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婚前契約の効力とは?取り決めておくメリットを解説!記載すべき内容や作成費用についても紹介

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婚前契約書は、日本においてあまり一般的ではありません。しかし、欧米諸国では多くのカップルが採用しています。婚前契約書は結婚前にお互いの財産分与などについてまとめたもので、法的な効力が発生します。

結婚前から離婚後について話し合うなのは縁起が悪いと感じる人もいるでしょう。しかし、結婚する前に財産分与の内容を冷静に話し合うことにより、万が一離婚に至った場合でも、スムーズな財産分与を実現しやすくなります。特にある程度の資産を持っている人は、婚前契約書を作成することが大きな安心につながります。

目次

婚前契約の種類と法的効力

婚前契約では、離婚に至った場合の財産分与について詳しい内容をまとめます。まとめた内容を契約書にしていますが、婚前契約書は作成形態によって2種類に分類可能です。具体的には、公証人が定められたルールにもとづいて作成する公正証書タイプと、当事者がテンプレートなどを利用して作成する私文書タイプとがあります。

公正証書による婚前契約

これは、法律の専門家である公証人が定められた手続きに則り作成する特徴があります。公的機関で法的手続きを踏んで作成するため、高い法的効力を持つ点が大きなメリットです。

たとえば、将来離婚することになり、財産分与でトラブルが起きたとしましょう。婚前契約にもとづいて自身が分与されるべき財産の支払いを拒否していたとしても、強制執行認諾文言の付いた公正証書があれば、強制執行できます。

公正証書による婚前契約は、公証役場で20年間保管されます。ただし、20年を超える期間の保管も可能で、保存の必要性があれば、その間は保管されます。

私文書による婚前契約

私文書による婚前契約は、当事者同士が話し合って内容を決めたうえで締結するものです。契約書には、通常署名や記名押印がされていますが、執行力という点においてはそれほど期待できません。

ただし、私文書として作成した婚前契約書でも、公証役場で認証の手続きをしたものは、公正証書による婚前契約と同様に高い効力が発生します。対象となるのは、私署証書認証や宣誓認証と呼ばれるものです。認証手続きを行えば、私文書の婚前契約書でも20年間公証役場で保管してもらえます。

婚前契約書の内容と書き方

婚前契約書を作成する際には、どのような順番、内容、書き方で契約書としてまとめたらよいのでしょうか?

まずは話し合いで内容を決める

婚前契約書の作成には、最初に当事者による話し合いで、万が一離婚に至った際の財産分与について決めることが必要です。長い結婚生活の中では、結婚前に約束していた家事や育児の分担を守ってくれないことが離婚の原因となってしまう事もあります。また、相手の浮気による離婚など、さまざまなすれ違いが生まれるものです。

婚前契約書の中では、浮気による離婚の場合の財産分与や、家事や育児分担の約束を守らない場合についてなど、お互いが譲れない部分を項目として盛り込むことができます。また、どのように合意しなければいけないというルールはありません。

結婚前は、お互い相手に最も妥協しやすい時期の一つといっても過言ではありません。しかし、必ずしも話し合いがスムーズにいくとは限らず、資産が多ければ多いほど、まとまるまで時間がかかる傾向があります。お互いが納得できる婚前契約書の作成に向けて合意できるまで、時間をかけて話し合う姿勢が大切かもしれません。

まずは下書きを作成

話し合いで合意に近づいてきたら、実際に下書きとして書面に内容をまとめていきます。下描きの段階では、まだ合意していないため、法的効力が発生するわけではありません。しかし、書面にすることでお互いの結婚生活に対する心構えなどが変わり、責任感を持つきっかけにもできるでしょう。

下書きは、実際に婚前契約書を作成していくうえで、内容の漏れを防止する役割を果たしてくれます。これは、公正証書による婚前契約書を作成する場合でも、私文書として作成する場合でも変わりません。また、公正証書を作る段階になって「そんなことは言っていない」など認識の齟齬が発生するリスクもあり、下書きを作ってお互いに納得しておくことは大切です。

実際に婚前契約書を作成、書き方はテンプレートを参考に

下書きがまとまったら、いよいよ実際の婚前契約書を作成していきます。私文書として作成するならテンプレートを利用しても良いですし、公正証書の場合なら公証役場が用意するため準備の必要はありません。テンプレートを使わずに婚前契約書を作成することは知識が必要となり困難です。もしも作成に不安があれば、弁護士など専門家に相談してみるのも良いでしょう。

法的な効力を持たせるためにリーガルチェック

婚前契約書を作成しても、法的な効力がなければ意味がありません。いざというときに法的な効力を発揮できるよう、作成した婚前契約書のリーガルチェックを受けることも必要です。

公正証書で作成した婚前契約書は、すでに公証役場の専門家がしっかりと確認しているため、自身でリーガルチェックをしなくても安心です。しかし、私文書として作成した場合には、弁護士や行政書士などの専門家にリーガルチェックをしてもらうことをおすすめします。

婚前契約書の作成にかかる費用

婚前契約書の作成をする際、私文書として文書を作成するだけなら、費用はかかりません。しかし法的な効力を持たせるためにリーガルチェックを受けたり、公正証書にしたりする場合には費用が発生します。では、どのぐらいの費用がかかるのでしょうか?

費用は慰謝料や財産の金額によって変動

公証役場で作成する婚前契約書の費用は一律ではありません。契約書の中に盛り込む慰謝料や財産の金額によって変わります。この点は、あらかじめ理解しておいた方が良いでしょう。かかる手数料の目安としては、11,000円から17,000円程度が相場となっています。

この金額は、公証役場が自由に設定しているわけではありません。公証役場は公的な機関であり、婚前契約書作成にかかる手数料は法律によって定められています。そのため値引きなどはありませんし、交渉次第で安くなるといったサービスもありません。

婚前契約書のこんな内容はOK?それともNG?

婚前契約書は、適切な方法で作成すれば十分な法的効力を持ちます。しかし、どんな内容でも婚前契約書に記載していれば法的効力があるかといえば、決してそうとは限りません。具体的にどんな内容なら婚前契約書としてOKで、どんな内容はNGなのか、法的な線引きを理解することも必要です。

離婚の条件を当人で自由に設定できるのか?

たとえば、慰謝料として一定額を相手に支払うことで、明確な理由がなくても離婚請求に応じる条件は、お互いに納得すれば婚前契約書に記載すること自体は可能です。しかし、法律が認めていない離婚事由は離婚裁判において認められる可能性が低いでしょう。

法律で認められる離婚事由は、不貞行為や悪意の遺棄など一定の範囲に限定されます。つまり、慰謝料をいくら払えば離婚可能というわけではなく、明確な理由がなければ裁判での離婚は認められません。

このように、離婚の条件を法律よりも拡張するような内容は、婚前契約書に記載しても無効の扱いとなってしまいます。

離婚の可能性を制限する内容はNG

婚前契約書の中には、別居期間がXX年以上なければ離婚はできないといった当人同士で決めたルールが盛り込まれるケースは少なくありません。しかし法律では、婚姻関係を継続することが困難だと認められれば、別居の期間の長短に関係なく離婚は成立します。

このように、法律による離婚が認められているのに、婚前契約によって制限をするような内容は無効です。

扶養義務の制限も無効になりやすい

婚姻期間中には、夫婦はお互いに相手を扶養する義務があります。そのため、扶養義務に反するような内容を婚前契約書に盛り込んでも無効となります。しかし、この項目に関してはケースバイケースとなるため、当人だけが判断するのではなく、必ず法律の専門家から適切な助言を受けることをおすすめします。

たとえば、もともと裕福なカップルが結婚した場合、別居した時にも婚姻費用を分担しないと婚前契約書で決めることは珍しいことではありません。また、婚姻費用を分担する代わりに経済的な援助を求める内容も、ケースバイケースの対応となることが多いです。

子供に関する内容は有効性が高い

子供の親権や教育、養育に関する内容を、結婚する前に婚前契約書で決めておくことは可能です。しかし、最終的には子供の利益を最優先とした判断が下されるため、婚前契約書で決めた内容が必ずしも最優先されるわけではありません。この点は、理解しておきましょう。

ただし、家庭裁判所が定める内容よりも高い水準の負担をお互いに合意して婚前契約書に記載する場合には、子供の利益という点では侵害されません。そのため、内容が有効となる可能性が期待できます。たとえば、子供を私立の学校に通わせる際の学費を負担するとか、子供が大学を卒業するまで学費の負担をするといった取り決めが婚前契約書に盛り込まれやすいです。

結婚生活に関する内容は有効か?

結婚生活においては、法律で定められていない項目に関しても、お互いに合意しておきたい内容があるものです。たとえば、親の介護はそれぞれが責任をもって行うとか、健康診断は最低でも年に1度受けて欲しいといった、希望やリクエストなどもあるでしょう。

口約束だけではお互い内容を忘れてしまうことや、後から言った・言わないなどの紛争に発展する可能性も否定できません。こうした結婚生活の中での約束は、法的な強制執行力はありません。しかし、お互いが結婚前にした約束を思い出すという点においては、婚前契約書の中に記載する意味はありそうです。

将来が不安なら婚前契約書は公正証書がおすすめ

婚前契約書の作成を考えている人の多くは、万が一離婚に至った場合のことを心配しています。そのために、結婚前からお互いに話し合って、まだ始まっていない結婚生活が終わった場合に備えているのではないでしょうか。

しかし、手間をかけて作成した婚前契約書であっても、いざというときに役立たなければ意味がありません。婚前契約書が持つ大きなメリットは、公正証書による婚前契約書であれば、裁判をしなくても公正証書の内容にもとづいて強制執行が可能になる点です。

そう考えると、婚前契約書を作成するなら必ず公正証書にして執行力を担保するのが賢明だといえます。

どんな内容を盛り込めばよい?

公正証書による婚前契約書であれば、裁判を起こすことなく強制執行が可能です。婚前契約書では、主に離婚後の財産分与について記載することが多いです。裁判なしで速やかに相手から必要な経済的支援を受けられる点において優れているといえるでしょう。そのため、別居中の婚姻費用の支払い負担を内容に盛り込んだり、養育費に関する内容を盛り込んだりすることは、賢明な方法だといえます。

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
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