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政令とは?省令との違いや法体系における位置づけについて解説

政令とは、憲法および法律を実施するために制定されるもので、政府の出す命令のことです。

ただ、あまり一般に馴染みのない用語であり、具体的なイメージが湧かないかもしれません。「省令という言葉もよく聞くけど違いは?」など、疑問をお持ちの方はぜひ本記事をご覧ください。

今回は、政令とは何なのか、省令との違い、法体系における位置づけ、政令の具体例や確認方法などについて解説します。

目次

政令とは?

政令は、内閣が決定し天皇が公布する、憲法や法律を実施するためのルールです

憲法は国の最高法規であり、日本の法律・規則の基本となるもので国民が制定権者です。法律は憲法の次に効力の強い法令であり、国会で制定されます。

政令はこれら憲法や法律を実施するために制定されるルールで、命令の中で最も最上位にあります。政令は法律から委任された事項において、その範囲内にて定められるルールです。

そのため、法律による根拠がなければ罰則を課す、国民の権利を制限する、国民に義務を課するようなルールは定められません。

政令と法律・法令・命令

政令との違いがわかりにくい単語に、法令や命令があります。

法令とは?

「法令」とは、法律・命令を組み合わせた言葉です。詳しくは後述しますが、法律は国会にて制定されるものであり、命令は行政機関が定める法律の委任を受けた法規のことを指します。つまり、法令は法律に加え、政令や省令なども含めた総称であるというわけです。

法律とは?

「法律」とは、国会の議決を経て制定されるものです。憲法の次に効力があり、国民はそのルールに従わねばなりません。逆に言えば、法律によって制定されていなければ、国民は国によって権利を制限される、義務を課されることはありません。政令や省令は、この法律を効率よく実施するために制定されます。

命令とは?

命令には、法律との関係性から、「委任命令」と「執行命令」の2種類があります。

委任命令とは、法律の条文で個別の委任を受けて、国民の権利や義務に関する新たなルールを定める命令です。

執行命令(施行命令)とは、法律の個別の委任がなくても、法律を施行するための手続きや詳細な形式を定める命令です。新たな権利制限や義務賦課はできません。

そして、これらの命令は、制定する行政機関によって以下のような形式に分けられます。

  • 政令:内閣が定める命令
  • 省令:各省の大臣が定める命令
  • 規則:各庁の長官や委員会などが定める命令

したがって、「内閣が定める政令」が、その内容によって「委任命令」であったり「執行命令」であったりする、という関係になります。

政令と省令の違いとは?

政令と混同されやすいものに「省令」があります。省令は政令と同様に、法律の委任がない限りは罰則を課す、国民の権利を制限する、国民に義務を課するといったルールを定めることはできません。

似ている部分もありますが、政令と省令では、制定主体と法令の階層において違いがあります。

  • 政令:制定主体が内閣であり、法律の規定に基づく
  • 省令:制定主体は各省の大臣であり、法律および政令に基づく

政令とは前述の通り、憲法や法律を実施するために制定されるルールです。一方、省令は法律や政令を施行するためや法律・政令の特別な委任によって発令されます。また、省令は政令に比べて効力が下位にあるという違いもあります。

主務省令

省令は、法律や政令を効率よく実施するためのルールです。通常、元となる法律の条文において「◯◯省令で定める事項」のように、省令を出す省名が記載されます。

しかし、「主務省令で定める事項」のように、省名が指定されないケースもあります。

「主務省令」とは、ある法律を所管する大臣が複数いる場合に、それらの大臣が共同で発する省令のことです。

たとえば、マイナンバー法(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)のように、一つの法律に関連する事務が内閣府と総務省というように複数の省庁にまたがる場合、関係する大臣全員の連名で一つの省令を定めます。

このように、特定の省名を挙げずに「主務省令で定める」と規定することで、複数の大臣が共同で定めることを示しています。

法体系における政令の位置づけ・役割

政令は、憲法や法律を効率よく実施するために制定されるルールです。法的根拠を持って制定される法令の中でも上位に位置づけられています。前述の省令も法令の中の一つであり、政令の下位に位置するものです。

政令や法令についてより詳しく理解するためには、法体系のピラミッドを把握することが大切です。

以下に、憲法、法律、議院規則、最高裁判所規則、政令、総理府令・省令など、法令の形式ごとに表でまとめますので、参考にしてみてください。

法令の形式制定権者概要
憲法国民日本国における最高法規であり、すべての法律・規則の基本となります。法令の中で最も効力が強く、憲法に反する法律や国家の行為はすべて無効です。
法律国会国会にて制定され、憲法の次に効力を持っています。罰則を課す、国民の権利を制限する、国民に義務を課するためには、法律によって定める必要があります。
議院規則衆議院・参議院衆議院・参議院の会議やその他手続き、内部の規律に関して定められているルールです。法律と同等の効力を持つと解されています。
最高裁判所規則最高裁判所訴訟に関する手続き、弁護士や裁判所の内部規律、司法事務処理などについて定められているルールです。憲法の規定に基づくものと法律の委任を受けて制定されるものがあります。法律の次に効力を持つとされます。
政令内閣憲法や法律を効率よく実施するために制定される命令です。行政機関が制定する命令の中では最も上位に位置します。法律から委任され、その範囲内において定められます。つまり、法的根拠がない限りは、国民に義務を課する、権利を制限するような政令を制定することはできません。
内閣府令・省令各省の大臣各省の大臣が制定する命令です。担当する行政事務において法律や命令を施行する、または法律や政令の委任に基づいて定められます。法的根拠がない限り、国民に義務を課する、権利を制限するような省令は制定できません。命令の中では、政令の次に位置します。
その他命令各庁の長官・委員会各庁の長官・委員会によって定められる命令(規則)です。担当する行政事務において、法律に基づき制定されます。

前述の通り、政令・省令および各庁の長官・委員会が定めるものを命令と呼びます。命令においては、政令が最も上位であり、続いて省令、各庁の長官・委員会が定める命令という位置づけになります。

法令の中においては、憲法が最も上位であり、次いで法律、議院規則・最高裁判所規則、政令、省令、その他命令という位置づけになります。

政令と告示・訓令・通達との違い

告示・訓令・通達は法令と似ていますが、異なるものです。

告示とは?

告示とは、一定の事項を広く一般に公的に知らせることです。行政機関の意思表示として行政処分の性質を持つものと、不特定多数の人に対しての通知行為としての性質を持つものがあります。

訓令・通達とは?

訓令とは上級行政機関から下級行政機関またはその職員に対して、法令解釈や運用基準を示すものです。通達は、行政組織内における指示命令書のことを指します。また、通知は行政機関から地方公共団体等の関係団体に対して助言的な意味合いで出されます。

このように、訓令・通達は国民に対する効力を持つものではありません。また、告示も通知行為としての性質を持つ場合もあり、必ずしも国民を拘束するものではありません。そのため、国民に対して効力を持つ法令とは異なるといえます。

法令を正しく解釈するにあたって、告示・訓令・通達は参考になるものです。

(参考:公布、告示及び公告|群馬県太田市

政令の具体例

政令がどのように出されているのか、「不当景品類及び不当表示防止法施行令」を参考に解説します。

この政令は「不当景品類及び不当表示防止法」の令和6年(2024年)の改正に伴い、令和6年10月1日から施行されています。政令の目的を簡単にいえば、消費者が不正な商取引または誤解を招く広告によって発生し得る誤った商品購入を防止することにあります。

この政令では、法律の規定に基づいて施行規則を具体的に設定しています。課徴金の対象となる売上額の算定方法、返品や割戻しを考慮に入れた課徴金の算出基準などを定めています。さらに、対象となる消費者の明確な基準や購入額の算定方法についても規定しています。

このように、政令は法律を効率よく実施するために基準を設定するなど、より具体的に示されたルールであることがわかります

(参考:景品表示法|消費者庁

政令に関する情報を収集する方法

企業や団体が活動するうえで、政令に反することがあってはなりません。そのため、法務担当者はアンテナを張り、政令について正しい情報を把握しておく必要があります。

しかし、政令はそのすべての情報がメディアにて取り上げられるわけではありません。注目されにくい政令の制定・変更についてはインターネットニュースや新聞などのメディア以外から情報を取得することとなります。

政令の制定・変更に関する情報は、官報や各省庁のホームページなどで知ることができます。たとえば、企業活動を行うのであれば経済産業省をチェックするとともに、業務に関係のある省庁のホームページを確認することとなります。

業務内容によっては複数の省庁のホームページを確認することもあります。常に最新情報を追うのは手間がかかるものです。政令の新規制定・変更についてまとめて調べるのであれば、e-gov法令検索」の活用がおすすめです。

e-gov法令検索とは、総務省行政管理局が提供している憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則の法令データベースです。官報にて法令が交付されると、未施行分も含めて更新されます。

e-gov法令検索で政令の新規制定・変更について調べる流れは以下の通りです。

  1. e-gov法令検索の「法令種別」から「政令」のみにチェックを入れる
  2. 「法令名」「キーワード」「法令番号」など詳細を入れて絞り込む
  3. 「検索」ボタンを押す
  4. 表示されたページにて「公布日(新しい順)」でソートする

これで、公布日の新しい順に法令がまとめて検索できます。

また、ページ下部にある「更新法令一覧」をクリックすると、最新の更新情報のみがまとまっているページが表示されます。更新日ごとのXMLデータをダウンロードすることも可能です。

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政令の新規制定・変更をチェックして企業活動に活かしましょう

今回は、政令について、その他法令との違いなども含めて解説しました。

政令は憲法や法律を実施するために、政府によって定められた命令です。憲法や法律は大枠であり、それだけでは細かい運用が難しいものです。そのため、より効率よく実施するために政令が制定されます。各省の大臣が制定するものを省令、各庁の長官・委員会が制定するものをその他命令と呼びます。本記事を参考に、それぞれの違いを理解しておきましょう。

また、政令はその内容にもよりますが、必ずしもメディア等で大きく報じられるとは限りません。そのため、企業活動をするうえでは常に政令の新規制定や変更などをチェックすることが大切です。

しかし、政令はその数が多くあるため、一つひとつを細かく見るのは困難です。効率よくチェックするためにも、「e-gov法令検索」をぜひ活用しましょう。

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この記事を書いた人

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