がそのまま受け入れるとは限りません。修正のやり取りを何度か繰り返しながら、双方が合意できる内容に近づけていきます。契約書の内容によっては、修正案のやり取りを何往復も重ねることも珍しくありません。

STEP

最終確認・締結

最終的な文面が固まったら、事業部門の担当者にも内容を確認してもらい、認識のズレがないかをチェックします。問題がなければ、社内の承認フローを経て署名・締結へと進みます。

契約書レビューで重点的に確認したいポイント

契約書の内容は種類によってさまざまですが、実務においては重点的に確認しておくべきいくつかのポイントが存在します。

基本情報(5W1H)

誰が(Who)、いつ(When)、どこで(Where)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)という基本要素に漏れがないかを確認します。たとえば納期の記載が「なるべく早く」「月内を目途に」といったあいまいな表現になっていると、トラブルにつながりがちです。具体的な日付、数量、金額で明記することが重要です。

一般条項

一般条項とは、秘密保持や管轄裁判所をはじめ、準拠法、契約期間、自動更新、解除条件など、どんな契約にも共通して登場する「定型的な条項」です。軽視されやすいですが、紛争時に非常に重要な役割を果たします。特に「管轄裁判所」は、相手方の本拠地で設定されていると、万が一の訴訟時に大きなコスト負担になるため注意しましょう。

損害賠償・違約金

損害賠償の範囲や上限額が適切に設定されているかを確認することも大切です。たとえば「損害の全額を賠償する」という文言だけでは、賠償額に上限がないことになってしまいます。自社が賠償を求める側であればそのままでも問題ない場合もありますが、賠償を求められる側であれば上限額(例:契約金額の範囲内)を設けることが一般的です。立場によって有利・不利が変わる条項の一つとして、特に注意が必要です。

契約の解除条件

多くの契約書では、どのような場合に契約を解除できるのかを条項として定めています。相手方の一方的な都合で解除されるリスクや、自社が解除したい場合の手続きが明確かどうかをしっかりと確認しておきましょう。解除後の処理(在庫の扱い、支払い済み費用の返還など)についても定めておくことが重要です。

契約書ごとの個別条項

契約書にはその目的に応じて、多種多様な条項が盛り込まれます。そこで円滑にレビューを進めるために効果的なのが、業種・取引類型ごとに重点的に確認すべく条項を整理しておくことです。

たとえば業務委託契約であれば「成果物の所有権」「再委託の可否」「検収基準」といった条項が重要になります。ライセンス契約であれば「使用範囲」「対価の計算方法」「独占・非独占の区別」などが焦点になります。

相手方案と自社案で見るべきポイントの違い

契約書レビューの難しさの一つは、「ファーストドラフトを誰が作ったか」によって、見るべき視点が変わることです

自社案(ひな形)を使う場合

自社の基準に沿って作られたひな形をファーストドラフトとして用いる場合、基本的な条項の確認・整理は済んでいると考えてよいでしょう。そのうえで、主に以下の点を確認することでレビューの精度を高められます。

  • 今回の取引に固有の条件(金額・期限・対象物など)が正しく反映されているか
  • 用語の表記が統一されているか(「および」「または」の使い分け、社名・商品名の表記ゆれなど)
  • ひな形作成後に法改正があった場合、内容が古いままになっていないか

自社案の場合は、条項自体の抜け漏れよりも、契約書全体の整合性や最新の法改正に注意を払うのが効果的です。

相手方案を受け取った場合

相手方が作成したファーストドラフトは、相手方に有利な内容になっていることが多くなります。このケースでは、より丁寧な精査が必要です。

  • 自社のひな形と比べて、足りていない条項(不足条項)がないか
  • 自社に一方的に不利な制限がかかっていないか
  • あいまいな表現が相手方に都合よく解釈される余地がないか

特に注意したいのが、契約書に「記載されていないこと」です。たとえば遅延損害金の利率が書かれていない場合、民法の法定利率(現在年3%)が自動的に適用されます。自社が債権者側であれば、より高い利率を約定で定めておいたほうが有利になる場合もあります。

あえて記載しないことで自社に不利な状況を作り出す手法もあるため、「何が書かれているか」だけでなく「何が書かれていないか」にも目を向けることが大切です。

弁護士に契約書レビューを依頼すべきケース

より慎重性が求められる契約書をレビューする際には、社外の専門家の力を借りたほうがよいケースもあります。特に以下のような状況では、弁護士への契約書レビューの依頼を検討しましょう。

契約金額が高額、または取引の重要度が高い場合

会社の経営に大きな影響を与えうる契約は、万一のリスクを最小限に抑えるために、弁護士の目を通すことが望ましいと考えられます。

取引の構造が複雑・特殊な場合

標準的なひな形が存在しない契約(特殊な投資契約、M&A関連契約など)は、高度なリスク評価が必要なため、弁護士の知見が欠かせません。

法改正の影響を受けている可能性がある場合

法律が変わっていても、既存のひな形や担当者の知識がアップデートされていないことがあります。重要な取引では、最新の法的解釈を踏まえた確認が必要です。

社内に法務の専門知識を持つ人材がいない場合

法務部門が整備されていない中小企業や、法務担当者が他業務と兼務している場合は、早い段階で弁護士に相談する体制を持っておくと安心です。

弁護士は文言の確認にとどまらず、リスクの特定・評価・対処策の検討という包括的なリスクマネジメントを行います。費用はかかりますが、トラブルが発生した後の対処に比べれば、事前のコストは十分に見合うケースがほとんどです。

契約書レビューを効率化するための運用ポイント

契約件数が増えてくると、レビューのスピードと質を両立することが課題になります。ここでは、実務で使える効率化のポイントを紹介します。

ひな形・チェックリストを整備する

自社専用のひな形と、確認すべき項目をまとめたチェックリストを用意しておくことで、担当者が変わっても一定品質を保てます。一方で、チェックリストはあくまで「最低限の確認漏れを防ぐツール」に過ぎません。それだけに頼りすぎず、ケースごとの個別判断と組み合わせることが重要です。

依頼フローを標準化する

「事業部門から法務への依頼フロー」をあらかじめ決めておくと、情報収集がスムーズになります。たとえば依頼時に「取引の背景・目的・懸念点」を記入するシートを用意しておくと、ヒアリングにかかる時間を短縮でき、レビューに集中できます。

承認フローを明確にする

誰がどの段階で確認・承認するかを組織内で定めておくことも重要です。「担当者が確認→上長が承認→締結」といったシンプルなフローから始め、金額や契約の重要度に応じて承認段階を増やすルールにしておくと、ガバナンスを強化しながらスピードも保てます。

レビュー履歴・交渉経緯を記録に残す

先方との修正のやり取りは、後から「なぜこの内容になったのか」を確認するための重要な記録です。そうした記録が個々のメールやチャットに散らばったままになっていると、後から経緯を追うのが困難になります。文書作成ソフトなどを活用し、修正履歴と交渉経緯を一元管理できる仕組みを整えておくと、引き継ぎや社内共有がスムーズになります。

ツールの活用を検討する

近年は、AIを活用した契約書レビューの支援ツールや、契約業務全体を管理するCLM(契約ライフサイクル管理)ツールが普及しています。こうしたツールを使うことで、抜け漏れの防止や履歴管理、進捗の可視化を自動化でき、法務担当者の負担を大幅に軽減できます。

電子印鑑GMOサインが提供する契約レビューオプションは、契約書の作成からレビュー、社内承認、電子締結、締結後の文書管理まで、契約業務の全プロセスを一気通貫で管理できるツールです。主な機能は以下のとおりです。

GMOサイン契約レビューオプションの特長①
契約書の作成をシンプルに

自社のひな形をテンプレートとして登録しておくことで、作成ミスや記入漏れを防げます。Wordのひな形をそのまま取り込んで編集・保存でき、ファイルのバージョンも時系列で自動管理されるため、「どの版が最新か」で迷う手間がなくなります。編集制限や入力項目の必須化といった細かい設定も可能です。

GMOサイン契約レビューオプションの特長
レビュー・コミュニケーション履歴の蓄積

契約書に紐づける形でレビューや相談のやり取りを記録できます。交渉経緯が自然に蓄積されるため、後から「なぜこの内容になったか」を追いやすくなります。関連する契約も同時に把握できるため、最新状況の確認に費やすコミュニケーションも削減されます。

GMOサイン契約レビューオプションの特長
承認フローの柔軟な設定

担当部署や契約内容に合わせて、承認ルートを複数パターン設定できます。承認記録は契約情報とセットで残るため、ガバナンスの強化にもつながります。契約書の作成画面からそのまま承認申請へ進めるため、ツールを行き来する手間もありません。

GMOサイン契約レビューオプションの特長
そのままGMOサインで締結・管理

契約レビューオプション上で作成・承認された契約ファイルは、そのままGMOサイン上で締結・管理できます。GMOサイン側からドラフト文書を参照することも可能で、レビューから締結まで一つの流れの中で完結します。

GMOサイン契約レビューオプションの特長
契約書のステータスを瞬時に把握

各案件のステータスや対応すべきタスクをその場で確認できます。ステータスの確認・更新にかかる作業が減り、担当者は本来のレビュー業務に集中しやすくなります。

レビュー体制の見直しや社内フローの整備をお考えの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。無料トライアル(1カ月)もご用意しています。

まとめ

契約書レビューは、単なる書類チェックではありません。会社のリスクを事前に把握し、取引を安全に進めるための重要なプロセスです

適切なレビュー体制を整えるには、条項ごとのチェックポイントを押さえるだけでなく、社内の依頼フローや承認ルートを明確にしておくことも大切です。まだ仕組みが整っていない場合は、ひな形の整備やフローの明文化から、少しずつ取り組んでみてください。

GMOサインの契約レビューオプションは、こうした社内体制の整備もサポートします。導入支援サービス(オプション)では、自社の運用フローに合わせた設定支援や社内向け説明会のサポートも提供しています。無料トライアルもご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

本記事の執筆者
中澤泉弁護士

執筆:中澤泉(弁護士)

2015年に中央大学法科大学院を修了し、2016年に弁護士資格を取得。弁護士事務所にて債務整理や交通事故、離婚、相続など幅広い案件を担当。その後、大手メーカーでのインハウスローヤーを経て、現在は弁護士として主に企業法務に携わる。その傍らでライターとしても活動し、2025年に合同会社ことりうみを設立。同社にて法律記事の執筆・監修を手がけている。専門性と読みやすさを両立したコンテンツ制作が強み。

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