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内定承諾書など、「承諾書」と呼ばれる書類はどのようなものなのでしょうか。また、「承諾書」は「同意書」と混同されることもありますが、両者は性質の異なる書類です。
ここでは、承諾書と同意書の違いを説明するとともに、実際に承諾書や同意書を作成する場合に必要な項目を、具体例を交えてご紹介します。また、作成時に覚えておきたい、条項や印紙税などのポイントも併せてご紹介します。
承諾書・同意書とはどのようなもので、どんなに用いられる書類なのでしょうか。また、承諾書や同意書を提出することで、法律上の義務は発生するのでしょうか。
ここでは承諾書・同意書の基礎知識とともに、両者の違いもご紹介します。
「承諾」とは、他人の依頼や要求などに対して納得し、引き受けることをいいます。この意思表示を書面化したものが、承諾書です。承諾書を交わすことにより、相手からの申し出を口約束ではなくきちんと書面に残せるため、後になって「言った」「言わない」といったトラブルを未然に防ぐことができます。
承諾書が実際にどのように使われるのか、人材採用時に使われる承諾書を例に確認してみましょう。面接を行い、採用すると決めた学生に対し、人事部から採用内定通知書を送付します。この際、企業から内定者に対し、入社を承諾してもらうために同封するものが「内定承諾書(内々定承諾書)」、「入社承諾書」です。
内定者が入社を承諾する場合、承諾書に署名捺印し、企業に返送することで意思表示とします。なお、内定承諾書を送る理由は2つあり、1つは採用の証明のため、もう1つは内定辞退を抑制するためです。「内定している」ことを明確にすることで内定者に安心してもらい、採用にかかったコストを無駄にしないためにも、確実に入社してもらえるよう内定者に対して念を押すという目的があります。
承諾書そのものは、基本的に法的拘束力がなく、法律上の義務を負わないものがほとんどですが、例えば先に挙げた内定承諾書などは、内定者が書類を企業に提出した時点で労働契約が成立するとされています。
ただ、労働契約が成立するということは、内定者は労働者と同様の扱いを受けることを意味します。労働者はいつでも労働契約の解約を申し入れることができ、申入日から2週間が経過すれば、労働契約は終了します(民法第627条第1項)。ですから、内定承諾書を提出したからといって、内定辞退ができなくなるわけではありません。
しかし、相手もあなたに代わる人材を探す必要がありますから、内定辞退の意思が固まった時点ですぐに相手方へ連絡することがトラブルを避けるためにも重要です。
同意書とは、「書面の内容に賛同する」という意思を表明するものです。同意書を提出することで、その書面の内容に同意したこととなります。
同意書が使われるケースはさまざまです。例えば、企業が顧客から個人情報を取得する際に同意を求める「個人情報取扱同意書」、手術を行う際に親族などに同意を求める「手術同意書」、未成年者と契約を締結する際に法定代理人である保護者から同意を求める「保護者同意書(親権者同意書)」などが挙げられます。
ちなみに、2022年4月に改正民法が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これに伴い、18歳以上であれば、成人として法定代理人(保護者)の同意を得ずに契約締結などの法律行為が行えるようになったのです。したがって、現在18歳、19歳の方は保護者同意書(親権者同意書)が不要となります。
承諾書と同意書は大きく効果が異なるものではありませんが、性質が少し異なります。前述のように、承諾書とは他人の依頼や要求などに納得して引き受ける意思を書面で表すものであり、同意書は書面の内容を許諾するという意思を表すものです。
承諾書は「●●してください」とお願いされたときに、「いいですよ」という回答を書面で表すもの。同意書は「●●するけどいいですか?」という問いに対して「いいですよ」という意思を示す書類とイメージするとわかりやすいでしょう。
実際に承諾書を作成する場合、どのような項目が必要なのでしょうか。ここでは、承諾書の作り方と必要な項目について説明するとともに、承諾書の例文(テンプレート)を紹介します。
承諾書は、一般的に、承諾を依頼する企業側が作成します。特に決まった書式はありませんが、「表題」「宛名」「承諾内容」「日付」「氏名」といった項目が網羅されている必要があります。また、返送に期日を設けるのであれば、明記しておきましょう。そのほか、必要に応じて承諾者の住所や押印欄などを設けることもあります。
なお、必ずしも紙で作成する必要はなく、双方の合意があれば電子メールや電子契約でのやり取りも可能ですが、紙に署名押印を求める企業も多いのが現状です。
同意書も、基本的に書き方や項目は承諾書と同様で、「表題」「宛名」「同意内容」「日付」「氏名」などの項目を網羅します。
まずは、未成年者(18歳未満)が契約を締結する際に必要となる「保護者同意書」の例文を見てみましょう。
住所
○○ ○○ 殿
同意書
私は______に同意します。
令和 年 月 日
住所
氏名 印
また、同意を求められる機会が多い「個人情報取扱同意書」の例文もご紹介します。
なお、同意書についても、双方の合意があれば電子メールや電子契約でのやり取りが可能です。
承諾書や同意書の内容が曖昧だと、後々トラブルに発展するリスクがあります。また、承諾書・同意書の内容によっては、印紙の貼付が必要となる場合があります。
ここでは承諾・同意条項の書き方と、課税文書に該当する承諾書や同意書について説明します。
承諾書において、承諾条件はとても重要なものです。承諾者との無用なトラブルを避けるためにも、双方にとって明確となる記載を心がけましょう。例えば、承諾条件が複数ある場合は箇条書きにするなどの工夫が必要です。
また、承諾を依頼する側(入社承諾書の場合は企業側)が、承諾の対象となる意思表示(採用内定)を撤回できる条件がある場合には、承諾を求める内容とともに「下記事項に該当した場合は採用内定を取り消します」などと書き、条件を箇条書きにしましょう。
なお、入社承諾書の提出により労働契約が締結されることになるため、内定を取り消す場合は客観的に合理的で社会通念上相当と認められる程度の理由が必要です。
同意書についても、同意条件が複数ある場合は箇条書きにするか、別途書面があることがわかるようにするなどの工夫をしましょう。
承諾書や同意書への記入を求められた際には、想定外の内容(事前に通知されていなかった事柄や極端に自分に不利になる内容など)が記載されていないかどうか確認し、不明点がある場合は記入前に相手方に問い合わせましょう。
書面の内容について承諾もしくは同意する場合には、日付や自分のサインを記入し、押印して相手方に渡します。
承諾書や同意書を書面にする目的は、後々のトラブルを防ぐことにあります。後になって「言った・言わない」というトラブルにならないよう、サインした書面をコピーして保管しておきましょう。
揉め事が起こったとしても、承諾書や同意書が残っており、その内容や署名・押印したことが確認できれば、スムーズな解決につながります。
承諾書・同意書は、印紙税がかかる課税文書に該当する場合もあります。これは、課税文書に該当するかどうかが、表題ではなく内容から判断されるためです。
例えば、承諾書という表題を使っていても、その内容が注文や請負などといった契約を証する文書だと判断された場合は契約書と見なされ、課税文書に該当します。作成する承諾書が課税文書に該当するかは、弁護士や法務担当者などに確認しておくと良いでしょう。
承諾書や同意書へのサインを郵送で依頼する場合は、トラブルを防ぐために以下のようなことを意識しましょう。
承諾書や同意書を郵送する場合は、必ず「どんな書類が入っているのか」を明らかにした送付状を同封しましょう。送付状の添付は書類送付時のマナーです。
また、承諾書や同意書だけが封筒に入っていても、相手方は「どう対応すればいいのか」「いつまでに送り返せばいいのか」がわかりません。送付状に「何を記入してほしいのか」「いつまでに返送してほしいのか」といったことも記載しましょう。
承諾書や同意書は、確実に相手に届ける必要があります。そこで、普通郵便ではなく簡易書留を利用するのが望ましいです。簡易書留であれば郵便物の配達履歴が記録され、受取人に手渡しできます。
仮に相手方が不在であればポストに不在連絡票が投函されるので、「届いていない」というトラブルを防ぐことが可能です。
メールで送付する場合は、メール本文に送付状と同じような要領で承諾書や同意書を送付する旨を記載し、相手方に「何を記入してほしいのか」「いつまでに返送してほしいのか」を明記しましょう。
本記事では、承諾書や同意書とはどのようなものであるか、説明いたしました。承諾書も同意書も、条件などは明確に記載し、後々トラブルにならないようにする工夫が必要です。
また、作成した承諾書・同意書が課税文書に該当するかどうか判断がつかない場合は、提出前に弁護士や自社の法務担当者に確認することも心がけましょう。
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