ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)への投資が盛んになる一方で、そこで得た利益に対する税金はどうなるのか心配という方も多いのではないでしょうか。
- いくらから税金が発生するのか?
- 確定申告は必要なのか?
- 申告しないと罰せられるか?
これらを投資の勉強とセットで覚えておくと安心です。本記事では、ビットコインの税金に関する基本知識から具体的な申告方法までを徹底解説します。
ビットコインと税金の基本知識
まずは、ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)に対する税金の基本を理解しましょう。
利益が発生した場合、どのような税金が課されるのか、税法上はどのように扱われているのかを解説します。
ビットコイン・仮想通貨にかかる税金は?
ビットコインを含む仮想通貨(暗号資産)の取引で得た利益には、所得税と住民税が課せられます。これらの利益は所得税法上「雑所得」として分類され、給与所得や事業所得とは別の扱いです。
具体的には、仮想通貨の売却やほかの仮想通貨との交換、商品やサービスの購入に利用した際に、取得時の価格と売却時の価格の差額が利益となります。仮想通貨はそのデジタルな性質から、税法上の扱いが複雑です。しかし、利益が発生した場合は確定申告を行い、適切に税金を納める必要があります。
雑所得としての仮想通貨利益
仮想通貨取引で得た利益でつかう勘定科目は「雑所得」になります。雑所得は、給与所得や事業所得など他の所得と合算され、累進課税により税率が決定するものです。
また、所得が増えるほど税率も高くなり、税率は5%から最大45%までの7段階で設定されているのが特徴です。さらに、住民税として一律10%が加算されます。ほかの所得が多い場合は、仮想通貨の利益に対する税負担も大きくなる可能性があるでしょう。
2025年度税制改正に向けた動き
現在、2025年度の税制改正に向けて、暗号資産の利益を株式などと同様の「一律20.315%の申告分離課税」の対象とするよう求める要望が業界団体などから出されており、政府・与党内でも議論が進んでいます。もし実現すれば、将来的に個人の投資家の税負担が大きく変わる可能性がありますが、本記事執筆時点ではまだ確定していません。最新の情報を注視しましょう。
ビットコインの税金が発生するタイミング
ビットコインやその他の仮想通貨(暗号資産)で取引を行った際、どのタイミングで税金が発生するのかを把握しておくことは非常に重要です。売却や交換での利益発生時や年間の利益額によっては確定申告が必要となるでしょう。
ここでは、税金が発生する具体的なタイミングや申告漏れのリスクについて解説します。
売却・交換での利益発生
ビットコインや仮想通貨で利益が発生する主なタイミングは、売却や他の仮想通貨との交換を行った場合です。たとえば、ビットコインを購入したときの価格(取得価額)が50万円で、それを80万円で売却した場合、差額の30万円が課税対象の利益となります。
売却価格(80万)- 取得価格(50万)= 利益(30万円)
同様に、イーサリアム内(ヴィタリック・ブテリン氏によって開発されたプラットフォームの名称)でビットコインを使用してイーサ(イーサリアム内で使用される仮想通貨)を購入した場合も、購入時のビットコインの価格との差額が利益として計算されます。
たとえば、1BTC=300万円の時に0.1BTC(取得価額30万円)を購入し、その後1BTC=500万円になったタイミングで、その0.1BTC(時価50万円)を使ってイーサリアムを購入したとします。この場合、ビットコインを50万円で売却してイーサリアムを購入したと見なされ、差額の20万円が課税対象の利益となります。
売却時の時価(50万円) – 取得時の価格(30万円) = 利益(20万円)
いくらから税金が発生するのか?
仮想通貨取引による利益が年間で20万円を超える場合、確定申告が必要です。ただし、給与所得が2,000万円以下の給与所得者で、副業所得が20万円以下の場合は申告が免除されるケースがあります。
しかし、個人事業主や給与所得以外の収入がある場合は、このルールの適用外です。会社員の場合は「年間20万円の利益が出た時点で確定申告をしなければいけない。」と覚えておくとよいでしょう。
では、20万円を超えた場合、いくらの税金が発生するのでしょうか。ビットコインなどの仮想通貨の場合、総合課税で計算します。
例として、仮想通貨取引で年間利益が100万円、総所得330万円の場合を見ていきましょう。この場合、税率は所得金額に応じて累進課税が適用され、所得が195万円以下の場合は税率5%、330万円以下では10%、695万円以下では20%です。加えて、住民税として一律10%が課されます。
あくまで計算のイメージですが、他の所得と合算した結果、課税される所得金額が330万円(所得税率10%の範囲)だった場合、仮想通貨の利益100万円に対してかかる税金は、所得税と住民税を合わせておよそ20万円程度になると考えられます。
※実際の税額は、個々の所得控除額などによって変動します。
(参考:所得税の税率|国税庁)
「確定申告しなくてもバレない?」はリスクでしかない
仮想通貨の利益を申告しなかった場合、一体どうなってしまうのでしょうか。
申告漏れが指摘された場合、未納分の税金に加えて延滞税や無申告加算税、さらには悪質と判断されると重加算税が科される場合もあり、場合によっては利益額を大きく上回る負担となるため、注意が必要です。
仮想通貨取引はすべてデジタル台帳に記録されており、取引所やブロックチェーン技術を通じて取引が透明化されています。税務署は取引所から提供される情報をもとに、未申告者を特定するシステムを強化しているのです。
そのため「バレない」という認識自体間違いであることを知っておきましょう。利益20万を超えたなら、確定申告を適切に行い、トラブルを避けることが、仮想通貨取引を安全に続けるための基本となります。
ビットコインの税金を正しく申告する方法
ビットコインで得た利益に課される税金は、利益にあった計算をして正しい手続きで申告することが重要です。特に利益を出した年や一定の基準を超える取引を行った場合は、正確に確定申告をしましょう。
ここでは、申告に必要な書類の準備方法や効率的な確定申告の手続き方法について解説します。
必要書類と準備方法
ビットコインの確定申告をスムーズに行うためには、必要な書類をそろえ、取引履歴を正確に管理することが重要です。以下に、準備すべきおもな書類とその方法をまとめます。
まず、利用した取引所から取引履歴を取得します。取引履歴の中には、入出金記録、取引履歴、および利益の計算結果が含まれます。ほとんどの取引所では、取引履歴をCSV形式でダウンロードが可能です。
- 売買日時
- 売買価格
- 手数料
- 入出金の金額と通貨の種類
ダウンロード後、内容が正確に記録されているか確認してください。
確定申告の手続き方法
仮想通貨取引で得た所得は、「雑所得」として確定申告が必要です。ここでは、具体的な申告手順と効率化の方法について説明します。
使用する書式
以前は確定申告書はAとBに分かれていましたが、現在は様式が一本化されています。国税庁の公式サイトから確定申告書を入手可能です。なお、確定申告の際には収支計算明細書を添付する必要があるため、取引履歴を元に利益を算出してください。
(参考:所得税等の確定申告書や手引きはどこで入手できますか。 | 国税庁)
申告の流れ
収入と経費を分けて記載します。仮想通貨を売却した際の売却価格が収入となり、購入価格や取引手数料が経費に該当します。所得税率は総合課税で計算されるため、他の所得と合算して税額が決定されます。
会計ソフトを活用し簡略化
申告書の作成には、クラウド会計ソフトを利用すると大幅に手間を削減できます。これらのツールは、取引所からダウンロードした取引履歴を自動で取り込む機能を備えており、収支計算や申告書作成を自動化が可能です。
また、所得金額の計算や控除の適用も一括で管理できるため、初心者でもミスなく申告ができるでしょう。
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仮想通貨の税金計算に役立つツールと注意点
複数の取引所を利用していたり、大量の取引履歴があったりする場合は、手作業で計算するのは難しいと感じる方も多いでしょう。
ここでは、税金計算を効率化するためのツールや節税のために知っておきたいポイントについて解説します。
税金計算ツールの活用
仮想通貨の税金計算を効率化するためには、専用ツールを活用するのがおすすめです。
これらのツールは、各取引所からダウンロードした取引履歴をアップロードするだけで、自動的に年間の損益計算を行い、税額を算出してくれます。特に、多くの取引履歴がある場合や複数の通貨を扱っている場合に便利です。
税金対策として知っておきたいポイント
仮想通貨取引の利益にかかる税金を最適化するためには、いくつかの税金対策を知っておくとよいでしょう。以下の2つの方法が代表的な節税策です。
利益確定を分散させる方法
仮想通貨の売却による利益は、その年の所得として課税されます。そのため、大きな利益が発生する場合は、売却時期を複数の年に分散させることで所得を平準化し、累進課税率を低く抑えることが可能です。
たとえば、利益が100万円ずつ発生するように分けることで、税率の上昇を防ぎ、最終的な税負担を軽減できます。
含み損を利用した節税策
保有している仮想通貨が値下がりしている場合、その含み損を確定させる(売却する)ことで、利益と相殺して課税対象額を減らすことが可能です。これを「損益通算」といい、特に年末に行うことで年間の税負担を効果的に下げられます。
確定申告が終わっても安心は禁物!7年間の書類保管義務
確定申告が無事に完了しても、それで終わりではありません。申告に使用した年間取引報告書や、計算の根拠となった資料は、所得税法により原則7年間の保存が義務付けられています。これは、後日税務調査が入った際に、申告内容が正しかったことを証明するために非常に重要です。
証拠書類の保管をより安全・確実にするGMOサイン
これらの重要書類を、PCのフォルダや一般的なクラウドストレージに保管するだけでも問題はありません。しかし、「万が一の税務調査に備えて、より万全を期したい」「改ざんされていないことを証明できる形で保管したい」と考える方には、『電子印鑑GMOサイン』の活用がおすすめです。
GMOサイン上で書類を保管すると、いつ・誰が・何を保管したかが電子署名とタイムスタンプによって記録されます。これにより、その書類がその時点で存在し、以降改ざんされていないことを法的に証明できるため、単なるデータ保管よりも格段に高い証拠能力を担保できます。
将来の不安をなくし、安心して仮想通貨取引を続けるためのお守りとして、重要書類の保管にGMOサインを活用してみてはいかがでしょうか。
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ビットコインの税金を正しく管理して安心な取引を
ビットコインなどの仮想通貨取引では、税金が発生するタイミングを正確に把握し、利益の計算や適切な申告手続きを行うことが重要です。特に、売却や交換での利益が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。
正しい計算方法を用い、税金を納めることで、ペナルティを避け、安心して取引を続けることが可能です。
本記事の内容を参考に、正しく税金を管理し、安心して仮想通貨取引を行ってください。